純正律実践編(演奏法)


Single Singersでの練習法を綴って行きます。
所詮は素人が独力で考えた事ですので参考までに

2004/ 7/ 8更新
ワンポイントアドバイス

「聞き合う」という行為の意味

 合唱練習の中でよく使われる割には余り意味が理解されてない様子なのが「聞き合う」という指示です。個人的な経験として、合唱人でキチンと理解して実行している人はほんのわずかなのではないでしょうか。
 「聞き合う」という行為は、他人の音程を聞いて、その音程に合わせて自分の音程を修正するという事です。分かり易い例としては、自分と同じパートのメンバー(例えばパートリーダー)の歌う音程を聞いて、自分の音程を同じ音程に合わせるという行為が挙げられます。こうする事によってパート内の音程が一つにまとまる事になります。まあ、えてして「自分と周りの音程が合わないのは、周りの音程が間違っているからだ」と考えて、各々が勝手気ままな音程を張り上げてパートがまとまらないという事になりがちなのですが・・・。

 閑話休題。そして、さらにそれを広げて他パートの音程とのハーモニーを聞いて自分の音程を修正する(決して鍵盤楽器の音程を鵜呑みにしない)というのがSingle Singersでも行っている純正律ハーモニーの練習法です。こうした練習を続けていると「他人がいてはじめて自分(の音程の正しさ)が証明できる」という教訓めいたものまで感じてきます(笑)。

音取りはピタゴラス律で

 最近考えている事ですが(まだ実施には至っていない)、音取りはピタゴラス音律で行い、合わせの練習で三度を修正するようにした方が良いのではないかと考えるようになりました。
 これはピタゴラス音律の旋律効果を生かす事もありますが、過去に「木下杢太郎の詩から」の「両国」を演奏した時に、前半部分は聞き合える程のロングトーンがなかったので余りハーモニー練習をしていなかったのだが、ふと五度だけでも聞き合って音程を合わせてみると、格段に旋律や音楽全体がシャープに聞こえるようになり、驚いた事がありました。もしかすると「ゼロ・ビートの再発見 復刻版 (株)ショパン」の中で著者が触れていたピタゴラス音律が醸し出す力強い音楽というのが、こうした旋律効果と五度のハーモニーによるものなのかもしれません。

 このように音取り用に使用する場合は、実用純正律理論で解説した半音進行の処理法を考慮して、曲の調性に合わせて(転調する場合はそれに合わせて変更する)主音から11音を純正完全五度で合わせたピタゴラス律を用いる事になります。

11シャープ 22シャープ 3 44シャープ 55シャープ 66シャープ 7
1/12187/20489/819683/1638481/644/3729/5123/26561/409627/1659049/32768243/128
0.0113.7203.9317.6407.8498.0611.7702.0815.6905.91019.51109.8
1=1/1、0.0cent として表記

以下試行錯誤中

ワンポイントアドバイス

 今回からしばらく思いついたり、問題と感じた事等を書いていってみます。またある程度集まった所でまとめてみましょう。

ハーモニーの間違った指導法

 ハーモニーに関して何人かの指導者が行っているのを見た指導法です。
 カデンツ等の特定のハモる音形を歌わせるため、平均律のピアノやキーボードで各パートの音取りをしてメンバーに歌わせる。その上で「よく聞きあって!」という指示を出すのみ。

 これはハッキリ言って全く意味のない練習です。メンバーは何が正しい音なのか分からない上に、指導者からは文句ばかり言われているように感じるだけです。また、こういう指導をする場合、えてして指導者自身がハーモニー感覚がない場合も多く、メンバーが正しい音を出していてもそれを評価する事ができない例すらあります。

 ハーモニー練習において重要なのは正しい音程関係をメンバーが認識する事にあります。そのため、まず必要なのはメンバーに縦関係において正しい音程を指定して周りのパートとハーモニーを構築している事を体感してもらわなくてはなりません。Singleにおいてはほぼ常にBassとの2パートのハーモニーを認識してもらう事を中心にしています。正しい音はHD-81や100を使用して指定するのが手っ取り早いでしょう。簡単な音程関係ならば私は音叉のみで指定する事もあります(けっして平均律の楽器は使いません)。
 こうしてハーモニーを体感した上で、平均律に対する微調整のコツ(完全五度は広く、長三度は狭く等)を指導し、微調整の方法として私はサイレンの真似を例にとっています。その上で各和音のハーモニーを狙い、さらに和声に入ってからも微調整を加えて合わせていくように練習を積んでいきます。また、メンバーが正しい音程関係を実現した時にキチンと指摘、評価し、正しい音程関係を覚えてもらうのが重要です。

楽曲練習におけるハーモニー練習

 練習の大まかな流れは以前書いた通りですが、各和音の処理に関してもう少し述べておきましょう。
 Singleにおいて主にハーモニーを合わせる練習は協和音、三和音に限定しています。これは色々な意見があるとは思いますが、実用純正律理論で指摘しているように、(音響上の)不協和音には理論上、音程を確定できる一点がない事、後に続く協和音との落差を際立たせる事によってロマン派以前の音楽が強く意識していた解決の快感を演出したいという欲求、日本人は基本的に純正三和音を認識していない(そのために平均律の三和音を聞いただけで「つまらない音」と認識している)ので、この美しさを伝えたいという意図があるためです。
 このため、不協和音の箇所についてはパート内の音程を揃えて、ノンビブラートで頭声を生かした(口で出さない)発声を心がけて真っ直ぐな音で構築する程度に考えており、むしろ、その後に続く解決和音を正確に合わせに行く事の方に重点をおいています。実際、近年、所謂アカペラグループの演奏をいくつか聞いていると(演奏曲目には不協和音が多い)そういったノンビブラートの真っ直ぐな声でハーモニー感を演出しているものの、協和音に関しては余り正確に合わせていないようです。


前書き

 HD−81で和音を弾いて、「こういうハーモニーにして下さい」と言ってメンバーがその通りできれば、 すごく楽なんですが・・・。というか、実際、結成当時はそうした練習をしていました。 しかし、元々私達は平均律音楽に慣らされているため、純正律のハモりを認識する事すら困難です。 そんな私達がいきなり四声のハーモニーを聴いて、自分の音程を微調整するなど無理な話でした。
 そうした反省に立って、純正律ハーモニーを実現するため、具体的にどのような練習をすれば良いのか、 試行錯誤している記録を以下に記して行きます。


練習の流れ1999/11

 考えてみると、本項では私の思いついた事を断片的に書いているのみで、全体的な流れが解らないきらいがありましたので、 その点についてSingle Singersで実際に行った練習を参考に書いてみましょう。

1.音取り
 全パートとも平均律のキーボードで音取りをする。

 以前はHD−81で作成した理論値による音取りテープを配布したり、 最初からHD−81を持ち込んで純正律で音取りをした事もありました(1998年)が、 HD−81を持ち込んだり、転調等の都合で独特の操作をするのが面倒になったので、現在は平均律で取っています。
 上記の理由は半分冗談で(キッカケでもありましたが(^^;))、 実際はハーモニーやハーモニーと旋律の兼ね合いに対する考え方が変わってきた事が原因です。

・旋律においては、どうやら全音と半音の音程幅の差が大きい方が心地よく聞こえるらしい。 その点で平均律はピタゴラス音律に近いため、特に主旋律を歌う上では都合が良い事が多いので。
・転調があった場合、純正律では色々と考えながら弾かねばならず、かなり面倒です。 そこで、平均律で取った旋律から、協和音の個所で修正するようにした方が練習が速くなるという現実的な都合から。
・不協和音の個所については、むしろ平均律の音程の方が都合がいいため。

 こうして見ると、平均律の機能面での優秀性が良く解ります。

2.ハーモニーポイントチェック
 楽譜上で協和音の個所をチェックして、Bassパートに対する音程関係を認識する。

展開和音  理想としては根音担当パートに対する音程関係をチェックして聞き合うようにしたい所だが、 実際問題として、聞くべきパートがころころ替わるのに対応するのは困難であろうという考えから、 「簡略化」の項のように上三パートはBassとのオクターブ、完全五度、長三度の個所をチェックして聞くようにする。 また、BassはTopに対して同様の個所をチェックする。

 また、今回(2001年アンサンブルコンテスト)の練習では、 展開和音の個所等で内声パートにTopとの関係をチェックして聞くように指示した例もある。(右図)

3.ハーモニー体感
 実際に純正律ハーモニーを体感して、演奏で実現できるように音程を微調整する。

 前項でチェックしたポイントでのハーモニーをHD−81による理論音高等を使って実際に体感してもらい、 実際に歌って、微妙な音程の上下のコツ(完全五度は広く、長三度は狭く)を示しつつ、音程を詰めていく。 尚、聴衆がハーモニーを判断できるためには、ある程度の音程保持(ロングトーン等)が必要なので、 主にそういった個所で聞き合う練習を積む。 とはいえ、その他の短い音符の個所では自分の音程の確認をする効果(少しでもハモッた感覚があれば、 他パートとの音程間隔がほぼ正確である事が判る)もあるので、おろそかにはできない。 実際、Single Singersのメンバーは発声の面ではまだまだ音程が不安定であるのだが、 こうした細かい個所でお互いの音を聞き合う事により音程修正を密に行っているため、音程の低下を防ぐ効果が上がっている。
 練習中はBassの周りをメンバーが囲むように並ぶ。本番では「並び方その2」の項で示す並びをして、 Bassを聞くようにする。


 大体の流れは以上のようなものです。純正律理論等で書いた、やたら正確さを求める文章とは違い、 かなり大雑把な印象を受けられると思います。 これは、基本的に人間の声というものがどんな場合でも正確な音高を実現できる楽器ではないという理解からです。 また、主旋律の強調という観点からすると、そのややいい加減な音高表現がかえって有効に働く(@後述)という考えも近年浮かび上がってきた事も一因です。
 よって、ロングトーン等、ハーモニーを決めるべき所でお互いの音を聞き合って正確に歌い、 その他ではお互いの音程関係がおかしくならない程度に聞き合って音程の上ずりや低下を防いでいく事により、 適度な音程関係を保ちつつ、 平均律の旋律効果を利用して主旋律を浮かび上がらせて行こうというのがSingle Singersの演奏の方針です。
 その一方で、曲の途中個所での理論値音高を示す事が練習に役立つので、理論的にも細かく考える必要がありました。 そしてその集大成が後述している練習用キーボードです。

 雑感第十二回で玉木先生が言われているように、 純正音階のみで主旋律を演奏すると、ハーモニーの中に旋律が埋もれてしまうので、 主旋律を聞かせるべき個所では平均律でとったハモらないが旋律効果の高い音程の方が、 主旋律が浮き上がってきて、主張できるようになる。


簡略化1998/ 6

 まず思い付いたのが、「自分の声と他の1パートとのハモりを意識して歌うようにする」という方法でした。 とりあえず2音のハーモニーなら、自分の音程の微調整のみで修正が可能だし、1つに集中できるので、 多少なりとも簡略化できます。
 具体的には根音を聴いて合わせる事になりますが、まずは要所要所のハーモニーを決める事が重要なので、 そういう箇所で根音を担当しているバスを他のパートのメンバーが聴いて合わせる事にしました。 また、「高い音のパート程、周りの音が聞こえなくなる」という経験則から、 トップがバスの音を聴いて合わせるのは難しいだろうと判断して、そのフォローのため、バスはトップを聴く事にする。

 また一方で、意識する和音もひとまずはオクターブ、完全五度、長三度に限定する。 演奏曲の楽譜に自パートとバスパートとの音程関係がそのような関係になる箇所に色ペンで印を付けて、 実際の演奏時に一目で判るようにする。そして、それぞれの箇所でロングトーンをしてバスパートとのハモりを調整する練習を行う。

色付け楽譜 カデンツにおけるTopとBassの関係

黒・・・オクターブ
黄・・・完全五度
赤・・・長三度

並び方1  こうして「バスを基準としてお互いに聴き合う」という方針を整える。そして、その実践に当たってメンバーの並び方も変更する。 元々、何かの決まり事のように、常にT1T2B1B2と並ぶ事に疑問を抱いていたので、 こうした演奏方針に沿って並び方を変更する事は私にとって実に自然な事でした。
 当時は4名だったので、バスをテナー2パートで挟むB1T1B2T2という配置とし、B1、T2は内側を向いて歌う。 これは外声部より内声部の音量が大きいというSSの特性も考慮していた。


並び方その21999/ 2

 99年のアンサンブルコンテストで痛感したのは「周りの音(特にBass)が聞こえない」という事でした。 メンバーも増えてきたので、1列に並んだのでは、端にいるメンバーはBassの音がほとんど聞こえなくなりました。 それではハーモニーを判断する事ができないので、ハーモニー構築を目標とする私共としては演奏にならなくなります。
 そのため、新しい並び方を考える必要が出てきました。

並び方YL  当初、松原千振氏が96年のコーラスワークショップ時等に採用していた、 「後列B2、B1、前列T1、T2」という布陣(右図)を考えるが、私の方法論からするとBassとSecの離れ具合が気になり、 これではSecがBassを聞いて合わせるのは困難だろうと判断してとりやめる。しかし、「新しい布陣は2列」というコンセプトは固まる。
並び方不明  新しい並び方を考えるにあたって参考になったのは、97年に聴きに行ったシャンティクリアのコンサートでした。 このコンサートでは、シャンティクリアの高度な技巧や、レパートリーの豊かさを楽しむ事ができましたが、 ステージ演奏という事もあってか、色々と並び方を変えて歌う事により、視覚的にも楽しませてくれました。
 その中で、パート配置や効果がよく判らない並び方がありました。 まあ、コの字型に1列に並んだり、前後2列で放射状に並んだりといったフォーメーションは大体パート配置も予想できるのですが、 イスを5脚出してきて馬蹄形に並べて前列5名がそこに座り、 その後ろを囲むように残りの7名が1列に立って歌うという並び方(右図)だけは、パート配置が全く予想できませんでした。

 また、Ylioppilaskunnan Laulajat(ヘルシンキ大学男声合唱団、以下YL)の並び方について、 Home Page of Yutaka Maekawa/前川 裕ヘルシンキ大学留学日記のページで、 前川氏がYLの指揮者マッティ・ヒョッキ氏に御意見を伺った下りがあり(下記 10/21-10/31 (62k):YL演奏旅行 10月25日付)、 並び方の意味を考えるにあたって大変参考になりました。

 いつもYLで使っている並び方は、いろいろ試した末でベストだと思う並び方だという。トップとバスがお互いによく聞けること、 バスはすべての基礎になるので、全体に聞こえるのが望ましいから後ろにおく。ただしこれはハーモニックな曲をやる場合で、 ポリフォニーの場合は日本でのような並び方のほうが、各パートが独立していいだろう、という。並び方は曲によって決まる、 YLはロマンティックなコーラスだから、今の並び方がいいだろう、 ただし現代曲などの場合はハーモニーよりも各パートの独立性が大事なので、また別の並び方になる、という。 他にこういう並び方をしているところはあるか、と聞いたら、以前に行ったエストニアの合唱団はそうだった、といっていた。 混声の場合はどうだろうか、とも聞くと、女声が前、男声が後ろで、ソプラノとバスが前後になるのがいいだろう、 ただもちろん曲によってはソプラノとテナーが前後になることもある、とのこと。

 私共の練習においても、バスを全員が聞くという方法をとっているので、 このマッティ・ヒョッキ氏の考え方には深く納得しました。

並び方決定  さて、前項の考え方を踏まえた上で新しい並び方に必要な要素を考えると、 「上三声がほぼ平等にBassの音を聞く事ができる」という事になります。そうすると、Bassは思いきって中央後方に配置した方がいい。 そうなると、TopとBassはお互いに聞き合う必要があるから、TopはそのBassの前方に、お互い1列で並ぶといいだろう。 そして、内声2パートはその両側に分かれて詰めれば・・・。(右図)
 おおっ、これならば各パートとも充分近い距離でBassを聞く事ができる。 また、こうして2列に並べば全員が正面を向いて歌う事ができるので、前回問題になった、 「声が前に飛ばない」という事態も回避できるだろう。

並び方予想  ここまで考えた所で、改めてシャンティクリアの例のパート配置が予想できなかった並び方を考えてみると、 前述の配置で辻褄が合うのである。(右図)勿論、確証はないが。
 しかし、こうした検証によって自信がついたので、Single Singersの演奏時に取り入れる事にする。
 結果、2000年のアンサンブルコンテストでは会場が響かなかったため、 「自分の声が聞こえず、歌いにくい」という意見が飛び交う中、 我々はこの布陣によって仲間の声にゆっくりと耳を傾ける事ができたため、安心して歌い上げる事ができたのでした。

2000/ 5/15加筆
 本項執筆にあたって、大変参考になり、また文章を転載させて頂きました、 Home Page of Yutaka Maekawa/前川 裕の前川氏の指摘で、 上記の並び方が現在のYLで多用されているものである事が分かりました。 (下記 ヘルシンキ大学留学日記10/1-10/10 (55k):歯医者に行く; YL新人歓迎ディナー 10月6日付)

パートの並び方は、指揮者の正面がトップ、その後ろにベース、向かって右側にバリトン、左側にセカンドという配置。珍しい配置のように思う。

 つまり、私は気付かずに同じ並び方に行き着いたという訳です。っていうか、 日記読んでた時点で気付けよ(*_*)
 と、とにかく、YLが採用しているという事は、この並び方の優秀性が証明されたということで・・・(^^;)(締まらない結論だなぁ)

2000/ 9/14加筆
参考
混声合唱の並び方  ついで、参考までに混声合唱時の並び方について。
 混声合唱の場合は男女の見栄えの違いや人数比の関係でもう一工夫必要です。Bassが中央後方というのは絶対条件として、 他の3パートが見栄え良く並ぶためには・・・、Bassの前にTen、左右にSop、Altが並ぶ(右図)と良いでしょう。


移動ド唱法2002/ 6

 今回紹介する練習法はやや高度なためSingleメンバーに指導している訳ではありませんが、私自身が個人的に行っているものです。

 まあ、表題そのままなんですが、最近私はこれを音取り時に行っています。途中で転調がある場合はその度に読み替えます。
 特徴としては短調の時に「ラシドレミ」ではなく、「ドレミ(フラット)ファソ」で読む事です。これは音階の各音位をそのまま「ドレミファソラシド」に変換して音位を意識して歌う事に目的があります。特にバスにおいて重要ですが、長調短調に関係なく「I」を「ド」、「V」を「ソ」と読むので「V−I進行(ドミナント−トニック進行)」の時に必ず「ソ−ド」と読んで意識する事が出来ます。また、VI音、VII音は短調の場合上行時はナチュラル、下行時はフラットになる等面倒がある訳ですが、、ナチュラルになった場合は長調と同じ音程なので上行時は長調、下行時には短調の感覚で旋律認識をする事が出来、和声的にも主音との関係を常に意識する事になります。
 これによって例えばバスが「ソ−ド(V−I)」と動くのに対して自分のパートが「ファ−ミ(IV−III)」と動くのならば「57waon1和音進行」における第7音の解決進行であると理解でき、和音の響きを感じつつ後ろの1和音の「ド−ミ(I−III)」の三度をしっかり狙うという意識も生じます。
 これらをハーモニーチェック(バスとのオクターブ、完全五度、長三度のチェック)と共に行うとより楽曲に対する和声理解が深まります。

 ただ、これらはある程度和声学を理解している事が必要であるため、Singleの練習に取り入れるには躊躇しています。


練習用キーボード1999/12

 練習中において、即座に理論通りの音高のハーモニーを出す事が求められるため、 HD-81にはおまけコラムの59音律を拡張した音高データを入力しておく事にしました。

番号
及び
調名
HD-81の基準音名
フラットフラット シャープフラット

Gisdur
34 5 6フラット6 7フラット7 12フラット 23フラット
シャープシャープ シャープ シャープシャープ シャープシャープ シャープ シャープ
-25.4-13.7-9.8+2.0-27.4 +5.9-23.5-11.70.0-7.8+3.9

Cisdur
7 12フラット 23フラット 3 4 56フラット 6 7フラット
シャープシャープ シャープ シャープシャープ シャープ シャープ
-25.4-13.7-2.0-9.8+2.0-27.4 -15.7-11.70.0-29.4+3.9

Fisdur
5 6フラット6 7フラット7 12フラット 23フラット 34
シャープシャープ シャープシャープ シャープ シャープ
-13.7-2.0-31.3+2.0-27.4 -15.7-3.9-11.70.0-29.4-17.6

Hdur
2フラット2 3フラット3 4 56フラット 67フラット 71
シャープシャープ シャープシャープ シャープ
-5.9-13.7-2.0-31.3-19.6 -15.7-3.9-33.30.0-29.4-17.6

Edur
6フラット 67フラット 71 2フラット 23フラット 34 5
シャープシャープ シャープシャープ
-5.9-35.2-2.0-31.3-19.6-7.8 -15.7-3.9-33.3-21.5-17.6

Adur
3フラット3 4 56フラット 67フラット 71 2フラット2
シャープ シャープシャープ
-5.9-35.2-23.5-19.6-7.8 -37.2-3.9-33.3-21.5-9.7-17.6

Ddur
7フラット7 12フラット 23フラット 34 5 6フラット6
シャープフラット シャープ
-5.9-35.2-23.5-11.7-19.6-7.8 -37.2-25.4-21.5-9.7-39.1

Gdur
4 56フラット 67フラット 71 2フラット2 3フラット3
フラット シャープフラット
-27.4-23.5-11.7-41.1-7.8 -37.2-25.4-13.6-21.5-9.7-39.1

Cdur
12フラット 23フラット 34 5 6フラット6 7フラット7
フラットフラット フラット
-27.4-15.6-23.5-11.7-41.1-29.3 -25.4-13.6-43.0-9.7-39.1
10
Fdur
56フラット 67フラット 71 2フラット2 3フラット3 4
フラットフラット フラットフラット
-27.4-15.6-45.0-11.7-41.1-29.3 -17.5-25.4-13.6-43.0-31.3
11
Bdur
23フラット 34 5 6フラット6 7フラット7 12フラット
フラットフラット フラット フラット フラット
-27.4-15.6-45.0-33.2-29.3 -17.5-46.9-13.6-43.0-31.3-19.5
12
Esdur
67フラット 71 2フラット2 3フラット3 4 56フラット
フラットフラット フラットフラット フラット フラット
-48.9-15.6-45.0-33.2-21.4-29.3 -17.5-46.9-35.2-31.3-19.5
13
Hdur
2フラット2 3フラット3 4 56フラット 67フラット 71
シャープシャープ シャープシャープ シャープ
+15.6+7.8+19.5-9.8+2.0 +5.9+17.6-11.7+21.5-7.8+3.9
14
Edur
6フラット 67フラット 71 2フラット 23フラット 34 5
シャープシャープ シャープシャープ
+15.6-13.7+19.5-9.8+2.0+13.6 +5.9+17.6-11.70.0+3.9
15
Adur
3フラット3 4 56フラット 67フラット 71 2フラット2
シャープ シャープシャープ
+15.6-13.7-2.0+2.0+13.6 -15.7+17.6-11.70.0+11.7+3.9
16
Ddur
7フラット7 12フラット 23フラット 34 5 6フラット6
シャープフラット シャープ
+15.6-13.7-2.0+9.7+2.0+13.6 -15.7-3.90.0+11.7-17.6
17
Gdur
4 56フラット 67フラット 71 2フラット2 3フラット3
フラット シャープフラット
-5.9-2.0+9.7-19.6+13.6 -15.7-3.9+7.80.0+11.7-17.6
18
Cdur
12フラット 23フラット 34 5 6フラット6 7フラット7
フラットフラット フラット
-5.9+5.8-2.0+9.7-19.6-7.8 -3.9+7.8-21.5+11.7-17.6
19
Fdur
56フラット 67フラット 71 2フラット2 3フラット3 4
フラットフラット フラットフラット
-5.9+5.8-23.5+9.7-19.6-7.8 +3.9-3.9+7.8-21.5-9.8
20
Bdur
23フラット 34 5 6フラット6 7フラット7 12フラット
フラットフラット フラット フラット フラット
-5.9+5.8-23.5-11.7-7.8 +3.9-25.4+7.8-21.5-9.8+1.9
21
Esdur
67フラット 71 2フラット2 3フラット3 4 56フラット
フラットフラット フラットフラット フラット フラット
-27.4+5.8-23.5-11.70.0-7.8 +3.9-25.4-13.7-9.8+1.9
22
Asdur
34 5 6フラット6 7フラット7 12フラット 23フラット
フラット フラットフラット フラットフラット フラットフラット フラット
-27.4-15.6-11.70.0-29.3 +3.9-25.4-13.7-2.0-9.8+1.9
23
Desdur
71 2フラット2 3フラット3 4 56フラット 67フラット
フラットフラットフラット フラットフラット フラットフラット フラットフラット フラット
-27.4-15.6-3.9-11.70.0-29.3 -17.6-13.7-2.0-31.3+1.9
24
Gesdur
5 6フラット6 7フラット7 12フラット 23フラット 34
フラットフラットフラット フラットフラット フラットフラットフラット フラットフラットフラット フラット
-15.6-3.9-33.20.0-29.3 -17.6-5.9-13.7-2.0-31.3-19.5
25
Ddur
7フラット7 12フラット 23フラット 34 5 6フラット6
シャープフラット シャープ
+37.1+7.9+19.5+31.2+23.4+35.1 +5.9+17.6+21.5+33.2+3.9
26
Gdur
4 56フラット 67フラット 71 2フラット2 3フラット3
フラット シャープフラット
+15.6+19.5+31.2+2.0+35.1 +5.9+17.6+29.2+21.5+33.2+3.9
27
Cdur
12フラット 23フラット 34 5 6フラット6 7フラット7
フラットフラット フラット
+15.6+27.3+19.5+31.2+2.0+13.6 +17.6+29.20.0+33.2+3.9
28
Fdur
56フラット 67フラット 71 2フラット2 3フラット3 4
フラットフラット フラットフラット
+15.6+27.3-2.0+31.2+2.0+13.6 +25.3+17.6+29.20.0+11.7
29
Bdur
23フラット 34 5 6フラット6 7フラット7 12フラット
フラットフラット フラット フラット フラット
+15.6+27.3-2.0+9.7+13.6 +25.3-3.9+29.20.0+11.7+23.4
30
Esdur
67フラット 71 2フラット2 3フラット3 4 56フラット
フラットフラット フラットフラット フラット フラット
-5.9+27.3-2.0+9.7+21.4+13.6 +25.3-3.9+7.8+11.7+23.4
31
Asdur
34 5 6フラット6 7フラット7 12フラット 23フラット
フラット フラットフラット フラットフラット フラットフラット フラット
-5.9+5.8+9.7+21.4-7.8 +25.3-3.9+7.8+19.5+11.7+23.4
32
Desdur
71 2フラット2 3フラット3 4 56フラット 67フラット
フラットフラットフラット フラットフラット フラットフラット フラットフラット フラット
-5.9+5.8+17.5+9.7+21.4-7.8 +3.9+7.8+19.5-9.8+23.4
33
Gesdur
5 6フラット6 7フラット7 12フラット 23フラット 34
フラットフラットフラット フラットフラット フラットフラットフラット フラットフラットフラット フラット
+5.8+17.5-11.7+21.4-7.8 +3.9+15.6+7.8+19.5-9.8+1.9
34
Cesdur
2フラット2 3フラット3 4フラット 56フラット 67フラット 71
フラットフラットフラット フラットフラット フラットフラット フラットフラットフラット フラット フラットフラット フラット
+13.6+5.8+17.5-11.70.0 +3.9+15.6-13.7+19.5-9.8+1.9
35
Fesdur
6フラット6 7フラット7 12フラット 23フラット 34 5
フラットフラットフラット フラットフラット フラットフラット フラットフラット フラットフラットフラット フラット フラットフラット フラット
+13.6-15.6+17.5-11.70.0+11.7 +3.9+15.6-13.7-2.0+1.9
36
Besdur
3フラット3 4 56フラット 67フラット 71 2フラット2
フラットフラットフラット フラットフラット フラット フラットフラット フラットフラットフラット フラット フラットフラット フラットフラットフラット
+13.6-15.6-3.90.0+11.7 -17.6+15.6-13.7-2.0+9.7+1.9

 基本となる音階は第2段(13〜24番)に置き、その平行調の長、短調を第1段(1〜12番)、また、同主短調の平行調の長、短調を第3段(25〜36番)に配置します。それによって、ピタゴラス的転調(CからG、D、F、B等)は隣り合う番号の調へ、また、平行調(三度を含む転調。CからA、Es等)への転調の場合はダイヤルを回して段を変更する事により対応できます。
 尚、おまけコラムにあった6フラット高の音は、その後の研究で必要性に疑問が持たれて来たので削除しています。
 余談ながら、上記で使用している音の一覧を下記に示します。
 全ての調の演奏を考えると、この上さらにEsdur(第1段12番)の2低の音(Gesdur(第2段24番)、Besdur(第3段36番)の2低の音はすでにある)が必要(表中の()内の数値)となるので、実用的な全調純正律演奏のためにはオクターブ77個の音が必要という事になるでしょうか。
HD-81の基準音名
フラットフラット シャープフラット
-25.4-13.7-2.0-9.8+2.0-27.4+5.9-23.5-11.70.0-7.8+3.9
-5.9-35.2-23.5-31.3-19.6-7.8-15.7-3.9-33.3-21.5-29.4-17.6
-27.4+7.8-45.0-11.7-41.1-29.3-37.2-25.4-13.7-43.0-9.7-39.1
-48.9+5.8+19.5-33.2-21.4+13.6+3.9-46.9-35.2+21.5-31.3-19.5
+15.6+27.3+17.5+9.7+23.4+35.1+25.3+17.6+7.8-2.0+11.7+1.9
+37.1-15.6-3.9+31.2+21.4+11.7-17.6-5.9+29.2+19.5+33.2+23.4
+13.60.0(-50.8)+15.6+9.7

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