ZERO-FX9の写真
Victor ZERO-FX9
3WAY SPEAKER SYSTEM ¥168,000

1985年にビクターが発売したブックシェルフスピーカー。同年に「ZEROシリーズ」の頂点としてZERO-L10
が発売されましたが,受注生産の別格的存在でした。それに次ぐ「ZERO-FXシリーズ」の最上位機として発
売されたのがこのZERO-FX9で,ビクターの積み上げてきたセラミック振動板技術等が熟成,投入された高
性能スピーカーでした。

ZERO-FX9は,各ユニットにセラミック系の素材を活用し,優れた特性を実現していました。トゥイーターは,
3cm口径のドーム型で,厚さ30μmのピュアファインセラミック多結晶人口宝石振動板を使用していました。
この振動板は,アルミに比べてヤング率4.9倍,音速1.9倍,高域再生限界1.9倍を誇る優れたものでした。
ピュアファインセラミック結晶宝石振動板は,金属支持基材も塗布層も持たない硬く軽く均質な素材で,金属臭
のない純度の高い音を実現していました。

ピュアファインセラミック結晶宝石振動板ZERO-FX9のキャビネット内部

スコーカーには,ウィスカー素材を添加した複合ファインセラミックス・ダイヤフラムによる6.5cm口径ドーム型
ユニットを搭載し,ピュアファインセラミック・トゥイーターとの音のつながりを確保していました。
ウーファーには,ファインセラミックス・ファイバーとカーボン・クロスによる2層構造コーンによる33.5cmの大口
径ウーファーを搭載していました。

キャビネットは,響きの美しいカラ松材30mm厚合板をスーパー楕円形状に仕上げたフロントバッフルを持つ美し
く堅牢な作りになっていました。ユニット配置は,コンピュータ解析によるビクター独自の「Gライン配列」で半球状
の理想に近い放射特性を実現していました。
吸音材には,100%ウールの高S/N吸音材が使用され,吸音材自体の振動ノイズも低減されていました。

ネットワークは,低損失メタライズド・フィルム・コンデンサーや,磁気歪の少ない空芯コイルなどを駆使したもので
素子間の相互干渉やアースラインのクロストークまで入念な設計がなされていました。配線材にも新開発の極太
OFCが採用され,ハンダによる音質劣化を避けるため,カシメ圧着で接続されていました。

以上のように,ZERO-FX9は,「ワイド&ダイナミック」を追求したZEROシリーズの伝統を受け継ぎ,最上級機
ZERO-L10に並ぶ高度な技術が投入された高性能なスピーカーシステムでした。ハイテク素材を駆使しながら
ビクターらしく音楽を明るく楽しく聴かせてくれる1台でもありました。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 


あくまでピュアに,多結晶宝石ドームの音。
CDから未来へのダイナミック・リファレンス。
◎かぎりなく澄んだ音,強靱な耐入力,
 あらたな原点となるピュア・ファイン
 セラミック・ドーム・ツィータ。
◎なめらかな放射パターンの
 スーパー楕円バッフルと
 Gライン配列ユニット。
◎選びぬかれたハイグレード素子の
 高耐入力・低歪率ネットワーク。
◎高S/Nな100%ウール吸音材。
 
●ZERO-FX9の仕様●


型式 3ウェイ密閉型
スピーカー・ユニット ウーハー :33.5cmファインセラミック・コーン
スコーカー:6.5cmファインセラミック・ドーム
ツィーター:3.0cmピュア・ファインセラミック・ドーム
最大許容入力 150W
瞬間最大入力 300W
再生周波数帯域 25Hz〜50,000Hz
出力音圧レベル 90dB/W(1m)
定格インピーダンス 6Ω
クロスオーバー周波数 550Hz/5,500Hz
寸法 740H×410W×353Dmm
重量 34.5kg
※本ページに掲載したZERO-FX9の写真・仕様表等は1986年3月
のVictorのカタログより抜粋したもので,日本ビクター株式会社に著作
権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をす
ることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。

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