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SANSUI XL-900C
3WAY SPEAKER SYSTEM ¥90,0001983年にサンスイが発売した3ウェイスピーカーシステム。外観的には,NS-1000Mを意識したような
感じでよく似ていますが,各ユニットに新開発の素材や技術を積極的に導入した,高度な内容を持つコスト
パフォーマンスの高いスピーカーシステムでした。ウーファーは,32cmの大口径で,新開発のTCCF(トライ・コンポジット・カーボンファイバー)ダイヤフラム
を採用していました。TCCFは,独自の3層複合構造を持つ振動板で,表スキン材には,剛性が高く軽量
なピュアカーボンファイバーを,裏スキンには,引張強度と圧縮強度に強いグラスファイバーを使用し,スキ
ン材にサンドイッチされたコア材には,成型性,気密性,接着性に優れた特殊高分子硬質発泡体を使用し
ていました。この複合構造により,従来の紙コーンの約350倍の曲げ強度,1/2という軽質量,さらに充
分な内部損失なを実現し,これらの特性より分割共振周波数を高い帯域に移すことができ,高音域での
周波数のあばれの少ない30cm口径を超えるカーブドコーンを実現していました。この優れた振動板を駆
動する低歪率強力磁気回路,リニアなダンパーエッジ,強固なダイキャストフレームなどもあわせ,優れた
性能のウーファーを構成していました。ミッドレンジは,6cm口径で,ハードドーム方式の新開発のHSセラミック・ダイアフラムを採用していました。
HSセラミック・ダイアフラムは,アルミダイアフラムの2倍以上の剛性を持ち,分割振動が極小で,周波数
特性が高域までスムーズに伸びる特性を実現していました。トゥイーターは,2.5cm口径で,スーパーチタンダイアフラムのハードドーム方式を採用していました。スー
パーチタンは,もともと軽量で剛性の高いチタンを特殊加工して剛性を一段と高めたもので,フラットな周波
数特性,広帯域化,広指向特性などの優れた特性を実現していました。また,ダイヤトーンのDUDなどに
見られるように,ダイアフラムとボイスコイルボビンを一体構造とすることで,入力信号に対するリニアリティ
耐入力特性を高めていました。
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エンクロージャーは,音の反射による周波数特性や指向特性の乱れが生じる回折現象を抑えるために,
コンピューター解析による大きめのRをとったラウンドバッフルを採用していました。また,エンクロージャー
の振動干渉を最小限にするため,ラウンドバッフルと筐体,リアバッフルと筐体の間に溝を設け,バッフル
面を独立させる構造としていました。また,ユニットの配置も,音場感,定位感に有利な左右対称型配置
とされていました。
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ネットワークは,伝送ロスの少ない無酸素銅コイルなど,吟味した素材,低歪化,ユニットの振動を受けに
くいレイアウトなどに配慮され,スピーカーコード接続端子には大型のターミナルを搭載していました。以上のように,XL-900Cはサンスイが持ち前の伝統のスピーカー技術に加え,積極的に先進的な素材
技術を投入して作り上げたモデルでした。CD元年のこの年,すっきりと伸びた明るい音を持つ,デジタル
時代に向けたサンスイの意欲が込められた1台だったと思います。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
理想型バッフルに肉迫した先進の流線
最前線の音が,音楽が求めた卓越の素材
◎音楽のベースは圧倒的な低音にある
TCCFダイアフラム採用の32cmウーファー。
◎中音域に満ちる緊張感が実感できる
H.S.セラミック・ダイアフラム採用ミッドレンジ
◎高音域のスピード感が倍加された
ハードドーム・スーパーチタン・ツイーター
◎美しいフォルムが美しい音像を創る
ラウンドバッフル採用のエンクロージャー
型式 | ラウンドバッフル方式3ウェイバスレフ型 |
スピーカーユニット | ウーファー:32cmTCCFダイアフラムコーン型
ミッドレンジ:6cmHSセラミックハードドーム型 ツイーター:2.5cmスーパーチタンハードドーム型 |
周波数特性 | 30〜35,000Hz |
インピーダンス | 6Ω |
最大入力 | 150W |
出力音圧レベル | 93dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 700Hz,4,500Hz |
外形寸法 | 390W×690H×330Dmm |
重量 | 26.5kg |
※本ページに掲載したXL-900Cの写真,仕様表等は1983年
12月のSANSUIのカタログより抜粋したもので,山水電気株式
会社に著作権があります。したがってこれらの写真等を無断で
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