TA-1150の写真
SONY TA-1150
INTEGRATED AMPLIFIER ¥49,800

1972年にソニーが発売したプリメインアンプ。ソニーを代表するプリメインアンプの名機TA-1120F
の弟機で,本格的な内容を持ちながら価格が抑えられたコストパフォーマンスの高さが特徴で,人気
モデルとなりました。

プリアンプ部は,イコライザー,トーンアンプとも,オーディオ用にソニーの半導体技術陣が開発した高
耐圧ローノイズICを新採用し,搭載していました。このICは,差動増幅回路やコンプリメンタリー回路な
どを内蔵した設計で,リニアリティ,歪率特性,安定度などにすぐれ,高SN比(110dB)を実現していま
した。また,特性,品質の均一化が実現され,性能の安定性,耐久性も確保されていました。

パワーアンプ部は,差動増幅,全段直結2電源,純コンプリメンタリー・パラプッシュプル回路が採用さ
れていました。特に,出力段は,大出力トランジスターを使用したパラレル・プッシュプル回路が採用さ
れていました。このパラレル・プッシュプル回路は従来,より大出力のアンプに採用されていたもので,
このクラスのアンプには初採用で,4Ωの低インピーダンス負荷でも十分なドライブ力を発揮し,大電
流にも強い設計となっていました。

ボリュームは,スライド式で,通常の音量調節に使えるだけでなく,簡単な接続をするだけで4チャンネ
ルのマスターボリュームとしても使用できるようになっており,4ch戦争の始まった当時らしい仕様になっ
ていました。
トーンコントロールは,特性が素直で,歪みの少ないNF型で,TREBLE,BASS,それぞれL・R独立型
のものが搭載されていました。さらに,ターンオーバー周波数が,TREBLE・2段階(2.5kHz,5kHz)
BASS・2段階(250Hz,500Hz)に切替えられるようになっており,多様なコントロールが可能となって
いました。

テープ端子は2系統装備され,テープ1,2の相互ダビングもできるようになっていました。スピーカー端子
も2系統装備されていました。また,前面にAUX2端子(標準ジャック)が装備され,チューナー,デッキな
どを前面に一時的につないで使用するなどの使い方もできるようになっていました。その他,モノラル入
力に対応したセンターチャンネル端子もリアに装備されていました。さらに,プリとパワーを独立して使用
できるプリ・パワーの接続と切り離しもできるようになっていました。

TA-1150,ST-1150のペア

以上のように,TA-1150は,オーディオファンが買いやすいエントリーモデルながら,各部に本格的な設
計が行われ,多機能とクリアな音質が両立された,まさにコストパフォーマンスにすぐれた実力機でした。
当時,ソニーはチューナーST-5150とペアで売り出し,ベストセラー,ロングセラーとなりました。また,
これらのペアを核としたシステムステレオ「Listen-5」も発売されていました。

Listen-5の写真



以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



ESシリーズ最新鋭コンビ。
コスト・パフォーマンスの世界No.1
を狙った<150シリーズ>

このクラスでは初採用の
<純コンプリメンタリー・パラプッシュ回路>。
高・低域(20Hz〜20kHz)でも
30Wの大出力。
めっぽうタフなプリメインです。


◎ESシリーズの傑作<高性能アンプ>
◎低歪率,大出力が広帯域に及ぶ純コンプリメン
 タリー回路採用のパワーアンプ
◎故障知らず。このクラスでは初めて,パラレル・
 プッシュ回路採用。
◎高性能ICを組込んだプリ・アンプ回路
◎4チャンネル仕様の未来設計
◎ターンオーバー周波数切換つきトーンコント
 ロール採用
◎マニアの要求に応える使い易い機構




●主な規格●


形式 オールシリコントランジスタ・ステレオプリメインアンプ
回路方式 パワーアンプ
 ダイレクトカップリング・ピュアコンプリメンタリー
 シンメトリーSEPP回路
プリアンプ
 モノシリックICによるイコライザー回路およびNFB型
 トーンコントロール回路
トランジスタ 26石
ダイオード 3個
IC
2個



<パワーアンプ部>

出力 ダイナミックパワー(IHF定電圧供給法)
 150W(4Ω),100W(8Ω)
実効出力
 1kHz 片チャンネル:55W(4Ω),40W(8Ω)
 1kHz 両チャンネル:40W+40W(4Ω)
              35W+35W(8Ω)
 20Hz〜20kHz 両チャンネル:30W+30W(8Ω)
出力帯域特性 8Hz〜35kHz(8Ω IHF)
高調波歪 0.2%以下(定格出力時)
0.1%以下(1W出力時)
混変調歪
(60Hz:7kHz=4:1)
0.2%以下(定格出力時)
0.1%以下(1W出力時)
周波数特性 12Hz〜150kHz+0,−2dB(1W出力時)
入力端子 POWER AMP INPUT
入力感度 0.8V(定格出力時)
入力インピーダンス 50kΩ
出力端子 SPEAKER 2組
HEADPHONE 負荷インピーダンス 8Ω以上
ダンピングファクター 100以上(1kHz,8Ω)
S/N 110dB以上(クローズドサーキット,IHF Aネットワーク使用)
残留雑音 0.05μW以下(IHF Aネットワーク使用8Ω)



<プリアンプ部>

入力端子
感度
入力インピーダンス
最大許容入力
(歪率0.2% 1kHz)
S/N
PHONO 1
PHONO 2
2mV
47kΩ
70mV
70dB以上
(入力2mV  Bネットワーク)
TUNER
AUX 1
AUX 2
TAPE 1
TAPE 2
REC/PB
(入力部)
140mV
50kΩ

90dB以上
(入力140mV Aネットワーク)

出力端子
出力レベル
出力インピーダンス
REC OUT 1
REC OUT 2
140mV
10kΩ
PRE AMP OUTPUT
0.8V
2.7kΩ
REC/PB(出力部)
24mV
82kΩ

高調波歪 0.1%以下(1kHz,定格出力時)
混変調歪
(60Hz:7kHz=4:1)
0.1%以下(定格出力時)
周波数特性 PHONO1,PHONO2
 RIAAカーブ±1dB
TUNER,AUX1,AUX2,TAPE1,TAPE2,REC/PB(入力部)
 15Hz〜80kHz±2dB
ラウドネスコントロール
50Hz+10dB,10kH+3dB(ボリューム減衰量30dBにて)
トーンコントロール BASS(低音)
 ターンオーバー周波数250Hz: 50Hz±10dB
 ターンオーバー周波数500Hz:100Hz±10dB
TREBLE(高音)
 ターンオーバー周波数  5kHz:20kHz±10dB
 ターンオーバー周波数2.5kHz:10kHz±10dB
フィルター LOW FILTER 100Hz以下6dB/oct
HIGH FILITER  5kHz以上6dB/oct



<電源部・その他>

電源 AC100V 50/60Hz
消費電力 120W
電源コンセント 電源スイッチ連動2   計200W
電源スイッチと非連動1   300W
大きさ 400W×149H×316Dmm
重さ 8.3kg

※本ページに掲載したTA-1150の写真,仕様表等は,1973年の
 SONYのカタログより抜粋したもので,ソニー株式会社に著作権が
 あります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等するこ
 とは法律で禁じられていますのでご注意ください。

 

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