ＬＵＸＭＡＮ Ｔ-５３０
ＦＲＥＱＵＥＮＣＹ ＳＹＮＴＨＥＳＩＺＥＤ ＡＭ/ＦＭ ＳＴＥＲＥＯ ＴＵＮＥＲ
￥７８，０００
１９８２年にラックスが発売したラックス初のシンセサイザーチューナー。同社のＳＴＡＴＵＳシリーズと称された
一連の高級プリメインアンプ，Ｌ-５５０，Ｌ-５３０，Ｌ-５１０とのペアを想定された高級チューナーで，ラックスら
しい上品なデザインの１台でした。
Ｔ-５３０は，シンセサイザーチューナーとして受信性能と音質の両立をめざし，高性能化されたＰＬＬ回路や独
自の自動化された受信システムを搭載していました。
シンセサイザーチューナーの心臓部，ＰＬＬ（Ｐｈａｓｅ Ｌｏｃｋｅｄ Ｌｏｏｐ）回路に「ハイ・エナジーＰＬＬサーキット」
を搭載していました。これは，クォーツ発振による基準信号と，ローカルオシレーターの発振信号の位相を比較
して誤差を修正するＰＬＬ回路を，よりハイパワー化，ハイスピード化したもので，誤差修正の遅れやずれによる
ＳＮ比や歪みの悪化を防ぎ，さらに，比較周波数を可聴帯域外の２５ｋＨｚに設定して，音楽信号への影響を少
なくしたもので，それまでの同社のチューナーと比較して飛躍的に受信精度が高められていました。
さらに，コンピューター技術を使った，独自の「Ｃ.Ａ.Ｔ.システム」を搭載していました。これは，「アンテナアッテネ
ーター」「ＩＦ帯域切替」「Ｃ.Ｓ.フィルター」「ハイ・ブレンド」の４つの機能を最適に組み合わせ，最も良い受信・再
生状態を自動で行うものでした。
「アンテナ・アッテネーター」は，６連バリコン相当の６バラクター構成により，強電界における妨害排除能力を
高める機能で，「ＩＦ帯域切替」は，４００ｋＨｚ（ＷＩＤＥ）と３００ｋＨｚ（ＮＡＲＲＯＷ）の２段切替となっていました。
「Ｃ.Ｓ.フィルター」は，不要な高域成分をカットして，隣接局からの妨害波によるビート障害を排除するもので，
「ハイ・ブレンド」は，ステレオセパレーションを受信強度に応じて調整する機能でした。これらの最適な組み合
わせを実現する「Ｃ.Ａ.Ｔ.システム」により，遠距離受信にも強いチューナーとなっていました。
同調回路に，フェイス・トゥ・フェイス型のツイン・バラクター・ダイオードを搭載し，ＲＦ段にはデュアルＭＯＳ ＦＥＴ
を搭載して，高感度と高い妨害排除能力を両立させていました。
ＩＦ段には，群遅延特性のすぐれた３種類のセラミックフィルタをリミッタ特性の良い差動アンプと組み合わせて
搭載し，歪みの少ない最適同調を実現していました。
検波段には，超広帯域にわたってリニアな特性を誇る「スーパー・ワイド・ＦＭ・ディテクタ」を搭載し，ＩＦ信号をダ
イレクトに検波する構成となっていました。
受信局メモリーは，ＦＭ１６局，ＡＭ８局可能で，電源ＯＦＦにしたときにも同調局を電源ＯＮで再び受信するラスト
チャンネル・メモリー機能も搭載していました。
以上のように，Ｔ-５３０は，ラックス初のシンセサイザーチューナーとして，また，ＳＴＡＴＵＳシリーズの高級チュ
ーナーとして，高い機能と受信性能をもったすぐれたチューナーでした。音質的にもラックスらしい中低域の厚い
滑らかで繊細な音をもっていました。
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
