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Technics SU-A200
STEREO CONTROL AMPLIFIER ¥200,000テクニクスが1985年に発売したコントロールアンプ。パワーアンプのSE-A100とのペアを想定されたモデル
でしたが,「classAA回路」の各増幅段への導入と多機能性など,単体のコントロールアンプとしても高い性能
を誇りました。SU-A200では,フォノイコライザーアンプ及び出力アンプに,上記の「classAA回路」が採用されていました。
「classAA回路」は,通常一つのアンプ内で行われる電圧コントロールと電流ドライブの2つの動作をそれぞれ
独立させ,別個のアンプに受け持たせたもので,左右合わせて2つの電流ドライブアンプと電圧コントロールア
ンプで計4個のアンプで構成され,「VC-4アンプ構成」と称していました。
この「VC-4」アンプ構成は,出力インピーダンスが無限大の電流ドライブアンプと出力インピーダンスが0の電
圧コントロールアンプをパラレルにつなぎ,電流供給から開放された電圧コントロールアンプが入力信号に忠実
に電圧コントロールし,必要な電流は電流ドライブアンプから存分に供給されるというある種理想的な動作方式
となっていました。その結果,負荷インピーダンス変動にも電流/電圧の位相ズレのない安定した伝送・増幅
特性を得るというものでした。フォノイコライザーアンプは,大電流供給能力を持つSEPP出力段構成電流ドライブアンプを搭載し,負荷インピ
ーダンスの変動に強い「classAA回路」により,RIAA素子のインピーダンス変動が出力電流に与える悪影響
が解消されていました。
出力アンプ部では,接続するパワーアンプの入力インピーダンスや使用する接続コードにより負荷状態が変動
しても,「classAA回路」がそれらによる歪みをキャンセルし,パワーアンプを理想的な状態に近くドライブできる
という構成になっていました。ボリュームには,表面を鏡面上に平滑化した新抵抗体と,金メッキを施した多接点ブラシを採用した低歪・低雑
音の4連構成「ワイドDレンジボリューム」を搭載していました。4連ボリュームのうち2連は出力アンプの利得コ
ントロール用として動作させる新回路により,実使用状態や小出力再生時のSN比を大幅に改善していました。
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電源部には,バッテリー駆動をしのぐ安定性を持つという「アクティブサーボ電源」を搭載していました。これは,
温度安定性に優れた電源専用の定電圧ICと高周波特性に優れた広帯域ICを組み合わせて帰還回路を形成
し,高い電圧安定性と,低域から高域まで広い周波数にわたるローノイズを実現したものでした。SU-A200は,AVシステムにも対応した,12系統の多入力端子を備えていました。オーディオ入力8系統に
加え,AV入力3系統+VTR入出力1系統を装備していました。出力端子には,オーディオ出力2系統(フロント
・リア)と映像モニター出力1系統を備えていました。また,電子セレクタによる,インプット/レック/BGVの切
換が装備され,音と映像を独立セレクトでき,BGV演出もできるようになっていました。
CD再生に対しては,CD/デジタルダイレクト機能を装備し,CDからの入力信号は,多くの信号が集中するイ
ンプットセレクタを介さずボリュームに直結でき,音質重視の再生ができるようになっていました。以上のように,SU-A200は,セパレートアンプのエントリーモデルともいうべき比較的手ごろな価格のコントロ
ールアンプでしたが,音質重視の本格的な設計とAVにも対応した多機能を両立させたコストパフォーマンスに
優れたアンプでした。テクニクスらしい歪み感や癖のない音を持った実力機でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎classAAテクノロジーが実現した
高品位AVコントロールアンプ。
◎classAAフォノイコライザーアンプ搭載。
レコードの再生純度を高めています。
◎classAA出力アンプ搭載。
パワーアンプを高純度ドライブします。
◎実使用時のSN比を大幅に改善した
4連構成ワイドレンジボリウム。
◎バッテリー駆動をも凌ぐ優れた電圧安定性
アクティブサーボ電源を搭載。
◎12系統の多入力端子を装備し,
あらゆるAVシステムに徹底対応。
◎CD/デジタルダイレクト機能を装備。
デジタルの高品位な音質をそのまま出力。
入力感度/入力インピーダンス | phono1・2(MM):2.5mV/47kΩ
phono1・2(MC):100μV/220Ω tuner,CD,aux,AV1/TV,AV2,digital,tape1, tape2/VCR,tape3/DAtape:150mV/39kΩ direct-CD.digital:150mV/15kΩ |
全高調波歪率 | phono1・2(MM,EIAJ):0.0008%
phono1・2(MC,EIAJ):0.0009% tuner,CD,aux,AV1/TV,AV2,digital,tape1, tape2/VCR,tape3/DAtape:0.0007% direct-CD.digital:0.0006% |
SN比 | MM:92dB(IHF’66),87dB(EIAJ)
MC:76dB(IHF’66,250μV),81dB(EIAJ) tuner,CD,aux,AV1/TV,AV2,digital,tape1, tape2/VCR,tape3/DAtape:109dB(IHF’66),100dB(EIAJ) direct-CD.digital:110dB(IHF’66),100dB(EIAJ) |
周波数特性 | MM:20Hz〜20kHz,RIAA±0.2dB
20Hz〜100kHz,RIAA±0.5dB tuner,CD,aux,AV1/TV,AV2,digital,tape1, tape2/VCR,tape3/DAtape: 0.5Hz〜150kHz +0,−3dB 20Hz〜20kHz +0,−0.1dB direct-CD.digital: 0.5Hz〜150kHz +0,−3dB |
最大許容入力 | MM:160mV,MC:6.4mV |
出力電圧/出力インピーダンス | pre out(FRONT/REAR)
(定格):2V/2Ω pre out(FRONT/REAR) (最大):8V/2Ω rec out:150mV |
電源 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | 15W |
外形寸法 | 476W×125H×360Dmm |
重量 | 10.4kg |
※本ページに掲載したSU-A200の写真,仕様表等は1986年9月のTechnicsのカタログ
より抜粋したもので,松下電器産業株式会社に著作権があります。したがって,これらの写
真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。
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