Technics SP−10MKU
クォーツフェイズドロックドコントロールダイレクトドライブターンテーブル
¥150,000(電源ユニット・リモートスイッチ付)
言わずと知れたダイレクトドライブ・ターンテーブルの名機です。1970年に世界で初めてダイレクトドライブ方式の
ターンテーブルSP−10を商品化したテクニクスがクォーツロック化などの改良を施し1975年に発売した第2世
代モデルです。世界をあっと言わせたSP−10から5年後クォーツロックによりさらに回転精度を高め,ダイレクト
ドライブ方式の原器として君臨していったモデルとして印象に残っています。強力なブラシレスDCモーターにより,6kg・cmの極めて大きな起動トルクを実現し,直径32cm,自重3kg,慣
性質量380kg・cmの大型ターンテーブルが,わずか回転角25度,0.25秒で33・1/3rpmの正常回転に達する
というものすごいものでした。(この性能は,針先をレコードに乗せておき,スタートさせるような,放送局等のプロ
仕様の使い方でもピッチズレによる不快音の発生を最小限にとどめることができるなどのメリットがあったといわ
れています。)また,5kg・cmの制動トルクに対しても回転速度変動のない,強力な負荷変動トルクをも実現して
いました。(これは,演奏中のレコードクリーナーの使用も可能なほどでした。)この基本性能に,水晶発振器に
よる位相制御を採用し,回転数偏差0.002%,ワウ・フラッター0.025%WRMSの安定した回転を保証して
いました。ブレーキもメカニカルブレーキと電子ブレーキを併用した強力なもので,強力な回転性能に負けない性能を誇りま
した。大型のターンテーブルをわずか0.3秒で停止させ,また,速度切り換え時にも動作し,速度切り換えを瞬
間的に実現していました。また,停止時には,メカニカルブレーキを半ブレーキの状態で動作させる方式がとられ
ターンテーブルの不必要な動きを抑え,針先の保護や厳密なレコード演奏時の頭出しを可能にしています。
ターンテーブルのエッジ部には,精度の高い回転速度検出のためのストロボが刻まれ,キャビネット前部の
窓で回転数変動が見られるようになっていました。ストロボを照射するネオン管は,内蔵の水晶発振器によ
り各回転数に応じた正確で安定な周波数を作り,ストロボロジック回路を用いて点灯する方式がとられてい
ました。このため,従来なら回転数ごと,電源周波数ごとに必要であったストロボの縞は1列だけになり,き
わめて正確で,にじみもなく見やすいストロボスコープとなっていました。
SP-10mkUは,テクニクスらしく防振対策も徹底して行われ,キャビネットは堅牢なダイキャスト製,ターンテ
ーブルも裏面にゴムシートが貼られ,防振特性が高められていました。このような設計は,SL-1200シリーズ
等にも見られるものでした。
現在でもSL−1200 シリーズがDJ用として広く世界中で愛されているように,テクニクスのD・Dプレーヤーは
堅牢で安定した性能を誇っていますが,このSP−10シリーズはその高い信頼性により世界中のプロの現場
で使われてきたことは周知の事実です。まさに,世界に誇るターンテーブルシステムではないかと思います。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
いま,D.D.プレーヤ−は
トータルシステムとしての完成を目指す
◎D.D.プレーヤーの歴史は
テクニクスから始まった
◎D.D.の頂点をきわめた
SP−10MKUの出現
◎システムとしての完成を目指して
テクニクスはさらに進化する
●主な定格●
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
駆動モーター | ブラシレスDCモーター |
制御方式 | クォーツフェイズロックドコントロ−ル |
ターンテーブル | アルミダイカスト製 直径32.0cm,重量3.0kg |
回転数 | 331/3,45,78.26rpm |
起動トルク | 6kg・cm |
起動特性 | 0.25秒で定速回転(331/3rpm時) |
負荷変動 | 5kg・cm以内0% |
回転数偏差 | ±0.002%以内 |
ワウ・フラッター | 0.025%WRMS(JIS C5521) |
SN比 | 78dB(IEC98A weighted) |
電源 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | 16W |
外形寸法 | (本体) 幅386.5×高さ102.5×奥行368.5mm (電源部) 幅110×高さ83.5×奥行370mm |
重量 | (本体)9.5kg (電源部)3.8kg |
※本ページに掲載したSP-10MKUの写真・仕様表等は1975年11月のテク
ニクスのカタログより抜粋したもので,松下電器産業株式会社に著作権があり
ます。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁
じられていますので,ご注意ください。
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