60Aの写真
Technics  60A(SE-9060)
STEREO POWER AMPLIFIER ¥85,000

1976年にテクニクス(松下電器)が発売したパワーアンプ。「Technics FLAT AMPLIFIER
SERIES(テクニクスフラットアンプシリーズ)」のパワーアンプで,薄型の筐体に正攻法のしっかり
した設計がなされ,高い性能を実現した1台でした。

初段は,低雑音で高ゲインが得られるカレントミラー負荷の差動増幅回路を採用していました。次
段の電圧増幅段には,超低域でのNFがスムーズな純抵抗負荷が採用され,出力段は,余裕ある
電流増幅が可能な3段ダーリントン接続の完全コンプリメンタリーSEPP回路となっていました。
これらの回路構成による裸特性は,50W出力時に0.27%というすぐれた低歪みを実現していま
した。この裸特性にすぐれた回路に安定したNFをかけることで,70W+70Wの定格出力時には
0.02%の低歪率,さらに−3dBパワー(36W)時には0.0015%という限界ともいえる低歪率
を実現していました。

薄型の筐体ながら,電源部はしっかりしたものが搭載されていました。左右別電源の±4電源方式
で,10,000μFの電解コンデンサを4個搭載し,電源トランスも左右独立で2個搭載していました。
さらに,2系統の整流回路を備えていました。電圧増幅段は,定電圧化した±2電源方式で,安定し
た動作を確保していました。電源トランスは,銅のショートリングと2層に巻いた硅素鋼板カバーによ
りシールドされ,さらにその外側に銅リングカバーが設けられ,厳重な磁気シールドが施されていま
した。

以上のように,60Aは,薄型の筐体にしっかりと技術と物量が投入されたパワーアンプで,システム
アンプである「フラット・アンプ・シリーズ」の一員として,優れた性能を持っていました。テクニクスらし
い歪み感やノイズ感の少ない音は他のプリアンプとの組み合わせでも実力を発揮するものでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



オーディオには思想が必要だ,
とテクニクスは考えます。
それぞれの機能を極限まで
追求したシステムアンプ,
テクニクスフラットアンプシリーズ。

動特性にすぐれた±6電源
”透明な音”が特徴の
ハイパワーアンプです。


◎驚くべき裸特性
 50W出力時で0.27%の裸歪率

●初段にカレントミラー負荷の差動増幅回路を持つ
 ダーリントン接続完全コンプリメンタリ回路
●70W+70Wの実効出力時(20Hz〜20kHz)
 定格歪率(T.H.D.)0.02%
●−3dBパワー(36W出力時),1kHzでは
 定格歪率(T.H.D.)0.0015%
●SN比115dB(IHF-A)
●出力帯域幅5Hz〜50kHz(−3dB)
 周波数特性+0,−0.1dB(20Hz〜20kHz)

◎動特性にすぐれた±6電源
 電源トランスは2個使用
◎温度変化や負荷変動にも
 安定した性能を発揮します

●使用条件に左右されない高安定度設計
●ミューティングを兼ねた保護回路



●SE-9060・定格●

1kHz実効出力
(両ch同時駆動時)
72W+72W(8Ω)
20Hz〜20kHz実効出力
(両ch同時駆動時)
70W+70W(8Ω)
全高調波歪率
0.02%
出力帯域幅
(両ch同時駆動・8Ω)
5Hz〜50kHz:−3dB
周波数特性
3Hz〜150kHz:+0,−3dB
20Hz〜20kHz:+0,−0.1dB
SN比(IHF-A)
115dB
残留雑音
0.2mV
ダンピングファクタ
70(8Ω)
入力感度/入力インピーダンス
1V/47kΩ
負荷インピーダンス
MAINorREMOTE:4〜16Ω
MAIN+REMOTE:8〜16Ω
電源
AC100V 50/60Hz
消費電力
168W
外形寸法
450W×92H×380Dmm
重量
10.6kg


20Mの写真
Technics  20M(SH- 9020M)
PEAK/AVERAGE METER UNIT ¥50,000

1976年にテクニクス(松下電器)が発売したメーターユニット。システムアンプ「テクニクスフラット
アンプシリーズ」の中でレベルチェック機能を受け持ち,様々な使い方ができる高精度で多機能な
メーターユニットでした。

20Mは,ピークメーターとしてすぐれた応答特性を実現していました。高性能オペアンプを使用し
た直線検波器,対数圧縮回路,高速応答型のメーターの搭載により,100μS(1万分の1秒)
以下の応答速度となっていました。
ピークメーターとしてはピークホールド機能も搭載されていました。洩れ電流の少ないポリエステ
ルフィルムコンデンサとFETの組み合わせにより,確実なピークホールドが確保されていました。
小レベルの信号に対して周波数特性が悪化しやすいピークメーターの性質に対して巧みな補正
を行い,+10dB〜−40dBまでの信号では,10Hz〜20kHz±1.5dB,−40dB未満でも10Hz
〜10kHz±3dBというフラットな特性が実現されていました。
また,アベレージ・メーターと称するモードにも切りかえられ,音量感を示すVU計としても使えるよ
うになっていました。
さらに,メーター感度が0dBmと20dBmに切換えられるようになっていました。メーターの指示範
囲−50dB〜+10dBを有効に生かし,実質80dBの指示範囲をもっていました。

入力は,INPUT1,2,3の3系統備えられ,前面パネルのスイッチで切換えられるようになってい
ました。
INPUT1,2は,ピン端子で低レベル信号用になっていました。感度0dBmで24.5mV〜24.5V
感度20dBmで2.45mV〜2.45Vの指示範囲となり,録音機やプリアンプの出力レベルを直読
できるものとなっていました。また,1と2のピン端子にはそれぞれパラレルに接続された2つの端
子があり,残った入力端子から信号を完全に素通しできるようになっていました。
INPUT3は,スピーカー端子の形状で,アンプのスピーカー端子に接続してパワーアンプの出力を
直読できるようになっていました。また,スピーカーのインピーダンスの違いに対応して,8Ω,4Ω
のインピーダンス切換えスイッチがリアパネルに備えられていました。

フラットアンプの写真20Mを含むシステム図

以上のように20Mは,システムアンプの一員として,様々な使い方できるメーターユニットで,図の
ようにシステムの中に位置づけると,前面の入力スイッチ1〜3の切替で機能を切り替えられるよう
になる便利さがありました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



ピーク/ピークホールド/アベレージ・・・
3モード切換可能の高精度メータです。

◎応 答速度100μsec・・・・・・
 10kHzの信号1波でも0dB指示
◎曲中のピーク値をいわば
 メータが記憶するピークホールド
◎高性能を何より物語るf特・・・10Hz〜20kHz
 ±1.5dB(+10dB〜−40dB)

80dBという広い指示範囲
さらにプッシュボタンで3系統の
入力切換が可能です。

◎メータ感度切換えで80dBの指示範囲
◎アンプ出力の直読に便利なinput3
◎録音出力,プリアウト出力チェックにinput1,2
◎部屋の特性まで含めたシステム全体のf特補正




●SH-9020M・定格●

入力感度/入力インピーダンス
input 1,2:
 20dBm(7.775V)/47kΩ(Sens,0dB)
  0dBm(0.775V)/47kΩ(Sens,+20dB)
input 3:
 100W(8Ω,4Ω)/10kΩ(Sens,0dB)
   1W(8Ω,4Ω)/10kΩ(Sens,+20dB)        
感度切換
0dB,+20dB
周波数特性
+10dB〜−40dB:10Hz〜20kHz ±1.5dB
    −40dB未満:10Hz〜10kHz ±3dB
アタックタイム(立ち上がり時間)
average:330msec
peak,peak hold:100μsec
リカバリタイム(復帰時間)
average:250msec(0dB→−20dB)
peak  :750msec(0dB→−20dB)
peak hold:25min以上(0dB→+3dB)
メータレンジ
+10dB〜−50dB
指示精度
input 1,2:
 0dB±1.5dB(input,+20dBm,Sens,0dB)
 0dB±1.5dB(input,+0dBm,Sens,+20dB)
input 3:
 0dB±2dB(input,100W,Sens,0dB)
 0dB±2dB(input,1W,Sens,+20dB)
消費電力
10W
電源
100W 50/60Hz
寸法
450W×92H×378Dmm
重量
5.3kg


※本ページに掲載したSE-9060,SH-9020Mの写真,仕様表等は
 1976年8月のTechnicsのカタログより抜粋したもので,松下電器
 産業株式会社に著作権があります。したがってこれらの写真等を無
 断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますのでご注意
 ください。

 
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