SCEPTER500の写真
ONKYO Scepter500
4WAY SPEAKER SYSTEM ¥580,000

1977年にオンキョーが発売したスピーカーシステム。当時の同社の最上級機で,ホーン型ユニットを
含む4ウェイ構成の大型のフロア型で,超弩級ともいえるシステムでした。

SCEPTER500は,システムスピーカーを組み上げるSCEPTERグループとして発売されていた単体
ユニットの集合体ともいえる形のシステムで,各ユニットは単体としてもすぐれたもので,それを組み上
げ,内容積200リットルという大型のフロア型キャビネットに収めた高性能システムスピーカーといった
面持ちをもった製品でした。

SCEPTER500のユニット群

ウーファーユニットW3801は,135〜300リットルバスレフ専用として設計された大口径38cmバスレ
ンジドライバーで,最大入力120W,出力音圧レベル96dB/Wのハイパワー,高能率のウーファーユ
ニットでした。
コーン紙には,新しい抄造法により,表面部はヤング率が高く内部は密度が小さいという多層構造のコー
ン紙で高剛性と軽量を両立させていました。ボイスコイルには,放熱性にすぐれ,Qmが高くとれる銅箔ス
リット入り特殊耐熱性樹脂ボビンシートとエッジワイズ巻ロングボイスコイルを採用していました。磁気回
路には,180φ×95φ×20mmの大型フェライトマグネットを採用し,11,000gaussの高磁束密度を
確保していました。センターポールには銅ショートリングで電流歪みを低減させるとともに,内部には吸音
材を用い,ポール自体をT型として磁束密度が上下対称になるように配慮するなど広帯域と低歪みを実
現していました。支持系には,特殊耐熱性樹脂積層板・蝶ダンパーを採用して,foを下げるとともに,コー
ン紙の釣鐘振動を抑えるために,コーン紙とボイスコイルの接合部にダミーウェイト兼補強リングを設けて
リニアリティの高いサスペンション系としていました。

SCEPTER500のウーファー

スコーカーは,スコーカーユニットD6540AとセクトラルホーンH4003Sを組み合わせたものを搭載して
いました。
ドライバーユニットD6540Aは,高音焼入成型を施した,65φmmの超硬質ジュラルミンダイヤフラムを,
センターポールに銅ショートリングをつけた強力な磁気回路と銅箔スリット入り特殊耐熱性樹脂シートボビ
ン採用の銅リボン線エッジワイズ巻ボイスコイルで駆動していました。大入力とあわせて高いリニアリティ
を確保し,マルチレゾナンス方式音響回路により中域の歪み低減及び高域のf特補正を図り,三重イコライ
ザの採用とあわせ広帯域化を実現していました。
ホーンユニットH4003Sは開口接線角度51度,fc280Hzのセクトラルホーンで,水平方向拡散角度90度
のすぐれた指向性をもち,さらに付属のゴムシートを貼り付けることによりホーン鳴きを抑え,過渡特性の良
いすっきりした再生音を実現していました。

SCEPTER500のスコーカー

トゥイーターは,ミッド・ハイレンジドライバーD3520AとカテノイダルホーンH2014P,音響レンズAL80を
組み合わせたものを搭載していました。
ドライバーユニットD3520Aは,強度の高いチタンダイヤフラムと直線性のよいフリーエッジの採用で,強力
な磁気回路と相まってパワフルな中高音を実現していました。センターポールには,ウーファー,スコーカー
同様に,銅ショートリングをつけ,中域の歪みの低減,高域のf特補正を行い,二重イコライザの採用とあわせ
て広帯域化を実現していました。
ホーンユニットH2014Pは,水平方向拡散角度120度の音響レンズAL80を付けたカテノイダルホーンで,
ジュラルミンくりぬき型で黒色アルマイト仕上げになっていました。

SCEPTER500のトゥイーター

スーパートゥイーターは,ホーン型ユニットTW3001を搭載していました。トゥイーターと同じくホーンはジュラル
ミンくりぬき型で,黒色アルマイト仕上げの落ち着いた外観になっていました。
再生上限は35,000Hzまで確保され,すぐれた指向性を持ち,カットオフ周波数を2,800Hzと低くとったワイ
ドレンジなユニットでした。

キャビネットは,大口径ウーファーの性能を生かすために,200リットルの大型で,バッフル板には板厚28mmの
米松合板を使用していました。天板と側板には25mm厚の針葉樹チップボードを使用し,計算された補強材,吸
音材の使用とあわせて,減衰特性のすぐれたキャビネットを形成していました。表面の仕上げは,ローズウッド仕
上げの風格あるものとしていました。

ネットワークは,マルチ端子付きで,チョークコイルにはH型硅素コアを使用して洩れ磁束を低減させるとともに,チ
ョークコイル間の相互誘導を防ぎ,更に1.0mmの太い線材を使用することで,直流抵抗を0.5Ω以下に抑えて
ネットワークによるロスを防いでいました。コンデンサには,誘電体ロスの少ないプラスチックフィルム・コンデンサを
用いていました。

以上のように,SCEPTER500は,オンキョーの最上級機として,高性能の単体ユニットを組み合わせ,大型の
フロア型キャビネットから,その外観に通じる堂々とした音を実現していました。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 


すべての音楽情報を,
完璧に再生したい。

プログラムソースの高忠実度再生という
スピーカーの理想像に挑戦した,
新型SCEPTER500。
 大容積200リットル,大口径38cm
 120W,96dB/W/mのハイパワー,高能率と
 微少信号への秀逸なリニアリティを確保した
 音楽的に完成度の高い本格的なスピーカーシステムです。
 


●SCEPTER500主要定格●


形式 4ウェイフロアー型
インピーダンス 8Ω
最大入力 120W
出力音圧レベル 96dB/W/m
最大出力音圧レベル 117dB/m
再生周波数範囲 25〜35,000Hz
クロスオーバー周波数 800,5000Hz
キャビネット内容積 200リットル
使用スピーカー 低音用:38cmコーン型(W3801)
中音用:セクトラルホーン(D6540A+H4003S)
高音用:音響レンズ付カテノイダルホーン(D3520A+H2014P)
超高音用:ホーン・スーパートゥイーター(TW3001)
外形寸法 650W×1,296H×624Dmm
重量 97kg
その他 トゥイーター,スーパートゥイーター用レベルコントローラー
サランネット着脱式
スコーカーはキャビネット上部に専用マウントフランジにて固定
※本ページに掲載したSCEPTER500の写真,仕様表等は,
 1977年10月のONKYOのカタログより抜粋したもので,
 オンキョー株式会社に著作権があります。したがってこれら
 の写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられ
 ていますのでご注意ください。
                        
 

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