SC-3000の写真
PIONEER  SC-3000
STEREO  PRE-AMPLIFIER ¥115,000

1973年に,パイオニアが発売したプリアンプ。スピーカーシステムCS-3000,パ ワーアンプ
SM-3000,フォノモーターMU-3000などに続いて「3000シリーズ」として発 売されました。
当時のパイオニアブランドのプリアンプとして最上級機で,同年発足した,エクスクルーシブ ブ
ランドのセパレートアンプにも通じる設計を持つ,しっかりしたつくりの1台でした。

イコライザーアンプは,温度や湿度変化および経時変化に影響されにくい信頼度の高いキャノ
ンシールドトランジスターと,厳選されたCR素子から構成されていました。とくにRIAA カーブ特
性を向上させるため,誤差の少ないニクロム蒸着金属被膜抵抗(誤差1%以内)およびスチロ
ールコンデンサー(誤差2%以内)を採用し,30〜15,000Hzの範囲で偏差±0. 2%以内を
実現していました。これらのパーツは,温度変化,湿度変化に対して安定度の高いガラスエポ
キシ基板上に配置されていました。
イコライザーアンプの回路構成は,3段直結NF型で,厳選した低雑音のキャノンシールドト ラン
ジスターの採用と回路への高電圧供給で,ダイナミックマージンが大きく確保され,定格入力
2.5mVに対して,1kHzの最大許容入力300mV(P-P値では850mV)以上を 実現していま
した。

イコライザーアンプアッテネーター式ボリューム

ボリュームコントロールには,それまで計測器にのみ用いられていた1クリック2dB,22 接点
の正確なアッテネーター型を搭載していました。また,0,−15dB,−30dBの切換が できる
レバースイッチ式のアッテネーターをあわせて搭載し,ボリュームの可変範囲の拡大がなされ
ていました。

SC-3000の上面よりの内部

トーンコントロールは,BASS,TREBLE独立に加え,左右チャンネルが独立した4つ のツマミ
で構成されていました。トーンコントロールアンプは,3段直結NF型で,高精度のCRを1 接点に
つき1組ずつ組み合わせた素子選択型の回路構成で,コントロール誤差を最小に抑えた設計
になっていました。BASSは上昇6段,下降4段,TREBLEは上昇,下降とも5段切換 方式で,
1クリック2.5dBステップでのコントロールが可能となっていました。また,BASS, TREBLE
ツマミを0dB位置にセットしたときは,抵抗,コンデンサーがすべてディフィートされて, フラットな
特性となるようになっていました。
そのほか,フィルターとして,ローフィルターとハイフィルターが備えられていました。ロー フィル
ターは,SUBSONIC,OFF,30Hz,ハイフィルターは,12KHz,8kHz, OFFのそれぞれ3
段切換で,減衰特性は12dB/octに設定されていました。

入力系は,PHONO2系統,TUNER,AUX2系統,TAPE2系統と,当時としては 豊富な入力
系を備えていました。PHONO-2は,カートリッジの最適負荷に合わせて入力インピーダ ンス
が20kΩ,50kΩ,100kΩに切換えられるようになっていました。また,TAPE2 系統は,相
互ダビングが可能となっていました。
リアの入出力端子は,傾斜型に設計され,ボンネットの後方の一部が開閉できる構造となって
いて,接続コード類の着脱もしやすいようになっていました。

SC-3000とSM-3000

以上のように,SC-3000は,「3000 シリーズ」の1台として,当時のパイオニアブランドの最
上級機としてしっかりした作りがなされたプリアンプで,1台ごとに実測データーが添付され て
いたのも高級機らしさを感じさせました。。パイオニアらしい明るく,中庸を行く音は音楽 を楽
しく聴かせてくれるもので,ウッドケースに収められた落ち着 いたスタイルは,パ ワーアンプの
SM-3000と組み合わせると実にいい感じになったものでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



厳選した素子構成と
高度な回路技術で,
高精度と信頼性を実現した
プリアンプ。


◎RIAA 偏差を±0.2dB以内に抑えた
  すぐれたイコライザー特性
◎PHONO 最大許容入力は300mV以上。
  ダイナミックマージンを十分に取りました
◎2dB ステップ22接点の
  本格的アッテネーター型ボリュームの採用
◎ 精度を追求した
  スイッチ式トーンコントロールの採用
◎ ハイ,ローとも3段切換えの
  切れのよいフィルターを装備
◎ 応用機能の充実を計った
  入力系統の完備
◎ 丹念に測定した実測生データを
  1台ごとに添付,信頼性を裏付けています




●SC-3000の規格●

使用半導体 トランジスター22,ダイオード15
回路方式 イコライザーアンプ:3段直結E-E帰還型
コントロールアンプ:3段直結E-E帰還型
入力端子 
(感度/インピーダンス)
PHONO 1  2.5mV/50kΩ
PHONO 2  2.5mV〜10mV/20kΩ,50kΩ,100kΩ
 PHONO最大許容入力(rms/p-p) 300mV/850mV
TUNER    100mV/100kΩ
AUX 1,2  100mV/100kΩ
TAPE MON1,2    100mV/100kΩ
出力端子 
(出力レベル)
TAPE REC 1,2  100mV
OUTPUT   定格2V 最大5V
高調波歪率
(20Hz〜20kHz)
0.05%(OUTPUT0.5〜2V)
0.1% (OUTPUT5V)
周波数特性 PHONO(RIAA偏差)  30Hz〜15,000Hz±0.2dB以内
TUNER,AUX,TAPE MON 7Hz〜50,000Hz+0,−1dB
トーンコントロール 左右独立可変 2.5dBステップ
 BASS   −10dB,+15dB(50Hz)
 TREBLE −12.5dB,+12.5dB(10kHz)
フィルター
(遮断周波数/スロープ)
LOW  SUBSONIC(13Hz)/30Hz(12dB/oct)
HIGH  12kHz/8kHz(12dB/oct)
S/N
(IHF,Aネットワーク,ショートサーキット)
PHONO              70dB
TUNER,AUX,TAPE MON 90dB以上

アッテネーター 0,−15dB,−30dB
電源電圧
100V 50/60Hz
定格消費電力
9W
電源コンセント
電源スイッチ連動3,非連動1
外形寸法
422W×172H×295Dmm
重量
7.0kg


※本ページに掲載したSC-3000の写真,仕様表等は1974年6月の
 PIONEERのカタログ より抜粋したもので,パイオニア株式会社に著
 作権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等を
 することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

 
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