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Technics SB-9500
LINEAR PHASE SPEAKER SYSTEM
¥1,000,000(受注生産・ネット付1本)1977年にテクニクスが発売した大型のスピーカーシステム。高さ2mに迫ろうかというその偉容に
驚いた方も多かったのではないでしょうか?同社のリニアフェイズスピーカーシステムの中でも最
大のもので,まさに超弩級機でした。SB-9500の最大の特徴は,ユニット配置,ネットワーク等の位相管理を徹底した「リニアフェイズ」
設計にありました。まず,SB-7000で世界に影響を与えたユニットの階段状配置により,スピーカ
ーユニットの音響中心を横から見て一直線上に揃え,リスニングポジションでの位相の平坦化を図っ
ていました。ディバイディングネットワークには,6dB/octと18dB/octを組み合わせ,スピーカーの
特性までも含めて広帯域に伝達関数を”1”とできるように設計されていました。スーパーファー及びウーファーには,35cmのコーン型がそれぞれ2基ずつ搭載されていました。コー
ン紙には,軽量でヤング率が高く,パルプとの混抄にすぐれたアラミド繊維を混ぜたパルプコーンで
広帯域のピストニックモーションを実現していました。また,磁気回路のセンターポールには銅キャッ
プを装着し,深絞り型でコルゲーションをほどこしたコーン面とともに中高域での歪みの減少と,高域
限界5kHzという広帯域を実現していました。
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ミッドレンジ,トゥイーター,スーパートゥイーターはいずれもホーン型で,ミッドレンジには100mm,
トゥイーターには60mm,スーパートゥイーターには35mmと大口径ボイスコイル,及びダイヤフラム
を採用して振幅特性の直線性を確保していました。
ホーンは,大口径スロート,多重均等スリットイコライザにより空気歪みを改善した,150°急開き
のサーキュウエーブホーンで,ほぼ120°指向性にフラットな特性を実現していました。
また,それぞれのホーンユニットの位置は前後へ55mm,上下方向は,水平に対して17.5°の
調整が可能となっていて,より正確な位相特性に近づけられるようになっていました。全体として5ウェイという大規模な構成のテクニクス最大のリニアフェイズシステムとなっていて,
ウーファ−2基,スーパーウーファー2基と高能率ホーンユニットの組み合わせにより,97dB/W
という高能率と300Wの瞬間最大入力を誇っていました。
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キャビネット上面後部には,中音,高音,超高音それぞれ独立したレベルコントロールスイッチが
装備され,ミッドレンジ,トゥイーターはMin〜+4dBまで,スーパートゥイーターはMin〜0dBまで
連続可変できるようになっていました。以上のように,SB-9500は,オーディオファンからホールなどのプロユースまでも考慮された,超
弩級ともいえる大型システムでした。さすがに一般用途ではもてあましそうなサイズでもありますが
余裕を感じさせる大型システムならではのプレステージモデルでした。ショウルームなどで見ても相
当な大きさだったこのシステム・・・・一般のユーザーがどのくらいいたのか,ちょっと興味もある超弩
級機です。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎あくまでもリアルな再現能力を持つ
リニアフェイズ設計
◎リニアフェイスの3つのポイント
■採用したユニットは,すべて広帯域です
■伝達関数”1”の新方式ネットワークの採用
■階段状のユニット配置
◎低歪率・高能率のユニットを搭載
■35cmコーン型スーパーウーハ・ウーハ
■高性能ホーンスピーカ
◎97dB/w(1.0m)のマッシブな再生音
瞬間最大入力300Wの恐るべき高耐入力設計
◎中音・高音独立したレベルコントロール
◎試聴テストによる音質の徹底追求
型式 | 5ウェイ7スピーカーバスレフ型 |
使用スピーカー | スーパーウーハ:35cmコーン型×2
ウーハ :35cmコーン型×2 ミッドレンジ :ホーン型 ツィータ :ホーン型 スーパツィータ :ホーン型 |
インピーダンス | 4Ω |
出力音圧レベル | 97dB/W(1.0m) |
最大出力音圧レベル | 122dB |
瞬間最大入力 | 300W |
クロスオーバー | 700Hz,1,600kHz,3,000Hz,7,000Hz |
外形寸法 | W924×H1814×D670mm |
重量 | 190kg |
レベルコントロール | ミッドレンジ:Min〜+4dB連続可変
ツィータ :Min〜+4dB連続可変 スーパツィータ:Min〜0dB連続可変 |
ホーンスピーカ位置調整 | 前後位置:前方へ55mm連続可変
上下位置:水平に対し17.5°連続可変 |
※本ページに掲載したSB-9500写真,仕様表等は1977年の
Technicsのカタログより抜粋したもので,松下電器産業株式
会社に著作権があります。したがってこれらの写真等を無断で
転載,引 用等をすることは法律で禁じられていますのでご注意
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