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PIONEER S-180
32cm・3WAY SPEAKER SYSTEM ¥55,000(1台)
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PIONEER S-180A
32cm・3WAY SPEAKER SYSTEM ¥55,000(1台)パイオニアが1980年に発売した中型のブックシェルフ形スピーカー。1978年に発売されたS-180をルーツとし,エンクロージ
ャーの仕上げ,トゥイーターユニットの変更などの改良を受けて発売され,その明るくバランスのとれた音で人気を集め,ロングセ
ラーを記録したモデルでした。当時,私の先輩が,システムコンポからグレードアップして,初めて単品コンポでステレオシステム
を組んだ際に,このS-180Aを選び,ロックを中心とするアメリカンサウンドを明るい音で楽しんでいたことを思い出します。S-180Aの最大の特徴は,ダイヤモンドの次に固いといわれるボロン合金を使いこなし,中高域ユニットに採用していたことでし
た。ベースとなるチタンを振動板の形に成形し,特殊な熱処理によってボロンを浸透させる方式で作られたこのボロン合金の振動
板は,高域限界周波数が高く,トランジェント特性に優れるという高性能なものでした。トゥイーターユニットは,直径25mmのドーム型で,直径25mmのアルミボイスコイルと強力な磁気回路でドライブするダイレクトラ
ジエーター型で,30,000Hzに及ぶ再生帯域を実現していました。
ミッドレンジユニットは,直径12cmの複合型で,コーン部とセンタードーム部の両方にボロン合金を使用し,広帯域化のためにバ
ランスドライブ方式が採用されていました。外径110mmの強力磁気回路により駆動されていました。
ウーファーユニットは,32cm口径のパルプコーンユニットで,軽く強いストレートコーンを外径165mmの大型磁気回路で駆動して
いました。この強力なウーファーユニット取付は,強固なアルミダイキャストフレームを8本のネジでバッフル面に強固に固定するこ
とで行われていました。エンクロージャーは,内容積66リットルの大型のもので,縦横比を考えた定在波分散型プロポーションを採用していました。音像
定位を考えて,バッフル面のユニット配置にも工夫が凝らされ,さらに左右対称型となっていました。ネットワークも高耐入力・低損
失の設計がなされていました。以上のように,S-180Aは,当時クラスを超えた実力を持つ強力なスピーカーシステムでした。その,明るくクリアな音は音楽再生
に広く対応力を持ち,パイオニアの戦略モデルともいえた,この当時ベストセラーモデルの1台でした。
以下に,当時のS-180Aのカタログの一部をご紹介します。
音像リアリズム
解像力の高さは,
明確な音像を浮き上がらせる。
◎ピアニシモを美しく聴くための高能率。
◎大入力のすぐ後の微小入力さえも
鮮明に再現できる。
優れたパワーリニアリティ。
◎ミッドレンジにB-アロイ(ボロン合金)の
振動板を採用。
入力に忠実に応答します。
◎トゥイーターにも,B-アロイ振動板を採用。
◎ウーファーは,軽く強いストレートコーンを
直径156mmの大型マグネットで駆動する
32cm口径。
◎エンクロージャーは,66リットルの
ゆとりある内容積。
◎低歪率,低損失ネットワーク採用。
型式 | 位相反転ブックシェルフ型 |
使用スピーカー | 低音用 32cmコーン型
中音用 12cmバランスドライブ方式ダイレクトラジエーター 高音用 2.5cmドーム型ダイレクトラジエーター |
インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 30〜30,000Hz |
出力音圧レベル | 95dB/W/1m |
瞬間最大出力音圧レベル | 119dB/m |
最大入力 | 120W |
瞬間最大入力 | 240W |
クロスオーバー周波数 | 1kHz,5kHz |
外形寸法 | 385W×650H×377Dmm |
重量 | 25kg |
●S-180Aの仕様●
型式 位相反転ブックシェルフ型 使用スピーカー 低音用 32cmコーン型
中音用 12cmバランスドライブ方式ダイレクトラジエーター
高音用 2.5cmドーム型ダイレクトラジエーターインピーダンス 6.3Ω 再生周波数帯域 30〜30,000Hz 出力音圧レベル 95dB/W/1m 瞬間最大出力音圧レベル 119dB/m 最大入力 120W 瞬間最大入力 240W クロスオーバー周波数 1kHz,5kHz 外形寸法 385W×650H×377Dmm 重量 25kg
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PIONEER S-180V
32cm・3WAY SPEAKER SYSTEM ¥55,000(1台)S-180Aは高い人気を誇るロングセラーモデルとなり,1982年にはS-180Vにモデルチェンジをしました。
大きな変更点は,リボン型トゥイーターとカーボングラファイトコーン・ウーファーの搭載でした。S-180Vでは,新たにパイオニア自慢のリボントゥイーターを搭載し高域のレンジを大幅に拡大していました。
パイオニアは,PT-R7など,単体ユニットとして早くからリボントゥイーターの名機を出しており,満を持しての
搭載ともいえました。このリボントゥイーターは,駆動部そのものが振動板であるメリットを最大限に生かすために
導電体であり,かつ軽く剛性の高いベリリウムを振動板に採用し,この振動板自体が強力な磁界の中で振動す
るパイオニア自慢のダイレクトドライブ構造(全面駆動方式)をとっていました。これにより,トランジェント特性,エ
ネルギー特性に大幅に向上し,可聴帯域を超えた50,000Hzまでの再生を可能としていました。ウーファーには,新たにカーボングラファイトコーンを採用していました。これは,従来のパルプコーンにカーボン繊
維を混抄し,通常のパルプコーンより高い剛性と優れた内部損失を実現したもので,当時,ソニーをはじめ各社の
スピーカーに広く使われるようになりました。これらの改良により,S-180Aの明るい音を引き継ぎつつ,より高域のすっきり伸びたワイドレンジ感のある実現
していました。低域の切れも向上していました。
型式 | 位相反転ブックシェルフ型 |
使用スピーカー | 低音用 32cmコーン型
中音用 12cmバランスドライブ方式ダイレクトラジエーター 高音用 リボン型 |
インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 30〜50,000Hz |
出力音圧レベル | 95dB/W/1m |
定格入力 | 60W |
瞬間最大入力 | 200W |
クロスオーバー周波数 | 800Hz,6000Hz |
外形寸法 | 380W×670H×376Dmm |
重量 | 25kg |
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PIONEER S-180D
32cm・3WAY SPEAKER SYSTEM ¥59,800(1台)
1984年にS-180Dへとモデルチェンジを受けました。折しもスピーカーにおける「598戦争」華やかなりしころで
S-180Dも¥59,800の価格となり,まさに正面からぶつかる戦略モデルとなりました。主な改良点は,ウーファーユニットの強化による低域の増強でした。パイオニアが開発したパイオニア版ワトキンス
巻ボイスコイルともいうべき「EBD(Electronic Bass Drive)」方式の搭載でした。これは,ウーファーのボイスコ
イルが2系統あり,フルレンジボイスコイルの他にローレンジボイスコイルにも専用のEBDネットワークから一定周
波数以下の音声信号を送り,2重ドライブさせるもので,エンクロージャー容積の約2倍にあたる低音域再生を実現
したものでした。実際,低域再生能力が大きくアップしたことは聴感でも聴き取れたほどでした。強化されたウーファー及び,リボントウィーターは新たに「DRS(Dynamic Responce Suspension)」と称する
支持機構が採用され,パワーリニアリティーの向上が図られていました。これは,振動板を機械インピーダンスの異
なるサスペンションで支持することにより,固定端からの反射モードを防ぐというものでした。そのほか,磁気回路の改良,エンクロージャーの改良など各部の強化により,低域から高域までワイドレンジの再
生を実現し,クラスの水準を超えようとした強力モデルでした。
型式 | 位相反転ブックシェルフ型 |
使用スピーカー | ウーファー 32cmコーン型
ミッドレンジ 12cmコーン型 トゥイーター リボン型 |
インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 30〜50,000Hz |
出力音圧レベル | 94dB/W/1m |
定格入力 | 60W |
瞬間最大入力 | 200W |
クロスオーバー周波数 | 550Hz,4000Hz |
外形寸法 | 380W×670H×353Dmm |
重量 | 25.5kg |
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S-1800DV
磁気シールド型32cm3ウェイスピーカーシステム ¥69,800(1台)
1985年に,AV対応型のモデルとしてS-1800DVが発売されました。基本的にはS-180Dと同じでしたが,
AV対応を考えて各種の改良が施されていました。テレビ画面に影響を与える磁束漏れを防ぐため,ウーファーとミッドレンジの磁気回路には,漏れ磁束を低減さ
せるもう一つの大型マグネットとキャップを組み合わせた「デュアルマグネット磁気シールド方式」を採用してい
ました。トゥイーターには,磁気シールドキャップで被うことにより。漏れ磁束を低減していました。また,エンクロージャーも改良され,前面バッフルの左右のコーナーにRをつけたラウンドバッフルを採用し,バッ
フルの強度も大きく向上していました。
型式 | 位相反転ブックシェルフ型 |
使用スピーカー | ウーファー 32cmコーン型
ミッドレンジ 12cmコーン型 トゥイーター リボン型 |
インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 30〜50,000Hz |
出力音圧レベル | 93dB/W/1m |
定格入力 | 60W |
瞬間最大入力 | 200W |
クロスオーバー周波数 | 550Hz,4000Hz |
外形寸法 | 390W×680H×353Dmm |
重量 | 29.5kg |
※本ページに掲載したS-180,S-180A,S-180V,S-180D,S-1800DV
の写真・仕様表等は1979年11月,1982年6月,1984年6月,1985年9月
PIONEERのカタログより抜粋したもので,パイオニア株式会社に著作権があり
ます。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁
じられていますので,ご注意ください。現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
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