NS-7の写真
YAMAHA  NS-7
2WAY SPEAKER SYSTEM ¥220,000(pair)

1993年にヤマハが発売した2ウェイスピーカーシステム。1987年に発売さた人気モデルNS-
1classicsをベースに,小型ながらさらに高品質な再生を目指したスピーカーシステムで,同社
のNS-1000Mに代表されるハード系のスピーカーシステムとは異なるアプローチの優美な1台
でした。

ウーファーは16cm口径のコーン型で,カテナリー(懸垂曲線)形状を採用していました。ダイア
フラムは強度が高く適度な内部損失のあるPP(ポリプロピレン)にマイカ(雲母)を混成したもの
を搭載していました。コーンとセンターキャップ部を一体成型して同一素材で仕上げ,強度を上げ
るとともに音質の整合性と広帯域再生を実現していました。
磁気回路には,超高級機GF-1でも採用されていた柱状結晶アルニコマグネットを内磁型で採用
していました。NS-7のベースとなったNS-1classicsに搭載された通常のアルニコマグネットより
も約10%磁力が高いため,ボイスコイルが約10%軽量化・小型化でき,ダイアフラムの動きが
よくなり,伸びやかな中低域再生が可能となっていました。

NS-7のユニット

トゥイーターは,3cm口径のソフトドーム型を搭載していました。ダイアフラムは,80ローンの綿を
使用し,強度を確保するためにフェノール樹脂を含浸させたものが使用されていました。フェノール
樹脂の容量も試聴を繰り返し,NS-1classicsのものに比べ,ぎりぎりまで減らしていました。この
結果,コシがありながらしなやかなドームダイアフラムが実現されていました。

キャビネットのバッフル板にはGF-1でも採用されていたアメリカンハードメープル材をラミネートコア
タイプで採用し,両面に樺の化粧材を貼り合わせた厚さ27mmのものとなっていました。角は斜めに
カットされた形状とされて回折効果を防いでいました。その他の面は,ウエアハウザー社(世界最大
の商業用針葉樹林の所有者であり、また世界最大の針葉樹製材品、市販パルプの製造会社・本社
はアメリカ)のパーティクルボードを総 厚20mmで採用し,バッフル板と同じく樺の化粧材を貼り合わ
せ,キャビネットの全ての外装面は鏡面仕上げとなっていました。

専用スタンド(別売)を組み合わせたNS-7
専用スピーカースタンドSPS-T7:¥50,000(2台1組)との組み合わせ

以上のように,NS-7は,小型の2ウェイながら,優美な外観と音をもったスピーカーシステムでした。
日本的な端正であたたかい音は,万能型の再生音ではありませんでしたが,独特の気持ち良さをもっ
ていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



そっと寄り添うように心に響く
時代は再びアコースティックサウンド。


◎作曲者が,演奏者が音楽に込めた感情を
 限りない愛情を持って奏でます。
◎低域から中・高域まで破綻なく聴かせる
 センターキャップ一体型16cmPPコーン・ウーファ。
◎高域まで伸びやかに歌いきる
 しなやかでコシの強い3cmソフトドームツイータ。
◎力強く,しかし繊細で豊かな音を生み出す
 柱状結晶アルニコ内磁型マグネットを採用。
◎バッフル板にアメリカンハードメープルを採用。
 たっぷりとした内容積でのびのびとした音に貢献。




●NS-7主な規格●

形式
防磁設計・2ウェイ密閉型
ユニット
16cmコーン型ウーファ
3cmドーム型ツイータ
クロスオーバー周波数
2.5kHz(−12dB/oct)
再生周波数帯域
40〜30,000Hz
インピーダンス
6Ω
許容入力
40W
ミュージック許容入力
80W
出力音圧レベル
87dB/W/m
外形寸法
252W×422H×296Dmm(サランネット込み)
重量
12kg


NS-1classicの写真
YAMAHA  NS-1classics
2WAY SPEAKER SYSTEM ¥59,500(1台)

1987年にヤマハが発売した2ウェイスピーカーシステム。NS-7のベースとなったともいえ
るのがこのNS-1classicsで,ハード指向のNS-1000M等とは異なる方向性を持った1台
で,バランスの良い音で人気モデルとなりました。

ポリプロピレンにマイカを混成したカテナリー形状の16cmコーン型ウーファーと綿織物にフェ
ノール樹脂を含浸させ熱成形した3cmソフトドーム型トゥイーターを搭載したユニットの構成と
アルニコを壺型ヨークで囲む内磁型の磁気回路部マグネットはNS-7にも受け継がれたもの
で,レンジの広さや解像度よりも自然な音の再生を目指したものでした。

キャビネットは,小型ながら奥行き方向を比較的大きめにとって低域の量感が確保され,明る
い色の樺材のツキ板・ウレタン艶出し鏡面仕上げの優美なもので,リビング空間に置いて音楽
を楽しむという方向が感じられるものでした。

NS-1classicsは,当時の598クラスのスピーカーに多く見られたダイナミックでクリアという
方向とは異なり,しなやかで美しい音を持ち,人気となりました。ソフトドームユニットでありなが
ら,かつてのソフトドームのイメージと異なりすっきりとクリーンな高域と外観のイメージよりもしっ
かりした低音は小型ながらすぐれた性能をもつことを示していました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



音楽が空間に溶けこむように
存在する。
フィール・アットホームな
2ウェイスピーカ。

◎音楽をじっくり聴かせる音づくり。
 心地よい響きを奏でる”クラシックス”。
◎アルニコ内磁型マグネット採用。
 2ウェイ・小型ブックシェルフ。




●NS-1classics主な規格●

形式
防磁設計・2ウェイ密閉型
ユニット
16cmコーン型ウーファ
3cmドーム型ツイータ
クロスオーバー周波数
2.5kHz(−12dB/oct)
再生周波数帯域
60〜30,000Hz
インピーダンス
6Ω
許容入力
60W
ミュージック許容入力
120W
出力音圧レベル
86dB/W/m
外形寸法
205W×381.5H×285Dmm(サランネット込み)
重量
9.5kg

※ 本ページに掲載したNS-7,NS-1classicsの写真・仕様表等
 は1993年2月のYAMAHAのカタログより抜粋したもので,ヤマ
 ハ株式会社に著作権があります。したがって,これらの写真等を
 無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますので,
  ご注意ください。

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