ONKYO MONITOR 500
2ウェイバスレフ型スピーカーシステム ¥90,000(1台)
オンキョーが1984年に発売した小型高密度スピーカーシステム。当時は,¥59,800クラスに大型ユニットを搭載した
大型のブックシェルフ型を各社が競って出していた時代でした。その中で,突如という感じで,この高さ45cmという小型
のスピーカーシステムが発売されました。当時は,小型=安いというイメージでしたから,この大きさ(小ささ?)で1本が
¥90,000という価格はまず驚きでした。それ以上に,サイズを感じさせないしっかりした音は,当時としては驚異でした。
当時の国産機にはない新しいキャラクターのスピーカーで,まさに時代を先駆けた名機だったと思います。使用ユニットはサイズに似合わず強力なものでした。ウーファーユニットは,23cm口径で,オンキョー自慢のピュアクロス
カーボン振動板(カーボン繊維を編み合わせバインダーで固めた振動板)でした。この口径に関わらず,160φ×85φ×
20tmmの大型マグネットと76φmmという大型ボイスコイル(上級のMONITOR2000の34cmウーファーと同サイズ!)
を採用しウーファーのサイズを大きく超えた強力なユニットでした。ツイーターは,2.5cmのハードドーム型を採用していました。超硬度特殊合金製のハードドームに共振を分散させるため
の切れ込みを2カ所入れた構造で,すぐれた高域特性を発揮していました。
エンクロージャーも高剛性なもので,厚さ25mmのパーチクルボードで構成され,さらに,フロントバッフルは,厚さ30mm
のレジンコンクリートが重ねられた複合構造となっていました。レジンコンクリートは,高剛性,高密度であるため,強靱な
フロントバッフルとなりました。そして,エンクロージャー端での回折効果をなくすためのバッフル端の形は実際には複雑
なカーブとなるため,より高精度な金型加工ができる材質として採用され,写真のようになめらかなカーブを描くフロントバ
ッフルが実現したようです。しかし,このような専用の金型加工はかなりコストがかかったと思われます。このような,サイズを超えた強力なユニットとエンクロージャーの組み合わせにより,重量は17kgにも達しており,持ち上
げてみると,サイズからは想像できないほどの重さにびっくりしたものです。凝った構造のため,小型にもかかわらず,
¥90,000という価格は当然だったと思われます。より大きいサイズの¥59,800クラスよりはるかに高かったので,中
身を知らなければ良さが分からず,メーカーの思惑ほどは売れなかったようですが・・・。現在では,このような,小型高密
度の高性能スピーカーはあたりまえになり,エンクロージャーの小ささゆえの音場感の良さなどそのすばらしさが日本でも
理解され,一般的になりましたが,このような小型のスピーカーが理解されるまでには,まだかなり時間がかかった時代で
した。それゆえ,このMONITOR500は国産スピーカーの中にあって,時代に先駆けた名機だったと思っています。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
音楽は,いま最高の素材を手に入れた。
高さ45cmの美しいかたち
このスピーカーは時代への
峻烈な回答である。
◎高密度レジンコンクリート製4面完全ラウンド
フロント・バッフルの複合型・高剛性キャビ ネット。
◎ダイナミックな過渡応答の特性を飛躍的に向上
させる”高域共振分散型”新構造ツイーター。
◎巨大ボイスコイル,強力マグネットによる,
ピュア・クロスカーボン超高密度ウーファー。
●主な定格仕様●
形式 | 2ウェイ・バスレフ型 |
インピーダンス | 6Ω |
最大入力 | 160W |
出力音圧レベル | 87dB/W/m |
再生周波数帯域 | 30Hz〜45,000Hz |
クロスオーバー周波数 | 1,300Hz |
キャビネット内容積 | 19.5リットル |
使用スピーカー | ウーファー:23cmピュア・クロスカーボンコーン型 ツイーター:2.5cm超硬度特殊合金ドーム型 |
外形寸法 | 257W×452H×308Dmm(サランネット含む) |
重量 | 17kg |
※本ページに掲載したMONITOR500の写真,仕様表等は1984年10月の
ONKYOのカタログより抜粋したもので,オンキョー株式会社に著作権があり
ます。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁
じられていますのでご注意ください。
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