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ONKYO Monitor100
3WAY SPEAKER SYSTEM ¥109,0001979年にオンキョーが発売した3ウェイスピーカーシステム。当時10万円クラスの王者として君臨して
いたヤマハのNS-1000Mに対抗すべく作り上げたオンキョーの意欲作でした。トゥイーターは,25mm径のドーム型ユニットで,厚さ20μのチタン振動板によって,40,000Hzに及
ぶ広帯域特性を実現していました。磁気回路は,強力なマグネットの使用に加え,ギャップ内に磁性流
体を注入してボイスコイルにすべての磁束が集中する構造とし,ボイスコイルの温度上昇を抑え耐入力
特性,歪み特性の向上を図っていました。スコーカーは,直径65mm厚さ100μのマグネシウム合金振動板と10cmコーンの複合振動板を採用し
従来の同社のモデルに比べ,厚さで2倍半,剛性で7倍近くに強化されながらも軽量化されていました。
磁気回路は,マグネット寸法140φ×75φ×20mm,磁束密度12,000ガウス,総磁束127,000
Maxwellの強力磁気回路を搭載し,ボイスコイルには大口径65φmmのものを採用していました。ウーファーは,32cm口径の回転抄造コーンを搭載していました。これは,抄造時に回転を加えることで
パルプの繊維の流れを円周方向に揃え剛性を高めた構造のコーンでした。ヤング率や剛性は,半径方
向に約2倍となり,重量の増加なく同心円状のコルゲーションを設けたのと同様の効果があるというもの
でした。大入力時にも安定した振動モードを示して歪みが少ないという特徴を持っていました。磁気回路
は,総磁束25,800Maxwellの強力なもので,200℃という高温にも耐える超耐熱性ボビンと大口径
76φmmのロングボイスコイルを搭載していました。キャビネットには,針葉樹ソリッドボードをバッフル板に25mm厚,その他の部分には20mm厚で使用し,
内部補強にも留意された音響特性に優れたキャビネットに仕上げられていました。また,各ユニットは肉
厚の強固なアルミダイカストフレームが使用され,不要共振を抑えた強固な全体構造となっていました。以上のように,MONITOR 100は,モニタースピーカー的設計を行い,各部の贅沢で強力な作りで,明
るく鳴りっぷりの良いしっかりした音を持った実力機でした。ベストセラー機のヤマハNS-1000Mとほぼ
同じ¥109,000という価格設定にもオンキョーの意気込みが込められていたように感じます。残念なが
らNS-1000M等に比べ知名度,人気は劣りましたが,実質的な性能においては優れたスピーカーシス
テムでした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎大入力32cm回転抄造コーンウーファ
◎広ダイナミックレンジ・広帯域10cm複合型スコーカ
◎大入力・広帯域2.5cmチタンドームトゥイータ
◎音質を重視した低損失ネットワーク
◎音響特性に留意した大型キャビネット
ONKYO MONITOR 100R
3WAY SPEAKER SYSTEM ¥109,0001981年に,モデルチェンジが行われてMonitor100Rが登場し,上級機のSCEPTERシリーズの
技術を導入するなど,さらに強力なスピーカーシステムとなっていました。MONITOR 100Rの最大の改良点は,中域ユニットに加え高域ユニットの振動板として世界初のマ
グネシウム合金振動板を開発して搭載していたことでした。マグネシウムは,密度が実用金属中最小
(1.74g/cm3)で,しかも内部損失が他の金属より大きいという特徴を持つというもので,そのため,
他のチタンなどより厚みを持たせて剛性を高めても軽量で,かつ内部ロスの大きさから振動の減衰特
性がすぐれているなど振動板として優れた性質をもっていました。トゥイーターは,新しく開発された樹脂蒸着法を採用して6μという極薄で均一なコーティングを施した新
開発25mm径,厚さ40μのマグネシウム合金振動板を採用することによって,従来ドーム内面に貼布し
ていた制動用の発泡ゴムを取り払い,4〜5dBの能率アップと45,000Hzに及ぶさらなる広帯域特性
を実現していました。磁気回路は,Mnitor100同様に,ギャップ内に磁性流体を注入してボイスコイル
にすべての磁束が集中する構造とし,ボイスコイルの温度上昇を抑え耐入力特性,歪み特性の向上を
図っていました。スコーカーは,直径65mm厚さ100μのマグネシウム合金振動板と10cmコーンの複合振動板を採用し
従来の同社のモデルに比べ,厚さで2倍半,剛性で7倍近くに強化されながらも軽量化されていました。
磁気回路は,Monitor100と同じく,マグネット寸法140φ×75φ×17tmm,磁束密度12,000ガウ
ス,総磁束127,000Maxwellの強力磁気回路を搭載し,ボイスコイルには大口径65φmmのものを採
用していました。また,マグネシウム合金振動板とコーンそれぞれを支持する2重支持構造のエッジを採
用し,安定した動作を実現していました。ウーファー,キャビネットなどの他の部分には大きな変更はありませんでしたが,中高域ユニットに上級機
のSCEPTER300等と同様のものを使用するなど贅沢で強力な作りで,明るく鳴りっぷりの良いしっかり
した音を持った実力機でした。このMonitor100Rも,残念ながらNS-1000M等に比べ知名度,人気は
劣りましたが,実質的な性能においては優れたスピーカーシステムでした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
独自の専門技術が生きる
・・・中〜高域レスポンスの改善へ,
ユニット技術とシステム設計ノウハウを結集。
◎新しい観点・パワーレスポンス特性から
システム設計へアプローチ
◎新開発マグネシウム合金振動板
◎イコライザ付2.5cmトゥイータ
◎10cm複合型スコーカ
◎大口径32cmハイパワーウーファ
◎音質設計キャビネット
◎徹底した音質対策を実施
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形式 | 3ウェイ・バスレフ型 |
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インピーダンス | 6Ω |
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最大入力 | 150W |
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出力音圧レベル | 90dB/W/m |
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再生周波数帯域 | 25Hz〜40,000Hz | 25Hz〜45,000Hz |
クロスオーバー周波数 | 700Hz,5,000Hz(W,MID12dB/oct,TW18dB/oct) | 500Hz,4000Hz |
キャビネット内容積 | 67リットル |
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使用スピーカー | ウーファー:32cm回転抄造コーン型(W3510A)
スコーカー:10cm複合型(MD1010A)) ツイーター:2.5cmドーム型(TW319A) |
ウーファー:32cm回転抄造コーン型
スコーカー:10cm複合型(マグネシウム合金振動板) ツイーター:2.5cmドーム型(マグネシウム合金振動板) |
外形寸法 | 430W×680H×371Dmm(サランネット含む) |
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重量 | 35kg |
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その他 | L-R対称型キャビネット,サランネット着脱式
スコーカ,トゥイータ用独立レベルコントロール |
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※本ページに掲載したMonitor100,MONITOR100Rの写真,仕
様表等は,1981年9月のONKYOのカタログより抜粋したもので,
オンキョー株式会社に著作権があります。したがってこれらの写真等
を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますのでご注
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