M-6000の写真
LUXMAN M-6000
STEREO POWER AMPLIFIER ¥650,000

1975年にラックスが発売したステレオパワーアンプ。1926年に,,錦水堂ラジオ部として生まれた
「LUX」ブランドの50周年記念モデルとして発売された高級機で,当時,驚異的なハイパワーと高性
能をもった超弩級機として高い評価を受けた1台でした。

M-6000は,M-4000,M-2000というシリーズの中の最上位機種で,当時としては(今でも!)
驚異的な300W+300Wという大出力を実現していたことが特徴でした。回路としては,2段差動増
幅回路を採用した全段直結ピュア・コンプリメンタリーOCL方式,パラレルトリプル・プッシュプル接続
の出力回路という構成でした。

M-6000の写真M-4000の写真
M-2000の写真

出力段には,このアンプのために新開発された大出力パワートランジスターを片チャンネルあたり12
石使ったパラレル・トリプル・プッシュプル構成を採用し,すべてのトランジスターの特性のリニアリティ
のすぐれた部分を使って低歪率で安定した動作を実現していました。
また,A級動作のプリドライブ段とB級動作の出力段の間にエミッタフォロア回路を設けて,スピーカー
負荷によるインピーダンス変動がプリドライブ段にまで及び歪率特性が劣化するの防ぐとともに,プリ
ドライブ段の負荷条件を改善し,要所要所に効果的に定電流駆動を配し安定した動作につなげてい
ました。

プリドライブ段にはft(高域遮断周波数)が高く,Cob(コレクター出力容量)の少ないトランジスターを
採用して,軽い位相補正を施すだけで,全帯域にわたる安定した低歪率ドライブを可能としていました。

M-6000の内部

電源部は左右独立で,電源トランスは左右独立で大型のトランスを搭載した2トランス構成となってお
り,22,000μFという大容量電解コンデンサーを左右独立で2本ずつ,合計4本搭載していました。
また,プリドライブ段までのA級動作部分に供給する電源には本格的な定電圧回路を採用しいました。
そして,アンプ全体が電源部から左右独立したツインモノラルともいえる構成をとり,左右チャンネル間
の干渉による歪みを抑えていました。

保護回路は,ハイパワーアンプとして,音楽信号では誤作動しない過電流検出回路,スピーカー端子
に±3V以上の電流が流れた場合に動作するDCドリフト検出回路,ヒートシンクが異常に熱くなったと
きに電源を切る異常温度検出回路,パワートランジスターの監視用ヒューズが溶断した場合に電源を
切るヒューズ切れ検出回路の4重の検出機構を備えていました。

入力回路には,レベルセット用としてアッテネーターの高級品と同型の1dBステップの精密なディテント
・ボリュームを備えていました。
付属装置として,平均レベル表示の大型VUメーター,瞬間的なピーク値を正確に表示するLEDピーク
インジケーター,0dB〜10dBのメーター表示感度切換,出力表示OFFスイッチなどが装備されていま
した。

以上のように,M-6000は,ラックスの50周年記念モデルとして総力を挙げて開発された力作といえ
る高性能アンプでした。大出力でありながら荒さがなく,整った耳あたりの優しい音は,その性能の高
さを示していました。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。


看板は大出力,
自慢は低歪率!
 
 

●SPECIFICATION●

 
M-6000
M-4000
M-2000
使用半導体 シリコントランジスター(158)
バリスタ(8)
ツェナ・ダイオード(10)
ダイオード(74)
ホットセル(2)
LED(18)
SCR(1)
シリコントランジスター(120)
バリスタ(6)
ツェナ・ダイオード(5)
ダイオード(70)
LED(15)
シリコントランジスター(102)
バリスタ(8)
ツェナ・ダイオード(5)
ダイオード(74)
LED(15)
連続実効出力 300W+300W
(8Ω,両チャンネル同時動作,
 片チャンネル動作とも20〜20kHz)
180W+180W
(8Ω,両チャンネル同時動作,
 片チャンネル動作とも20〜20kHz)
120W+120W
(8Ω,両チャンネル同時動作,
            20〜20kHz)
全高調波歪率 0.05%以下
(8Ω,300W,20〜20kHz)
0.02%以下
(8Ω,180W,20〜20kHz)
0.02%以下
(8Ω,120W,20〜20kHz)
混変調歪率 0.05%以下
(8Ω,300W,60Hz:7kHz=4:1)
0.02%以下
(8Ω,180W,60Hz:7kHz=4:1)
0.02%以下
(8Ω,120W,60Hz:7kHz=4:1)
周波数特性   3Hz〜100,000Hz(−1dB以内) 5Hz〜100,000Hz(−1dB以内)
出力帯域幅 10Hz〜40,000Hz
(0.1%,−3dB)
5Hz〜30,000Hz
(0.02%,−3dB)
5Hz〜50,000Hz
(0.05%,−3dB)
入力感度 1.25V 1.0V 800mV
入力インピーダンス 75kΩ 50kΩ 50kΩ
SN比 100dB以上 106dB以上 100dB以上
残留雑音 0.5mV以下 0.2nV以下 0.2mV以下
ダンピングファクター 70(8Ω負荷) 100(8Ω負荷) 100(8Ω負荷)
付属機構 出力表示用VU&ピークインジケーター
出力表示感度切換スイッチ
              (0dB〜−10dB)
VUメーター&ピークインジケーター
         独立式 ON-OFFスイッチ
左右チャンネル独立型入力レベルセット
(1dB間隔22ポイント・ディテント
                              ボリューム採用)
リモート電源コンセント
出力表示用VU&ピークインジケーター
出力表示感度切換スイッチ
              (0dB〜−10dB)
VUメーター&ピークインジケーター
         独立式ON-OFFスイッチ
左右チャンネル独立型入力レベルセット
(1dB間隔22ポイント・ディテント
                              ボリューム採用)
出力表示用VU&ピークインジケーター
出力表示感度切換スイッチ
              (0dB〜−10dB)
VUメーター&ピークインジケーター
          独立式ON-OFFスイッチ
左右チャンネル独立型入力レベルセット
(1dB間隔22ポイント・ディテント
                              ボリューム採用)
保護回路 スピーカー端子DCドリフト検出による
         スピーカー保護回路
過電流検出によるアンプ保護回路
ヒートシンク温度検出による
           アンプ保護回路
ヒューズ溶断検出による
           アンプ保護回路
スピーカー端子DCドリフト検出による
         スピーカー保護回路
過電流検出によるアンプ保護回路
ヒートシンク温度検出による
           アンプ保護回路
ヒューズ溶断検出による
           アンプ保護回路
スピーカー端子DCドリフト検出による
         スピーカー保護回路
過電流検出によるアンプ保護回路
 

 

電源電圧 AC100V(50Hz/60Hz) AC100V(50Hz/60Hz) AC100V(50Hz/60Hz)
消費電力 150VA(無信号時)
1.3KVA (8Ω,両チャンネル同時動作
       定格出力時)
120VA(無信号時)
750VA (8Ω,両チャンネル同時動作
       定格出力時)
55W(無信号時)
450W (8Ω,両チャンネル同時動作
       定格出力時)
外形寸法 570W×425D×220Hmm 485W×390D×175Hmm 485W×295D×175Hmm
重量 52kg 30kg 18kg
※本ページに掲載したM-6000,M-4000,M-2000の写真,仕様表等は
 1977年9月のLUXMANのカタログより抜粋したもので,ラックス株式会社
 に著作権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をす
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