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PIONEER M-22
STEREO POWER AMPLIFIER ¥120,0001976年にパイオニアが発売したパワーアンプ。システムアンプの「20番シリーズ」の中のパワーアンプ
とも位置づけられる製品ですが,電源部,出力段の放熱部をそのままむき出しにしてデザインとした精悍
なスタイルに,エクスクルーシブのM-4ゆずりの純A級動作の出力段を搭載した,実力派のパワーアンプ
として人気を博しました。M-22は全段A級動作が採用され,差動2段カレントミラー回路・2段ダーリントン・パラレルプッシュプル
純コンプリメンタリーOCLという回路構成がとられていました。
入力の差動増幅は,電圧の変動をおさえ,安定度を高めて歪みを低減していました。また,初段の差動
増幅には,デュアルトランジスターを使用して中点電位の安定化を図っていました。
プリドライバー段はカレントミラー回路によるプッシュプルドライブで,この回路に適度なNFBをかけること
によって低歪み化を図っていました。
さらに,出力段はパラレルプッシュプル構成にして,各トランジスタの負担を軽減して,安定した出力を得
ていました。そのほか,プリドライバー段までを安定化電源供給として,微少出力時の特性を改善してい
ました。
また,回路全体を見ると,NFBループ内に低域時定数を持たないDCアンプ構成となっていて,すぐれた
低域再生能力を実現していました。以上のような回路により,純A級動作で30W+30W(10Hz〜30
kHz・8Ω)の出力と0.01%(実効出力時・10Hz〜30kHz)の低歪み,出力帯域幅5Hz〜100kHz
(IHF・両ch駆動・歪率0.01%)という優れた特性を実現していました。
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電源部は,L・R独立の2電源トランス構成を採用して,チャンネル間の相互干渉を排除していました。さら
に,コンデンサーは33,000μF×4という大容量の構成となっていました。
保護回路は,パワーリレーと応答の早い電子回路で構成した信頼性の高いものを採用していました。パ
ワーリレーは2接点をパラレル接続して信頼性を高め,さらにL・R独立で2個使い,チャンネルセパレーショ
ンの劣化も防ぐ構成となっていました。以上のように,M-22は,ダイカスト製のがっちりしたシャーシに,ダイカスト製の放熱器と強力な電源部を
搭載した,精悍なスタイルをもち,A級動作の出力段を搭載した高性能なパワーアンプでした。しなやかで
中庸を行く音は,まさにパイオニアの音でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎珠玉のようなパワー。音の微少な差を求めて
徹底した音質重視設計。
◎クロスオーバーひずみやノッチングひずみを
根本から排除するA級増幅。
◎磨き上げた全段A級増幅回路で,
ひずみ率0.01%(実効出力時)
周波数特性2Hz〜150kHz+0dB-1dB。
◎動特性を向上させるLR独立2電源トランス
採用の大型電源部。
◎パワーリレーと応答のはやい電子回路で
構成した,信頼度の高い保護回路。
回路方式 | 差動2段。PPドライブ,2段ダーリントン,
パラレルPP,純コンプリメンタリーOCL(A級動作) |
実効出力
(両チャンネル駆動) |
30W+30W(10Hz〜30kHz,8Ω) |
高調波歪率
(10Hz〜30kHz,8Ω) |
実効出力時 :0.01%
15W出力時:0.005% 1W出力時 :0.005% |
混変調歪率
(50Hz:7kHz=4:1) |
実効出力時 :0.01%
15W出力時:0.01% 1W出力時 :0.01% |
出力帯域幅
(IHF,両チャンネル駆動) |
5Hz〜100kHz(高調波歪率0.01%) |
周波数特性
(1W出力時) |
2Hz〜150kHz+0,−1dB |
入力端子
(感度/入力インピーダンス) |
INPUT:1V/50kΩ |
出力端子 | SPEAKER:8Ω |
ダンピングファクター
(20Hz〜20kHz,8Ω) |
60 |
SN比
(IHF-Aネットワーク,ショートサーキット) |
106dB |
使用半導体 | トランジスタ44,ダイオード他62 |
電源電圧 | 100V 50/60Hz |
消費電力
(電気用品取締法) |
240W |
外形寸法 | 420W×153H×370Dmm |
重量 | 22.0kg |
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