Ｌｏ-Ｄ ＨＳ-５３０
３ＷＡＹ ＳＰＥＡＫＥＲ ＳＹＳＴＥＭ ￥５３，０００
１９７６年にローディー（日立）が発売したスピーカーシステム。ＨＳ-５００のギャザードエッジ，ＨＳ-１５００
でのメタルコーンと優れた技術を積み上げてきたローディーが，世界で初めてメタル単板コーンを実現した
画期的な１台でした。
メタルコーンは５０年代にすでに登場していましたが，従来のメタルコーンは，スチレンペーパーや樹脂をア
ルミでサンドイッチした構造のもので，完全なメタル素材のコーンはありませんでした。トゥイーター，スコー
カーなどでは完全メタル（金属）素材の振動板のものがありましたが，大口径のウーファにはありませんで
した。ＨＳ-１５００等で，ウーファーにもアルミサンドイッチコーンを実現していたローディーが大口径のウー
ファーにも完全メタル化を実現したのがＨＳ-５３０でした。これだけの大口径（２５ｃｍ口径）では世界初の
ものでした。
ウーファーは，２５ｃｍ口径のＬ-２５１で，世界で初めてオールアルミ素材で作り上げた大口径ユニットでし
た。従来のペーパーコーンに比べ，２倍以上の音速を持ち，ピストン振動領域を約２倍に拡大し，９００Ｈｚ
までのクロスオーバー周波数まで全域が非分割振動帯域となっていました。エッジはローディーの誇る
「ギャザードエッジ」を採用し，低歪磁気回路「ローディーアクチュエーター」や「ピークコントロール回路」も
搭載して，低域再生能力を高めていました。
ミッドレンジは，５．５ｃｍ口径で，ウーファーと同形状のメタル単板コーンＭ-５５を搭載していました。エッジ
もウーファー同様に「ギャザードエッジ」を採用し，広帯域，低歪みを実現していました。
トゥイーターは，２．２ｃｍ口径メタル単板ドーム形Ｈ-２２が搭載され，フラットな周波数特性でクリアな高域
を実現していました。
エンクロージャーは，内容積４０リットルの密閉型で，ウォルナット調の仕上げのものでした。また，ミッドレ
ンジ，トゥイーターには連続可変型のレベルコントロールが装備されていました。
以上のように，ＨＳ-５３０は，世界初のオールメタル振動板によるスピーカーシステムとして画期的なもの
でした。ユニットの高い性能を生かしたクリアな音を持っていました。
姉妹機としてオールメタルのコーン形ユニットによる３ウェイシステムＨＳ-３３０を発売，さらに，翌１９７７
年には，より大型の３０ｃｍ口径単板メタルコーンウーファーを搭載した３ウェイバスレフ型スピーカーとして
ＨＳ-６３０が発売され，オールメタルコーンのラインナップが充実し，ローディーの高い技術力を示すことに
なりました。
Ｌｏ-Ｄ ＨＳ-３３０
３ＷＡＹ ＳＰＥＡＫＥＲ ＳＹＳＴＥＭ ￥３９，８００
Ｌｏ-Ｄ ＨＳ-６３０
３ＷＡＹ ＳＰＥＡＫＥＲ ＳＹＳＴＥＭ ￥７５，８００
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
