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Lo-D HS-500
2WAY SPEAKER SYSTEM ¥65,000(1本,1968年発売時)
¥85,000(1本,1978年当時)1968年にローディー(日立)が発売したスピーカーシステム。ローディーのスピーカーの評価を一気に
高めた名機でした。ブックシェルフスピーカーといえば海外のARといわれた時代に,果敢に挑戦して
ブックシェルフ型の最高峰を狙った高性能スピーカーでした。ウーファーは,20cmコーン型のL-200が搭載されていました。このウーファーは,20cm口径ながら
高い低音再生能力を持たせるために,「ギャザードエッジ」が新開発され,採用されていました。この
「ギャザードエッジ」は,ウーファーのfo(最低共振周波数)を下げるために,エッジ部のスティフネス(剛
さ)を下げてウーファーの振動板のピストン振動を十分に行わせ,かつ振動系をしっかり支持しようとす
る二律背反の命題を実現しようとしたものでした。この「ギャザードエッジ」は,通常使用されていたロ
ールエッジを改良して,独自のヒダ(ギャザー)を加えたV型のエッジで,構造的に,伸びと縮みの応力
が一定で,かつ円周方向にも伸び縮みが一定であるために振動板の機械的直線性が改善され,大振
幅時のひずみ,エッジの共振によるひずみが低減され,foを低くとることができるというものでした。
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HS-500のウーファーL-200は,20cm口径ながら,10cm径の大口径ボイスコイルを搭載し,振幅
最大±6mmを確保して,foは26Hzに達していました。
また,このL-200はすぐれたウーファーユニットとして,単売もされていました。
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トゥイーターは,ホーン型トゥイーターH-70HDが搭載されていました。H-70HDは,外径7.3cm,開
口部6.9cm,アルミ削り出しホーンを使用したもので,11,300ガウス,口径1.4cmの強力なボイス
コイルで駆動され,前面にディフューザーをつけて搭載していました。すぐれた指向性を持ち,高域のビ
ーム感をおさえていました。このトゥイーターユニットH-70HDも単売されていました。エンクロージャーは,18mm厚チップボード製のダンプドバスレフ型で内部は吸音材のグラスウールで満
たされていました。ネットワークは,空芯コイルを使った12dB/oct型で,ローパス側とハイパス側でスタ
ガー的な構造となっていました。
レベルコントロールは,2dBステップで±4dBの可変が可能で裏面にスイッチがありました。また,マルチ
チャンネルでのドライブにも対応していました。以上のように,HS-500は,ローディー自慢の画期的技術「ギャザードエッジ」のルーツとなった1台で,
ユニットから性能を突き詰めたその高性能は,高い評価を受け,1968年の発売時から1970年代にか
けて,2ウェイブックシェルフ型の王座に長く君臨した名機でした。20cm2ウェイながら,歪みの少なさと
バランスの良さが広く認められ,ローディーのスピーカーの評価を一気に高めた1台でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
●HS-500 Specifications●
エンクロージャー形式 | ダンプドバスレフ |
エンクロージャー内容積 | 50リットル |
使用スピーカー | ウーハー:20cmコーン形ギャザードエッジ(L-200)
ツイーター:ホーン形(H-70HD) |
再生周波数帯域 | 35〜20,000Hz(−8dB無響室)
30〜20,000Hz(−15dB無響室) |
クロスオーバー周波数 | 3,000Hz |
入力インピーダンス | 8Ω |
最大入力 | 20W(70Hz以上連続) |
出力音圧レベル | 88dB(1W,1m) |
外形寸法 | 360W×610H×347Dmm |
重量 | 22kg |
エンクロージャー仕上げ | ウォルナット調 |
スピーカーグリル色 | ブラウン |
●L-200 Specifications●
形式 | ハイコンプライアンス形ウーハー |
外径 | 22.85cm |
開口径 | 17.8cm |
バッフル穴径 | 19.2cm(前面よりはめ込み) |
ボイスコイル径 | 9.7cm |
定格入力 | 20W(70Hz以上連続) |
出力音圧レベル | 88dB(1W,1m) |
ボイスコイルインピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 30Hz〜3kHz |
fo | 26Hz(バッフルなし) |
共振尖鋭度(Qo) | 0.45 |
実効質量(mo) | 18g |
実効半径 | 8.2cm |
クロスオーバー周波数 | 3kHz以下 |
総磁束 | 370,000マクスウエル |
磁束密度 | 6,430ガウス |
奥行 | 11.2cm |
重量 | 3.45kg |
その他 | 注(1)ギャザードエッジ使用
(2)大口径ボイスコイル使用による特殊形コーン |
●H-70HD Specifications●
形式 | ホーン形ツイーター |
外径 | 7.3cm |
開口径 | 6.9cm |
バッフル穴径 | 7.4cm |
ボイスコイル径 | 1.4cm |
定格入力 | 20W(指定ネットワーク時) |
出力音圧レベル | 104dB(1W,1m) |
ボイスコイルインピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 2〜20kHz |
カットオフ周波数 | 1.5kHz |
クロスオーバー周波数 | 3kHz以上 |
総磁束 | 101,000マクスウエル |
磁束密度 | 11,300ガウス |
奥行 | 15.9cm |
重量 | 1.7kg |
その他 | 注(1)アルミニューム削り出しホーン
(2)取り付けフレーム付き (3)音響レンズ付き |
※本ページに掲載したHS-500写真,仕様表等は1978年1月の
Lo-Dのカタログより抜粋したもので,日立家電販売株式会社に
著作権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用
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