Ｌｏ-Ｄ ＨＳ-１４００ＷＡ
ＦＬＯＯＲ ＴＹＰＥ ３ＷＡＹ ＳＰＥＡＫＡＥＲ ＳＹＳＴＥＭ ￥６５，０００
ローディー（日立）が１９７５年に発売したフロア型のスピーカーシステム。１９６９年に発売したモジュラーステレ
オ「フォーミュラー４０５」というシステムの中に組み込まれていたスピーカー部だけを，日立は１９７０年に単体と
してＨＳ-１４００Ｗ（￥３９，８００）の名で発売しました。このＨＳ-１４００Ｗは「ケルトン方式」の元祖となったユニ
ークなシステムで，ＨＳ-１４００ＷＡはその後継機として発売されたものでした。
ＨＳ-１４００ＷＡは，一見２ウェイのシステムに見えますが，内部にスーパーウーファーが内蔵された３ウェイシス
テムでした。バスレフ型の２ウェイスピーカーにスーパーウーファーを下部につけた構造となっていました。そして
このスーパーウーファーに採用された「ＡＳＷ」という方式が現在でもスーパーウーファーなどの使われている当
時としては先進的なものでした。
「ＡＳＷ」は「Ａｃｏｕｓｔｉｃ Ｓｕｐｅｒ Ｗｏｏｆｅｒ」の略で，いわゆる「ケルトン方式」，「チューニングダクト方式」といわれ
るもので，小口径のユニットで低音再生を可能にする技術でした。
ＨＳ-１４００ＷＡでは，内部に下向きの２０ｃｍ口径のユニットがあり，前面下部にあるスリット状のバスレフポート
が特定の周波数帯のみを選択通過させるバンドパスフィルターの働きをするというもので，背面密閉，前面バスレ
フ構造のこの仕組みを「ＡＳＷ」と称していました。ＨＳ-１４００ＷＡの音響的バンドパスフィルターは，１００Ｈｚ以下
の重低音帯域のみを再生放射する働きをし，コーン振動が非直線形の振動を起こした高調波歪もふるい落とされ
歪みの少ない高品位で豊かな低音再生を実現していました。
ウーファーは，２０ｃｍ口径のパルプコーンで，エッジには不繊布が，スパイダには，特殊高分子化合物がそれぞ
れ，新開発・採用されていました。
トゥイーターは，単売もされていたＨ-５４ＨＤが搭載されていました。Ｈ-５４ＨＤは，ＨＳ-５００に搭載されている
Ｈ-７０ＨＤの弟ともいえるボイスコイル径１．４ｃｍ，開口径５．４２ｃｍのホーン型のトゥイーターユニットで，平坦な
特性を実現していました。さらに，指向性を広げるためにＨＳ-５００と同様，ハの字型に開いたディフューザー（音
響レンズ）が搭載されていました。
Ｈ-５４ＨＤ
ＨＯＲＮ ＴＷＥＥＴＯＲ ￥４，５００
エンクロージャーは，厚さ１５mmの硬質ホモゲンホルツによるウォルナット仕上げのトールボーイ型で，堂々たる
大型システムとなっていました。ネットワークは，１２dB／ｏｃｔで３つのユニットをつないでいました。
また，ＨＳ-１４００ＷＡは，前面バッフルにあるスイッチを切り換えることで，フルレンジ（３ウェイシステムとして）
ＡＳＷ（スーパーウーファー部だけ使用），ＡＳＷ ＯＦＦ（上部の２ウェイだけ使用）に切り換えができ，他のスピー
カーと組み合わせてスーパーウーファーとして使用したり，トールボーイ型の２ウェイ機としても使用できるなど
多様な使い方ができるようになっていました。
以上のように，ＨＳ-１４００ＷＡは，２ウェイ＋スーパーウーファーによるシステムで，豊かな低音再生を実現し
トールボーイスタイルという現在のＡＶ用スピーカーにも通じる設計になっていた，先進的なモデルでした。いま
から見ると，この形のスピーカーシステムが，１５年ほど後には，各社から多種出てきたことを考えても，ローデ
ィーの先進性が感じられる１台です。また，１９７８年にはＨＳ-１４００ＷＸに再びモデルチェンジされ，ロングセラー
モデルとなりました。
Ｌｏ-Ｄ ＨＳ-１４００ＷＸ
ＦＬＯＯＲ ＴＹＰＥ ３ＷＡＹ ＳＰＥＡＫＡＥＲ ＳＹＳＴＥＭ ￥６５，０００
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
