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Lo-D HMA-9500mkU
ノンカットオフA・パワーMOS FET・DCパワーアンプ ¥270,000
Lo-D(日立)は,現在はオーディオからほとんど撤退してしまいましたが,このころはこんなすごいアンプを作っていまし
た。現在はかなり一般的になったMOS-FETを世界で最初に採用したオーディオ用アンプHMA-9500の改良版とし
て発売されたもので,あの長岡鉄男さんがリファレンスとして愛用していたアンプとしても有名です。さすが,半導体メーカーの日立。自社開発の大電力型MOS-FETを採用し,そのすぐれた伝送特性で従来のアンプにな
いMOSらしい音(華やかで,切れ込みが鋭い音)といわれ,絶賛されていました。現在のMOS-FETアンプにはない音
ではなかったかと思います。
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さらに,アメリカのスレッショルド社が開発した可変バイアス方式(当時大流行し,各社いろいろな名前を付けていました。)
を採用し,Lo-Dでは「ノンカットオフA回路」と呼んでいました。これにより,スイッチング歪みというB級動作のアンプにつき
ものだという歪みを低減していました。当時のMOS-FETはシンプルな回路で高性能が出せるが,強力な電源部を必要とすると言われていました。そのため,
このアンプもデザインを見てもわかるように非常に強力な電源部を搭載していました。この大きさでも,A級動作でもないの
に120W+120Wの出力でした。しかも,左右独立のものすごい構造の電源部でした。この完全な左右独立のモノラル
構造も大きな特徴でした。Lo-Dは今は,本格的なオーディオコンポーネントは作っていませんが,数多くの名機があったように思います。その研
究開発力から見ても惜しいことです。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
パワーMOS FETの伝送特性を
さらに向上させた |
新開発ノンカットオフ回路を採用。 |
広帯域・低ひずみ率・大出力を実現した |
DCパワーアンプ。 |
◎パワーMOS FETと新バイアス回路「ノンカットオフ回路」
により広帯域・低ひずみを実現 |
◎全帯域にわたり低インピーダンス化を図った強力電源部 |
◎再生能力を一段と高めるモノコンストラクション |
◎微妙な音の差まで追求した高品質部品の採用 |
回路方式 | 2段差動増幅全段直結パワーMOS FET
純コンプリメンタリーOCL回路(ノンカットオフ回路内蔵) |
実効出力(両ch駆動) | 100W+100W(15Hz〜100kHz)
120W+120W(5Hz〜20kHz) |
全高調波ひずみ率 | 0.01%(5Hz〜100kHz,定格出力時,8Ω)
0.005%(5Hz〜20kHz,定格出力時,8Ω) 0.002%(1kHz,定格出力時,8Ω) 0.002%(1kHz,50W出力時,8Ω) |
混変調ひずみ率 | 0.003%(定格出力時,8Ω)
0.003%(50W出力時) |
周波数特性 | DC〜100kHz +0,−0.5dB(DC)
DC〜300kHz +0,−1dB(DC) 3Hz〜300kHz +0,−1dB(LOW CUT) |
入力感度/インピーダンス | 1V/50kΩ |
SN比(入力ショート) | 120dB |
クロストーク(入力ショート) | 85dB(5Hz〜100kHz)
95dB(5Hz〜20kHz) |
ダンピングファクター | 70(5Hz〜20kHz) |
負荷インピーダンス | 4Ω〜16Ω |
電源 | AC100V 50/60Hz共用 |
定格消費電力 | 360W |
外形寸法 | 435(W)×192(H)×410(D)mm |
重量 | 29kg |
※本ページに掲載したHMA-9500mkUの写真,仕様表等は1979年12月の
Lo-D(日立)のカタログより抜粋したもので,日立家電販売株式会社に著作権が
あります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁
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