Ｌｏ-Ｄ ＦＴ-８０００
ＦＭ ＳＴＥＲＥＯ ＴＵＮＥＲ ￥７５，０００
ローディー（日立）が１９７８年に発売したシンセサイザーチューナー。プリアンプＨＣＡ-９０００とのシステムアップ
を考えてか，共通したブラウン系のパネルカラーを採用し，洗練されたデザインと操作性を実現したローディー最
初の本格的シンセサイザー方式ＦＭ専用チューナーでした。
ＦＴ-８０００は，当時各社から発売され始めたシンセサイザー方式を採用し，１００ｋＨｚおきにクォーツロックされる
安定したチューニングを実現していました。チューニングに持ち前の半導体技術を生かしたマイクロコンピュータを
導入し，１００ｋＨｚおきのスイープによるマニュアル選局と自動選局機能を持っていました。プリセット機能は６局
まで可能になっていました。
フロントエンドには，デュアルゲートＭＯＳ ＦＥＴを使用したＲＦアンプと入力段と入力段の間にそれぞれダブルチュ
ーンを採用し，５連バリキャップによる純電子式フロントエンドとしていました。さらに，ＲＦ・ＡＧＣ回路を搭載し，強
電界における妨害電波にも強い設計としていました。
ＭＰＸ段には，１９ｋＨｚのパイロット信号に対して，パイロット信号キャンセル機能付きのＰＬＬ ＩＣを搭載していまし
た。
ディエンファシス回路には許容誤差±１％以内の高精度なパーツを採用し，再生ｆ特２０Ｈｚ〜１０ｋＨｚ±０．２dB，
２０Ｈｚ〜１５ｋＨｚ＋０．２，−０．６dBとキャリアリーク−６９dBという高性能を実現していました。
ミューティング回路にはシュミットトリガー回路でリードリレースイッチをドライブし，ミュート抑圧効果を−８５dB以
上得るとともに，ポップ音を防いだ回路としていました。
機能的には，受信周波数を表示するディスプレイが時刻を表示するクォーツ時計ともなるクォーツ時計付きデジタ
ルディスプレイ，ＬＥＤによる５段階シグナルインジケーター，テレビとの相互変調妨害を拝辞するＴＶトラップスイッ
チ，ＲＥＣレベルチェックスイッチ，マルチパスを検出するマルチパススイッチなどが搭載されていました。リアの出
力端子と接続ケーブルは金メッキ仕様とされていました。
また，ブラウンパネル以外にシルバーパネルのモデルもありました。
以上のように，ＦＴ-８０００は，ローディーの中でも最高級機としてしっかりと作られたチューナーでした。繊細できめ
細かな上品な音を持った高性能チューナーでした。
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
