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CORAL DX-7
31cm 3WAY SPEAKER SYSTEM
¥79,800(1本)1983年にコーラルが発売した3ウェイスピーカーシステム。X-Zの後継機とも見ることができますが,
デジタル対応をうたって,エンクロージャー,ユニットとも大幅に改良・強化され,別モデルともいえるく
らい進化していました。ウーファーは,31cmコーン型で,国産や北欧系のパルプをブレンドし,熱硬化性ポリマー処理強化で
立体的架橋構造に作り上げ,質量・剛性比を50%以上向上したというコーン紙を採用していました。
また,高リニアリティダンパー,無酸素銅リボン線のエッジワイズ巻きボイスコイル(ロングストローク
型)を採用した新設計の振動系となっていました。そして,直径160mmと大幅に強化された高磁力
磁気回路を組み合わせ,低域再生能力を大きく高めていました。
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スコーカーは,9cmハードドーム型で,ダイヤフラム素材には,ATMCというアルミをベースにした特殊な硬
質軽合金で,サファイアに近い硬度で表面処理され,サンドイッチ構造により適度な内部損失と軽量・高剛
性を実現していました。エッジには,リニアリティの良いタンジェンシャルエッジを採用し250Hzという低い
foを確保していました。ボイスコイルは,純アルミリボン線を無酸素銅の被膜で強化したものを使用し,瞬時
最大300Wにも耐える高耐入力を実現していました。
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トゥイーターは,3.6cmハードドーム型で,ダイヤフラム素材には,スコーカーと同じくATMCを使用していまし
た。エッジもスコーカーと同じく不要な共振を防ぐタンジェンシャルエッジを採用し,ダイヤフラムと一体成形とな
っていました。高精度なイコライザーが干渉歪みも抑え,指向特性の向上を図って,繊細な高域再生を実現し
ていました。
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ディバイディングネットワークには,各ユニットの優れた特性を発揮させるために,メタライズドフィルムコンデン
サーと厳選した磁性材料の積層コアー入りコイルを使用し,内部配線には無酸素銅線を使用するなど,高品
質のパーツでまとめられていました。
エンクロージャーは,厚づきのウォールナットの天然木を使用し,高精度の組み立てと補強桟による剛体構造
化で,固有共振を徹底して抑え,強力なユニットを支える強固なエンクロージャーとしていました。以上のようにDX-7は,もともとコストパフォーマンスに優れた強力なスピーカーシステムX-Zをさらに強化し
10万円クラスにも負けない風格と性能を備えていました。コーラルらしい明るい音がさらに磨かれ,より滑ら
かな音を持つようになっていました。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎量感と弾力に富んだ低音をリアルに再現
31cmウーファー
◎迫真のボーカルを朗々と歌い上げる
ハードドーム・スコーカー
◎微妙なハーモニーを艶やかに再現
ハードドーム・トゥイーター
◎ピュアな音のつながりを高品質パーツでまとめた
ディバイディング・ネットワーク
◎高級な天然木仕上げの
バスレフ型エンクロージャー
型式 | 31cm3ウェイ |
エンクロージャー | バスレフ型(左右対称型) |
使用スピーカー | 31cmコーン型ウーファー
9cmハードドーム型スコーカー 3.6cmハードドーム型トゥイーター |
再生周波数帯域 | 28Hz〜33,000Hz |
プログラムソース入力 | 150W |
瞬間最大入力 | 300W |
公称インピーダンス | 8Ω |
出力音圧レベル | 95dB/W-m |
クロスオーバー周波数 | 450Hz,6000Hz |
最大外形寸法 | 390W×710H×380Dmm |
重量 | 31kg |
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CORAL DX-SEVEN/U
31cm 3WAY SPEAKER SYSTEM
¥69,800(1本)コーラルが1985年に発売した3ウェイスピーカシステム。DX-7の後継機に当たるモデルであり,また,DX-11
の弟機としても位置づけられるモデルで,598戦争のまっただ中にあっただけに,DX-7をベースにして各部に改
良が施されたコストパフォーマンスの高い強力なモデルでした。最も大きな改良点は,ウーファーユニットの強化で,上級機DX-11と同じカーボン・グラファイト振動板のユニット
が搭載されていました。このユニットは構造が通常のコーン型振動板と異なり,角度の異なるコーンを2枚同軸上
に重ねて2層構造とし中が中空のモノコック構造として,高い剛性と適度な内部損失を実現していました。コーン
の付け根の部分に,円状のくぼみをつけて高い周波数をカットし,強度を高め,センターキャップの共振を抑える構
造にもなっていました。ボイスコイルは,無酸素銅線によるロングボイスコイルで大入力にも強く,マグネットも直径
160mmと通常より大型のものを使用し,ポールに銅製のキャップを取り付け,逆起電力による歪みを抑える設計
になっていました。ユニットメーカならではの高い技術がこめられた強力なウーファーユニットでした。
スコーカー,トゥイーターは伝統の強力なハードドーム型ユニットが継承されていました。
もう一つ大きな改良点は,エンクロージャーで,バスレフ型から密閉型になり,ユニット配置が一直線上のいわゆ
るインライン配置になっていました。エンクロージャーもDX-11と同様に強靱なパーチクルボードが採用され,バッ
フルも新たにラウンドバッフルが採用されていました。以上のように,DX-SEVEN/Uは,X-Z,DX-7と続いてきた系列の最終モデルとして,また,DX-シリーズの
中核モデルとして強力なスピーカーシステムでした。前モデルより,さらに磨かれた音は,音に上品さが増し,音
場感なども高まって,音的にもDX-11の弟といった感じになり,新たな魅力を持ったシステムでした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎安定感とパワーの中にも,シンのある低音を実現。
31cmウーファー。
◎ボーカルが耳に迫る。
新素材採用の9cmハードドーム・スコーカー。
◎艶やかで伸びのある高域を見事に再現する,繊細で,
純度の高い,3.6cmハードドーム・トゥイーター。
◎選ばれた素材が,それぞれの持ち味を
最大限に発揮させる高性能ネットワーク。
◎切れのいい,よりナチュラルな音。徹底的に剛性を極めた
ラウンドバッフル採用エンクロージャー。
●DX-SEVEN/Uの主な定格●
エンクロージャー | 3ウェイ完全密閉型 |
使用ユニット | 31cmコーン型ウーファー
9cmハードドーム型スコーカー 3.6cmハードドーム型トゥイーター |
再生周波数帯域 | 25Hz〜33,000Hz |
最低共振周波数 | 40Hz |
プログラムソース入力 | 150W |
瞬間最大入力 | 300W |
公称インピーダンス | 6Ω |
出力音圧レベル | 92dB/W-m |
クロスオーバー周波数 | 440Hz,5000Hz |
最大外形寸法 | 380W×685H×353Dmm |
重量 | 31kg |
※本ページに掲載したDX-7,DX-SEVEN/Uの写真・仕様表等は
1983年2月,1986年1月のCORALのカタログより抜粋したもので,
コーラル株式会社に著作権があります。したがって,これらの写真等
を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますので,ご
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