DS-10000の写真
DIATONE DS−10000 Klavier
(限定生産)¥350,000(1台)
ダイヤトーンが1985年に発売した,ダイヤトーン40周年記念モデルです。同社が当時発売していたDS−1000
(¥109,000)をベースにして作られていましたが,その美しいエンクロージャーの仕上げと美しい音は,ベースの
DS−1000とは全くの別物でした。もっとも,価格が3倍も違うのですから同じでは困りますが・・・。写真は,別売
のスタンドDK−10000(2台1組¥100,000)にセットしたものです。
                                   
ユニットはDS−1000のものをベースにしていました。ウーファーユニットは,27cm口径のアラミッド・ハニカム・カー
ブド・コーンを採用していました。これは,アルミハニカム構造コアにアラミッドという高強度,高弾性。低密度の長繊
維素材をスキン材として使ってものでしかもこのハニカム構造振動板を曲面に仕上げたダイヤトーン独自のカーブドコ
ーンになっているものです。フレーム構造は,ユニット全体を強固なアルミダイカストフレームが包み込むようにして一
体化したD.M.M構造とし,高解像度の低音再生を図っていました。

スコーカーユニット,トゥイーターユニットは,それぞれ50mm,23mmの強化拡散ボロナイズド・ドーム型振動板を使
用していました。これは,ボロンは非常に硬度の高い金属で,セラミック素材に近いものだそうで,高剛性で軽量なこ
とにより,余韻の美しい高解像度の中高域を実現をめざしていました。このユニットは,ダイヤフラム(振動板)とボイス
コイルを一体化し,振動板に直接ボイスコイルを巻き付けるというダイヤトーン独自のD.U.D構造を採用し,ブチルゴ
ムとポリアミド繊維の三層構造によるエッジ部が支えていました。スコーカーとトゥイーターのカバーは,共振モードが
1カ所に集中しないように,特別製の手絞りの成形によるものでした。さらに,磁気回路とフレームが一体化された
D.M方式による高剛性なユニット構造でした。サブフレームは,これまた,特別製の砲金削りだしのものを採用し,
高い寸法精度をと美しい仕上げを誇っていました。

システムの全配線には,極太線状結晶無酸素導線を採用し,ワイヤリングは,はんだを使わず金メッキを施したスリー
ブ(金具)による,圧着配線を行っていました。ネットワークに採用されたコンデンサーも大型のMPコンデンサーなど高
品質な部品を使った特別製でした。しかし,何と言ってもこのDS−10000を特徴付け,コストがかかっていそうなのは
この美しいエンクロージャーだと思います。グランドピアノの響鳴板に使われるスプルース材を使用し,表面を漆黒仕上
げにしていました。そのピアノを思わせる美しい光沢だけでなく,漆の高い硬度が,解像度の高い音を実現していたそう
です。

とにかく,徹底して手の掛かったこのスピーカーはまず,楽器か工芸品を思わせるその美しい仕上げに驚き,音を聴くと,
高解像度なクリアな音に驚きました。特に,中高域の美しさとクリアさにはびっくした記憶があります。低域は,(置き方
にもよりますが)少し足りないかなという感じでしたが,解像度の高いクリアな低域でした。         
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。




 

ダイヤトーン生誕40年を期して,
いま,音楽を愛するすべての人の心へ,
Special Thanks.
 
 

●主な規格●



 
 

形式 3ウェイ3スピーカー密閉方式ブックシェルフ形
使用ユニット 低音用:27cmアラミッド・ハニカムカーブド・コーン形 
中音用:50mmボロンD.U.Dドーム形 
高音用:23mmボロンD.U.Dドーム形
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜60,000Hz
最低共振周波数 45Hz
出力音圧レベル 90dB/W/m
最大許容入力 180W(EIAJ)
定格入力 60W(EIAJ)
クロスオーバー周波数 600Hz,5000Hz
ネットワーク 低音用:−12dB/oct 
中音用:12dB/oct,−12dB/oct 
高音用:12dB/oct
外形寸法 幅360×高さ625×奥行290mm
重量 27kg
※本ページに掲載したDS−10000の写真・仕様表等は1985年9月
のDIATONEのカタログより抜粋したもので,三菱電機株式会社に著作
権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等するこ
とは,法律で禁じられていますのでご注意ください。
 

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