1999年夏をもって民生用オーディオスピーカーから撤退したDIATONE。
その50年以上の歴史の中で日本のスピーカーに与えた影響,残した足跡は
計り知れないものがあります。ここでは,そのDIATONEのスピーカーの名機
たちを振り返ってみたいと思います。
その3 1990年〜1999年
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2S-3003(1990年)
2ウェイ2スピーカーバスレフ方式スピーカシステム
¥1,500,000(ネットグリル付・1台)ダイヤトーンモニタースピーカーの原器2S-305の登場から33年。ハイビジョン時代の新世代モニタースピーカーとして
再びNHKとの共同開発プロジェクトから生み出された2ウェイモニタースピーカーです。ウーファーには,3軸織りアラミッ
ドによる32cmハニカムコーンユニットを搭載し,トゥイーターには,B4Cをコーン型に成形した新型振動板を採用した5cm
コーン型ユニットを搭載していました。2S-305同様,位相特性を重視して,ネットワークを用いない2ウェイ構成という設
計でユニット自身の特性で自然にクロスオーバーさせ,ダイレクトにユニットに信号が入力されるようになっていました。そ
のため,主要帯域はほとんどウーファーがカバーするというワイドレンジのウーファーが実現されていました。磁気回路に
は,ADMCのアルニコバージョンが搭載されていました。あいまいさのないその音はまさにモニタースピーカ−でした。
スピーカー方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式 |
使用スピーカー | 低音用 32cmコーン型
高音用 5cmコーン型 |
公称インピーダンス | 8Ω(最低インピーダンス5Ω/8kHz) |
再生周波数帯域 | 39〜30,000Hz |
最大入力 | 300W |
出力音圧レベル | 94dB/W |
クロスオーバー周波数 | 2,400Hz |
外形寸法 | 幅510×高さ840×奥行490mm |
重量 | 54kg |
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DS-V3000(1990年)
3ウェイ密閉方式フロア形スピーカー ¥450,000(ネットグリル付・1台)DS-Vシリーズの末弟として1990年に発売されたフロア形スピーカー。DS-V9000,DS-V5000が4ウェイ
だったのに対し3ウェイになり,小型化されたとはいえ堂々たるスピーカーでした。最大の特徴は,B4Cとしては
75mmという今までで最大の口径のドーム型ユニットにして搭載していたことでした。この強力なミッドレンジユニ
ットを軸に,23mm口径B4Cドーム型トゥイーター,30cm口径スーパーアラミッド+制振性アルミ合金コアのハニ
カムコーン型ウーファーを搭載していました。ウーファーのエッジには3軸織りアラミッドを採用し,ミッドレンジ,トゥ
イーターのドーム型ユニットにはDUD構造を採用していました。本格的なフロア形システムとして高性能を誇りまし
た。
スピーカー方式 | 3ウェイ・密閉方式・フロア形・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低域 30cmコーン型
中域 7.5cmドーム型 高域 2.3cmド−ム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 23〜80,000Hz |
最大入力 | 180W |
出力音圧レベル | 90dB/W |
クロスオーバー周波数 | 400Hz 4,500Hz |
外形寸法 | 幅400×高さ900×奥行388mm |
重量 | 53kg |
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DS-A1(1991年)
2ウェイ・バスレフ方式スピーカー ¥350,000(ネットグリル付・1台)2S-3003の翌年,その技術を生かして作られた民生用スピーカーシステム。DS-Vシリーズとは
また違った方向で作り上げた1台でした。ウーファーは,2S-3003と同様にアラミッド3軸織りのス
キンを使用したハニカム・コーンユニットで,2S-3003よりやや小口径の27cmウーファーで,ネッ
トワークを使用せずに直接入力される点も2S-3003譲りでした。トゥイーターは,5cm口径のB4C
コーン型ユニットを搭載していました。磁気回路は,最新の低歪磁気回路ADMC-m(Advanced
Magnet Circuit-music)が搭載されていました。エンクロージャーは,弦楽器にヒントを得たとい
う,「ショルダー・ラウンド・バッフル」と称する響きの美しい丸屋根付きの独特のエンクロージャーと
していました。
スピーカー方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・フロア形 |
使用スピーカー | 低音用 27cmコーン型
高音用 5cmコーン型 |
公称インピーダンス | 4Ω(最低インピーダンス5Ω/8kHz) |
再生周波数帯域 | 35〜30,000Hz |
最大入力 | 240W |
出力音圧レベル | 89dB/W |
クロスオーバー周波数 | 2,000Hz |
外形寸法 | 幅350×高さ900×奥行335mm |
重量 | 40kg |
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DS-20000(1992年)
3ウェイ・密閉方式スピーカー(受注生産・限定300セット) ¥500,000(1台)ハイサンプリング・デジタル・オーディオ対応と銘打って1992年に発売された限定モデル。40kHzオーバーの
高域再生に対応するために,ダイヤトーン自慢のB4C(ピュアボロン=炭化硼素)によるDUD構造の2.3cm口
径のドーム型トゥイーターを高剛性フレーム構造DM方式で搭載していました。ミッドレンジにも大口径のB4Cに
よるDUD構造の7.5cm口径のドーム型ユニットをDM方式で搭載し,直径90mmの大型アルニコ磁石を用いた
ADMC-mにより強力に駆動していました。ウーファーは,27cm口径のアラミッドハニカムコーンを採用し,ミッド
レンジ同様,ADMC-m磁気回路により駆動されていました。限定モデルだけあってエンクロージャーも豪華で,
バッフル板と裏板には最高級のシトカスプルースを使用し,アメリカンチェリーの突き板材とハードメイプルの接合
部など贅沢な作りになっていました。表面仕上げには,輸出用最高級グランドピアノに施されるポリエステル厚膜
光沢塗装を採用し,35行程もの手をかけた美しい仕上げを誇りました。そして,専用のポリシングワックスとポリシ
ングクロスが付属していました。
形式 | 3ウェイ3スピーカー密閉方式防磁タイプ |
使用ユニット | 低音用:27cmアラミッド・ハニカム・コーン形
中音用:75mmボロンD.U.Dドーム形 高音用:23mmボロンD.U.Dドーム形 |
公称インピーダンス | 4Ω |
再生周波数帯域 | 35〜80,000Hz |
出力音圧レベル | 88dB/W/m |
最大許容入力 | 220W(EIAJ) |
クロスオーバー周波数 | 500Hz,5000Hz |
外形寸法 | 幅360×高さ695×奥行339mm |
重量 | 35kg |
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DS-700Z(1992年)
3ウェイ・密閉方式スピーカー ¥65,000(ネットグリル付・1台)1992年,DS-1000Zの弟機として,またDS-77Zの後継機とも考えられる中堅機でした。トゥイーターには
新開発の制振合金HD(ハイ・ダンピング)アロイによる2.5cmDUDドーム型ユニットを搭載していました。こ
のHDアロイは,従来のアルミやチタンに比べて高い振動減衰特性を持ち,金属ゆえの高い比弾性率とチタ
ンの60%という軽量化を実現した素材でした。さらにプレート全体を高比重制振樹脂HDポリマーで包み込み
磁気回路の一部をそのままフレーム化してバッフルにがっちり固定する構造になっていました。ミッドレンジは
10cm口径のニュー・アラミッド・ハイブリッド振動板によるコーン型ユニット,ウーファーは,27cm口径のニュー
アラミッド・ハイブリッド振動板によるコーン型ユニットを搭載していました。また,ミッドレンジのフレームにもHD
ポリマーが使われていました。
形式 | 3ウェイ3スピーカー密閉方式防磁タイプ |
使用ユニット | 低音用:27cmコーン形
中音用:10cmコーン形 高音用:2.5cmドーム形 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 35〜32,000Hz |
出力音圧レベル | 91dB/W/m |
最大許容入力 | 200W(EIAJ) |
クロスオーバー周波数 | 600Hz,4500Hz |
外形寸法 | 幅360×高さ690×奥行300mm |
重量 | 26kg |
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DS-2000Z(1993年)
3ウェイ密閉方式スピーカー ¥250,000(ネットグリル付・1台)DS-20000の技術を受け継ぎ,1993年に発売されたDS-20000の直系モデル。ハイサンプリング・デジタル
対応モデルとして高域の再生限界を80kHzまでに広げたワイドレンジ設計が特徴でした。ウーファーは,30cm
アラミッド・ハニカムを採用し,エッジにはDS-20000同様に3軸織アラミッド・エッジを用いていました。ミッドレ
ンジには,6cm口径のB4CによるDUD構造ドーム型ユニットを,トゥイーターには,2.3cm口径B4C採用DUD
構造ドーム型ユニットをDM方式で搭載していました。ウーファーは,ダイヤトーン自慢の高性能磁気回路ADMC
-mで駆動されていました。
形式 | 3ウェイ3スピーカー密閉方式防磁タイプ |
使用ユニット | 低音用:30cmアラミッド・ハニカム・コーン形
中音用:60mmピュアボロンD.U.Dドーム形 高音用:23mmピュアボロンD.U.Dドーム形 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 27〜80,000Hz |
出力音圧レベル | 90dB/W/m |
最大許容入力 | 180W(EIAJ) |
クロスオーバー周波数 | 500Hz,5000Hz |
外形寸法 | 幅380×高さ725×奥行315mm |
重量 | 37kg |
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DS-800Z(1994年)
3ウェイ密閉方式スピーカー ¥65,000(ネットグリル付・1台)1994年,ダイヤトーンが中級モデルとして「ダイヤトーン創立49年目のスタンダード・オブ・スタンダード」
と称して発売したモデルでした。DS−77シリーズの後を受け継ぐ中級モデルとして1992年に発売された
DS-700Zの後継機と位置づけることもできました。1995年に,DS-900EXという後継機が現れました
が,このあたりはシリーズが錯綜し難しいところです。真の後継機は1997年のDS-800ZXだったのかも
しれません。
ウーファーは,DS−77Z直系の軽量化バージョン30cm口径ニュー・アラミッド・ハイブリッド・コーンユニット
ミッドレンジにも10cm口径ニュー・アラミッド・ハイブリッド・コーン・ユニットを搭載していました。これは,有機
繊維アラミッドと無機繊維アモルファスシリカをイントラプライ構造としたアラミッド・ハイブリッドFRPによるもの
でした。トゥイーターには,HD(ハイ・ダンピング)アロイによる2.5cm口径DUDドーム型ユニットをDM構造
で搭載していました。
スピーカー方式 | 3ウェイ・密閉方式・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低域 30cmコーン型
中域 10cmコーン型 高域 2.5cmド−ム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 32〜32,000Hz |
最大入力 | 150W |
定格感度レベル | 91dB/W |
クロスオーバー周波数 | 600Hz 4,000kHz |
外形寸法 | 幅380×高さ695×奥行295mm |
重量 | 25kg |
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DS-A3(1994年)
2ウェイバスレフ方式スピーカー ¥180,000(ネットグリル付・1台)ダイヤトーン工房50周年記念モデルとして1994年に発売された小型高密度システムです。2S-3003の
技術を受け継ぎ小型2ウェイとして高性能を追求したシステムでした。ウーファーユニットは,レジン(樹脂)を
廃したアラミッド繊維による16cm口径のコーン型ユニットを搭載し,トゥイーターにもアラミッド繊維による4cm
口径のコーン型ユニットを搭載していました。ウーファーユニットの磁気回路はADMC-mを搭載し,低歪みの
ユニット駆動を図っていました。エンクロ−ジャーは,バッフル板に46mm厚ものウォールナット突板仕上げを
採用し,バッフル両サイドには,カナディアンメイプルの無垢材を使用していました。バスレフポートもウォール
ナットの無垢材から削り出した大型の長円ポートをはめこんだ凝った作りになっていました。声や弦楽器の再
生の美しいスピーカーシステムでした。
スピーカー方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低音用 16cmコーン型
高音用 4cmコーン型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 35〜40,000Hz |
最大入力 | 150W |
出力音圧レベル | 85dB/W |
クロスオーバー周波数 | 1,500Hz |
外形寸法 | 幅266×高さ410×奥行310mm |
重量 | 14kg |
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DS-A5(1995年)
2ウェイバスレフ方式スピーカー ¥198,000(ネットグリル付・2台1組)DS-Aシリーズの第3弾として登場した小型2ウェイスピーカです。楽器の構造を取り入れた新構造の
エンクロージャーが大きな特徴でした。「メイプルトップエンクロージャー」と称されたこのエンクロージャ
ーは,天板に密度が高く響きの美しいカナディアンメイプル材を使用し,機の響きを積極的に生かす構
造としていました。裏板には樺材を使用し,バッフル,側板には,サテンシカモア材で化粧し,音の立ち
上がりをよくするように図られていました。ウーファーは,レジンレスのアラミッドクロス振動板を使用した
13cmコーン型ユニットを搭載し,トゥイーターにも,アラミッドクロス振動板による4cmコーン型ユニットを
搭載して,オールコーン型2ウェイシステムとしていました。アコースティック楽器の響きの美しいスピー
カーでした。
スピーカー方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低音用 13cmコーン型
高音用 4cmコーン型 |
公称インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 42〜40,000Hz |
最大入力 | 100W |
出力音圧レベル | 85dB/W |
クロスオーバー周波数 | 5,000Hz |
外形寸法 | 幅200×高さ360×奥行269mm |
重量 | 8.5kg |
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DS-1000ZX(1995年)
3ウェイ・密閉方式スピーカー ¥120,000(ネットグリル付・1台)DS-1000以来の1000番シリーズの最終型となったモデルでした。1000番シリーズは,DS-1000,
DS-1000HR,DS-1000Z,DS-1000ZAと続き,このDS-1000ZXに至りました。その間限定モデ
ルDS-10000や派生モデルDS-1000Cなどを生み,DS-2000シリーズと共にロングランをしました。
基本的な構成は,DS-1000以来大きく変化はありませんでしたが,ユニット,エンクロージャーなど改良
が続けられ,1000ZXでは,ハイサンプリング&ハイビットのスーパーデジタル対応できるまでの広帯域
高解像度を実現していました。ウーファーは,それまでのアラミッドハニカム振動板にかわって,レジンを廃
止して軽量化を図った27cm口径アラミッドクロス・コーンユニットを搭載していました。ミッドレンジ及びトゥイ
ーターは,それぞれDS-1000Z以来の,6cm口径と2.3cm口径のDUD方式B4Cドーム型ユニットを搭載
していました。ウーファ−ユニットはHD(ハイ・ダンピング)サスペンションによりしっかり支持され。ミッドレンジ
及びトゥイーターは,剛性を高めたHRC(High Rigid Costruction)フレームによって強固にマウントされて
いました。派手さはないが,あいまいさのないしっかりした音と評価されていました。
スピーカー方式 | 3ウェイ・密閉方式・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低域 27cmアラミッドクロス・コーン型
中域 6cmピュアボロンドーム型 高域 2.3cmピュアボロンド−ム型 |
公称インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 39〜40,000Hz |
最大入力 | 100W |
定格感度レベル | 90dB/W |
クロスオーバー周波数 | 600Hz 5kHz |
外形寸法 | 幅360×高さ690×奥行300mm |
重量 | 29kg |
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DS-900EX(1995年)
3ウェイ・密閉方式スピーカー ¥65,000(ネットグリル付・1台)DS-800Zの後継機として1995年に登場した中堅機。しかし,DS-800Zとはオールコーン型のユニット構成など
がらりと変わっていたので,価格は同じでも別系列とも考えられました。ウーファーは30cm口径の軽量化アラミッドク
ロス・コーン型ユニットを,ミッドレンジには,13cm口径の軽量化アラミッドクロス・コーン型ユニットを搭載していました。
トゥイーターには,3cm口径ポリイミド・コーン型ユニットを搭載していました。エンクロ−ジャーはDS-800Zより少し小型
になり,重量も4kg軽量になって,プロフェッショナルな感じの黒色仕上げになりました。音の方は,DS-800Zと異なり
ゆったりとしたアダルト向きの音になっていました。翌年には,木目調仕上げのDS-900EX-Mが登場しました。
スピーカー方式 | 3ウェイ・密閉方式・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低域 30cmアラミッドクロス・コーン型
中域 13cmアラミッドクロス・コーン型 高域 3cmポリイミド・コーン型 |
公称インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 39〜32,000Hz |
最大入力 | 150W |
定格感度レベル | 90dB/W |
クロスオーバー周波数 | 600Hz 4,000kHz |
外形寸法 | 幅360×高さ680×奥行285mm |
重量 | 21kg |
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DS-8000 (1995年) ¥350,000
DS-8000N(1996年) ¥400,000
3ウェイバスレフ方式・フロア形スピーカー
(ネットグリル・専用ネットワークボックス付)ダイヤトーン初の大口径パルプコーンウーファーを搭載した大型スピーカー。この時代には珍しい38cm口径のパルプ
コーンによる大口径ユニットをウーファーとして搭載して話題になりました。ミッドレンジには,レジンを廃した軽量化アラ
ミッドクロスコーンによる16cm口径のコーン型ユニットを搭載し,トゥイーターには,5cm口径のB4Cコーン型ユニットを
搭載していました。エンクロージャーは,120リットルの大容量で,バッフルにはオーク材,側板にはウォールナットのリ
アルウッド突板仕上げを採用していました。ネットワーク回路は,振動や磁気の影響をなくすために外部設置専用のネ
ットワークボックスとして付属する方式をとっていました。当初,クロスオーバ−周波数固定のネットワークボックスを付
属したDS-8000が発売され,翌年になって,クロスオーバー周波数をコントロールできるDS-8000Nが発売されま
した。(写真はDS-8000N)鳴りっぷりの良さで人気を呼びました。
スピーカー方式 | 3ウェイ・バスレフ方式・防磁タイプ・フロア形 |
使用スピーカー | 低域 38cmモニターグレード・パルプ・コーン型
中域 16cmアラミッドクロス・コーン型 高域 5cmピュアボロン・コーン型 |
公称インピーダンス | 4Ω |
再生周波数帯域 | 35〜40,000Hz |
最大入力 | 200W |
定格感度レベル | 93dB/W |
クロスオーバー周波数 | 400〜500Hz 2,500〜4,000Hz |
外形寸法 | 本体:幅500×高さ870×奥行410mm
ネットワークボックス:幅287×高さ130×奥行387mm |
重量 | 65.5kg(本体58kg/台,ネットワークボックス7.5kg/台 |
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DS-205(1996年)
2ウェイバスレフ形スピーカー ¥250,000(ネットグリル付・1台)
¥80,000(専用スタンドDK-205・2台1組)当初,DS-Aシリーズの高級機として開発されていたといわれていましたが,2S-3003等のモニター機の技術を
受け継ぎ,モニター機の型番を受け継いで発売された高性能な2ウェイ機でした。ウーファーは,20cm口径アラミッ
ドクロス・コーン型ユニットを搭載し,人工皮革エッジやアルニコマグネット採用のADMC磁気回路搭載により低歪み
化を実現していました。トゥイーターは,2S-3003の技術を受け継いだ5cm口径B4Cコーン型ユニットを搭載してい
ました。響きの豊かさを求めてキャビネット容量を80リットルとユニットに対してたっぷり確保し,バスレフポートも大き
く設定して,ユニットにかかる背圧を軽減した設計でした。2S-3003系の音をより豊かに柔らかくパワフルにしたよう
な音は意欲作との評価を得ていました。
スピーカー方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低音用 20cmアラミッドクロス・コーン型
高音用 5cmピュアボロン・コーン型 |
公称インピーダンス | 4Ω |
再生周波数帯域 | 35〜40,000Hz |
最大入力 | 150W |
出力音圧レベル | 88dB/W |
クロスオーバー周波数 | 2,500Hz |
外形寸法 | 幅482×高さ700×奥行362mm |
重量 | 26kg |
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DS-2000ZX(1996年)
3ウェイ密閉方式スピーカー ¥180,000(ネットグリル付・1台)ハイサンプリング・デジタル対応のZXシリーズのフラッグシップとして,また,DS-2000Zの後継機として発売された
3ウェイスピーカーです。ユニット自体は,30cmアラミッドハニカム・コーン型ウーファー,6cmB4C・DUD構造ドーム型
ミッドレンジ,2.3cmB4C・DUD構造ドーム型トゥイーターと,DS-2000Zと変更はありませんでしたが,各ユニットは
細かな改良が施されていたようです。エンクロージャーなどは,簡略化され,ダイヤトーン工房での手作りに近い手法か
ら一般ラインによる機械組み立てになり,大幅なコストダウンを達成し,賛否両論を巻き起こしました。
形式 | 3ウェイ3スピーカー密閉方式防磁タイプ |
使用ユニット | 低音用:30cmアラミッド・ハニカム・コーン形
中音用:60mmピュアボロンD.U.Dドーム形 高音用:23mmピュアボロンD.U.Dドーム形 |
公称インピーダンス | 5Ω |
再生周波数帯域 | 30〜40,000Hz(ハイカット80,000Hz) |
出力音圧レベル | 89dB/W/m |
最大許容入力 | 180W(EIAJ) |
クロスオーバー周波数 | 500Hz,5000Hz |
外形寸法 | 幅380×高さ725×奥行315mm |
重量 | 38kg |
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2S-1601(1996年)
2ウェイ・バスレフ方式スピーカー ¥650,000(ネットグリル付・1台)50周年記念モデルDS-A3をベースに,ユニットとエンクロージャーを極限までチューンナップして,小スタジオや
放送用小型モニターとして,プロの信頼に応えるだけの性能にまで追い込んだニアフィールドモニタースピーカー
です。ユニット,エンクロージャーとも基本的にはDS-A3と同じですが,ウーファー,トゥイーターのユニットは特性
的に特別に選別されたものが使われていました。トゥイータは,アラミッド・コーン振動板に加えB4Cのセンターキ
ャップが搭載され,広帯域でのより高性能を目指していました。音の方も,DS-A3に比べて,ソリッドで引き締ま
った音になっていました。
スピーカー方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低音用 16cmコーン型
高音用 4cmコーン型 |
公称インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 40〜40,000Hz |
最大入力 | 150W |
出力音圧レベル | 84dB/W |
クロスオーバー周波数 | 1,800Hz |
外形寸法 | 幅266×高さ410×奥行290mm |
重量 | 16kg |
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DS-800ZX(1997年)
3ウェイ密閉方式スピーカー ¥65,000(ネットグリル付・1台)1997年,ハイサンプリング&ハイビットのスーパーデジタル対応をうたって登場したZXシリーズの中級モデルでした。
ウーファーユニットには,30cm口径アラミッドクロス・コーンを搭載し,ミッドレンジにも,10cm口径アラミッドクロス・コー
ンを搭載していました。トゥイーターには,2.5cmボロン化チタンDUDドーム型ユニットを搭載していました。40,000
Hzに及ぶ高域再生能力が自慢でした。
形式 | 3ウェイ3スピーカー密閉方式防磁タイプ |
使用ユニット | 低音用:30cmアラミッドクロス・コーン形
中音用:10cmアラミッドクロス・コーン形 高音用:25mmボロン化チタンD.U.Dドーム形 |
公称インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 39〜40,000Hz |
出力音圧レベル | 90dB/W/m |
最大許容入力 | 150W(EIAJ) |
クロスオーバー周波数 | 600Hz,4000Hz |
外形寸法 | 幅380×高さ680×奥行295mm |
重量 | 25kg |
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DS-203(1997年)
2ウェイ・バスレフ方式スピーカー ¥170,000(ネットグリル付・1台)響きの豊かさを求めたDS-205の設計思想を受け継いだ2ウェイ・トールボーイタイプのスピーカー。
ユニットに対しキャビネットの容量を60リットルとたっぷりとり,バスレフポートも大型化して,開放的な
鳴り方を実現していました。ウ−ファーは,16cm口径アラミッドクロス・コーン型ユニットをHDサスペン
ションやADMC-m磁気回路の搭載により低歪みで鳴らしていました。トゥイ−ターには,4cm口径の
B4Cコーン型ユニットを搭載していました。大径ラウンドキャビネット,ユニットのまわりに人工皮革を貼
るなどの美しいエンクロージャーも特徴でした。
スピーカー方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁タイプ |
使用スピーカー | 低音用 16cmアラミッドクロス・コーン型
高音用 4cmピュアボロン・コーン型 |
公称インピーダンス | 6.3Ω |
再生周波数帯域 | 38〜40,000Hz |
最大入力 | 150W |
出力音圧レベル | 87dB/W |
クロスオーバー周波数 | 3,000Hz |
外形寸法 | 幅360×高さ925×奥行290mm |
重量 | 25kg |
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DS-20000B Klavier(1998年)
3ウェイ密閉方式スピーカー(限定生産200セット) ¥550,000(1台)1992年発売のDS-20000をベースにした改良モデル。ダイヤトーン最後の高級民生用スピーカーとなって
しまいました。オリジナルは1985年のDS-10000にあり,DS-20000を経てこのDS-20000Bに至った
と考えられるでしょう。
ユニット的には,DS-20000のものを受け継いでおり,ウーファーは27cmアラミッド・ハニカム・コーンユニット
ミッドレンジは,7.5cm口径ピュアボロンDUDドーム型ユニット,トゥイーターには,2.3cmピュアボロンDUD
ドーム型ユニットが搭載されていました。ユニットに細かな改良が施され,中・高域振動板の背面吸音処理の
見直しが図られていたということでした。エンクロージャーはDS-20000同様スプルース材が用いられていまし
たが,写真でも分かるとおり,表面処理が大きく変わり,ピアノを思わせる黒色光沢仕上げになっていました。
この仕上げは,1ヶ月以上の期間と30以上もの行程を要する念入りなもので,音にも好影響があったというこ
とでした。ダイヤトーンの最後を飾る名機でした。
形式 | 3ウェイ3スピーカー密閉方式防磁タイプ |
使用ユニット | 低音用:27cmアラミッド・ハニカム・コーン形
中音用:75mmボロンD.U.Dドーム形 高音用:23mmボロンD.U.Dドーム形 |
公称インピーダンス | 4Ω |
再生周波数帯域 | 35〜80,000Hz |
出力音圧レベル | 88dB/W/m |
最大許容入力 | 220W(EIAJ) |
クロスオーバー周波数 | 500Hz,5000Hz |
外形寸法 | 幅360×高さ695×奥行339mm |
重量 | 35kg |
50年以上のダイヤトーンの歴史を考えたとき,その製品群をたどっていく
作業は困難をきわめました。特に古い製品群については,資料が揃わず
不十分すぎるものとなっています。また,製品数が多く,それぞれの関係
などについても今ひとつはっきりしないところもあり,どの製品を取り上げ
るか非常に苦慮して出来上がったのがこのページです。ご意見・ご感想な
どお寄せ下さい。また,資料などご協力いただけるとありがたいです。
しかし,このように,ダイヤトーン・スピーカーの歴史を見てみると,常に一
貫した姿勢が感じられます。ワイドレンジ,高剛性,高解像度など,ひたす
ら純粋に再生機としての性能を追い求めたその製品群はやはり圧巻だと
思います。決して使いやすいスピーカーたちではありませんでしたが,使
いこなしに鋭敏に反応してくれる名機たちだったと思うのは私だけでしょ
うか。
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