DIATONE伝説
1999年夏をもって民生用オーディオスピーカーから撤退したDIATONE。
その50年以上の歴史の中で日本のスピーカーに与えた影響,残した足跡は
計り知れないものがあります。ここでは,そのDIATONEのスピーカーの名機
たちを振り返ってみたいと思います。                          

 
 
その2 1980年〜1989年

 
DS−505の写真
DS-505(1980年)
4ウェイ・アコースティックエアーサスペンション方式ブックシェルフ形 
                      ¥190,000(サランネット付1本)

1980年に発売された本格的4ウェイスピーカーシステム。それまでの同社の4ウェイシステムDS−303
では,3ウェイプラススーパートゥイーターという形であったのが,本機では,ミッドバスユニットを加えた形の
本格的4ウェイシステムとなっていました。ウーファーには,アルミハニカムコアをアラミッド繊維のスキン材
でサンドイッチした新開発のアラミッドハニカム振動板を採用した32cmアラミッドハニカムコーン型ユニット
を,ミッドバスには,16cmアラミッドハニカムコーン型ユニットを搭載していました。ミッドハイには,これまた
新開発の,ドーム振動板とボイスコイルボビンを一体成形したDUD(DIATONE Unifigied Diaphram)
方式による4cmボロンドームユニットを,トゥイーターには,2.3cmDUDボロンドームユニットを搭載していま
した。このようにDS−505は,後の新世代ダイヤトーンスピーカーシステムの基礎となる数多くの新技術を
満載した意欲作でした。4ウェイ化することで各ユニットの負担が減り,微粒子を散乱させるような高解像度で
ワイドレンジの音は,当時デジタル時代のモニタースピーカーと言われたものでした。


 
スピーカー方式 4ウェイ・アコースティックエアーサスペンション方式
使用スピーカー 低音用    32cmコーン型
中低音用  16cmコーン型
中高音用  4cmドーム型
高音用   2.3cmドーム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 28〜40,000Hz
最大入力 100W
出力音圧レベル 90dB/W
クロスオーバー周波数 350Hz  1,500Hz  5,000Hz 
外形寸法 幅420×高さ720×奥行425mm
重量 42kg

 



 
 
 
 
 

DS−503の写真
DS-503(1981年)
3ウェイ・バスレフ方式ブックシェルフ形 ¥125,000(サランネット付1本)

ダイヤトーンがDS−505発売の翌年に発売した3ウェイシステム。DS−505で開発された技術を受け継ぎ
3ウェイシステムとしてより一般化した形で発売されました。ウーファーには,新しく高抗張力ポリアミド繊維を
スキン材にした32cm高抗張力ポリアミド・ハニカム・コーン・ウーファーを搭載していました。スコーカーには,
DS−505直系の6.5cmDUDボロンミッドレンジユニットを,トゥイーターには2.3cmDUDボロントゥイーター
ユニットを搭載してワイドレンジと高解像度を達成していました。個人的なことになりますが,当時,スピーカー
システムのグレードアップを考えていた私にとって,NS−1000Mと聴き比べながら最後まで候補に残った1
台でした。


 
スピーカー方式 3ウェイ・バスレフ方式
使用スピーカー 低域   32cmコーン型
中域   6.5cmドーム型
高域   2.3cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 30〜40,000Hz
最大入力 100W
出力音圧レベル 90dB/W
クロスオーバー周波数 500Hz  5,000Hz 
外形寸法 幅390×高さ720×奥行331mm
重量 33kg

 



 
 
 
 

DS−501の写真
DS-501(1982年)
3ウェイ・密閉方式ブックシェルフ形 ¥82,000(サランネット付1台)

1982年,DS−503に続いて発売されたブックシェルフ形スピーカーシステム。DS−50#シリーズの
末弟として発売され,独特の緊張感のある音が聴けました。ウーファーには,抄紙パルプに特殊樹脂を含
浸したクラフト・ハニカム・コアを,ポリアミド系接着剤で接合したハニカム構造により剛性を高めたポリクラ
フト・ハニカム振動板の32cmコーン型ユニットを使用していました。ミッドレンジには,新素材ω-チタンを
採用したDUD構造の6.5cmドーム型ユニットを,トゥイーターには,同じくω-チタンのDUD構造2.5cm
ドーム型ユニットを使用していました。このDS-501により,デジタル対応を打ち出したDS-50※シリー
ズのラインナップが完成しました。


 
スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式
使用スピーカー 低域   32cmコーン型
中域   6.5cmドーム型
高域   2.5cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 30〜30,000Hz
最大入力 100W
出力音圧レベル 91dB/W
クロスオーバー周波数 600Hz  5,000Hz 
外形寸法 幅370×高さ680×奥行380mm
重量 26kg



 
 
 
 

DS−73Dの写真
DS-73D(1982年)
3ウェイ密閉方式・ブックシェルフ形 ¥59,800(サランネット付・1本)

1982年,DS−505,503,501の技術を生かし,激戦区である6万円クラスに投入されたモデル。
ハニカムコーンの技術を紙パルプを主材料にして実現した「ポリクラフトハニカム振動板」を採用したウー
ファーが特徴でした。スコーカーは,ポリプロピレンにカーボンファイバーを加えて強化したCFP(カーボン
ファイバー強化プラスチック),トゥイーターには,DS−505などで開発されたDUD技術を生かしたチタ
ンドームユニットを用いた「デジタル対応」を打ち出した主力モデルでした。
 

スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式
使用スピーカー 低域   32cmコーン型
中域   10cmコーン型
高域   2.5cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜30,000Hz
最大入力 80W
出力音圧レベル 91dB/W
クロスオーバー周波数 600Hz  5,000Hz 
外形寸法 幅370×高さ680×奥行330mm
重量 21kg



 
 
 
 
 

DS−5000のページ
DS-5000(1982年)
Grandage Speaker System ¥495,000(サランネット付1台)

1982年に登場したDSシリーズの一つの集大成的モデルです。DS−50#シリーズで開発された
技術を全て投入し仕上げられた大型のフロア形システムで,そのワイドレンジで雄大な音は圧巻で
した。ウーファーは,40cmアラミッドハニカムコーン型ユニット,中低音域は,新たにカーブドコーンと
して開発された25cmアラミッド・ハニカム・カーブド・コーンユニットを搭載していました。コーン状にす
ることさえ難しかったハニカム振動板をカーブドコーンとして成形した画期的新ユニットでした。中高音
域は,6.5cmDUDボロン・ドーム型ユニットを,トゥイーターには2.3cmDUDボロン・ドーム型ユニッ
トを搭載していました。


 
スピーカー方式 4ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式フロア形
使用スピーカー 低音用    40cmコーン型
中低音用  25cmコーン型
中高音用  6.5cmドーム型
高音用    2.3cmドーム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 20〜60,000Hz
最低共振周波数 23Hz
最大入力 250W
出力音圧レベル 93dB/W
クロスオーバー周波数 300Hz  1,250Hz  4,000Hz 
外形寸法 幅635×高さ1050×奥行460mm
重量 87kg

 


DS-1000の写真
DS-1000(1983年)
High Definition Speaker System ¥109,000(サランネット付・1台)
 

1983年,DS−50#シリーズからさらに発展して,高解像度をコンセプトにして,ユニットを生かす高剛性
を追求した新しいDS-#1000シリーズが登場しました。ハニカムコーンユニットの高性能を生かすべく,
ウーファーユニット全体をアルミダイカストフレームで包み込むようにして強力に支持するDMM(ダイレクト
マグネットサーキット・マウント)方式を開発し搭載していました。さらに,中高域のDUDユニットの高性能
を生かすために,磁気回路のプレートとユニット自身を支えるマウント用フレームを一体化させたDM(ダイ
レクト・マウント)方式を開発し搭載していました。バッフルには,DSシリーズ初のラウンドバッフルを採用
していました。(左右2面だけですが)ウーファーは,27cm口径の高抗張力ポリアミド・ハニカム・カーブド
コーンユニットを搭載し,スコーカーには,5cmDUDボロン・ドームユニットを,トゥイーターには2.3cmDU
Dボロン・ドームユニットを搭載していました。従来のDS-50#シリーズに比べさらに高解像度で鮮烈な音
になっていました。そのぶん使いこなしにも敏感で,使いこなしがいのあるシステムでした。


 
スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式
使用スピーカー 低域   27cmコーン型
中域   5cmドーム型
高域   2.3cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜40,000Hz
最大入力 100W
出力音圧レベル 90dB/W
クロスオーバー周波数 600Hz  5kHz 
外形寸法 幅360×高さ625×奥行325mm
重量 27kg



 
 
 
 

DS−3000の写真
DS-3000(1984年)
4ウェイ・アコースティックエアーサスペンション方式ブックシェルフ形
                      ¥260,000(ネットグリル付・1台) 
 

DS-1000の技術を受け継ぎ,4ウェイシステムDS−505をベースに,より高剛性を追求し,高解像度な
音を実現した高性能システムでした。DS-1000で開発されたDMM構造をミッドバスとウーファーに採用
し,解像力の高い中低音域を実現していました。ウーファーは,32cmアラミッド・ハニカム・コーン型ユニッ
ト,ミッドバスには,16cmアラミッドハニカムコーン型ユニットを搭載していました。ミッドハイユニットとトゥイ
ーターユニットはこれもDS-1000で開発されたDM方式を採用していました。ミッドハイには,5cmDUDボ
ロン・ドーム型ユニット,トゥイーターには,2.3cmDUDボロン・ドーム型ユニットを搭載していました。DS-
1000同様ラウンドバッフルを採用していました。


 
スピーカー方式 4ウェイ・アコースティックエアーサスペンション方式
使用スピーカー 低音用    32cmコーン型
中低音用  16cmコーン型
中高音用  5cmドーム型
高音用    2.3cmドーム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 25〜40,000Hz
最大入力 180W
出力音圧レベル 90dB/W
クロスオーバー周波数 350Hz  1,350Hz  4,500Hz 
外形寸法 幅450×高さ750×奥行420mm
重量 52kg

 



 
 
 
 
 

DS−10000の写真
DS-10000Klavier(1985年)
3ウェイ密閉方式・ブックシェルフ形 (限定生産)¥350,000(1台)

言わずと知れたダイヤトーン40周年記念限定モデルです。詳しくはDS-10000のページでご紹介
していますが,その仕上げ,優美な音などすばらしいものでした。


 
形式 3ウェイ3スピーカー密閉方式ブックシェルフ形
使用ユニット 低音用:27cmアラミッド・ハニカムカーブド・コーン形 
中音用:50mmボロンD.U.Dドーム形
高音用:23mmボロンD.U.Dドーム形
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜60,000Hz
最低共振周波数 45Hz
出力音圧レベル 90dB/W/m
最大許容入力 180W(EIAJ)
定格入力 60W(EIAJ)
クロスオーバー周波数 600Hz,5000Hz
ネットワーク 低音用:−12dB/oct 
中音用:12dB/oct,−12dB/oct 
高音用:12dB/oct
外形寸法 幅360×高さ625×奥行290mm
重量 27kg



 
 
 
 

DS−2000の写真
DS-2000(1985年)
3ウェイ密閉方式・ブックシェルフ形 ¥168,000(ネットグリル付・1台)

#1000シリーズの最後に登場したのが,1985年のDS-2000でした。DS-1000,DS-3000の
技術を受け継ぎ,よりリファインした形でシステム化され,バランスのよい高解像度の音を実現していま
した。ウーファーには,スキン材に高抗張力ポリアミド繊維強化プラスチックを採用した30cmハニカム・
カーブドコーン形ユニットをDMM方式で搭載していました。スコーカーとトゥイーターには,強化拡散ボロ
ンを振動板に使用した,それぞれ6cm,2.3cm口径のDUDボロンドーム型ユニットをDM方式で搭載
していました。バッフルにはラウンドバッフルを採用していました。
 

スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式
使用スピーカー 低域   30cmコーン型
中域   6cmドーム型
高域   2.3cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 28〜40,000Hz
最大入力 180W
出力音圧レベル 90dB/W
クロスオーバー周波数 500Hz  4,500Hz 
外形寸法 幅410×高さ710×奥行362mm
重量 38kg



 
 
 
 

DS-77EXの写真
DS-77EX(1985年)
3ウェイ密閉方式ブックシェルフ形 ¥62,000(ネットグリル付・1台)

DS-73D,73DUに続く新世代の中級モデルとして1985年に発売されました。ユニット,エンクロー
ジャーとも一新され,より強力な主力モデルとして登場しました。ウーファーには,新たにカーボングラファ
イトをスキン材にした32cmハニカム・コンストラクション・コーンを搭載していました。スコーカーには,10
cm口径,1000フィラメントカーボンクロスコーンユニットを搭載し,センターキャップにはトゥイーターと同
じ材質のスーパーωチタンを使用していました。トゥイーターには,表面に硬化処理を施して再生帯域
を広げたスーパーωチタンダイヤフラムを使用した2.5cm口径DUDドーム型ユニットを搭載していまし
た。さらに,ウーファー,スコーカーはRS(ハイリジッド・サポート)フレームと呼ばれる強固な8本脚フレ
ームで磁気回路を支える構造をとり,トゥイーターユニットは,DM方式で強固にエンクロージャーに取り
付けられていました。このように,DS-77EXは,上級のDS-#1000シリーズの技術やノウハウを生
かした強力な中級モデルでした。


 
スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式
使用スピーカー 低域   32cmコーン型
中域   10cmコーン型
高域   2.5cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜30,000Hz
最大入力 230W
出力音圧レベル 91dB/W
クロスオーバー周波数 600Hz  5,000Hz 
外形寸法 幅380×高さ680×奥行325mm
重量 21kg

 



 
 
 
 

DS-9Zの写真
DS-9Z(1986年)
2ウェイ密閉方式ブックシェルフ形 ¥150,000(1台)

「ハイブリッド」という設計思想を展開し1986年に開発された個性的なシステムでした。その大きな特徴は
イントラプライ・ハイブリッド・カーブドハニカムコーンユニットを採用した22cm口径のウーファーでした。これは
ハニカム振動板のスキン材に新たに開発されたイントラプライ・ハイブリッド・スキンを採用したもので,高い弾
性率を誇るPAN系高強度炭素繊維と高強度高弾性かつ低密度で適度な内部損失を持つ芳香系ポリアミド長
繊維をハイブリッドに織り込んだハイブリッド・ウィービングを採用し,最適物性値により小口径化に対応し,最
適なカーブ率を設定したカーブドコーンとして最強のハニカム振動板として完成させたものでした。トゥイーター
にはダイヤトーンの誇る2.5cm口径DUDボロンドーム型ユニットを搭載し,高密度な2ウェイシステムとして
完成させていました。エンクロージャーも理想と追求し,できるだけ容積を小さくし,天板を小さくして剛性を高
め,内部定在波を解消するための個性的な台形エンクロージャーが採用されていました。エンクロージャーに
は響きの美しいスプルース材が使用され,美しい仕上げを誇りました。ウーファーユニットはDMM方式,トゥイ
ーターユニットはDM方式でエンクロージャーに固定されていました。小型ながら高密度な美しい音は個性的な
外観と共に印象的でした。このDS-9Zで展開された「ハイブリッド」の考え方は,やがてダイヤトーン自身「ハイ
ブリダード(ハイブリッド+アート=融合美)」と称するようになりました。


 
スピーカー方式 2ウェイ2スピーカー密閉方式防磁タイプ
使用スピーカー 低音用   22cmイントラプライ・ハイブリッド・カーブドハニカム・コーン
中高音用  2.5cmDUDボロンドーム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜40,000Hz
最大入力 180W
出力音圧レベル 86dB/W
クロスオーバー周波数 1,500Hz 
外形寸法 幅327/236×高さ435×奥行310mm
重量 18kg


DS-77HRの写真
DS-77HR(1987年)
3ウェイ密閉方式ブックシェルフ形 ¥62,000(ネットグリル付・1台)

1987年に発売された,DS-77EX(1985年)のモデルチェンジタイプで,DS-9Zで展開された「ハイブリダード思想」
により,スピーカーユニットの全面的な見直しが図られていました。ウーファーは,表スキンには,有機繊維のアラミッド
と無機繊維のアモルファスシリカをイントラプライ構造に織り込んだアラミッドハイブリッドFRPを,裏スキンに,セルロー
ス繊維系スキンを採用と,2種のスキン材を使い分けたハイブリッド構造のユニットでした。ミッドレンジは,有機繊維ア
ラミッドと無機繊維PAN高強度炭素繊維を織り込んだイントラプライ・ハイブリッド振動板を使用した10cmコーン型ユニ
ットで,センタードームには,チタンに表面硬化処理を施したSRチタンドームを使用したコーンダイアフラムとドームダイ
アフラムのハイブリッド構造としていました。トゥイーターには,DUD構造の2.5cmSRチタンドーム型ユニットを採用し
ていました。ウーファー及びミッドレンジは,DS-77EX以来の強固なフレーム構造RSフレームで支えられ,トゥイーター
ユニットは,DM構造で強固にエンクロージャーにマウントされて正確なピストンモーションを確保していました。ちなみに
型番のHRはHigh Rigidity(高剛性)の略のようです。


 
スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式
使用スピーカー 低域   31cmコーン型
中域   10cmコーン型
高域   2.5cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜30,000Hz
最大入力 230W
出力音圧レベル 91dB/W
クロスオーバー周波数 500Hz  4,000Hz 
外形寸法 幅380×高さ680×奥行325mm
重量 27kg



 
 
 
 

DS-2000HRの写真
DS-2000HR(1987年)
3ウェイア・コースティックエアーサスペンション方式・ブックシェルフ形
                      ¥200,000(ネットグリル付・1台)

DS-2000の改良型として1987年に発売されました。「ハイブリダード」のもとに各ユニットを中心に
改良が加えられていました。ウーファーユニットには,30cm口径イントラプライ・ハイブリッド・カーブド
ハニカムユニットが搭載されていました。これは,表スキンに軽量で適度な内部損失を持つ芳香族ポ
リアミド系アラミッドとポリアクリルニトリルに高い弾性比率を持つPAN系高強度炭素繊維をイントラプ
ライに織り込んで高剛性化を求め,裏スキンでは,ポリアミド系アラミッドを用いて振動減衰特性の向
上を求めるハイブリッド構造をとっていました。ウーファーユニットは,高剛性に加え,振動減衰特性を
考慮したアドバンスドDMM構造でしっかり支えられていました。ミッドレンジとトゥイーターは,それぞ
れ60mmと23mm口径の強化拡散ボロナイズドDUD構造ドームユニットを搭載していました。基材の
チタンの純度を高め,ボロン拡散成長をさらに強化したこの改良型ユニットを,DM構造でしっかりとエ
ンクロージャーに取り付けていました。 


 
スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式
使用スピーカー 低域   30cmコーン型
中域   6cmドーム型
高域   2.3cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 28〜40,000Hz
最大入力 180W
出力音圧レベル 90dB/W
クロスオーバー周波数 500Hz  4,500Hz 
外形寸法 幅410×高さ712×奥行372mm
重量 42kg

DS-77HRXの写真

DS- 77HRX(1988年)
3ウェイ密閉方式ブックシェルフ形 ¥62,000(ネットグリル付・1台)

1988年に,DS-77HR(1987年)のモデルチェンジタイプとして発売されました。ウーファーは,
77HRと同一で表スキンには,有機繊維のアラミッドと無機繊維のアモルファスシリカをイントラプ
ライ構造に織り込んだアラミッドハイブリッドFRPを,裏スキンに,セルロース繊維系スキンを採用
と,2種のスキン材を使い分けたハイブリッド構造のユニットでした。ミッドレンジも77HRと同一で,
有機繊維アラミッドと無機繊維PAN高強度炭素繊維を織り込んだイントラプライ・ハイブリッド振動
板を使用した10cmコーン型ユニットで,センタードームには,チタンに表面硬化処理を施したSR
チタンドームを使用したコーンダイアフラムとドームダイアフラムのハイブリッド構造としていました。
最大の改良点はトゥイーターで,新たに上級機DS-2000HRにも採用されているボロンDUD方式
による2.5cm口径ドーム型ユニットが搭載され,高域再生能力が高められていました。


スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式
使用スピーカー 低域   31cmコーン型
中域   10cmコーン型
高域   2.5cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜35,000Hz
最大入力 230W
出力音圧レベル 91dB/W
クロスオーバー周波数 500Hz  4,000Hz 
外形寸法 幅380×高さ680×奥行325mm
重量 27kg



 
 

DS-500の写真
DS-500” history”(1988年)
2ウェイ密閉型スピーカー ¥98,000(ネットグリル付・2台1組)

「等音速2ウェイ」のうたい文句で,新コンセプトのベーシックスピーカーとして全て新素材・新開発のユニ
ットを搭載して1988年に発売されました。振動板素材として新たに高分子材料LCP(Liquid Crystal
Polymer)液晶ポリマーを採用していました。液晶ポリマーは成型時に流動方向に配向し剛性を高める
性質があり,その比弾性はチタンに匹敵し,高分子材であるため大きな内部損失を持つという材質という
ことでした。ウーファーは18cm口径のLCP振動板コーン型ユニット,トゥイーターは,LCP振動板使用の
DUD2.5cmドーム型ユニットを搭載していました。トゥイーターはDM方式でエンクロージャーにしっかり
固定されていました。エンクロージャーは,4サイドラウンドバッフルとし,バッフルには響きの美しいスプル
ース材を使用していました。音に癖のないアコースティック楽器の響きの美しいスピーカーでした。    


 
スピーカー方式 2ウェイ・密閉方式・防磁タイプ
使用スピーカー 低音用  18cmコーン型
高音用  2.5cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 42〜30,000Hz
最大入力 180W
出力音圧レベル 88dB/W
クロスオーバー周波数 2,000Hz 
外形寸法 幅230×高さ401×奥行242mm
重量 10.0kg

 

 
 
 
DS-V9000の写真
DS-V9000(1988年)
4ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式・フロア形スピーカー 
¥933,000(ネットグリル・アコースティックベース付・1台)

ダイヤトーンが1988年より新たに展開し始めた民生用の最高峰のシリーズDS-Vシリーズの第1弾モデル
として,またトップモデルとして発売された大型のフロア形スピーカーシステム。1982年のDS-5000の流
れを汲むモデルで,ダイヤトーン最後の民生用大型システムとなってしまいました。DS-5000から6年。そ
の間にダイヤトーンが開発してきた技術的成果を投入し,がっちりとしたあいまいさのない再生音を実現して
いました。ウーファーは,40cm口径のアドバンスド・イントラプライ・ハニカムコーンユニットが搭載されていま
した。これは,表スキンに,高剛性化によるハイスピード再生能力と適度なロスを求めて芳香族アラミド系ア
ラミッドとPAN系高強度炭素繊維のイントラプライにあらたなアラミド系アラミッドを重ね合わせた構造をとり,
裏スキンには,減衰美を求めたアラミド系アラミッドを配したダブルハイブリッド構造をとっていました。    
ミッドバスには,同じ構造の25cm口径アドバンスド・イントラプライ・ハニカムコーンを搭載していました。ウー
ファー及びミッドバスはアドバンスドDMMを採用して高剛性と振動減衰特性を両立させていました。また,ミ
ッドバスユニットの後方は,ラウンド形状のバックチャンバーを装着して全くの独立空間を設け,定在波の影
響を排除していました。
ミッドハイとトゥイーターには,従来使われてきたチタンの5倍,ボロナイズドチタンの2.2倍もの比弾性を誇
るピュアボロンBCを使用し,高い曲げ剛性を持つドーム型振動板として完成されていました。ミッドハイは
6.5cm口径のDUD構造のドーム型ユニット,トゥイーターは2.3cm口径のDUD構造ドーム型ユニットを
DM方式で搭載していました。
また,新たに磁気回路の見直しが図られ,ADMC(Advanced Magnet Circuit)と称する,新しい低歪み
の磁気回路が各ユニットに搭載されていました。


 
スピーカー方式 4ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式フロア形防磁タイプ
使用スピーカー 低音用    40cmコーン型
中低音用  25cmコーン型
中高音用  6.5cmドーム型
高音用    2.3cmドーム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 18〜80,000Hz
最大入力 180W
出力音圧レベル 92dB/W
クロスオーバー周波数 300Hz  1,250Hz  4,000Hz 
外形寸法 幅652×高さ1080×奥行497mm
重量 125kg


DS-77Zの写真
DS-77Z(1988年)
3ウェイ密閉方式ブックシェルフ形スピーカー ¥60,000(ネットグリル付・1台)

上記のDS-77HRの改良モデルDS-77HRX(このときはトゥイーターがボロン化チタンに改良された)の後継モデル
として1988年に登場しました。新たにDS-V9000での技術的成果を受け継いだ改良が行われていました。磁気回
路には,ADMCが搭載され,ユニットの駆動力を改善していました。ウーファーは,表スキンにアラミッド・ハイブリッドF
RPを,裏スキンにセルロース繊維系スキンを採用した31cm口径ニュー・アラミッド・ハニカム・コーン・ウーファーを搭載
していました。スコーカーには,イントラプライ・ハイブリッド・コーンととSRチタンドームによる10cm口径コーン型ユニット
を搭載していました。トゥイーターには,2.5cm口径DUDボロン・ドーム・トゥイーターを搭載していました。ウーファー及
びスコーカーはRSフレームにより不要共振を制御し,トゥイーターは,DM方式によりしっかりとマウントされていました。
 

スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式・防磁タイプ
使用スピーカー 低域   31cmコーン型
中域   10cmコーン型
高域   2.5cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 35〜35,000Hz
最大入力 230W
出力音圧レベル 91dB/W
クロスオーバー周波数 500Hz  4,000Hz 
外形寸法 幅400×高さ700×奥行330mm
重量 29.0kg

 
DS-97Cの写真
DS-97C(1988年)
3ウェイバスレフ方式フロア形スピーカー ¥108,000(ネットグリル付・1台)

かつてダイヤトーンは,DS-50CS,70C,90Cといった3ウェイのフロア形スピーカーを作っていましたが,その
復活といった感じで登場した3ウェイフロア形スピーカーでした。フロア形復活といってもユニットは当時最新の物が
使われていて,上記のDS-77Zにもよく似ていました。ウーファーは,表スキンにDS-2000HRと同様のPAN系
高強度炭素繊維と芳香族ポリアミド系アラミッドを織り込んだハイブリッド・ウィービング・スキン材を,裏スキンにセル
ロース繊維系スキンを採用した31cm口径イントラプライ・ハイブリッド・ハニカム・コーン・ウーファーを搭載していまし
た。スコーカーには,イントラプライ・ハイブリッド・コーンとSRチタンドームによる12cm口径コーン型ユニットを,トゥイ
ーターには,2.5cm口径DUDボロン・ドーム・トゥイーターを搭載していました。ユニット構成的には上記のDS-77Z
と似ていましたが,フロア形の余裕あるエンクロージャーにマウントされた結果,ブックシェルフ形とは違った明るく張り
出す生きのいいサウンドを持っていました。
 
 
 

スピーカー方式 3ウェイ・バスレフ方式・フロア形防磁
使用スピーカー 低域   31cmコーン型
中域   12cmコーン型
高域   2.5cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 28〜35,000Hz
最大入力 230W
出力音圧レベル 92dB/W
クロスオーバー周波数 450Hz  4,000Hz 
外形寸法 幅400×高さ945×奥行361mm
重量 41.0kg



DS-1000Cの写真
DS-1000C(1989年)
3ウェイバスレフ方式フロア形スピーカー ¥150,000(ネットグリル付・1台)

この当時,ダイヤトーンはトールボーイ型といった感じのフロア形スピーカーをいくつか出してきました。
その中でも最も強力な部類にはいるのがこのDS-1000Cでした。3ウェイですが,ウーファーは,2つ
のユニットを搭載した「スタガードマルチドライブ方式」を採用し,低音域の拡大と豊かな音場を実現して
いました。磁気回路にはADMCが搭載され,低歪みでのスピーカーユニットの駆動を実現していました。
ウーファーは,22cm口径で,表スキンに有機繊維アラミッドと,従来より15%剛性をアップした無機繊
維アモルファスシリカのイントラプライ構造によるアラミッド・ハニカムFRPを採用し,裏スキン材には内部
損失に優れたセルロース系スキンを採用したニュー・アラミッド・ハイブリッド・ハニカム振動板を高剛性
RSフレームにマウントし搭載していました。ミッドレンジは50mmボロンDUDドームユニットを高剛性フ
レーム構造DMにより搭載していました。トゥイーターは,ミッドレンジと同じく23mm口径ボロンDUDド
ームユニットをDMで搭載していました。エンクロージャーは,板厚40mmの二層ラミネート・パーティクル
ボードの使用でさらに高剛性を推進し,ベース材には50mm厚のソリッド材を使用するなど強固なエンク
ロージャーを形成していました。60リットルの容積を持つリア・バスレフ構造により豊かな低音再生をめ
ざした設計は,比較的鳴らしやすさも併せ持っていました。
 
 

スピーカー方式 3ウェイ4スピーカー・バスレフ方式・フロア形防磁
使用スピーカー 低域   22cmコーン型×2
中域   5cmドーム型
高域   2.3cmド−ム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 32〜40,000Hz
最大入力 180W
出力音圧レベル 90dB/W
クロスオーバー周波数 400Hz  500Hz  5,000Hz 
外形寸法 幅320×高さ993×奥行374mm
重量 46.0kg


 
DS-V5000の写真
DS-V5000(1989年)
4ウェイ密閉方式フロア形スピーカー ¥550,000(ネットグリル付・1台)

1989年,DS-V9000の技術を受け継ぎ完成されたフロア形4ウェイスピーカーシステム。DS-V9000
に比べて小型化されたとはいえ,重量はかつてのトップモデルDS-5000に匹敵する大型モデルでした。
ウーファーには,従来のアラミッド繊維に比べ40%も比弾性率を向上させた新開発のスーパーアラミッドを
スキン材に使用した32cm口径スーパー・アラミッド・ハニカム・コーンユニットを搭載し,ミッドバスには18
cm口径スーパー・アラミッド・ハニカム・コーンユニットを搭載してました。また,ミッドバスユニットには,DS
-V9000同様バックチャンバーが設けられ,定在波を抑制していました。ウーファーとミッドバスを駆動する
磁気回路には,ADMCをさらに改良したADMC-iが搭載されていました。ミッドハイ及びトゥイーターには,
それぞれ6cm口径,2.3cm口径のBCドーム型ニットを踏査していました。DUD,DM構造に加え,新た
に,音放射を美しくするために,ユニット表面形状を平らに設計したフラットサーフェスと他ユニットとの干渉を
低減するマイクロドームズが開発され搭載されていました。


 
スピーカー方式 4ウェイ・4スピーカー・密閉方式フロア形防磁タイプ
使用スピーカー 低音用    32cmコーン型
中低音用  18cmコーン型
中高音用  6.0cmドーム型
高音用    2.3cmドーム型
公称インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 23〜80,000Hz
最大入力 180W
出力音圧レベル 91dB/W
クロスオーバー周波数 320Hz  1,200Hz  4,500Hz 
外形寸法 幅510×高さ1000×奥行420mm
重量 84kg


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