1999年夏をもって民生用オーディオスピーカーから撤退したDIATONE。
その50年以上の歴史の中で日本のスピーカーに与えた影響,残した足跡は
計り知れないものがあります。ここでは,そのDIATONEのスピーカーの名機
たちを振り返ってみたいと思います。
その1 1947年〜1979年
P−62F(1947年)かつてダイアトーンがNHKと共同開発でスピーカーを開発していたことは有名なこと
ですが,このP−62Fは1947年に完成した後の名器P−610シリーズ直系のスピ
ーカーユニットでした。コルゲーション付きのシームレスコーンを採用し,東工大におい
て1930年に開発されたOP(オキサイド・パウダー)磁石が使われていました。当時
「整合共振型フルレンジスピーカー」と称していました。愛宕山の「放送博物館」に「国
産初のモニタースピーカー」として陳列されているそうです。
2S-305(1958年)
2ウェイ・バスレフ方式・フロア形 ¥47,000(1台・1958年当時NHK納入価格)
¥56,000(1台・1968年当時)
¥250,000(1台・1979年当時)
¥350,000(1台・1986年当時)
ダイヤトーンの名を広く知らしめることになったプロ用モニタースピーカーの名器です。
NHKの放送用モニターとして納入され,その後ロングセラーを誇ったモデルでした。
30cmと5cmの2ウェイバスレフ形で,決してワイドレンジではないが正確な位相と
バランスの良さがすばらしいモデルでした。そこには,ウーファーの高域特性をメカニ
カルにコントロールして,トゥイーターはコンデンサー1発で下を切り,能率はネットワ
ークによらず,ユニットの能率で合わせるというシンプルな作りがネットワークの害を
避け,素直な音につながっていたようです。エンクロージャーの作りの良さも見事でし
た。1台1台に無響室での実測データを添付するというのもいかにもプロ用という感じ
でした。
スピーカー方式 | 2ウェイ・バスレフ方式2ウェイ |
使用スピーカー | 低音用 30cmコーン型
高音用 5cmコーン型 |
公称インピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 50〜15,000Hz |
定格入力 | 20W |
最大入力 | 60W |
出力音圧レベル | 96dB/W |
クロスオーバー周波数 | 1,500Hz |
外形寸法 | 幅650×高さ880×奥行445mm |
重量 | 45kg |
P−610A(1960年)
フルレンジ・スピーカーユニット ¥2,800言わずと知れたロクハン(6.5インチつまり16cm口径のスピーカーユニット)の名器です。
1960年に完成し,多くの自作マニアたちに愛好され,異例のロングセラーを続けたことは
よくご存じでしょう。このP−610シリーズには種類があり,インピーダンス16ΩのBTS規
格品(NHKの放送技術規格に適合)のP−610A,一般向けの8ΩのP−610B,JIS規
格品の16ΩタイプのP−610AJ,600Ωマッチングトランス付BTS規格品のP−610Tな
どがありました。そのため,P−610シリーズのユニットのフレームにはトランスを取り付ける
ためのネジ穴が付いていました。
口径 | 16cm |
定格入力 | 3W |
公称インピーダンス | 16Ω |
低域共振周波数 | 80Hz |
再生周波数帯域 | 80〜13,000Hz |
出力音圧レベル | 91dB/W |
重量 | 0.75kg |
2S-208(1960年)
2ウェイ・バスレフ方式フロア形 ¥39,000(1台・1968年当時)
¥210,000(1台・1986年当時)1960年に,NHKとの共同開発により誕生した2S-305より小型の2ウェイスタジオモニタースピーカー
でした。20cmコーン形ウーファーと5cmコーン形トゥイーターによるシンプルな2ウェイシステムで,基本的
な設計は2S-305ゆずりで,素直な音が好評を呼び,これもロングセラーを続けました。
スピーカー方式 | 2ウェイ・バスレフ方式2ウェイ |
使用スピーカー | 低音用 20cmコーン型
高音用 5cmコーン型 |
公称インピーダンス | 16Ω |
再生周波数帯域 | 60〜15,000Hz |
定格入力 | 10W |
最大入力 | 20W |
出力音圧レベル | 94dB/W |
クロスオーバー周波数 | 2,000Hz |
外形寸法 | 幅530×高さ700×奥行315mm |
重量 | 20kg |
DS-301(1970年)
4ウェイ・アコースティックエアーサスペンション方式
ブックシェルフ型 ¥75,000ダイヤトーンが1970年に発売した4ウェイブックシェルフ形スピーカー。当時,世界を席巻して
いたARのエアサスペンション方式のブックシェルフ形スピーカーに対抗すべくダイヤトーンが
発売したブックシェルフ形スピーカーシステム。ARに負けじと3ウェイ構成にアルミ振動板によ
るスーパートゥイーターを加えた4ウェイスピーカーとして登場し,ワイドレンジを追求した意欲作
として人気を得ました。
スピーカー方式 4ウェイ・完全密閉型4ウェイ 使用スピーカー 低域 30cmコーン型
中域 5cmドーム型
高域 3mドーム型
超高域 3cmドーム型公称インピーダンス 8Ω 再生周波数帯域 30〜25,000Hz 出力音圧レベル 90dB/W クロスオーバー周波数 1,500Hz 6,000Hz 10,000Hz 外形寸法 幅360×高さ585×奥行286mm 重量 22.2kg
DS-31CMKU(1970年)
3ウェイ密閉方式コンソール形 ¥48,000(1本)1968年に発売されたDS-31Cの改良モデルで,DSシリーズ第3弾の1台として発売
されました。低音用に30cmと20cmの2個のウーファーを搭載したダブルドライブ方式
を採用し,2本のウーファーのチューニングをうまく調整することでダンピングよい重低音
と滑らかな中低音の再生をめざしていました。トゥイーターには特殊ゴムのサスペンショ
ンにより制動をかけた5cmコーン形を2個搭載し,さらに3cmメタルコーンによるスーパ
ートゥイーターを搭載して繊細な高音再生を実現していました。
スピーカー方式 3ウェイ密閉方式 種類 コンソール形 使用スピーカー 低音用 30cm×1,20cm×1
高音用 5cm×2
超高音用 3cm×1公称インピーダンス 4Ω 再生周波数帯域 30〜25,000Hz 出力音圧レベル 100dB/VA クロスオーバー周波数 2,000Hz 10,000Hz 外形寸法 幅490×高さ800×奥行340mm 重量 30kg
DS-251(1970年)
3ウェイ・ブックシェルフ型 ¥25,000ダイヤトーンが1970年に発売し,たちまちベストセラーになったブックシェルフ型
スピーカーシステムです。今風に言えば2ウェイプラススーパートゥイーターという構
成で,スーパートゥイーターは,背面に3段階のレベル切替があり,これにより音の
変化を楽しめました。2S-305に通じるといわれた高域までフラットな特性が人気を
呼びました。コンシューマー向けのDSシリーズが初めて発売されたのが1968年。
その2年後に花開いたDSシリーズ初のベストセラー機でした。
スピーカー方式 | 3ウェイ・完全密閉型2ウェイ |
使用スピーカー | 低域 25cmコーン型
高域 5cmコーン型 超高域 3cmコーン型 |
公称インピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 40〜25,000Hz |
最大入力 | 40W |
出力音圧レベル | 97dB/W |
クロスオーバー周波数 | 2,000Hz 10,000Hz |
外形寸法 | 幅315×高さ525×奥行215mm |
重量 | 10kg |
DS-251MKU(1973年)
3ウェイ・ブックシェルフ型 ¥32,0001970年に発売したベストセラー機DS-251の改良型でこれもベストセラーとなりました。
エンクロージャーが強化されてやや大きくなっていました。それにともない,売り物である
スーパートゥイーターのレベルコントロールが前面バッフルに移され,操作しやすくなってい
ました。
スピーカー方式 3ウェイ・完全密閉型2ウェイ 使用スピーカー 低域 25cmコーン型
高域 5cmコーン型
超高域 3cmコーン型公称インピーダンス 8Ω 再生周波数帯域 40〜25,000Hz 最大入力 40W 出力音圧レベル 91dB/W(新JIS) クロスオーバー周波数 2,000Hz 10,000Hz 外形寸法 幅315×高さ525×奥行240mm 重量 12kg
DS-303(1974年)
4ウェイ密閉型ブックシェルフ形スピーカー ¥125,000
ダイヤトーンが1974年に発売した4ウェイ密閉型スピーカーシステム。1971年発売の
DS-301をベースに発展改善が加えられた高級ブックシェルフ形スピーカーシステムで
した。基本的には,3ウェイ+スーパートゥイーターという形のシステムで,ワイドレンジを
志向していたものです。ウーファーは,DS-301に使われていたものの改良型で,30cm
口径のパルプコーンユニットでした。スコーカーは,60mm口径の布にフェノールレンジを
含浸させたものをプレスしたものでアルミニウムのボイスコイルボビンと140mm径の大型
フェライトマグネットを使用した新開発のドーム型ユニットでした。トゥイーターは,パルプを
高圧成形したダイアフラムと発泡ポリウレタンをサンドイッチ構造にしたもので,表面をシリ
コンゴムでコーティングした独特のエッジを持っていました。スーパートゥイーターは,直径
19mm厚さ50ミクロンの軟質アルミニウムを使ったドーム型でした。DS-301そして,この
DS-303を通じての4ウェイシステムへの挑戦は,後のDS-505,DS-3000等の高性
能4ウェイシステムへと発展していきました。
スピーカー方式 | 4ウェイ・完全密閉型4ウェイ |
使用スピーカー | 低域 30cmコーン型
中域 6cmドーム型 高域 2.3mドーム型 超高域 1.6cmドーム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 30〜35,000Hz |
出力音圧レベル | 90dB/W |
クロスオーバー周波数 | 600Hz 5,000Hz 10,000Hz |
外形寸法 | 幅360×高さ620×奥行328mm |
重量 | 34kg |
DS-28B(1974年)
3ウェイ・密閉方式ブックシェルフ形 ¥45,000(サランネット付,1本)DSシリーズの第7弾として出されたブックシェルフ形スピーカーの主力モデルでした。翌年の
1975年にはDS-251以来のベストセラーとなりました。ウーファーは,アルニコ系の鍛造マグ
ネットを搭載した強靱なパルプコーンの25cm口径ユニット。それにカテナリー曲線にそって設計
されV字型クロスエッジを持つ10cmコーン型スコーカーとポリエステル樹脂系振動板を使用した
ドーム型トゥイーターを搭載し,鳴りっぷりの良さが人気を得ました。
スピーカー方式 3ウェイ・密閉方式ブックシェルフ形 使用スピーカー 低域 25cmコーン型
中域 10cmコーン型
高域 3cmド−ム型公称インピーダンス 8Ω 再生周波数帯域 40〜20,000Hz 最大入力 50W 出力音圧レベル 91dB/W クロスオーバー周波数 800Hz 5,000Hz 外形寸法 幅345×高さ590×奥行270mm 重量 15kg
DS-50CS(1975年)
3ウェイ・バスレフ方式フロア形 ¥90,000(サランネット付,1本)DSシリーズ第8弾として発売された3ウェイのフロア形システム。アルニコ鍛造マグネットを
使用した30cmコーン型ウーファーをベースに,12cmコーン型スコーカーと高圧プレスをか
けたパルプダイヤフラムによる2.3cmドーム型トゥイーターを搭載していました。ウーファー
とスコーカーにはダンピング塗料を塗布したクロスエッジを採用していました。高さ90cm近
い大型のバスレフエンクロージャーによりエネルギッシュな音を実現していました。
インディアンローズウッド仕上げのDS-50CSの他に白いボディのDS-50C(¥88,000)
もありました。
スピーカー方式 3ウェイ・バスレフ方式 使用スピーカー 低域 30cmコーン型
中域 12cmコーン型
高域 2.3cmド−ム型公称インピーダンス 6Ω 再生周波数帯域 25〜20,000Hz 最大入力 80W 出力音圧レベル 92dB/W クロスオーバー周波数 600Hz 5,000Hz 外形寸法 幅425×高さ890×奥行390mm 重量 35kg
DS-38B(1975年)
3ウェイ密閉方式ブックシェルフ型 ¥63,000DSシリーズ第8弾としてDS-50CSとともに発売されたブックシェルフ型スピーカー。DS-50CS
と同じユニットを搭載し,「ブックシェルフを超える雄大さ」のうたい文句のもと,30cm,12cmコーン
型,2.3cmドーム型というブックシェルフ型としてはかなり大きな3ウェイシステムとして作り上げら
れていました。DS-50CSに比べると切れのよい引き締まった音が特徴でした。
スピーカー方式 3ウェイ密閉方式 使用スピーカー 低域 30cmコーン型
中域 12cmコーン型
高域 2.3cmド−ム型公称インピーダンス 6Ω 再生周波数帯域 25〜20,000Hz 最大入力 80W 出力音圧レベル 92dB/W クロスオーバー周波数 600Hz 5,000Hz 外形寸法 幅390×高さ665×奥行280mm 重量 23kg
KB-610H(1975年)
2ウェイ3スピーカーCW形バックローディングホーンシステム
¥38,000(キット・1本)16cmフルレンジユニットの名機P-610シリーズの中のP-610AJを用いたバックロードホーン
システムのキット。シナ材のランバーコア合板19mmによるキャビネットに単体で売られていた
スピーカーユニットP-610AJ(¥2,500)2本と,5cmトゥイーターTW-503(¥2,300)を
セットにしたキットで,ダイヤトーンの歴史の中でも非常に珍しいモデルでした。ちょうどこのころ
突然訪れたバックロードホーンのブームの産物ともいえました。
スピーカー方式 2ウェイ3スピーカーシステム エンクロージャー バックローディングホーン 使用スピーカー P-610AJ形(16cm)
TW-503形(5cm)公称インピーダンス 8Ω 再生周波数帯域 60〜20,000Hz 最大入力 20W 出力音圧レベル 95dB/W 外形寸法 幅468×高さ1,014×奥行400mm 重量 27kg
DS-261(1976年)
3ウェイ・アコースティック・エアーサスペンション方式ブックシェルフ型
¥38,000(1本)DSシリーズ第8弾として発売された3ウェイスピーカー。DS-251,251MKUを受け継ぐモデル
として発売され,25cmウーファー,5cmトゥイーター,プラススーパートゥイーターという構成はそ
のままに,ユニットは新開発され,ダイカストフレームが全ユニットに採用されていました。トゥイー
ターも1.6cm口径のドーム型になっていました。エンクロージャーは新構造のV型補強桟等で補
強が強化され,現代的なスタイリッシュなものにモデルチェンジしていました。
スピーカー方式 3ウェイ・アコースティック・エアーサスペンション方式 使用スピーカー 低域 25cmコーン型
高域 5cmコーン型
超高域 1.6cmドーム型公称インピーダンス 6Ω 再生周波数帯域 40〜25,000Hz 最大入力 60W 出力音圧レベル 91dB/W(新JIS) クロスオーバー周波数 1,500Hz 10,000Hz 外形寸法 幅315×高さ545×奥行265mm 重量 12kg
DS-35B(1976年)3ウェイによるワイドレンジを追求した密閉型ブックシェルフスピーカー。ウーファーは紙コーンを使用
した30cm口径,スコーカーは紙コーンにポリエステルフィルムによるエッジを採用した10cmコーン
型を搭載していました。トゥイーターには,GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を振動板に使用した
3cmドーム型ユニットを搭載していました。DS-40Cとともに磁化特性の直線性に優れた磁性合金
による新開発の低歪み磁気回路が採用されていました。
スピーカー方式 | 3ウェイ・密閉方式 |
使用スピーカー | 低域 30cmコーン型
中域 10cmコーン型 高域 3cmド−ム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 35〜20,000Hz |
最大入力 | 80W |
出力音圧レベル | 91dB/W |
クロスオーバー周波数 | 800Hz 5,000Hz |
外形寸法 | 幅365×高さ655×奥行321mm |
重量 | 21kg |
DS-40C(1976年)
2ウェイ・バスレフ方式フロア形 ¥68,000(サランネット付,1本)
DSシリーズ第9弾の一つとして発売された2ウェイスピーカー。当時の同社の民生用2ウェイ
としては最大級のモデルで,堂々たるフロア形のシステムでした。ウーファーはコルゲーション
入りのゆるいカーブドコーンで,30cm口径のパルプコーンでした。ウーファーのボイスコイルに
特殊ゴム製のダンプスプリングを装着し,一種のメカニカルフィルターの役割をさせることでウー
ファーの高域特性を改善してトゥイーターとのつながりをよくする工夫がされていました。トゥイー
ターは5cmセミドーム型で,ウーファーとともに精密に加工されたダイカストフレームでバッフル
に強固に固定されていました。バスレフ方式の大型エンクロージャーによりしっかりした低域再
生に支えられた解像度の高い音を誇りました。
スピーカー方式 | 2ウェイ・バスレフ方式 |
使用スピーカー | 低音用 30cmコーン型
高音用 5cmセミド−ム型 |
公称インピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 30〜20,000Hz |
最大入力 | 80W |
出力音圧レベル | 92dB/W |
クロスオーバー周波数 | 1,500Hz |
外形寸法 | 幅395×高さ840×奥行405mm |
重量 | 32kg |
DIATONEF1(1977年)
2ウェイ・バスレフ方式ブックシェルフ型 ¥47,000(1本)ダイヤトーンがヤング向けとしてファッショナブルで個性的なデザインをうたい文句に発売した
2ウェイスピーカー。ウーファーは30cmコーン型で強力な磁気回路により96dB/W以上の
能率を誇る強力なものを搭載し,トゥイーターにはボイスコイル径を大きくし周波数特性を広げ
た5cmセミドーム型を搭載していました。バスレフダクトをウーファーとトゥイーターの間に設け
突き出した形状とすることで,ウーファーとトゥイーターを隔て,ウーファーからトゥイーターへの
影響を抑えることをねらっていました。ヤング向けと称するだけあって,鳴りっぷりのいいパワ
フルな音を持っていました。
スピーカー方式 | 2ウェイ・バスレフ方式 |
使用スピーカー | 低音用 30cmコーン型
高音用 5cmセミド−ム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 35〜20,000Hz |
最大入力 | 60W |
出力音圧レベル | 93dB/W |
クロスオーバー周波数 | 1,500Hz |
外形寸法 | 幅370×高さ670×奥行350mm |
重量 | 25kg |
DS-5B(1977年)
2ウェイ・アコースティック・エアーサスペンション方式小形スピーカー
¥26,000(1本)1975年,ドイツ製のヴィソニック・ダヴィッドという小型スピーカーがきっかけとなって小型スピ
ーカーのブームが起こり,その中でダイヤトーンも本格的な作りの小型スピーカーDS-5Bを
発売しました。10cmコーン型ウーファーと2.3cmドーム型トゥイーターによる2ウェイで,小
形の密閉型エンクロージャーによってかかる空気の背圧をコーンのサスペンションの一部と
して使うというアコースティックエアーサスペンション方式を採用し,大入力に耐えるブチルゴ
ム製エッジとともに小型ながらシステムとしてのfo(最低共振周波数)を80Hzに下げ,かな
りしっかりした低音再生を可能にしていました。エンクロージャーもアルミダイカスト製のしっか
りしたもので,パンチングメタルとともに精悍なデザインとなっていました。
スピーカー方式 2ウェイ・アコースティック・エアーサスペンション方式 使用スピーカー 低音用 10cmコーン型
高音用 2.3cmド−ム型公称インピーダンス 8Ω 再生周波数帯域 40〜20,000Hz 最大入力 60W 出力音圧レベル 84dB/W クロスオーバー周波数 5,000Hz 外形寸法 幅130×高さ210×奥行130mm 重量 3.6kg
DS-30B(1977年)
2ウェイ・バスレフ方式ブックシェルフ型DS-5BとともにDSシリーズ第10弾として発売された2ウェイスピーカー。パルプをエアードライ方式
で成型した新開発の30cmカーブドコーンを直径140mmの大型フェライトマグネットで駆動する30cm
ウーファーをベースに,チタン製センターキャップを採用した6cmコーン型トゥイーターを搭載した2ウェイ
で,DS-40Cの弟機的存在で,同社のブックシェルフ型2ウェイとしては当時最大の1台でした。共振
や定在波を抑えたトライアングルダクトによるバスレフ方式のエンクロージャーを採用し,ダイナミックで
クリアな音を実現していました。
スピーカー方式 2ウェイ・バスレフ方式 使用スピーカー 低音用 30cmコーン型
高音用 6cmコーン型公称インピーダンス 8Ω 再生周波数帯域 40〜20,000Hz 最大入力 60W 出力音圧レベル 92dB/W クロスオーバー周波数 1,500Hz 外形寸法 幅370×高さ630×奥行301mm 重量 20kg
MONITOR-1(4S-4002P形)(1977年)
4ウェイ・パッシブラジエータ方式・フロア形 ¥1,000,000(サランネット付,1本)ダイヤトーンが1977年に,デジタル機器に対応する新世代のモニタースピーカーとして開発した
大型のフロア形スピーカーでした。40cm口径のウーファーには,この年三菱が開発したアルミニ
ウムハニカムコアにカーボンファイバー混入プラスチックスキンを両面に処理したハニカムコーンユ
ニットを搭載し,同じ口径のCFRP(カーボンファイバー混入の強化プラスチック)製のパッシブラジ
エータも搭載されていました。18cm口径のミッドレンジユニットにも同じくハニカムコーンユニットが
搭載されていました。5cm口径のトゥイーターには,アルミコーンユニット,2.3cm口径のスーパー
トゥイーターにはアルミドームユニットが搭載されていました。大音量再生を前提としたプロ用でした
ので,一般ユーザーには使いやすいものではありませんでしたが,重量135kgもの超弩級モニター
スピーカーシステムで,ダイヤトーンの高い技術水準を示していました。
スピーカー方式 | 4ウェイ・パッシブラジエータ方式 |
使用スピーカー | 低域 40cmコーン型
中域 18cmコーン型 高域 5cmコーン型 超高域 2.3cmドーム型 |
公称インピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 20〜35,000Hz |
最大入力 | 300W |
出力音圧レベル | 93dB/W |
クロスオーバー周波数 | 400Hz 2,000Hz 7,000Hz |
外形寸法 | 幅662×高さ1336×奥行578mm |
重量 | 135kg |
DS-90C(1977年)
3ウェイ・バスレフ方式・フロア形 ¥190,000(サランネット付,1本)ダイヤトーンが上記のMONITOR-1と同じ年に発売したフロア形スピーカーシステム。民生用
として同社では初めてハニカムコーンユニットを採用したのがこのDS−90Cでした。40cm口径
ものウーファーが実現できたのも,高い剛性を持つハニカムコーンならではだったと思われます。
うまく使いこなすと,どっしりしたワイドレンジの音を聴かせてくれました。このDS−90Cでは,ハ
ニカムコーンユニットはウーファーだけでしたが,ダイヤトーンはこれ以降,ハニカム構造のユニット
を一貫して採用し,適用範囲もミッドレンジにも広げてゆき,すぐれたユニットに支えられたすぐれ
たスピーカーシステムを作り続けていきます。
スピーカー方式 | 3ウェイ・バスレフ方式 |
使用スピーカー | 低域 40cmコーン型
中域 16cmコーン型 高域 5cmセミド−ム型 |
公称インピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 20〜20,000Hz |
最大入力 | 100W |
出力音圧レベル | 95dB/W |
クロスオーバー周波数 | 350Hz 3,500Hz |
外形寸法 | 幅570×高さ1075×奥行480mm |
重量 | 75kg |
DS-70C(1977年)
3ウェイ・バスレフ方式フロア形 ¥130,000(サランネット付,1本)DSシリーズ第11弾として登場したDS-90Cの弟機。ウーファーにはDS−90C譲りに33cm口径の
ハニカムコーンを搭載していました。スコーカーには12cmコーン型,トゥイーターには,GFRPを使用し
た4cmセミドーム型を搭載していました。DS-90Cの弟機とはいえ堂々たる音を持ったフロア形シス
テムでした。
スピーカー方式 3ウェイ・バスレフ方式 使用スピーカー 低域 33cmコーン型
中域 12cmコーン型
高域 4cmセミド−ム型公称インピーダンス 8Ω 再生周波数帯域 25〜20,000Hz 最大入力 80W 出力音圧レベル 92dB/W クロスオーバー周波数 500Hz 5,000Hz 外形寸法 幅470×高さ930×奥行397mm 重量 49kg
DS-401(1978年)
3ウェイ・アコースティック・エアーサスペンション方式ブックシェルフ形
¥82,000(サランネット付,1本)DSシリーズ第11弾として発売されたブックシェルフ形システムとしては最も上級のモデルで
民生用としてDS-90Cに初搭載されたハニカムコーンを搭載したモデルでした。ウーファーは
30cm口径でハニカム構造ならではの高い剛性を誇りました。スコーカーは軽量化を図った10
cm口径パルプコーンでセンターキャップに制動をかけて付帯雑音を除く設計になっていました。
トゥイーターはGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を採用した4cmセミドーム型でした。伸び
のある低音をベースにしたワイドレンジな音を誇りました。
スピーカー方式 | 3ウェイ・アコースティック・エアー・サスペンション方式 |
使用スピーカー | 低域 30cmコーン型
中域 10cmコーン型 高域 4cmセミド−ム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 30〜20,000Hz |
最大入力 | 80W |
出力音圧レベル | 89dB/W |
クロスオーバー周波数 | 500Hz 5,000Hz |
外形寸法 | 幅370×高さ675×奥行326mm |
重量 | 25kg |
DS-35BMKU(1978年)
3ウェイ・密閉方式ブックシェルフ形 ¥55,000(サランネット付,1本)
1978年に発売されたDSシリーズ第11弾の主力モデル。1976年に発売されたDS−35Bの
流れを汲み,3ウェイによるワイドレンジを追求していました。ウーファーは新開発の真空成形方式
による紙コーンを使用し,さらに太いコルゲーションを入れた30cm口径,スコーカーは紙コーンに
ポリエステルフィルムによるエッジを採用した10cmコーン型を搭載していました。トゥイーターには
GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を振動板に使用した3cmドーム型ユニットを搭載していまし
た。
スピーカー方式 | 3ウェイ・密閉方式 |
使用スピーカー | 低域 30cmコーン型
中域 10cmコーン型 高域 3cmド−ム型 |
公称インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 35〜20,000Hz |
最大入力 | 80W |
出力音圧レベル | 90dB/W |
クロスオーバー周波数 | 600Hz 5,000Hz |
外形寸法 | 幅365×高さ655×奥行331mm |
重量 | 21kg |
DS-32B(1979年)
3ウェイ・バスレフ方式ブックシェルフ形 ¥42,000(サランネット付,1本)1979年にダイヤトーンが発売したDSシリーズ第12弾の主力モデル。パルプコーンによる3ウェイ
システムで,ウーファーは低いプレス圧による25cm口径,スコーカーはコルゲーション入りの10cm
口径,トゥイーターは,チタンドームのセンターキャップを持つ4cmコーン型と,ハニカムコーン採用以
前の伝統的な形を守ったシステムとしては最後の世代に当たるモデルでした。
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