CS-H9の写真
PIONEER  CS-H9
FLOOR TYPE SPEAKER SYSTEM ¥160,000

1974年に,パイオニアが発売した大型のフロア型スピーカーシステム。メーカー製のスピーカー
システムとしては,数少ないオールホーン型システムで,当時のパイオニアブランドの最高級機で
白木の外観が特徴的な1台でした。

低音部は,フロントローデッドホーンで,ショートホーンタイプでした。ウーファーユニットは,30cm
口径のコーン型で,ショートホーンのドライバーとして使用する目的に合わせ て,コルゲーション付き
フラット深型の形状がとられていました。振動板には,新素材のカーボンファイバーを混抄したもの
を採用していました。磁気回路は,大型のフェライトマグネットを搭載し,高能率で歯切れのよい低音
を実現していました。

CS-H9のウーファー部CS-H9のミッドハイユニット

中・高音部は,マルチセルラホーン型で,当時単売されていたPH-101ホーンユニットとPD-100ド
ライバーユニット同等のものを搭載していました。ホーンユニットとしては,カットオフ周波数350Hzで
10分割した形状を持ち,十分な肉厚のアルミダイキャスト製で,ホーン鳴きも抑えられていました。
ドライバーの振動板は,アルミ軽合金箔を使用したものでした。エッジには安定性のある特殊制動剤
がコーティングされ,エッジの共振が抑えられていました。バックチャンバーには,グラスウールが満た
され,さらにチャンバーの途中に制動紙による細隙を設けて空気制御が加えられ,立ち上がり付近や
f0近くでの歪が抑えられ,フラットな周波数特性が実現されていました。また,アルミ巻線ボイスコイル
で,振動計の軽量化が行われ,過渡特性の向上が図られていました。

ネットワークには,大型フェライトコアと1.2mmの線径の太い巻線を使用したチョークコイル,定損失
の少ないマイラーフィルムコンデンサーと高耐圧のバイポーラコンデンサーが使用されていました。プ
リント基板も電流容量の大きいパターンと余裕のある部品配置で,安定度の高い伝送特性を実現して
いました。さらに,LOW・HIGH部ともインピーダンス補正回路が挿入され,すぐれた過渡特性と低歪
率が得られていました。

リアの端子部

キャビネットは,ラワン合板と硬質パーチクルボードを組み合わせたもので,表面には栓単板貼りのオイル
仕上げとなっていました。低音域はフロントローデッドホーンで過渡特性の向上を図り,特殊位相反転キャ
ビネットとの相乗効果とキャビネット背面に音響抵抗をもつマルチホールの採用により,中低音のヌケの
良さを実現していました。内部の音響処理は,吸音材の素材と配置を十分検討して定在波の防止と中低
音の音質改善が図られていました。また,マルチチャンネルアンプ用としても使える専用端子が付属して
いました。

以上のように,CS-H9は,当時のパイオニアブランドでの最上級機として,また,メーカー製スピーカーシ
ステムとしては数少ないオールホーン型システムとして,個性を発揮していました。オールホーン型により
100dB/Wという高能率を確保し,ヌケのよい明るい音を実現していました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



ホーンのリニアリティの良さが,
家庭でも生かせる
オールホーンタイプの
スピーカーシステム。


◎カーボンファイバーコンを採用した
 新設計の30cmウーファー
◎すぐれた過渡特性で超高域まで繊細な
 マルチセルラホーン型ミッドハイユニット
◎きめ細かい配慮を施したネットワーク
◎格調あるキャビネット




●CS-H9の規格●

キャビネット型式
フロントローデッドホーン型
使用スピーカー
低音用:30cmコーン型
中・高音用:マルチセルラホーン型
インピーダンス
8Ω
再生周波数帯域
40〜18,000Hz
出力音圧レベル
100dB/W
最大入力
100W
クロスオーバー周波数
1kHz
(マルチチャンネルアンプの時:900Hz)
外形寸法
600W×960H×450Dmm
重量
46.2kg


※本ページに掲載したCS-H9の写真,仕様表等は1974年7月
 のパイオニアのカタログより抜粋したもので,パイオニア株式
 会社に著作権があります。したがってこれらの写真等を無断で
 転載,引用等をすることは法律で禁じられていますのでご注意
 ください。


 

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