CP-3830の写真
gauss  OPTONICA CP-3830
3WAY STUDIO MONITOR SPEAKER SYSTEM 
                           ¥880,000


1979年にシャープが発売したモニタースピーカー。アメリカのガウス社製のユニットをシャープ・
オプトニカ製のエンクロージャーにおさめスピーカーシステムとして作り上げたユニークなスピー
カーで,JBL,ALTEC等のアメリカ製のモニタースピーカーを思わせる堂々たるモニタースピー
カーとして仕上げられていました。

ガウス(gauss)社は,1970年代に入って登場してきたアメリカのスピーカーブランドで,JBLを
退職して,自らの理想とするスピーカー作りをめざしたバート・ロカンシーとエド・メイによて設立さ
れました。業務用ユニット,ラウドスピーカーの分野で高い評価を得ていました。特に,ウーファー
ユニットはJBLよりも強力という評価も得ていたものでした。
シャープは1979年に日本での総代理店となり,技術面での提携も行っていました。また,ガウス
のスピーカーそのものも,シャープが代理店になってから日本でもよく知られるようになりました。
CP-3830は,ガウス製のスピーカーユニットにシャープの独自開発のエンクロージャーを組み合
わせたスピーカーシステムで,日米合作ともいえそうなユニークな1台でした。

CP-3830のユニット群

ウーファーは,ガウス31シリーズの5831Fを搭載していました。38cm口径のコーン型ユニット
で,アルニコマグネットにる駆動系を持っていました。Fのつく5831Fは,ウレタンロールエッジ,
スタジオモニターのバスレフ型用に開発されたハイコンプライアンス,ローQ(最低共振周波数・
18Hz)のユニットで,高能率(97dB/W/m)と大入力設計(300W・最大入力)の強力なユニット
でした。アルニコマグネット部分には放熱フィンが設けられているのもスタジオモニター等の用途
を感じさせるところでした。ハイパワーウーファーながら,こもりの少ない腰の強い低音再生を実
現していました。

中音域には,ガウス・コンプレッションドライバーHF-4000をオプトニカオリジナルのディフレクシ
ョンホーン4110と組み合わせて搭載していました。HF-4000は,当時世界的にも定評を得て
いたドライバーで,高域までレスポンスがよく歯切れのよい中音域再生を可能とし,ディフレクシ
ョンホーンにより,広い指向性を実現していました。

トゥイーターには,新設計のガウス1502を搭載していました。このユニットは,大型フィン付き
磁束密度20,000ガウスの磁気回路を持ち,エッジワイズ巻のアルミボイスコイルを搭載して
いました。ダイアフラムは精度よく成型された3.8cm口径のアルミ合金製で,独自の精密加工
マルチイコライザー設計のホーン型トゥイーターでした。

エンクロージャーは,強力なユニットを支える堅牢な作りで,ホワイトコーティング仕上げとなって
いました。また,指向性の乱れを少なくするため,フロントバッフルはエッジレスタイプとなってい
ました。ネットワークは,厳選されたパーツを使用した低損失ネットワークを搭載していました。

以上のように,CP-3830は,シャープ・オプトニカが,ガウス社製のすぐれたユニットを活用し
て作り上げた大型のモニタースピーカーで,アメリカのガウスのユニットを生かして低域の量感
のあるしっかりした音をもっていました。しかし,そのような音の中にも日本で開発されたスピー
カーシステムらしく荒々しさは少なく,思った以上に繊細な再現力も持っていたのは興味深いこ
とです。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



音楽に新しい次元をひらく,
あのガウスがシステムになった。
分解能の良さ,鋭い切れ味,
スタジオモニターと呼ぶに
ふさわしい信頼性がここにある。


●耐入力,能率,歪率などスタジオモニター
としてのクオリティを極限まで追求した3ウェイ
システムです。使用ユニットはもちろん,プロ
ユースとして要求される耐久性,安定性に圧
倒的な能力を発揮するプロフェッショナルガウ
ス。ピアノ,ドラムなどの見事な立上がりと切れ
味,鮮烈なアタック感とダイナミックスです。
それでいてピーク感がないのは,まさにユニ
ットの素性の良さのあらわれといえます。リア
ルな再現性に挑み音楽の感動をストレートに
伝える圧巻のシステム。厚み,奥行,柔かさと
トータルバランスで音楽性に新次元を拓きました。




●CP-3830主な仕様●

キャビネット形式
フロアー形バスレフタイプ3ウェイ
使用ユニット
ガウス5831Fフリーエッジウーファー
ガウスHF-4000コンプレッションドライバー
オプトニカ4110ディフレクションホーン
ガウス1502ホーントゥイーター
再生帯域
30〜20,000Hz
クロスオーバー周波数
800Hz,7,000Hz
最大入力
300W
インピーダンス
8Ω
出力音圧レベル
100dB/W/m
内容積
180リットル
外形寸法
620W×980H×566Dmm
重量
75kg
付属機構
高音用連続可変型レベルコントローラー
中音用連続可変型レベルコントローラー
マルチアンプ用駆動ターミナル




●マルチシステムで使用時の各ユニット定格●

 
ウーファー
スコーカー
トゥイーター
音圧レベル(dB/W/m)
97
110
113
インピーダンス(Ω)

16

定格入力(W)
150
40
30
推奨クロスーオーバー
周波数(Hz)
                         800               7,000

減衰量(dB/oct)               12                 12



CP-3820の写真
gauss OPTONICA CP-3820
2WAY STUDIO MONITOR SPEAKER SYSTEM 
                           ¥495,000


フロア型3ウェイのCP-3830の弟機として2ウェイのCP-3820も発売されていました。
CP-3830よりやや小型のキャビネットに同じく38cm口径のウーファーを納めたもので
こちらも堂々たる大型のモニタースピーカーでした。

ウーファーには,ガウス31シリーズの5831が搭載されていました。5831は,38cm口
径のコーン型で,5831Fとほぼ同一の仕様ながら,ウレタンエッジの5831Fに対して4つ
山のクロスエッジで,最低共振周波数は5831Fよりやや高めの32Hzとなっていましたが
こちらもガウスならではの強力なウーファーユニットでした。

CP-3820のユニット群

中高音域には,コンプレッションドライバーガウスHF-4000にオプトニカ製のショートホー
ンを組み合わせた構成がとられていました。このショートホーンは,拡がり係数を工夫する
ことで奥行き寸法が同程度のショートホーンに比べカットオフ周波数付近の負荷のかかり
を良くしたもので,F特の暴れが少ないという特長を持っていました。
また,ショートホーン前面には音響レンズが設けられ,中高音域の指向特性が改善され,
30°方向の指向特性は15,000Hz付近まで軸上特性とほとんど差がないものとなってい
ました。

エンクロージャーは,堅牢な作りで,落ち着いた色調のウォルナット突き板仕上げとなってい
ました。また,ガウスホーントゥイーター1502が取り付けられる構造となっており,3ウェイシ
ステムへのグレードアップが図れるようになっていました。中高音域の取付部分はサブバッフ
ル板構造となっており,左右の入れ替えができるようになっていました。
ネットワークは,パーツに注意を払った低損失ネットワークが採用されていました。また,マル
チアンプ駆動用のターミナルも設けられていました。

以上のように,CP-3820は,トップモデルのCP-3830に次ぐ大型のモニタースピーカーと
してガウスのユニットの魅力を生かした力強さ,厚みを持ち,さらに日本製らしい細やかな表
現力ももったスピーカーでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介しま す。



●ガウス31シリーズウーファー(5831)と世界
を代表するガウスコンプレッションドライバー
HF-4000に,オプトニカオリジナルショートホー
ンを採用したプロユース2ウェイスピーカーシス
テムです。優れた分解能で,音楽のディテール
まで余すところなく再現,特に中音域のエネルギ
ー感溢れる再生音は圧巻です。録音スタジオ,
放送局のモニターシステムとして,また小ホール
や小劇場用PAシステム用に,さらにハイクラスの
オーディオマニアにと,幅広い用途に適しています。




●CP-3820 主な仕様●

キャビネット形式
バスレフタイプ2ウェイ
使用ユニット
ガウス5831フリーエッジウーファー
ガウスHF-4000コンプレッションドライバー
オプトニカショートホーン
オプトニカ音響レンズ4105
再生帯域
30〜15,000Hz
クロスオーバー周波数
800Hz
最大入力
300W
インピーダンス
8Ω
出力音圧レベル
97dB/W/m
内容積
192リットル
外形寸法
640W×880H×485Dmm
重量
72kg
付属機構
中高音用連続可変型レベルコントローラー
マルチアンプ用駆動ターミナル



●マルチシステムで使用時の各ユニット定格●

 
LOW
HIGH
音圧レベル(dB/W/m)
97
110
インピーダンス(Ω)


定格入力(W)
200
40
推奨クロスーオーバー
周波数(Hz)
800Hz

減衰量(dB/oct)               12                 12

※本ペー ジに掲載したCP-3830,CP-3820の写真・仕様表等は
1979年7月のオプトニカのカタログより抜粋したもので,シャープ株式
会社に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,
引用等をすることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。

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