C-2301の写真
SANSUI C-2301VINTAGE
STEREO CONTROL AMPLIFIER ¥550,000

サンスイが1984年に発売した高級コントロ−ルアンプ。前年の1983年に発売したパワーアンプB−2301,2201
とペアになる製品として発売されました。贅を尽くしあまりに凝りすぎたために発売がパワーアンプから1年遅れたとも
言われています。その中身は,¥550,000の価格が安すぎるといえるほどのものでした。

C-2301の第1の特徴は,回路間の干渉やフラックスの影響を断ち,振動対策をしっかり行った贅沢な作りにありまし
た。シャーシには,1,2mm厚の純銅板を採用し,L,Rの回路は,この純銅シャーシを介して上下に配置され完全な
L/R独立構造となっていました。また,底板,入出力端子のパネルにも純銅板を使用し,非磁性体化シャーシとシャー
シ本体のインピーダンスを低減していました。さらに,各アンプブロックは,アルミ押し出し材により静電シールドしたユニ
ット構造となっており,フラックスや振動の影響を排除していました。アンプ自体のサスペンションは基板自体の振動を
抑えるような構造とし,面接触圧着法により外来振動の影響を受けにくくしていました。アンプ全体の重量も21kgにも
および,その重量自体でも振動の影響を排除していました。

C-2301の内部

C-2301はパーツにも贅を尽くしていました。抵抗類は全面的に新開発のRM-A抵抗を使用し,防振性を高めたモ
ールド構造で,接合部には黄銅に金メッキを施したものを使っていました。コンデンサー類は,グレートピュアフォーカ
ス電解コンデンサー,Nラムダコンデンサー,銅箔マイラーコンデンサー,スチロールコンデンサーなどいずれも新開発
の最高級品ぞろいでした。電源トランスは,L/R専用として2個搭載し,リーケージフラックスが小さい新構造のコアを
採用していました。マスターボリュームは,最高級のディテント型を採用し,抵抗体はガラスエポキシ基板に蒸着され
た金属皮膜に金メッキを施し,摺動子も200本の多合金ブラシとしていました。豪華なガラスフロントパネル上のコント
ロールノブはすべてムク金属削り出しでした。純銅板のパネルに強固にネジ留めされたピンジャックもすべてムクの真
鍮からの削り出しで銅メッキの上に金メッキを施したものでした。バランス出力端子は,スイス・ノイストリック社のプロ
用の世界最高級品が使われていました。回路基板は経年変化の少ないガラスエポキシ基板で,銅箔の厚さも通常の
4倍ほどもある140μ厚もありました。
 

C-2301のパーツ群C-2301のコンデンサーC-2301のMCトランス
C-2301の電源トランスC-2301のプリント基板

C-2301の回路構成は,イコライザーアンプ,ラインアンプ,バランスアンプとも純A級カスコード付プッシュプル構成と
いう贅沢なもので,高S/N,広ダイナミックレンジを実現していました。接点を増やし,それ自体磁気歪みの発生源にも
なる「リレー」を排除し,信号切替スイッチは,金メッキを施した非磁性材料を使用したものにしていました。電源ランスは
L/R独立で純A級動作をささえるに十二分な大型のものを使用し,整流回路,レギュレーターに至るまですべてL/R独
立させるという豪華な構成になっていました。

あらゆるMCカートリッジに対応するため,本格的なMC昇圧トランスを搭載し,しかも,Low専用/High専用それぞれL/R
独立2トランス構成として,合計4トランスを使用した豪華な構成となっていました。コア材には,低歪率,広帯域で,リニア
な磁気特性を持つスーパーパーマロイを採用し,不要な振動を防止するために,特殊な充填材を用い,トランス本体をフロ
ーティング構造でケースに収納していました。

C-2301の増幅回路の基本構成は,サンスイ得意の「バランス増幅回路」で,+側だけでなく−側にもアンプ回路を持ち
信号系とアースラインを完全に分離して,アースに起因する諸問題を根絶していました。信号回路が完全なクローズドル
ープとなるため,フラックスの飛び込みなどの外乱による影響も極少に抑えられるということでした。同社のパワーアンプ
B-2301との組み合わせでは,バランス接続により,ラインからスピーカーまで完全にバランスドライブが実現できました。

C-2301は,コントロールアンプと名乗っているように,アンプとして豊富なコントロール機能を持っていました。PHONO2
系統,テープ3系統,ライン4系統の豊富な接続端子を持ち,さらに,グラフィックイコライザーなどを接続できるアダプター端
子も持っていました。出力もノーマル出力2系統,バランス出力1系統の計3系統の出力端子を持ち,3組のオーディオシス
テムをドライブできました。ラインレベルアンプをジャンプし,しかもアッテネーターでレベルコントロールがでソースダイレクト
機能,センター位置ではバランス用アッテネーターを通過しないセンタースルーバランスボリュームなども搭載していました。

以上のように,C-2301VINTAGEは,各所に贅を尽くした最高級のコントロールアンプでした。鮮度が高く力強い音は,ま
さに名機だったと思います。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

 
溢れでる資質を秘めて,
来るべき時代の
コントロールアンプ像を指標する。

◎質で量で,そして入魂の仕上げでアンプの基本を
  極限まで磨いた思考のクオリティ。
 ●回路間の干渉はフラックスの影響を断ち,
   万全の防振設計を施したコンストラクション。
 ●物理特性から,聴感から厳選を重ねた
   最高級,カスタムメードのクオリティパーツ。
 ●あくまで純粋な増幅系を実現する
   細部にまで神経を注いだ周到な回路構成。
 ●世界のカートリッジの個性を生かし
   最高の音質を約束するMCトランス。

◎近い将来,アンプの増幅・電送形態は,すべて
  ここに行きつくだろう。−「バランス・ドライブ」。
◎将来のマルチメディアへの発展性を秘めた,
  豊かなコントロール機能。


●C-2301主要規格●

入力感度/インピーダンス PHONO-1,2(MM)     2mV/47kΩ
        (High MC) 2mV/100Ω
        (MC)     70μV/3Ω,200μV/30Ω 
TUNER,CD,LINE-1,2,TAPE PLAY-1,2,3 150mV/47kΩ
最大許容入力 PHONO-1,2(MM)     350mV(1kHz,THD0.01%)
        (High MC) 40mV(1kHz,THD0.01%)
出力電圧/インピーダンス TAPE REC(PIN)     150mV/50Ω
コントロールアンプ出力(ノーマル) 1.2V/50Ω
              (バランス) +4dBm 
周波数特性 PHONO-1,2(MM) 10Hz〜300kHz±0.2dB
TUNER,CD,LINE-1,2,TAPE PLAY-1,2,3 DC〜500kHz+0,−3dB
SN比
(Aネットワーク,ショートサーキット)
PHONO-1,2(MM) 90dB
PHONO-1,2(MC) 80dB
TUNER,CD,LINE-1,2,TAPE PLAY-1,2,3 110dB
寸法 474W×160H×422Dmm
重量 20.9kg
※本ページに掲載したC-2301VINTAGEの写真,仕様表等は1984年5月の
 SANSUIのカタログより抜粋したもので,山水電気株式会社に著作権がありま
 す。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じら
 れていますのでご注意ください。
 
※なお,本ページは,蒼井様の資料ご提供により作成することができました。
 本当にありがとうございました。
                                            
 

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