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SANSUI B-2301
HIGH GRADE STEREO POWER AMPLIIER ¥470,000サンスイが1983年に発売したステレオパワーアンプ。07シリーズのプリメインアンプで高い評価を得ていた同社も
CA-F1,BA-F1以来,久しくセパレート機を出していませんでした。弟機B-2201(¥350,000)とともに,久々
のセパレート機の登場だけに非常に力の入った作りで登場し,当時話題になったものでした。B-2301の特徴は,新しい回路技術に走るのではなく,ひたすら正攻法に物量を投入して作られていたことでした。
その内容を見ると,¥470,000の価格でもあまり儲からないのではという感じでした。電源部は,巻線手法に従来にないノウハウを注ぎ込み,充填材にも工夫を凝らした音質重視の1.3kVAの巨大なト
ロイダルトランス(B-2201は900VA)を中央に搭載し,このトランスを核に,パワーステージに60,000μF,プリド
ライステージに40,000μFのハイクオリティのPF(ピュア・フォーカス)コンデンサーで構成されていました。これらに
支えられた電源回路は,ステージ独立,L/R独立の6電源方式となっていました。基本回路は,同社のプリメインアンプで既に定評のあったダイヤモンド差動回路を投入したパワーステージと高域特
性を改善したカスコード接続プッシュプルによるプリドライブステージとなっていました。プリント基板状に描かれた銅箔
によるプリントパターンは通常の4倍ほどにあたる140μ厚に達し,低インピーダンス化が図られていました。
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コンストラクションにおいては,積極的に非磁性化を進めていました。その最も特徴的な部分が純銅製のサブシャーシ
でした。電磁気的シールド,電磁波的シールドに優れ,さらに適度な内部損失により防振性にも優れているという銅の
特長を生かしたものでした。この他,堅牢なアルミシャーシの採用や,純銅製のケースなど,各部にシールド効果,振
動抑制効果を考えたコンストラクションになっていました。また,B-2301では,Pc200W(B-2201はPc150W)の
パワートランジスターをそれぞれ片ch当り8個搭載していましたが,振動防止のため,特製アルミブロックと純銅板に
よりサンドイッチし,それを大型ヒートシンクに強固に固定して音質に影響のある振動レベルを大幅に低減しながら,電
磁波の輻射も防ぐ構造になっていました。パーツの面でも,当時のサンスイの最高級機ですから最良のパーツが選ばれていました。電源部に使われたPFコン
デンサー,信号系には,銅箔スチロールコンデンサーやダンプ材つきブチルコンデンサー,ハイクオリティのカーボン
抵抗やラムダ抵抗など多くのハイクオリティパーツが投入されていました。入力端子には,接触抵抗が小さく,耐蝕性に優れ経年変化の少ない,従来の5〜6倍の厚さをもつ3μ厚の金メッキ
処理を行った特注品を使用していました。ノーマル端子と並んでバランス入力型キャノン端子を設置し,インプットセレ
クターにより,ノーマル/バランス切替がワンタッチで行えるようになっていました。入力レベルのセッティングのために
再生音への悪影響の少ないアッテネータータイプを搭載していました。また,出力表示には,従来の針式にかえてよ
り高速な追従が可能な液晶パワーメーターを搭載していました。以上のように,B-2301はサンスイが久々に登場させたセパレートアンプとして力の入った作りでした。インテグレー
テッドアンプで培ってきた高い技術力を感じさせる高性能を誇りました。音的には,07シリーズの中のFがつく型番の
シリーズに近いいわゆる硬さを感じさせないアナログ的なタイプの音でした。しっかりした量感あふれる低音の支えが
特徴でした。そのため,ソフト目の低音が,使用するスピーカーによっては好みが分かれるところもあったようですが,
コストパフォーマンスの高い,すばらしいパワーアンプであったことは間違いないと思います。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
あえて”作品”と呼びたい。
いま,スピーカーは
未踏のクオリティに出会う。
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定格出力 | 300W+300W(8Ω,20Hz〜20kHz)
550W+550W(4Ω,1kHz) |
200W+200W(8Ω,20Hz〜20kHz)
350W+350W(4Ω,1kHz) |
全高調波歪率 | 0.003%以下(定格出力時,10Hz〜20kHz) | 0.003%以下(定格出力時,10Hz〜20kHz) |
混変調歪率 | 0.003%以下(60Hz:7kHz=4:1) | 0.003%以下(60Hz:7kHz=4:1) |
周波数特性 | DC〜300kHz(+0,−2dB) | DC〜300kHz(+0,−2dB) |
S/N比 | 120dB | 120dB |
スルーレイト | ±300V/μs | ±300V/μs |
ライズタイム | 0.5μs | 0.5μs |
入力 | 1V(15kΩ)Normal/2V(10kΩ)Balanced | 1V(15kΩ) |
TIM歪 | 測定限界以下 | 測定限界以下 |
エンベロープ歪み | 測定限界以下 | 測定限界以下 |
定格消費電力 | 530W(電気法による) | 460W(電気法による) |
寸法 | 474W×215H×498Dmm | 474W×215H×498Dmm |
重量 | 37kg | 35kg |
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SANSUI B-2301L
HIGH GRADE STEREO POWER AMPLIIER ¥530,000B-2301の改良型として1985年に発売されたのがB-2301Lでした。最大の変更点は,07シリーズでも採用されていた
「全段バランス構成」でした。これにより,アースラインをめぐるさまざまな音質劣化要因を断つことができ,スピーカーのドライ
ブ能力が大きく高まっていました。
パーツの面でも最新のカスタムメイドパーツを投入してよりクオリティを高めていました。電源部もトロイダルトランスが1.4kVA
と容量アップされるなどさらに強化されていました。コンストラクションの面では,純銅製ケース,スピーカー端子の純銅製ベー
スなど,シールド効果,振動抑制効果に優れた銅の使用範囲が広げられていました。
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以上のような改良により,B-2301Lは,より高いスピーカー制動力を持つようになり,実際,音の面でも,中低域から低域に
かけてより引き締まった音になっていました。また,弟機のB-2201もB-2201L(¥410,000)として改良型が発売されま
した。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
さらに,豊潤を深めて−,
力感とデリカシーの類いなき共存。
素材・回路・機構設計3つのファクターに等しく
贅をつくして,”最高のサウンド”を極めたパワーアンプ。
◎最新のカスタムメイド・パーツをはじめ,
音と特製で厳選しつくしたハイクオリティ・パーツ群
◎信号のピュア伝送をつきつめると,ここに行きつく。
全段バランスドライブ。
◎電源部こそアンプのハイクオリティ化の”かなめ”。
それを実感させる強力6電源方式。
◎時期的な干渉や,わずかな振動が与える音への
悪影響をも配慮した機構設計。
●主要規格●
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定格出力 | 300W+300W(8Ω,20Hz〜20kHz) | 200W+200W(8Ω,20Hz〜20kHz) |
ダイナミックパワー | 880W+880W(2Ω)
680W+680W(4Ω) 480W+480W(8Ω) |
680W+680W(2Ω)
480W+480W(4Ω) 300W+300W(8Ω) |
全高調波歪率 | 0.003%以下(定格出力時,10Hz〜20kHz) | 0.003%以下(定格出力時,10Hz〜20kHz) |
混変調歪率 | 0.003%以下(60Hz:7kHz=4:1) | 0.003%以下(60Hz:7kHz=4:1) |
周波数特性 | DC〜300kHz(+0,−2dB) | DC〜300kHz(+0,−2dB) |
S/N比 | 120dB | 120dB |
スルーレイト | ±300V/μs | ±300V/μs |
ライズタイム | 0.5μs | 0.5μs |
入力 | 1V(15kΩ)Normal/2V(10kΩ)Balanced | 1V(15kΩ) |
TIM歪 | 測定限界以下 | 測定限界以下 |
エンベロープ歪み | 測定限界以下 | 測定限界以下 |
定格消費電力 | 530W(電気法による) | 460W(電気法による) |
寸法 | 474W×215H×498Dmm | 474W×215H×498Dmm |
重量 | 38kg | 36kg |
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SANSUI B-2302VINTAGE
STEREO POWER AMPLIFIER ¥740,000
B-2301L発売から5年後の1990年にモデルチェンジ,発売されたのがB-2302VINTAGEでした。伝統のブラックパネル
に加えてゴールドパネルのモデルも加わりました。回路構成,各部のパーツもグレードアップされ,価格的にも従来以上にグ
レードの高いパワーアンプとなっていました。回路的には,サンスイが一貫して押し進めていたバランス構成が徹底され「α-Xバランス回路」となっていました。この「α-X
バランス回路」は,@スピーカーを,ホット側とコールド側,2組のアンプを設けてドライブするバランス出力段,Aホット,コールド
両入力信号をストレートにバランス増幅するNEWダイヤモンド差動回路,Bアースから完全にアイソレートされたバランス電源
の3つの柱から構成されていました。パーツ的にも見直しが行われ,回路部品には,金メッキリード/キャップのカーボン抵抗,OFCリードのブチルゴム巻き銅箔ス
チロールコンデンサー,セラミックケース入りラムダ抵抗U,銅ケース入りOFC位相補正コイル,従来のマニラ麻やクラフト紙に
代わり,電解液の含浸保有能力の高いシルク繊維を混抄した新開発のシルミック電解コンデンサー,低インピーダンス・低歪
率のAXF電解コンデンサー,Sa特殊フィルムコンデンサー,蒸着プロセスによらず圧延銅板張りとし強度を高め高周波信号の
伝送特性を高めたOFC回路基板,金メッキOFCジャンパーリードなど選りすぐりのカスタムパーツが多く使われていました。
電源部品には,B-2301L以来の1.4kVAの大容量トランスをベースに,整流ダイオードに金メッキペレットの超高速ファース
トリカバリーダイオードを,ケミコンには低倍率エッチング箔を採用したグレートピュアフォーカス電解コンデンサーとシルミックス
ーパーゴールドコンデンサーを搭載し,高いパワー供給能力を得ていました。
外装部品には,スイス・ノイトリック社製のキャノンコネクター,切削加工精度2/100ミリ以下を誇る,OFC合金・24カラット硬化
金メッキ処理を施した西ドイツWBT社製RCAピンジャックとスピーカーターミナルを搭載していました。また,電源ケーブルには
シース構造には振動対策を施したストレスフリー6N(銅純度99.9999%)ケーブルを特注し,金メッキプラグと共に搭載して
いました。
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コンストラクション的には,B-2301以来の左右対称構造を受け継ぎより高度にシンメトリカル化して,ツインモノラル構成で,L・R
の均一化と完全な分離を追求していました。制振性を高めるために,トランスとケミコンのマウントベース,入出力パネル,,センター
天板の内側,両サイドパネルに内側に純銅材を使用,パワーユニットには,回路基板を全面で被う2枚合わせの銅シールドプレート
底板には銅板と銅メッキ鋼板の2重構造・高剛性プレート,大型純銅脚により制振性を高めていました。B-2301以来の純銅ブロ
ックを使用したパワートランジスターの強固な構造ももちろん採用されていました。これら銅製の制振パーツの総重量は約8kgにも
達していました。また,ヒートシンクには,高剛性の非磁性アルミ押し出し材を使用し,さらに新たにヒートシンク全面にフッ素樹脂コ
ーティングを施して不要な共振や共鳴を抑えていました。以上のように,B-2302VINTAGEは,B-2301以来の技術や構造を受け継ぎ,さらに徹底して磨きあげ,グレードを高めた本格
的ハイパワーアンプでした。固からず柔らかからずのバランスのとれた高解像度で緻密な音に進化し,スケールが大きくゆとりのあ
る音はまさにサンスイの最高級機という感じでした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
至上の「音」をめざして出会った
絹のしなやかさ,力強さ。
歴史の重みをこの一台に捧げました。
回路,パーツ,そして機構−。
アンプのすべての要素を
必然性の中から突きつめ,
高次元の”音のバランス”を追求しました。
●主要規格●
定格出力 | 380W+380W(6Ω負荷時,10Hz〜20kHz,両チャンネル同時動作,THD0.003%)
300W+300W(8Ω負荷時,10Hz〜20kHz,両チャンネル同時動作,THD0.003%) |
ダイナミックパワー | 800W(2Ω)
700W(4Ω) 600W(6Ω) |
全高調波歪率 | 0.003%以下(定格出力時,10Hz〜20kHz,8Ω負荷) |
混変調歪率 | 0.003%以下(定格出力時,8Ω負荷) |
周波数特性 | DC〜300kHz(+0,−2dB) |
ダンピングファクター | 250(1kHz,8Ω負荷) |
S/N比 | 120dB以上(Aネットワーク,ショートサーキット) |
スルーレイト | 300V/μs |
ライズタイム | 0.5μs |
入力感度/インピーダンス | 1.4V/5kΩ(Normal,1kHz) 1.4V/10kΩ(Balanced,1kHz) |
負荷インピーダンス | 4〜16Ω |
定格消費電力 | 530W(電気用品取締法による) |
寸法 | 474W×215H×503Dmm |
重量 | 46kg |
※本ページに掲載したB-2301,2201,B-2301L,2201L,B−2302
VINTAGEの写真,仕様表等は1983年2月,1985年12月,1990年の
SANSUIのカタログより抜粋したもので,山水電気株式会社に著作権があり
ます。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁
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