こころのお話

ちょっとお気楽、パーソナルな話題


・父、統一地方選挙に立候補す


・(1) 父、統一地方選挙に立候補す


   某アニメのタイトルのように始めましたが(^^;)、タイトルの通りです。実は私の父がこの4月に行われた統一地方選挙の町議会議員に初立候補していたのです。

おかげで、相談員の仕事が開始されないから暇だろう..と思っていた3月末、4月にかけて、なにかと実家で手伝いをする羽目になってしまいました。だから、4月は暇だからHPの更新をします!!なんて言ってたわりに更新しないじゃない?と思われていた方、すいませんでした。まさか、選挙に出ま〜すと、当落のはっきりする前にHPに書くのもなんだなぁと思って、うやむやにしてたんです。

まぁ、最初に結果を報告しますと、お陰様で(?)当選させていただきました(*^^*)。でも、出ると決めてからおよそ6カ月の間、出てみないと分からないことっていうのがけっこうあるもんなんです。そこで、そういうエピソードや感じたことなんかを少しずつ紹介していこうと思います。(99.5.11)



・(2) 男のロマン?


 父が選挙に出る..と友達に話すとまず最初に決まって言われたのが「太真樹さんのお父さんって、そんなかんじの(選挙に出るというような)人やったっけ?」でした(^^;)。私自身もそうでしたが、やはり多くの人は「選挙に出るという人間は“ある種の雰囲気”を持っている」と思っているのではないでしょうか。そしてそれはあまり好意的な意味では用いられないものですよね。

 私も実際に出ているナニガシ議員さんは偉いなぁ〜と思うことはありますが、はっきりいって、選挙は傍で見るもんであって、自分がするもんじゃない、と(今でも^^;)思ってましたから、父にそういう話が出ていると知ったときはとにかく大笑いして、柄じゃないから、無理無理!と軽く流していました。そう、本当に、どこでどうしてそうなったのか分からないくらい、今回の立候補の話は家族にとっては唐突な話だったのです。

 個人的に意欲を持って挑戦される方は別ですが、田舎の選挙の場合、地元の利害が一致した自治会が協力して候補者を擁立します。今回、うちの自治会は前回の候補者が年齢や公約の関係で出馬せず、後継候補を探さなければならない状況でした。そこで推薦委員の白羽の矢が当たったのがうちの父だったというわけです。外面がいいので(^^;)、対外的な評判はそんなに悪いほうではなかったのですが、候補に上がった最大の理由は“現在、暇”だったと、私は思ってます。実際、父より優秀で、人望も厚く、お金持ちで、経歴も文句なく、意欲も十分...って人はたくさんいます。でも、そういう人ってのは、会社や社会が放っておいてくれません。バリバリ仕事ができる人がそれを捨てて博打のような選挙に出るとは言ってくれないんです。(それに、やっぱり私が思うに、そういう賢い人ってのは選挙になんか出ないんじゃないかな?^^;)そんな時、仕事は暇を持て余し、地元密着で、世話好きの(やや^^;)目立ちたがり屋だった父は、最後の駒だったようです。

 当初、家族は笑い飛ばすか、反対するかのリアクションでした。本人以上に家族がしんどいってのは分かってましたし、選挙なんかしたら、普通の生活をしていたら見なくてすんだはずの人間の醜い部分を見なければならなくなる、私は父がそれに耐えられないような気がしていたのです。(私の神経質さは父譲りなので..。^^;)母は冗談まじりに「選挙に出るなら離婚!!」と言ってましたし(笑)、実際父も一度は断わったのです。ところが、何人かいた候補者も一人また一人と消えてしまい、結局あなたしかいない!!と6人の推薦委員が毎日のように説得に訪れるようになっていました。

 とはいえ、頑として拒否すれば、選挙に出なくてすんだでしょう。でも、父には推薦委員が付け入るスキがありました。口では断わってましたが、父の心の中の選挙に「出たい:出たくない」の比率は「4:6」ぐらいだったのだと思います。おだてられて、まんざらでもないという態度だったからこそ、相手にもう一押しすればなんとかなる、と思われたのでしょう。実際、なんとかなってしまいました(^^;)。

 本当はやって見たかったのです。これまでは遠くで起こっていた出来事が、突然自分の目の前にお膳立てされてやってきたのです。自分を認めて推薦してくれるというのも気持ちがいいもんです。予想されるしんどさを差し引いても、やってみたくなったしまったのです。本人がそう言い出すとはっきりいって議論の余地はありませんでした。しようがないです、(父がそう言ったわけではありませんがこういうことは^^;)“男のロマン”だそうですもんね(^^;)。母は「ここで反対して出馬をやめさせたら、一生ねちねちと恨み事を聞かされそうだから」と折れ、私は「自分が決めたことなら、自分で責任を持ってやればいい、ただし私は手伝わない!」(といっても結局手伝う羽目になるのは承知してましたが、最初から「手伝うから頑張れ」なんていって図に乗らせてはいけないと思ってこう言いました。^^;) ということで、なんとか家族の意見もまとまり、出馬を表明することになったのです。あっ、うちの祖母の意見ですか(^^;)?こういう時の祖母は「渡る世間は鬼ばかり」で赤木春枝さんがやってる姑そっくり。その時々の感情で好き勝手言うし、こうもりのようにひょいひょい態度を買えるので相手にされてませんでしたが、相手にされないと「こんなばばあ、死ねばええんやねぇ。」と毎日泣くのでしまいに腹がたって「じゃ、死ねば?」なんて返してました(^^;)。実は家庭内でもめ事を起こす張本人、トラブルメーカーは祖母なんです。続いて父(^^;)。この二人が今回のことで何度も言い争いをしたので、そういう意味では修羅場になってたかもしれませんね。とはいえ、私と母がしぶし同意したこともあって家族が団結して出馬することになりました。

 そして、私が心配した通り、“普通の生活をしていたら見なくてすんだはずの人間の醜い部分を見なければならなくなる”事態はとても早くやってきたのです。(99.5.12)


・(3) 人生経験とは言うけれど...。


   選挙に出ると決まったら、それを嗅ぎつけてたかってくる人がいるってのは予想がつきましたし、逆にそれによって神経を再起不能にまですり減らす事はあまりありません。反感を持たれない程度に、適当にあしらえば済むからです。

 実は、父にとって最初で最大の危機は“これまで信じて慕っていた人物の裏切り”だったのです。

 その人物は同じ自治会の人なのですが、昔先生をしていたということもあり、みんなの信頼も厚く、自治会の世話役も快く引き受けてくれる、人望あるご隠居さん、という風な人でした。現に父も子供のころから良く知っていて、深刻な相談も持ちかけるほどの仲でした。実は今回の選挙の事も、出馬の是非を何度も相談しに行っていたのです。迷っていた父にその先生は「荷が重いのではないか、また候補者を出すと、その地元の自治会の人がしんどいものだ。」と否定的に意見を言っていたらしいのですが、父が「あなたが出るなというなら出馬はしない。」と本当にそのつもりで伺うと、「出るなとは言えない、だが出ても協力はできない」と返事されたそうなのです。(ここからが父のおめでたいところなのですが^^;)なら、断固反対というわけではないようだし、家族の反対のように自分のためを思ってまずは反対しているのかもしれない、と思い込んだみたいなのです。

 その後、推薦委員の強力なかつぎだしもあり、立候補することがほぼ固まりそうになったとき、父本人も、推薦委員もやはりその先生と相談や話し合いをしました。(そのくらい影響力の強い人物だったんです^^;)そこでもやはり同様の返事だったそうなのですが、父たちの手応えとしては“協力はしないが大きな反対もしない”という印象だったらしく、最終的なGOサインが出されたのです。

 ところが、遂に公に「この度立候補することになりました」と地元の自治会の人に報告し、後は協力のお願いを..と言い終えたとき、突然それまで黙っていたその先生が「ちょっと待て!!」と話し腰を折ってきました。予想もしなかった発言に父や推薦委員達は戸惑ったのですが、なんとその直後、父達を抜きに自治会で話をさせてもらいたいという展開になってしまったのです。その後、その会場はその先生の独演会場と化し(その場にいた人が後から報告にくるんですよ^^;)、いかに選挙が大変か、 地元が不利益を被るか、切々と説いたそうです。もともと信頼の厚い人物がそれほど反対する、という事態にほとんどの(あまり深く考えていなかった^^;)自治会住民が圧倒され、多数決をしたわけではないけれどその先生が「立候補の反対はしないが、協力はしない!という意見でいいですね」と意見をまとめてしまい、それに対して異議申したてをする人物もおらず(というか、言える空気じゃなくなっていたらしい^^;)なんと出馬すると言ったその日に地元は応援しないという事実上、出馬不可能な状態になってしまったのです。つまり、反対はしないと言っていましたが、実は出馬を潰すチャンスを伺っていた、ということだったようなのです。(その展開を見る限りでは。)

 相談や根回しの末、出馬をすると言ったとたん、全員の意見として協力しないといわれた事は、父にとって近所のみんなの前で顔に泥を塗られた、赤っ恥をかかされたのと同じ事でした。もちろん、腹は立ててました。でも、本当はそれよりも信じていた人物に裏切られたことにもっと深く傷つき、とにかく悲しかった...ただただ悲しかったように見えました。

 その先生が賛成していないのを知っていた私は、内心、“先生、頑張って反対してよ、そしたら選挙に出なくてすむわ”と本気で思っていたのですが(^^;)、父が信じていた人に裏切られたと感じ、あまりに悲しそうに落ち込んでしまった姿を見て、正直気の毒になってしまいました。

 選挙に出るということがなければ、それまで先生、先生と慕っていた人物と袂を分かつようなことはなかったのだと思います。(結局これは父譲りなのでしょうが(^^;)、私も“先生”というものに幻想を抱いていた時期があり、私の為を思ってくれているという幻想を信じすぎて裏切られた気分を味わいました。生徒が自分を乗り越えて大きくなることを喜べる人物ってほんとはどのくらいいるんでしょうかね。(^^;)生徒がライバルとなる時、もう暖かな教育者ではいられなくなる教授は山のようにいましたね。でも、そんなものですよね。)父が突然その先生を超えそうになったかといえば、そうではないと思います(^^;)。ただ、先生の心の中にあった父との師弟関係のようなものが、くずれたのではないでしょうか。ある意味、先生の方が父を対等扱いしてくれたということなのでしょうが、その展開が理解できない弟子は大抵困惑し、裏切られた気持ちになるんだと思います。弟子にとっては先生はいつまでも暖かく成長を見守っていてくれる存在だと思っているからです。

 でも、その先生が反対したもう1つの、そして本当の理由は、実は少し別の所にあったようです。今回は出馬しないと前の選挙で公約していた前議員がこの先生の大親友で、その前議員は口ではやめるといいつつも、どうやらその実今度も立候補したかったようなのです。もしどうしても候補者が出てこなければ、もう1期と、自分にお鉢が回ってくるかもしれない...という期待をくみ取った先生は、最終候補者として上がった父を潰しにかかったのでした。自分より下だと思っていた人間が上に行こうとしているのも快くないが、さらに親友と弟子を天秤にかけ、親友をとったということなのでしょうが、父にしてみれば信じていた人に裏切られたとしか考えられなかったのです。

   その後の成り行きを書きますと、地元に反対されては出馬できないと父は立候補を取り下げたのですが、うちの自治会の対応に憤慨したのは推薦委員会をはじめとする他の7つの自治会でした。立候補者を探し、しぼり込む段階でお互いに何度も連絡や話し合いをもって協力して同一の立候補者を押すと決めたはずなのに、土壇場でくつがえされたということは彼等にとっても面目を潰されたことだったのです。また、地元自治会住民も、あのときは勢いに圧されて先生の意見を聞いていたけれど、冷静に考えれば、別に反対しなくてもよかったのではないか..と思う人や、あまりにひどく父をこき下ろしたということに返って反感を覚え、自分が中心となって協力する!!といってくれる人まで出てきました(^^;)。他の自治会からの圧力と、内部からの声、そしてお気の毒にも、脅迫まがいの怪文書や電話がその先生の所に届く事態となり、先生はびびって事実上、表舞台から失脚、うちの自治会が各方面に正式におわびを入れ、うちの父にもおわびと、改めて立候補要請がなされたのでした。この間約1週間。目をつぶると頭の中にいろんな考えが浮かんでは消え、父を筆頭に家族全員眠れぬ夜を過ごしました(^^;)。毎晩夜中の4時頃まで父がぶつぶつぶつぶつ言っているのが私の部屋まで聞こえ、選挙にでなければこんなに苦しまなくてもすんだのでは...と気の毒でした(^^;)。私はそのぶつぶつのおかげが重なってさらに眠れず、えらい迷惑でした(笑)。

 とはいえ、大勢の人に支えてもらい、危機的状況を脱し、また出馬しようという気になれた父にはある意味、議員に向いていたのかもしれません。(私だったらぜーーったい再出馬表明なんてしないと思います。^^;)この出来事の意味を父が真に理解しているかは不明ですが、人生勉強とは、(聞こえはいいですが)勉強が身について冷静にその事実を受け入れられるまでは、本人にとって心につきささったとげのようにものなのではないでしょうか。思い出す度に胸が苦しく、悲しくて、憎々しい...。誰しも生きていれば何度か経験のあることだと思います。

 この出来事は人間の醜い部分が現われたというのとは少し違いますが、普通の生活をしていたらすくなくとも先生のあんな姿は見なくてすんだのでは..と思います。父にはそれさえ受け止める自信があったのか?(いや、予想さえしてなかったと思います。だから立候補できたのだと..(^^;)でも、石橋をたたいてばかりじゃ渡れない橋もあります。

まっ、自分で決めたことなのだから、自分で責任をとる、ということはこういうことなんじゃない?と私は父に言い放ちました。(99.5.19)



・(4) 勘違いも適性?


 今回は私自身も自分仕事のことでいろいろと考えることがあったので、少しそれを交えながら話を進めて行こうと思います。

 前回に“とはいえ、大勢の人に支えてもらい、危機的状況を脱し、また出馬しようという気になれた父にはある意味、議員に向いていたのかもしれません。(私だったらぜーーったい再出馬表明なんてしないと思います。^^;)”と書きました。あけすけに言うなら、私は父がまだすこし甘い勘違いをしているように感じられていたのです。今回のようなもめごとは、父にすれば1回きりの偶発的な事件のように思えたようです。でも、私からすれば、今後、選挙に関わる限り、どこまでもつきまとう問題だと思えました。ところが、父はそうは思わない。思わないからこそ、やっぱり出馬すると言える、つまり、勘違いしているからこそ、議員という道を進んで行けたのでしょう。

 ところが、実は誰でも、勘違いからその道に入ってしまうということがあるように思います。小学生の頃、絵がうまいと言われたので美術の道へ、歌がうまいと言われたので音楽の道へ、算数が得意だったので、理系へ進学し研究の道へ...。他のものよりなんとなく向いてそうだと思って選択して、専門集団にはいると、たいてい自分より優れた才能の人がいて、これ(仕事)が向いていると思っていたけれどそれは勘違いだったのでは..と思うような事態。なんとなく想像できるものです。かくゆう私も最近になって、どうやら自分は心の専門家という道でやれそうだ、と勘違いをしています(笑)。

 ところで、最初に勘違いできるというのは、実はそれさえその仕事に向いていたという1つの適性なのではないでしょうか。いつも父ばかり持ち出していたら怒られそうなので(^^;)、自分を例に出すと、まず最初に「心理学っておもしろそう」と勘違いを起こしこの世界に入り込んだものの、その度に何度も壁にぶち当たってきました。ところが、もう限界!となる最後の最後で「やっぱり、これが自分に向いてる」というまた根拠のない錯覚を起こし(^^;)、また次に山が来ることなどよく考えずにここまでやってきました。

 友人の中には私よりも優秀で、心理の世界が向いていると思う人がたくさんいました。でも、優秀ゆえに、先に予測される大変さが見えすぎてしまい、他の道に進みました。私などは凡庸だからこそ、いきあたりばったりでここまで来たのでしょう。とすると、ある種の勘違いができる世界というのは、その世界に向いているという適性の一つだと思えてきます。


 今回は適性の話で、選挙の話はなしかって?いいえ、ご心配なく、ここからが一番言いたかったことです(^^;)。

 私と母が今回の選挙で怒髪天を突くような剣幕をおこした事件がありました。それは、選挙にはつきものの「必勝はちまき」が原因でした。出馬が決まり、当然用意しなくてはならなかったので、父はなんらかのつてを使って岡山の業者から、1枚300円で300枚購入しました。ところが、それを聞いた他の議員さんが首をかしげ、「それは高いわ。うちのはおたくの二倍の布を使っているけれど1枚180円だったよ。」と言うのです。どういうことか、少し気掛かりになったので、その業者に連絡をとった所、
父 :「他の所に聞いたら180円と言われたんだけど、どうなんでしょうか?」
業者:「それなら180円でもええし、100円でも50円でもええで。なんぼがええんな?それが嫌なら送り返してもらってもかまへんで。今はどこでも買ってくれるし。(統一地方選なので)」
と答えがかえってきたというのです。それって、ぼったくりだったってこと〜!!(-"-#)と、私と母は怒り狂ったのですが、なんと父は
父 :「それなら200円でどうですか」
と答え、お金も払ってしまったのです。しかも、「100円まけてもらった」と喜んでいたそうです(母談)。

「あほちゃうん??」とつい私は母に言ってしまいましたが(^^;)、母も、「うちのお父さん、やさしいやろぉ〜(おめでたい)」と嫌味を言ってました(笑)。もちろん、父本人には言ってません(^^;)。こういうおめでたさが議員なんかになろうと思える所なのかもしれませんね。(98.6.16)



初公開!!私の車、こんなんなってました(^^;)。撮影:SR T



 

・神戸須磨区の事件について


・その1“プロファイリング”(97.8.3)
・その2“三つ子の魂?”(97.8.10)

・ポケモンが子ども達を襲う?(初期報道に現われた心)


・初期報道の誤り(97.12.30)
・初期報道に現われた心(他人との心理的距離)(98.1.25)


ちょっとお気楽、パーソナルな話題

・感情って難しい(97.7.22)
・職場のはんこ(97.8.10)
・お散歩コース(97.10.6)
・捨てる神あれば拾う神あり?(前編)(9711.11)
・捨てる神あれば拾う神あり?(後編)(97.11.30)
・女は布団に弱いんよ?(98.1.12)


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