アテーサ


1 概  要
 アテーサとは、一般走行で前後輪のトルク配分を50:50として高出力エンジン対応した高度な走行性能を持つスポーツ4WD
を基本に、前後輪のスリップ状況に応じてビスカスカップリソグが前後輪のトルクを最適に配分するとともに、前後輪の一方が空転
するような時でもセンター デフの差動を制限する機能で走破性能を高め、イージードライブ化を図ったイージー&スポーツ4WD
のことです。
 上記のアテーサとビスカスLSDを内蔵したリヤデフを組み合わせることにより、前後輪左右のトルク配分を高μ路から低μ路ま
で最適に制御し、高度な加速性能、旋回性能を確保しました。
2 構  成




3 トルク フロー(伝達経路)図





4 車両特性 (1)発進加速性能
@ 緩加速時 緩加速時では前後輪の駆動トルク配分は50:50であり、安定した 走行が得られます。
A 急加速時  急加速時では前後輪の荷重配分により前輪のスリップ率が大きくなるためセソター デフ のビスカス カップリングが作用し、後輪の駆動トルクを大きくし加速性能を高めます。
(2)走破性能
ビスカス カップリングなしの場合
 右図のように万一1輪のみが、ぬかるみ等に入り空転する場合、ビスカス カップリング がないと、他の3輪がフロント及びセンターデフの差動機能により駆動トルクが0となり、 ぬかるみからの脱出が不可能となります。
ビスカス カップリング付きの場合
 センター デフのビスカス カップリングはこのように一輪又は前後いずれかの両輪が  空転するような場合でも、デフ ロック操作を必要としないでセンター デフの差動を制 限し、空転の反対駆動軸の駆動トルクを大きくし走破性能を高めます。
 さらにリヤ デフに装着したビスカス カップリングにより、右図のような片側が低μ路
の場合、高μ路の後輪へ駆動トルクを伝えて脱出性を確保しました。








(3)低μ路の旋回性能  
@ 旋回半径が大きい場合(中速度)
 前後輪の旋回半径差が小さく(Rf垂qr)、緩加速では前輪回転 数(Nf)と後輪回 転数(Nr)がほぼ同じ(Nf垂mr)であり、ピスカス カップリングがほとんど作用し ない50:50の駆動トルク(路面に伝わるトルク)配分となります。  加速が増すと前後輪駆動トルクも50:50で増加しようとしますが、後輪の横すべり角 (θ)が大きくなり、コーナリング フォース(横方向の力)も大きくなります。一方、一 輪当たりの力は常に一定であるためトラクション フォース(前後方向の力)が小さくなっ て後輪スリップ率が高くなります。  この結果、センター デフのビスカス カップリングが作用し後輪スリップ分を前輪へ駆 動トルクを伝えて、後輪スキッドを抑制するとともに前後輪の荷重配分に合った駆動トルク 配分とし弱アンダー ステアの安定した旋回性能を確保します。  これに対しセンター デフ4WDは加速が増すと前後輪駆動トルク50:50で増加しま す。リジット4WDは前後輪の荷重配分に合った駆動トルクとなります。
A 旋回半径が小さい場合(低速時)
 前輪回転数(Nf)が後輪回転数(Nr)より大きい(Nf>Nr)。極低速域では、前 後輪の回転差が小さいため、センター デフの作動技能でスムーズな旋回ができます。  緩加速時は前後揄の回転差(Nf>Nr)でビスカス カップリングが作用し、後輪へ駆 動トルクを伝えて前輪駆動トルクを低減しドリフト アウトを抑制します。さらに加速が増 すと前輪駆動トルクに対し後輪駆動トルクが大きくなり、後輪スリップ率が高まリセンター デフのピスカス カップリングが働き、後輪のスリップ分を前輪へ駆動トルクを伝えて後輪 スキッドによるスピンを抑制します。  センター デフ4WDは、加速が増すと前後輪の駆動トルクもほぼ50:50で増加しま す。  リジット4WDの後輪駆動トルクは低速から大きなトルクが発生します。
(4)高μ路での旋回性能
@ 緩かな旋回の場合(高速時)
 内外輪の回転差によリリヤ デフのビスカス カップリングが作用し、外輪から内輪へ駆 動トルクを伝えて車両を外方向へ回そうとする力(回転モーメント)が発生して弱アンダー ステアの安定した旋回性能を確保します。  注:一般に高速時は弱アンダー ステア傾向の旋回性能のほうが安定性が高いといわれて います。
A 限界に近い旋回の場合(高速時)
 遠心力により車体のロール角が大きくなり、内輪が浮き上がり気味となるため内輪はスリ ップし回転数が高まります。  このため、リヤ デフのビスカス カップリングの働きで内輪から外輪へ駆動トルクを伝 えて、車両を内方向へ回そうとする力(回転モーメント)が発生し旋回性能を高めます。
(5)直進性能
 右図のように高速直進走行時何らかの外乱により右側に進路を乱されたときも、左右輪の
回転差が生じた左輪から右輪へ駆動トルクを伝えるために、反時計回りのモーメントが発生
します。
 このモーメントが外乱による力に対し車両を戻そうとする力となり、高速直進安定性を高
めます。