東西落語特選

転宅



 日本橋の浜町辺に、黒板塀に見越しの松、表札を見るてぇと女名前てぇますから、これは言わずと知れた横丁の囲いモノ、お妾さん、二号さんですな。今日はもう旦那が遅くなって帰るってんで、
  
お妾 じゃ、旦那、お気を付けて、もうすっかりあたりは暗くなりましたんで

旦那 ああ、あたしは大丈夫だがな、お前さんの方こそ気を付けてくれなくちゃいけないよ。どうも呑気でいけないよ、戸締まりなんかちゃんとして寝なきゃいけないよ。このごろはなこの辺も物騒だ、ってことを聞いてるからね。いいかい、さっき渡した五十円もちゃんとしかるべきところへ仕舞って、残りは...そうだねぇ、あたしが明日、なんとか早い時分に持ってくるから。それでいいだろ?

お妾 ええ、よろしくお願いします。じゃ、明日の朝、お待ちしていますから...では御免くださいまし、さようなら...

  
 この様子を横目で見ながらずずーっと入って参りましたのが、ひとりの泥棒でございます。今まで旦那が座っておりました座布団の上にどっかりとあぐらをかくってぇと
  
泥棒 驚いたねぇ、おぃ...えぇ? あんないい女が...あんなジジィに囲われてやがんのかぁ...面白くねぇなぁ...

なんだよ...こじんまりとはしてるけど、いい家だよ...いい柱だねぇ、目が通って節穴なんざありゃしない...たんすもいいねぇ。長火鉢もいいや、欅だな、こりゃぁ。贅沢なもんだなぁ。

どうだい、このお膳の上、おれが見たことも無いようなもんばっかり並んでらぁ...あぁ、いい徳利だよ、すげぇなぁこの徳利は...これだって何とか焼きってぇシロモノにちげぇねぇや...

へへっ、何だよ、何か入ってますよ...ちょっと呑んじゃお...ねぇ、落ち着かなくっちゃいけませんよ、落ち着かなくっちゃ...人間は落ち着きが肝心だってぇますからね...へへっ、落ち着いて、なにを持っていこうかてぇことを考えてね...

(グビッ、グビッ)

...うまいね、これ...いい酒だねぇ、これぁ...こんないい酒くらってやがんのかなぁ...冗談じゃねぇなぁ...家はいいし、女はいいし、ジジィは年寄りだし...

(グビッ、グビッ)

いい加減にして欲しいよなぁ...な、なんだ、こりゃ...ちょっと食ってみよう...うっ、こりゃうめぇや...中になんか固まりが入ってやがって...周りがつるっとして...うめぇや、こりゃ...こんな...うめぇもん食ったことがねぇや...うめぇなぁ、こりゃうめぇや!
お妾 ちょっとお前さん、どっから入ったんだよ
泥棒 ん? ...うっ、む、むぁ...し、静かにしろ
お妾 なに言ってんだよ、この人は。 なに、お前さん
泥棒 なんだとは何だ!
お妾 なんだとは何だ、とはなんだよ?
泥棒 なんだとは何だ、とはなんだ、とは何だ!
お妾 なんだとは何だ、とはなんだ、とは何だとはなんだ?
泥棒 な...なんだ?
お妾 な、何だってぇの?
泥棒 なんだって、決まってんじゃねぇか、人のうちに黙って入ってんだ。言わずと知れた、こちとら泥棒よ!
お妾 まぁ、ちょぃとお前さん、泥棒?
泥棒 そうよ! 今旦那が置いてった五十円、大人しく出せばよし、四の五のぬかしやがると、伊達には差さねぇ二尺八寸だんびらモノ、てめぇのどてっ腹にズブリズブリとお見舞い申すぞ
お妾 ...よー、よー、音羽屋!
泥棒 な、なんだよ、その音羽屋、てぇのは...馬鹿にすんなよ
お妾 だってそうじゃないか、お前さん、「伊達には差さねぇ二尺八寸だんびらモノ」ってえけど、何も差してないねぇ
泥棒 あ...あぁ、今日はちょっと忘れて来ちゃった...
お妾 なにを言ってんだよ、なにを...お前さん、泥棒じゃないんだろ?

 そうだよ、旦那が贔屓にしてる芸人さんか何かだろ、知ってるよぉ、ねぇ。 あいつはどうも不用心でいけないから、ちょいと行って脅かしてやってくれ、なんて頼まれてさ、あたしが「キャーッ」て驚くとさ、「いやいや、実は姐さん、こういうわけで」なんておケツをクルッと捲くるとさ、その着物の下から緋縮緬の長襦袢か何かチラチラさせて、カッポレでも踊ろうってんだろ。

早く踊れ、 カッポレ泥棒!
泥棒 カ...カッポレどろぼう!? おれはなぁ、そういうもんじゃねぇぞ、 おれはな、ホントの泥棒だぁ
お妾 なんて声出すんだい? ご近所に聞こえたらどうすんの?
泥棒 ......ホントの泥棒だぁ
お妾 小さな声で言い直さなくったっていいよ、まったく... まぁ、お前さんが泥棒だってぇんならあたしゃ嬉しいよ
泥棒 お、おい、よせよ...泥棒が入って嬉しいってことがあるかよ
お妾 だってそうじゃないか。お前さん何年この商売やってんだよ、今日はちょっと目先が利かなかったじゃないか、ドジ踏んだよ、えぇ。いやぁ、ね、あたしだってさ、今でこそお囲いモノに成り下がっちゃいるけどね、元を正せばお前さんと同じ、コレさ
泥棒 え...あれ? 姐さんも泥棒?! あ、そうか! ははっ、そうか、おれ、どうも変だと思ったんだぁ、ちっとも驚かねぇしさぁ、あ、そうかぁ。 ははっ、こりゃまずいところに入ってきちゃった。なんだ、仲間かよぉ、こりゃドジ踏んじゃった!
お妾 そうだよ。だからそう言ってるじゃないか。でもさ、あんた今日はせっかく入ってきたんだからさぁ、あたしの相談に乗っておくれよ
泥棒 よせよ、おれぁずいぶん泥棒に入ったけどよ、入ったとたんに相談受けたってのぁ初めてだぜ。な、なんだい?
お妾 実はね、うちの旦那と別れ話が持ち上がってんだよ。うちの旦那って人は物堅い人でさ、ちっとも話しが合わなくって、面白くも何とも無いの。それでもってさ、今別れ話が持ち上がってんだけどさ、さっきお足の話しをしてたろ、手切れ金のことさ。明日の朝、残りの分ちゃんと持って来てくれるって。そうすりゃぁさ、ちゃんと手が切れて、天下晴れての独り身ってことになるんだけどさ。
 あたしだってさ、いつまでもひとりでいるわけにゃいかないし。それ相応に身を固めなきゃいけない、亭主を持たなきゃいけないってことになるんだけどさぁ、あたしだってねぇ、やっぱり男に望みってモノが、あるだろ?
泥棒 へぇ...ね、姐さんのその男の望みってのぁ、どういうんだよ...へへっ、姐さん、いったいどんな男が好きなんだよ
お妾 やっぱりさ、度胸のある男がいいじゃないか。度胸がいい、胆が座ってるってのかい?
 だからさ、人んちにずずーっと入ってきて、そこに出てるもの勝手に呑んだり食ったりして、金を出せ、なんて凄むような...そういう男が男の中の男だと思うんだけどねぇ...最近そういう男がすっかりいなくなっちまって、あたし...
 あら、あたしゃなんてバカなんだろうねぇ、目の前にいたじゃないか...
 ねぇ、お前さん、なんだろぅ、誰が見たっていい男なんだから、お前さん、おかみさんいるんだろう?
泥棒 へ? い、いいや...お、おれぁそういうのいねぇなぁ
お妾 じゃ、情婦(いろ)かなんかいるんだろぅ
泥棒 いやいやいや、いねぇんだ、おれぁ! 正真正銘、金輪際、そんなものぁいたためしがねぇんだ!!
お妾 そうかい? じゃぁ、改めて相談なんだけどさぁ、お前さん、あたし連れて逃げておくれでないかい? あたしゃお前さんと過ごせるなら、たとえ三日だってかまやしないんだけどねぇ
泥棒 ホ、ホントかい? そ、そ、そ、そんなもったいねぇこと言っちゃいけねぇや! ホ、ホ、ホ、ホントだよ、おれぁ陰から指咥えて見てたんだ、お、おれぁ、ね、姐さんみてぇないい女だったら、三日だなんてとんでもねぇ、 生涯だよ、生涯! 誰がなんたってしょうげぇだよ!!
お妾 まぁ、生涯だなんて、女がとろけるようなこと言っちゃってさぁ、ウソつくとヤダよ! うそつきは泥棒の始まり...お前さん、もうなっちゃってるねぇ
泥棒 おいおい、変なこと言うなよ...え、ああ、そう? へへっ、お酌してくれんの? へへへっ、も、貰うよ...

 へへへっ、に、人間...ど、どこでどういうことになるかわからねぇなぁ。昔の人はうめぇこと言ったんだよ。一所懸命真面目にやってりゃ、いつか幸せになれる、なんて...

 へへっ、これぁ固めの杯だ、おっととっ、こぼれちゃった、いやぁ、こぼれたってかまやしねぇ。ぐっと呑んで...ははは、呑んだ? 呑んだか。 はははっ、めでてぇや! あ、そうだ。これで夫婦になっちゃったんだけどさ、名前聞くの忘れちゃった。名前教えてくれ
お妾 なにを言ってんだよ。名前ってのは自分から名乗るんだよ
泥棒 あ、そうか。じゃ、じゃぁおれから名乗ろうじゃぁねぇか。おれの親分てぇのは「土龍(もぐら)小僧の泥之助」ってんだ
お妾 土龍小僧? あんまり聞かない名前だねぇ。で、お前さんは?
泥棒 おれは親分の一の子分でさ、「鼬(いたち)小僧の最後兵衛」ってんだ
お妾 なんだか臭そうな名前だねぇ。 じゃ、あたしも名乗ろうかねぇ。あたしのおばあさんてぇのが、お前さん、知ってるかい? 「高橋おでん」っていうんだよ
泥棒 えぇっ? 高橋おでん?? へぇぇぇぇっ、知らなきゃモグリだよ。じゃぁ、姐さん名門の出じゃねぇか! そうかい、それで、姐さんの名前はなんてぇんだよ
お妾 あたしはさぁ、おでんの孫で、はんぺんってぇんだよ
泥棒 うわぁ
お妾 そりゃ冗談だけどさ、あたしゃお菊っていうんだよ
泥棒 へぇ、高橋お菊さん?
お妾 やだねぇ、この人は。呼び付けにしとくれよ
泥棒 呼びつけ? ホントかよ、じゃ、じゃ、じゃぁ...後で引っかいたりしねぇかよ...じゃぁ、行くぜ...お、お、お...おぅっ! お菊
お妾 あいよ、なんだい、お前さん
泥棒 ぅぅぅぅぅぅうううううへへへゃゃゃゃゃぁぁぁはははははははっ... お、お、お、お、おれぁ今晩ここへ泊って
お妾 ダメ
泥棒 え?
お妾 だめなの。別れ話はもちゃがっちゃいるけどさ、大変な焼き餅焼きでね、ちゃんと手が切れるまでは、ってことでうちの二階に、剣術の先生と空手の先生が、用心棒代わりにふたり置いてある
泥棒 ちょ、ちょ、ちょっと...そういうことは早く言ってもらわなきゃぁよぉ...おれぁ見かけは弱そうだろ、中身は見た目通りに弱いんだからよぉ...お、おれ、帰る
お妾 ちょっと、待っとくれよ、大丈夫よ、今、お湯へ行ってるから。その代わり、帰ってきてお前さん見つかったら、腕の一本、脚の一本、へし折られちまう...
泥棒 お、おれそういうのヤダ、勘弁してくれよ、帰る
お妾 そんな表から出ないで裏から帰らなきゃ、人目に立たないように...そいじゃ、ね、こうしとくれ。明日、旦那がお金持ってくるだろ、朝のうち、だから、顔合わせないようにお昼前くらいがいいよ、もういっかい来ておくれ。あたしがお前さんのこと待ってる印に三味線弾いてるからね。いいね、三味線の音が聞こえたら入ってきておくれ。それからさ、お小遣い持ってる? いくらかやろうか
泥棒 冗談じゃねぇ。女のお前に言われなくったって。ちゃんとおれはここに持ってる
お妾 まぁ...見せてご覧...いい紙入れだねぇ...どこでやったの...まあ、ずいぶん入ってるねぇ、十円札がひい、ふう、みい、よ...八枚も入ってるよ、他に細かいので二円五十銭ばかり...心配だねぇ...じゃ、これだけあればいいね。十円札はみんなあたしが預かって...
泥棒 おいおい、おれのじゃねぇか...こっち返せ...ああ、こんな薄っぺらくなっちゃって...
お妾 早く早く、静かに...いいかい...明日だよ...三味線弾いてるから...
泥棒 わかったよ...おペンペン忘れんなよ、それが頼りだからさ
お妾 わかってるよ、じゃまた明日...
  
肩をぽーんと叩かれて、やっこさん、ふわぁぁぁぁぁなんて表に飛び出した。その晩はどこでどう過ごしましたか、明くる朝になりますと、
  
泥棒 ありがてぇなぁ、あんないい女がおれの嫁さんになるなんて...菊、っつったなぁ。いい名前だなぁ。あ、歳きくの忘れちゃった。いつくつらいかなぁ。二十七、八...ってことはねぇかなぁ...三十二、三...三十五、六かなぁ...目尻に小じわがあったなぁ、三十七、八...厚化粧だったしなぁ、四十二、三...よく聞いたら五十二、三...へへっ、どこまでいっても止らねぇや

あれ、雨戸が閉まってる。おかしいなぁ。三味線の音は聞こえねぇしなぁ。お天道様は頭の上へ来ちゃったよ。どうしたんだろう。あ、そうだ。前のタバコ屋で聞いてみよう

あのー、ちょっとモノを伺いやす。いやいや、タバコじゃねぇんですけどね。向の家、あれ、お菊のうちでしたよねぇ
煙草屋 はぁはぁ、お菊、と言いますと、あなたお菊さんのご親戚か何か?
泥棒 ええ、まあまあ、そういうようなもので
煙草屋 ...で、あなた、夕べのあれをご存知無い? 知らない? いやいや、面白い話があるんですよ、まあまあ、座布団をお当てになって、まあまあまあまあ

いや、ねぇ。ゆうべ真夜中過ぎですよ。表の戸をドンドン叩くものがある。誰かと思ったらお菊さん。泥棒が入ったってんですよ
泥棒 泥棒が? へぇ、へぇ
煙草屋 話を聞いてみるてぇと、これがまた間抜けな泥棒で
泥棒 へぇ? はぁ...
煙草屋 お菊さん、あの通り、器量がいい、気風がいいですからね、うまく丸め込んで夫婦約束したってんですがねぇ、泥棒なんぞと夫婦約束するやつなんざありゃあしませんよねぇ、お前さん
泥棒 へぇ? はぁ、はぁ、はぁ
煙草屋 でね、泥棒が泊ってくってんで、泊られちゃ大変だと思うから、とっさに「二階に剣術の先生と空手の先生がいる」って言ってやったらその泥棒が驚いたの驚かないの...泥棒に入るくらいならよく調べてから入るがいいじゃないですか。向いの家、ありゃぁ平屋ですから
泥棒 え? へぇ、へぇ、ひ、平屋は二階ありゃしない...
煙草屋 ええ、ありゃしませんとも! でね、野郎が驚いて表に飛び出す時にうまい事言って十円札七枚だか八枚だか引っこ抜いて小銭だけ持たせて放り出したってんですがね、野郎はすっかりその気になってますからね、今日ですよ、もうそろそろやっこさんやって来る時分でね、もうこの近所じゃばかな評判でね。みんな楽しみにして待ってるんですよ。お前さんもここからいっしょに表を眺めてましょうや。今からその間抜けな野郎がここを通るってんですよ。その間抜け野郎の人相ってものが、鼻があぐらかいて、唇が捲れあがって...あぁ...い、いやいや、あ、あ、あんた、気にすることありゃしません、いやいやいやいやいや、い、いまその間抜け野郎が表を...
泥棒 いやいやいやいや、ちょ、ちょっと待ってくださいよ、その、どうなりました? その、お菊、お菊の方は
煙草屋 お菊さん! ええ、このままじゃ恐いですからね、うちの方から知らせをやりまして、お店の若い衆が五、六人来るってぇとぱぱぱぱぱっと荷物をたたんで、すぐにご転宅になりました
泥棒 へぇ? も、もういないの? ご転宅って...引っ越したって...もういないの? そ、そんな...ひでぇことをするじゃねぇか...いったいあの女ってのぁ、どういう女なんで?
煙草屋 ええ、なんでも元は義太夫のお師匠さんだったとか
泥棒 義太夫の...ああ、道理でうまく語りゃぁがった...
  
  
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 「縁は異なもの味な物」という。日本では縁結び担当の神様といえば言わずと知れた(知ってました?)出雲の神様、すなわち大国主命(おおくにぬしのみこと)である。旧暦の十一月は神無月と呼ぶ。全国の神様が全員出雲に集まり、縁結びの会議を開くので、出雲以外の神社という神社はみな神様が留守になってしまうのだそうだ。ゆえに出雲ではこの月を神有月というのだという。

 日本の神様は天照皇神さえ専制君主ではない。絶対権力者とか絶対的な責任者というのは日本人という民族の風土にはそぐわないのだろう。

 柔道でも剣道でも審判は合議制である。詳しくは知らないが、主審が「一本!」をとっても副審二人が旗を揚げなかったらそれは無効なのだそうな。

 相撲などまことに典型的で、主審たる行司以外に四人の審判が土俵下に控えている。行司は決着がついた時点でいずれかに勝ち名乗りを与える。これは「分かりませんので保留です」というのは許されないのだが、間違っていても一向にかまわない。もし問題があれば審判が「物言い」をつけ、ビデオまでをも参考にして「真実」を明らかにする。主審である行司は決してその判定に全責任を負っているわけではない。じゃ、誰が「責任者」だ? ということになると、どうなんだろう。九重審判部長かな?

 欧米で生まれたスポーツの審判は専制君主である。フットボール系のスポーツの主審は一人である。その人が笛を吹けば、レッドカードを出せば、誰もそれに異を唱えることは許されない。たとえビデオで明らかに誤審であることが証明されても、異を唱えること自体がルール違反なのである。この辺は、唯一絶対神を戴くユダヤ教やキリスト教の国でできた仕組みだと感心させられる。

 米大リーグから留学してきていた審判が日本のプロ野球界の審判のあり方に幻滅してわずか三ヶ月ほどで帰国してしまった。「日本人は真実を要求する。審判は人間がやってるんだから、間違えることはある。しかし審判は絶対なのだから、なんだろうが従ってもらわなければやっていられない」ということだそうだ。もしこれが日本でできたスポーツだったとしたらどんなだったろう。ホームベースの周囲に球判定審判が四人並んで、あやしい判定には物言いを付けるのだろうか。恐らくは放送局のビデオテープまでも参照してストライクかポールか、アウトかセーフかを厳密に判定してくれるに違いない。審判が巨人よりだという説が根強いが、そんな疑惑も完全に霧散してしまうことだろう。 これは、いい。



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