東西落語特選
そば清
「百人の蕎麦食う音や大晦日」 うまい句が残ってございます。えぇ、なぜ大晦日に蕎麦を食べるのか、と申しますと、いろいろなことをおっしゃる方がございます。「蕎麦のように細く長く、長生きができるように」という語呂合わせだという方があれば、江戸時代の飾り職人が金の屑を集めるのに蕎麦粉を使ったところから、「金が集まるように」と食べ始めたという方もございます。今となってはいったい何がはじめだったのか知りようもございませんが、すっかり大晦日の風物詩となっておりますな。 蕎麦というものはせわしなくズズズーッと食べるのが良いとされてございますな。あれはズズズーッと行かないとどうもうまくございません。 「うるさいね、もうちょっと静かに食べなよ...うるさいってば...うるさいっていってるだろ!」 しかたがないので、丸めて口の中へ押し込む...こりゃ美味くも何ともないですな。どうも蕎麦とせんべいというものはどうにもしようがない。せんべいだってそうですな。バリバリッ、「うるさい!」って言われて、これをお湯につけてよくふやかして...ってこりゃ美味くもなんともないですな。 この蕎麦をズズズーッと食べる、と、あいつは「蕎麦っ食い」だ、なんて言うことがございます。何かってぇますと、「蕎麦っ食いは身の丈だけ食べる」と申します。身の丈、つまり身長ですな。食べてすんだ蒸篭(せいろ)を積み上げて行く、すると座布団の上にあぐらをかいて、肩の高さだけ食べるということですな。昔の蒸篭というのはごく小さい。今の半分くらいしかありませんでした。だから、一息にズズズーッと食べられた。でもいくら小さいからって、肩の高さまでってのはやっぱりそう簡単に食べられるものじゃない。これを食べるってぇと「あの人は蕎麦っ食いだ」って言われる。そう言われたいばっかりにみな無理しても食べたものですな。 | |
江戸時代というものは大体がずいぶんと平和な時代でございまして、みなたいそうにのんびりとしてございました。で、こういう時代には呑む、打つ、買うという道楽がたいそう発展をいたしました。酒を呑む、蕎麦を食べるなんてのが博打になりました。 酒賭けなんてのは「いくら呑めるか」、二升呑んだ、三升呑んだ...てのが勝負ですな。ところが酒賭というものは、呑んだやつがいい心持ちになって「ウィ〜ッ」なんて寝てしまうだけで、見ていて面白味が無い。やっぱり食った、呑んだ、ってぇやつが何か、こう、苦しむとか...なんかそういうのが欲しいのが人情ですな。そこで、そのうちに「醤油賭け」なんてのが流行りだしました。 醤油を呑む...最初のうちは一合、二合でやってた。しまいには一升の醤油をガガガーッ...と呑んだやつが、百両の賞金を貰って...そのまんま...クタッと死んじゃって、醤油賭けは禁止になった、なんて、そんな時代でございました。 蕎麦賭けなんてのは、 「お宅、ずいぶん食べそうですな。何枚くらいいけますか?」 「まぁ、このくらい」 「ほっほぉー、じゃどうです、この位で、賭けますか? いくら? いいですなぁ、じゃやりましょう。おい、大将、賭けだよ」 「ヘイッ」 蕎麦屋の方も心得ておりますな。なるべく柔らか目に蕎麦をこしらえまして、次から次から出してきます。それをズズズズーッと食べる。 「見事だねぇ、負けましたよ。じゃこの金、あんたのものだ」 「じゃまた明日」 なんてことが江戸中で流行りまして、どこの蕎麦屋でもこんなことをやっていた、その時分のお話でございます。 | |
常連 | ちょっとあんた、こないだから時々顔をお見せになるけど、お名前、なんとおっしゃる? |
清 | へぃ、清といいます |
常連 | 「せい」さんかい? へぇ、男では珍しいねぇ。いやいや、昨日までのあんたの蕎麦の食べ口を見てたんだけどさ、いやぁ、見事だねぇ。ぴゅーっ、ぴゅーっと入っちゃう。なかなかああはいかないもんだよ。でさ、蕎麦賭けをしようってんですが、どうです、お付き合いに、やりませんか? |
清 | あぁ...蕎麦賭け、でございますか...あの、どのくらい? |
常連 | 二十、あんたいつも十枚食べてるんだから、蒸篭二十枚で一分じゃどうだい? |
清 | はぁ...一分ねぇ、これは痛うございますなぁ...でも、本日はみなさんと顔つなぎでございますから...一分差し上げるようなことになります、よろしくお願いします |
常連 | おっ、やるかい。うれしいねぇ、どうも。よっ、親方、賭けだよ! 二十、頼むよ! |
店の方では心得ておりますから、ツッ、ツッと蒸篭が出て来ます。 | |
清 | へっ、どうも、ありがとう存じます。ええ、(ズズッ)どうも蕎麦ってものは...すいません、食べたらどかして下さい、食うのに忙しくてそれどころじゃないんだから...ヘイ、ヘイ、(ズズッ)こういうのは腹の具合が(ズズッ)肝心(ズズッ、ズズッ)早くどかして、どかしたら形よく積み上げて、ヘイ、ヘイ(ズズッ)、次はまだですか? ...ああ、来ましたね(ズズッ)本日は(ズズッ)腹の具合が一段と(ズズッ)よろしゅうございまして(ズズッ)結構ですな。(ズズッ) |
常連 | ははぁ...どかし係、いくつ積み上げた? 十五? で、今食ってんのが十六、あっという間だね、十七...「十五、十六、十七と...」...いや、こっちのことだけどさ、それどころじゃないね、十八...十九だよ! |
清 | どうも身体の(ズズッ)調子でございますなぁ...はぁ...(ズズッ)ふぁ...食べられました |
常連 | ほんとに食べましたなぁ...じゃ、一分、差し上げます |
清 | すいませんでございますな、あぁ、心ならずもいただくようなことになっちゃいました。それじゃ皆さん、失礼いたします...ど〜も |
常連 | なんだい、ありゃ! 十枚食ってんのと変わりゃしないじゃないか、どうも悔しいねぇ、よし、明日は三十だよ、三十で一両取り返すからね、どうだい、皆さん、やるだろ、じゃ明日だよ、明日! |
賭けてぇものはそういうものですな。取られるってぇと夢中になる。なに、三十なんて食えるもんか、ってんで翌日はみな待ち構えてますな。 | |
清 | ど〜も |
常連 | 来たよ、ね、あたしゃ夕べあの人の夢、見たよ。あの人が「ど〜も」ってえと、こっちが細長ーくなってツルツルーッて吸い込まれてくってぇヤな夢なんだよ。 ちょっとあんた、恐ろしいお人だねぇ。あんた夕べはよく眠れたでしょう。あんた、二十で賭けをして軽かった。どうです。今日は三十。三十で一両だ。もう一勝負やりませんか? |
清 | 三十ですか...まあ、身体の調子ですから...はぁ、どうなりますか、でも、まぁ、昨日いただいたんですから、本日はおつりをつけてお返しする、ということで...やりましょうか... |
常連 | やる! 親方、三十だよ! 頼むよ! |
清 | へへっ、何しろね、まあ、なんと言っても身体の調子ですから...えぇ、皆さん、なるべく順序良くどかして行ってください。で、次から次へと流れるように、はい、お願いしますよ。では参りましょうか...(ズズッ)はぁ、(ズズッ)ううんっ、今日はなかなか結構(ズズッ)あぁたねぇ、どかしたらすぐに積むんですよ、いくら食べたか分からないでしょ、そんな(ズズッ)不精しちゃいけませんよ(ズズッ)、そうそう。へぃ、(ズズッ)あたしはどちらかというと蕎麦はね... |
常連 | いや、蕎麦の講釈はいいんだけどね、えらい勢いだね、いったいいくら行きました? へっ! もう二十を過ぎた!? はたち過ぎだね...なんて馬鹿なことを言ってる場合じゃないよ、どんどん行くね...ハァ...二十五、二十六、二十七、二十八、二十九、あんた、あと一枚だよ! |
清 | ああ、そうですか(ズズッ)、身体の調子というものは不思議なものですねぇ(ズズッ)、はぁ...一本だけ残っちゃった。これも食べなきゃいけませんか? (ズズッ)ああ、なぜか食べられましたなぁ、どういうものですか、身体の調子、とでも言うんですかなぁ...では遠慮なく一両いただきます、ハイ、それでは皆さん、失礼します...ど〜も |
常連 | なんだい、ありゃ、バケモンだよ! 二十食ってんのと丸っきり変わらないよ! な、なんだよ、その陰で笑ってんの。気分が悪いねぇ... なんだい!? |
客 | いや、別にバカにしてるわけじゃないんだけど...あんたがた、今のど〜も...って人、知ってんですか? |
常連 | 知ってるのったって、ここんちへ蕎麦を食べに来る客だよ。名前は清さんてんですよ |
客 | へへっ、やっぱり知らないんだ。いや、あの人はね、「蕎麦っ食いの清さん」「そば清」ってぇ二つ名も三つ名もとろうかってぇ大変な人なんですよ。何しろ蕎麦の賭けだけで表通りに家を二軒建てたってぇくらいだからね。ふだん四十枚くらいでやってるって話しですよ。そこへ二十だの三十だのってんだから、向こうは嬉しいよ、あぁ。いいカモが現れたってぇところでしょうねぇ |
常連 | はぁ! 「そば清」!? ちきしょう、憎いねぇ...「ど〜も、食べられますかねぇ」ってやがって...それを聞いたらねぇ、明日は...いや、あたしゃ「なあなあ」じゃありませんよ、いや、ホントに知らなかったんだ。クソーッ、悔しいねぇ。いつも四十でやってんでしょ、四十デコボコで。今度は五十だ、五十で五両だ! ね、いつも四十そこそこで五十をやったことがないんでしょ、五十で洗いざらい取返してやる! ね、皆さん、やりますか!? どうです、乗る? よーっし、明日こそは! |
みなで拳を振り上げております。清さんの方はそんなこととは知りませんから、いつものとおりに・・・ | |
清 | ど〜も |
常連 | ...ちょっといらっしゃい。ちょっとこっちへいらっしゃい、ここ座んなさい... ...あんた、お蕎麦の清さん、通称「そば清」とおっしゃるんだそうですな |
清 | ...わかっちゃいました? |
常連 | わかっちゃったじゃないよ! ふだん四十くらいで賭けをしてる、そこへ二十だの三十だで賭けをして、よく取れたね、あんた。もう今日は許さないよ、五十で五両だ。やってご覧なさい |
清 | はぁ |
清さん、考えた。いつも四十くらいでやっている。四十五まではなんとかいく。しかし、あとの五つがどうなるか...五両と言えば大金ですからな。 | |
清 | 本日はちょっと脇で一勝負してきたところですから...また、改めまして...ど〜も |
と逃げちゃった。 さて、この清さんがひょんなことから信州へ旅に出ました。信州はご存知の通りの蕎麦の本場ですな。あっちの峠の蕎麦が美味いと聞くと出掛けていく、こっちの茶屋の蕎麦がいい、と聞くとまた出掛けていく。どんなところだろうが、たったひとりでケモノ道をかき分けてでも出掛けていく。「好きこそものの...」と申しますが、その気迫たるや、凄まじいものがございますが、慣れない信州の山道ですから、清さんとうとう道に迷っちゃった。さて、困った。いつのまにやら右を見ても左を見ても木ばかりで道と名のつくものはケモノ道さえ無い。困り果てておりまして、ふと気がつくと木の上にうわばみがいる。 当時はいたんですな、このうわばみ、というやつ。今で言うところの大蛇、おろちですな。胴回りが一抱えもありそうな途方も無いヘビ。頭から首、胴と辿っていくと、しっぽに行き当たった頃にはそのツラが思い出せないというほどの大蛇でございます。これが木の上から鎌首をダラリと垂らしている。 「ああ、もうだめだ、オレはこれで丸呑みにされて死ぬんだ...」 と覚悟を決めた...んですが、どうもうわばみが襲ってくる様子が無い。不思議に思ってよく見るとうわばみがジッと睨んでいるのは清さんではなくて、脇の方にいるひとりの猟師。これが鉄砲でうわばみの眉間に狙いをつけている。一方のうわばみのほうも今にも襲いかかろうかという気合でございます。 「猟師とうわばみと...いったいどっちが勝つんだろう...」 と思って固唾を飲んで見ている。 やがてわうばみがシャーッと飛びつくのと猟師がダーンッと撃つのとがほんのわずかな違い。あっというまもなく猟師はからだをうわばみに巻かれ、頭を咥えられると「クワッ、クワッ、クワッ...」と...呑まれちゃった... | |
清 | あぁ、恐ろしい...うわばみってのがいるってことは聞いてたけど、本当に人ひとりを丸呑みにするなんて... 恐ろしいもんだねぇ... ああ、さすがのうわばみも、おなかがあんなに膨れ上がって、苦しんでるよ、どうするんだろう |
いかなうわばみでも大の男を丸呑みにしたんですから、無事に済むはずもございません。と、腹が倍ほども膨らんで苦しんでいたうわばみが、そばに生えている赤い草をペロ、ペロ...と舐め始めた。すると舐めるにつれて膨らんでいた腹がスーッと元どおりにへこんで、そのまんまガサガサガサッとやぶの中へ... | |
清 | へぇ...うわばみってのは恐ろしいことを知っているもんだなぁ...あの赤い草を舐めるとあの猟師が溶けちゃった...あの草を舐めたために、人ひとり溶けちゃった...うわばみの腹薬だ... そうだ! あの草を持って帰って、江戸でもって蕎麦賭けをする。食えなくなったらあの草をペロペロッとやる、すると腹がスーッとしていくらでも食べられる! いくらでも稼げる!! しめたッ!!! |
清さん、その草をありったけ摘んで紙入れの中へ収めると喜び勇んで江戸へと帰って来るなりその脚で、 | |
清 | ど〜もッ!! |
常連 | な、なんだよ、また来たよ! なつかしいね、あの調子はどうも...なんですか、清さん、信州へ旅をしたそうですね。向こうは本場だ。さぞかしいい蕎麦を食べて来たでしょうね |
清 | いや、それですがね、蕎麦はいいんですが、つゆがいけません。江戸のつゆであそこの蕎麦を食べたらさぞかし... |
常連 | ああ、そんなことをよく聞きますね。腕を上げたでしょう |
清 | どうでしょう。蕎麦賭け、やりますか? |
常連 | おっ? 帰って来て早々に? お前さんの方から? いいですよ、じゃ五十で五両... |
清 | 六十で十両ってのはどうです? |
常連 | 六十で十両!? 十両!!? ちょ、ちょっと待って... 皆さん、聞きましたか? 六十で十両だって。こうなっちゃあたしひとりじゃ手に負えない。皆さん、この話、乗りますか? 乗る? みんな、乗りますか、よごさんすね。そいじゃ、ね、向かいのご隠居呼んできて...いやいや、こういう話に声を掛けないと後でうるさいんだよ、「どうしてあたしに声を掛けない」なんてあとで小言を...ああ、ご隠居、聞きましたか、六十で十両の賭け...え? ご隠居が全部持つ? いやいや、全部ってのはいけない。みなで頭割りですよ。みなさんもよござんすね。 清さん、聞いての通りだ。みんな六十で十両、受けますよ。じゃ、これでやりましょう。親方ッ、蕎麦賭けだよ、六十だよ! |
蕎麦屋の親方も早打ちに自信が無けりゃこんな勝負は受けられません。タンタンッと打ってサッと出てくる。これを片っ端から、 | |
清 | (ズザザッ、ズザザッ) (ズザザッ、ズザザッ) |
常連 | これはどうも今までとは勢いが違いますよ、能書きも何も無しだよ、蕎麦が自分から口の中へ入って行くようだ...ちょっと誰かこの係り代わっておくれよ、この蒸篭の始末ってのがずいぶんと疲れるんだよ...いや、普通の食べ方なら疲れるなんて役回りじゃないんだけどね、こう立て続けに二十も三十も... あぁ、ありがと...ふぅ... しかし...よくこれだけツーツーツーツーと口に入るね、ほんとに食べてんの? ちょっと横からヨーッく見てみて。ひょっとして懐から着物の下に入れてない? え? 口に入ってる? ...ああ、そう? ...ヘェーッ!? ああ、入ってるよ... いったいいくつ食べたんだい? ちょっと、そんな積み方じゃわからないじゃないか、ちゃんと十づつ積んでご覧よ...いくつ? 十の山が五つある!? 五十超してんの!? はぁ、清さん、だいぶ疲れて来たね... あたしも経験あるよ。やっぱ、人間、五十を超したらガクッとからだが... |
客 | あたしゃお前さんが老いぼれたって話を聞きに来たんじゃないよ |
常連 | 清さん、あんた、もう謝んなさい。「ごめんなさい、参りました」って言って、楽におなんさない |
清 | いや...ブブブブブッ...ブゥヲッ...あと...さんまい...ヴグゥォッ...ちょ...ちょっと風にあたらせて...そしたら...ヴヴヴッ...食べられる... |
常連 | え? 風に...皆さん、どうでしょうね、少しくらい休んでもいいでしょ。じゃ清さん、行ってらっしゃいな |
清 | ...じ...自分では...動けない...ヴゴッ...担いで...次の間へ... |
常連 | おいおい...しょうがないね、どうも...じゃ、いくよ、よっ...動かないよ、ちょっとそっち側の脇を担いで、あたしゃこっちを...いいかい、腰を痛めないようにね、どっこいしょ! ...と、誰か、帯を持っとくれ! いいかい、わっしょい、わっしょい... 清さん、ここでいいかい? じゃ、障子を開けるよ...へ? ひとりにしてくれ? そりゃいいけど、指突っ込んで吐いたりしちゃだめだよ。そんなことしたら、お前さんのまけだからね。じゃ、ごゆっくり... |
清 | へっ、冗談言っちゃいけない...ヴヴッ...こっちにゃうわばみの腹薬があるんだ...こ、これを...(ペロペロ)なめりゃ...(ペロペロ)あと何枚だろうと... |
客 | なんかペロペロ、ピチャピチャやってるよ |
常連 | ははぁ、腹薬だ。だめだよ、もうあんなになっちゃ何を飲んだって効きゃしないよ。清さん、悪あがきはやめなさいよ...清さん...清さん? あれ? 返事が無い、音もしなくなったよ...どうしたんだろう。 清さん、開けるよ... |
みなが障子を開けて次の間へ入る。 と、清さんはいなくて、蕎麦が着物を着て座っておりました... | |
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典型的な「考えオチ」の噺です。 | |
みなさん、このオチが分からないなんてことはまさか無いとは思いますが、念の為に書いておきますと、清さんがうわばみの腹薬だと思ったこの薬草は蛇含草(じゃがんそう)とも呼ばれる、「人間を消化する」ための薬草だったのです。清さんはこれをしゃぶると腹の中の蕎麦が消化されて無くなると思っていたのですが、実は蕎麦はそのままで、人間である清さんだけが溶けてしまった、というオチです。 | |
同じ蛇含草をモチーフにした噺でそのものズバリ「蛇含草」という噺が上方落語にあります。こちらは餅の大食いが出て来ます。わたくしにはこちらの方が面白い噺と感じられます。 | |
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