ノブの言葉
ノブはしゃべります。

問いかけに「はい」と答えます。だから、わかっているんだ、とか、ふざけているんだ、とか、ワザと知らない振りをしているんだと誤解を受けることもあります。
自閉症の障害の難しいところはそこです。
障害の個所が、頭のどこかの部分です。それがまだよくわかっていない・・・。でも、おそらく、耳から入った問いかけなどの「言葉」は、頭の部分を素通りして、口から出るのではないかと感じます。それが「おうむ返し」です。

ノブに何か話して、「わかった?」と聞いて、間髪を入れず「わかった」と返事をするときは、まったく頭に入っていない。理解できていない。そういうことがわかっていないと、ノブを知ることは出来ません。

情報は耳からよりも目からの方が優位です。耳から入る言葉は、流れていきます。目から入る情報は瞬時にして焼き付けられる利点があります。自閉症ノブにとって、情報を理解するのに、ビジュアル化することは、とても楽な事なのです。

そこで、効果的な方法として、ノブの周りを構造化すること。彼が気持ちを自分の言葉でうまく伝えるためにの補助的道具を使うこと。などがあります。
現在、ノブが使っている補助的道具は「コミュニケーションブック」と名付けた、携帯用の絵カードや写真の入ったシステム手帳です。
ノブはそれを寝るときとプールとお風呂以外は肌身離さず身につけています。(ウエストポーチに入れて)

それが、現在のノブの言葉となっています。
こういったコミュニケーションの手法を使うと、実際のしゃべり言葉が伸びないのではないかと思われがちです。事実私たち両親も、最初それを危惧しました。しかし、使い始めて3年を迎えようとする今、ノブにコミュニケーションのおもしろさ、便利さをスムーズに教えるためには、最も効果的な手段の一つだと確信しています。


コミュニケーション・ブック
コミュニケーションブックは、ノブにとって、眼鏡のようなものです。
もしくは、絵で綴られた「国語辞書」かもしれません。

はじめのページに、学校の先生や友達、そして家族たちの写真がカードになってはいっています。だいたい、1ページにカードが8枚ずつはいっている感じです。
その後に、探しやすくするために色分けされた絵カードが続きます。こちらもだいたい8枚ずつはいっています。何度かバージョンアップをして、素材を検討して、今はカードを印刷した紙をラミネート加工して使っています。そうすると、ノブが水遊びをしたり、お風呂にそのまま飛び込んだりしても、防水は完璧です。
ノブが使っている「ブック」のカードは、学校の中で統一するために学校にあるPCSソフトを使って作られていますが、カードは手書きでもなんでもいいと思います。

ノブはブックがなくても、要求を単語などを使って、一応表現することは出来ます。
しかし、相手にはなかなか伝わりません。おまけに「てにをは」はめちゃくちゃです。そして、うまく伝わらないことでストレスを覚え、それが不必要なパニックにつながることもしばしばありました。
そんな時、ブックを使わせます。

彼は視覚優位と思われるので、ブックの中にある「画像」を見ることによって、頭の中の単語を並べ変え、文章の形で話そうと意識できるようです。(頭の中で、絵カードに言葉を貼り付けているようです)

具体例をあげると・・・・
ノブがコーヒーを飲みたくて、母親にお願いしたいと思ったとき、まず、ブックの母親の写真を見ながら、目の前の母親に「お母さん」と話し掛けます。そして、次に「コーヒー」の絵カードを開いて、「コーヒーを入れてください。」と続けます。
ブックを使わなければ、大概「コーヒー!」だけですから、ブックを使うことによって、「てにをは」を含めて、言葉が組み立てられ、相手に伝わりやすくなるわけです。

そんな風に、ブックで会話を組み立てていくと、やがてブックを見なくても、頭の中の絵カードに貼り付けた言葉を組み立てて、相手に伝わるように、しゃべることができるようになるわけです。

これが、私たち両親が「コミュニケーションブック」に抱いているイメージです。


障害児教育関係のリンクです。


香川大学教育学部附属養護学校

鳴門教育大学附属養護学校

FEDHAN(障害児教育フォーラム)

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