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ささやかな実践

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No.1平成7年度の研究会での私の発表原稿。
1月25日、愛媛県八幡浜市松柏中学校2年の女生徒がいじめを苦に自殺したという事例でも、教師たちは最善を尽くしていたと思う。しかし、最後は生徒の判断である。だから、普段が大事である。生きていくことのすばらしさ、かけがえのない命の大切さなど、道徳、学活の時間はもちろんのこと、あらゆる場面で、生存権を感じさせられるような指導を心がけたい。
・困難を乗り越えていくことが成長なんだ。
いじめの発見は難しいが、あらゆる努力は必要である。
・「どうして親や教師に話さないんだ」という前に、自分は話せる相手か。
・よく観察しているか(待ちの姿勢では)
(給食や清掃、放課後などにいじめは現れやすい、そして情報交換を)
・普段からコミュニケーションはとれているか
・信頼されているか(よけいに悪くなる)ラポール
・相談できる環境は整っているか
・「いじめはない」と言って生徒を圧迫していないか
・生徒の声:「先生に言うと自分も悪いと言われそうで何だか怖い。
そう言われると話が続かなくなってしまう。先生は常に正しい方へ進んでいく。
それが正しいことだと自分でもわかっているけど、完全に味方になってくれるかどうか不安だ」
・いじめの程度にもよると思うが、まずは、『全面的な受け入れ』が大事。
(スクールカウンセラーは叱ったり、説教したり、決めつけたりしない)
・生徒は「恥ずかしいこと」と思っている。
・集団生活では、個人の価値観や考え方が違う以上、対立することは当たり前のことである。
決して恥ずかしいことではない。
・いじめは必ず起こり得ることであり、誰にでも起こることである。
(いじめと犯罪は無くならないという意見もあるぐらい)
・教師や親はどうだろう。(いじめはしないか)
学校と家庭、小・中の連携を強化する。(関係諸機関なども)
・卒業式まで、親は知らなかったなど。
・一人でしょい込んでしまわない。
・生徒たちはさまざまな個性を持っている。指導する側もさまざまで良い。
(話し合い、より良い指導、チームワークの重要性)
・共通した認識が必要。(他のクラスに入っていくのは怖い)
(具体的に取り組むのは担任だが、共通理解が必要である)
相談できる人間関係が大事である。
・友だちの存在が大きい。(理由はどうあれ、完全に見方になってくれる)
・親子のコミュニケーション。
(何も言わなかったから知らなかったでなく、気がついて聞いてもいいのである)
教育的配慮が必要である。
・担任の先生が毎年変わる。
・仲の良かった友だちと、クラス替えで別々になる。
・事後指導を気長に、そして最後まで責任を持って。(「その後どうだ..」)
(処理後から指導が始まるというぐらいのつもりで取り組む)
最後に締めくくりとして
原点(基本)は何だろう。
・難しいことは何もない。
「死のうかと思ったこともあるけど、お母さんの泣き顔を思い浮かべると、とてもそんなことはできないと思った」
(人間愛、生徒愛、家族愛、これがすべてである)
今後の課題として、他のクラスにもどのように広めていけばいいだろう。(下地づくり)

No.2平成8年度の県中学校教育研究大会(特別活動)での公開授業の記録。

3年C組授業記録 テーマ −いじめって何だろう−

形態:生徒司会:3名の複数司会者
班活動:グル−プ構成(4〜5名)×6班
展開:各グル−プで発表のテ−マを設定し,研究した結果をまとめて報告し,クラス全体で検討する。その後,クラスとしての統一した方針(いじめ撲滅宣言)や実際の取り組みを導き出す。

生徒の事前の活動は以下の4点である。
(1)いじめについての意識調査から,クラスの実態を調べる。
(2)調査結果や事例研究などを通して,いじめに対する意識を高める。
(3)班ごとに,普段の生活の中からいじめにつながりそうなことを考える。
(4)班ごとに,発表の準備をする。

jugyou1.gif (68243 バイト)本時は,上述した学習内容をふまえて,そこから導き出された各班のいじめについての研究発表を聞き,その後の話し合い活動によって,本時のテ−マの「いじめを防ぐために自分たちにできることは何であるか。また,今後どのような考えに基づいて行動していくべきか。」を導き出していく流れで授業が展開された。なお,本時の活動の前提として,上述した事前の学習により生徒たちの意識の中に「いじめはいつでもどこでも起こりうる。」という共通した認識があり,だからこそ自分たちにできるのは,「いじめを防ぐことである。」という考えに至った経緯があることをここで説明しておきたい。

−授業展開−

授業者:これまで学んできたことをもとに,各班で研究した内容を各自が真剣に聞いて,自分のこととしてとらえ,普段の生活の中で気を付けなければならないこと,そして「3年C組いじめ撲滅宣言」を導き出せる有意義な時間にしよう。

1.各班での研究内容のまとめを発表する。

司会者:3名(女子2名,男子1名)
今日は,これまでいじめについて学習してきた内容をふまえて,各班での研究をもとに考えたいと思います。各班の発表を聞いて気がついたことがあれば,後の話し合いの中で考えていきたいと思いますのでメモしておいてください。

1班:男子3名,女子2名の5人グル−プが全員役割分担して発表。
*いじめについてのアンケ−ト調査を実施(84人中49人返答)
調査結果を分析し,いじめをなくすための方策に取り組んだ。
(結果と分析)
・いじめをしたこと・されたことがあるか・・・半数が経験あり
・いじめられたとき誰に相談したか・・・・・・友人が最多
理由:先生や親,兄弟より相談しやすいからだと考えられる。
*しかし,誰にも相談しない人が最も多かったことから,いじめられていても誰にも相談できずに一人で悩む状況が形成されやすいと考えられる。

*自分たちが,最も注目しなければならないのは,「いじめはなくなりますか」の問いに,「なくならない」と答えた人が多かったことと,「このアンケ−トをどう思うか」の問いに,大半の人が「良いと思う」と考えているが,「何とも思わない。関係ない。」という返答もあり,また,84人中49人しかアンケ−トに協力してくれなかったという事実も,無関心な人が多い実態を現しているとも考えられる。

(まとめ)
こういう無関心な人が多いと,いじめをなくそうと努力している人の行為が無駄になります。そうならないようにするためにも,自分たちの身近な所からいじめや非行に走る友人を一人も出さないように,私たちの手で明るく楽しい学級を築いて行かねばならない。
今後の対策として,「信頼できる友達を作る」,「明るく楽しい学級を作る」,「いじめが与える物を考える」など,対策を考え,「つけようけじめ,やめよういじめ」を合い言葉に,いじめがなくなるよう,まずこのクラスから頑張りましょう。

2班:男子3名,女子2名の5人グル−プが全員発表。
*事前に学習した「遺書」や資料から思ったことをまとめた。

*いじめは「いじめられる方にも問題がある」と考えている人がいるが,もし,仮に問題があるとしても,その問題についてお互いに話し合うべきだと思う。たとえどのような理由があろうともいじめをしてよいということにはならない。それに,人の気持ちを考えたら,いじめなんてできないはずだ。

*僕は,簡単に自殺するのはいけないと思う。それは,死んでも何も変わらないかもしれないからだ。
*遺書を読むと,その内容は,お金を取られたり,殴られたり,蹴られたり,使い走りにされたりしている場合が特に多い。また,いじめるのは必ず3,4人のグル−プでいじめている。それが分かる例として,大河内清輝君の遺書では,「いつもの4人にお金を取られた。」とか,「今では,パシリ1号とか呼ばれています。」など書かれていました。大沢秀猛君の遺書では,「この町に来て中1の初めの日にA君に後ろからつつかれたり,蹴られたりした。」と書かれていました。伊藤準君の遺書では,いたずら電話やお金の紛失の件が書かれていました。

*資料を読んでいじめが発生した要因を考えていくと,強い集団がその強さをかさにきて,弱い立場の特定の子に対して,精神的・肉体的に追いつめていくというのが特徴になっていた。

(まとめ)
いじめは簡単にはなくならないだろうけど,当事者がお互いに少しずつ歩み寄り,どういう訳でいじめるのかをもっと話し合い,一人一人がいじめはいけないことだと心がけていけば,次第に,いじめは少なくなってくると思う。

3班:男子3名,女子2名の5人グル−プが全員発表。
*いじめについてのアンケ−トを実施し,調査結果を報告し,分析検討する。

A(結果)

1.いじめた経験・・・・・全1/3
2.いじめられた経験・・・全1/4
3.いじめとはどういうものか(以下に例をあげる)
   ・いやがることを続ける
   ・精神的・肉体的に傷つける
   ・弱点を探して言いふらす
   ・無視,おどす,物を壊したり隠す

(分析,検討)
*以上の例に挙げたように,大半の人がいじめについての見解を持っているのに,なぜいじめがなくならないのかを検討し,2つの意見を導き出した。
・誰も止めないから,いじめている人が気づかない
・相談しないから,いじめている人がつけあがる

B.上記の分析に基づいて「誰も止めない理由」についてアンケ−トを実施。
(結果例)
・止め方がわからない
・自分がいじめられそうで恐い
・勇気が出ない

(分析と感想)
*誰も止めない理由を見て,僕はいじめられる子の辛さは良く分かるけど,「自分がいじめられそうで恐い」という気持ちは,本来誰にでもあるものだから,僕は止められないことを責めることはできない。僕ならいじめられている人がよほど仲の良い人でないと止めることができないかもしれません。でも,できるものなら「自分は止めてみせる」という人が出てきてくれたらと思う。

C.次に「なぜ相談しないのか」についてアンケ−トを実施。
(結果例)
・言えない状況にあるのがいじめの難しさだから
・もっといじめられるから
・弱さを認めたくないから

(分析と感想)
−先生に相談しない理由−
*「先生は秘密にしてくれないし大問題にしてしまうので信用していない」というのもあると思う。秘密にしてくれないと「ちくった」と言われ,またいじめられる。だから解決にはつながらないと被害者が思いこんでしまっていると思う。
−親や友達に相談しない理由−
*「親や友達に言うと心配や迷惑をかけると思い言えない」というのが一般的だが,本当は,いじめられている子が友達や親に相談して解決したという前例もないから,言い出せなくて,一人で悩み込んでしまうのかもしれない。

*相談することは確かに大切だけど,その前に人を信じることができるようになることが先決だと思う。

*自分が弱いということを認めたくもないし,知られたくもないからだと思う。

D.以上のアンケ−トに基づいて,本校の先生方の意見を聞いてみた。
(例)
・辛いことだと分かるけど,信じて相談して欲しい。
・強くなって,勇気を出して,頑張って。
・結局,なにがいじめかとかが問題じゃなくて,どのような理由があろうと「人が生きようとする力を故意に奪い取る行為は,絶対に許されないことである」と全員が自覚しなければならない。命を奪うことは(自分の命を含め)絶対あってはならないのだ。

E.まとめ
私たちの生活のあらゆる場において,お互いの悪いところだけでなく良いところも認められるように努力しなければならない。もし,私がいじめられていたら,「いじめている人は私の悪いところしか見ていない。もっと,良いところも見て欲しい。」と考えると思う。そのためにも全員が全員の良いところを知るために,気軽に話しかけられる環境を作り,何かあればすぐに相談できる人間関係を作る努力も必要だと気づいた。
今後,私たち3Cは,いじめについて全員で取り組んだことを忘れずにいじめをなくすという大きくて大切な目標への先頭に立って取り組んで行くべきだと思う。

4班:男子2名,女子2名の4人グル−プが全員発表。
*日頃のちょっとした嫌なことが,どのようにいじめへとつながっていくかについて考えた。また,その過程でどうすれば良かったのか。我々の取るべき態度について考えた。

A.日頃のちょっとしたことが,いじめへとつながっていく1例を紙芝居のロ−ルプレイで実演していく。
(実演内容)
*仲良し3人組(A,B,C)がいる。行動はいつも一緒の3人組であった。しかし,あることを境にそうはいかなくなった。3人組の内のAが突然Cを嫌いだしたのだ。Cがいないときに,AがBにCのことを悪く言い出した。次の日から,AとBの態度がケロッと変化し,A・BがCを悪く言っているところに周囲の他の子が一人,二人と加わっていき,いつの間にかクラスのどこにもCの居場所がなくなっていった。

(分析−いじめのメカニズム)
*ちょっとしたことからC(特定の子)が嫌になる。−>Cの陰口を他の子と言い合うようになる。−>エスカレ−トしていき,ちょっとしたことから始まったことが全体に波及し,Cを悪者にしてしまう。−>意地悪を言うことで周囲を味方に付け,Cの心をだんだんと傷つけてそれが当たり前のことになっていく。−>Cの居場所がなくなる。

B.対策,解決策
・Cに嫌なところがあるなら,その場でAとCが互いに話し合う。
・周囲の子はグル−プとかに縛られず,一人の友達として尊重する。
・一人一人が友達の大切さを知る。

C.まとめ(いじめについて思ったこと)
いじめにあって,自殺したり登校拒否になる人には共通点がある。それは,自分の居場所がなくなるということです。それは,落ちつける場所や安心して話せる人がいなくなるということです。いじめをなくすためには,その人の悪いところばかりじゃなく,良いところを見ていくことが大切だと思う。一人一人が安心して生活できる場所は,家庭はもちろんのこと,学校もそうあるべきであり,そこで安心して友達を作っていけばいじめなんて起こらないと思う。

5班:男子2名,女子2名の4人グル−プ全員発表。
いじめを苦にして自殺した中学生と,その遺書で名指しされた子の父親が自殺した事件について学習したときのみんなの意見の中で,
「親や教師に相談するべきだった。」
「死んでも何の解決にもなっていない。」
などが多かったので,このことをもう一度いじめた人の立場,いじめられた人の立場から考えた。

*結果:彼らは自殺するくらい思い悩んでいたのだから,死んでも何の解決にもならないことくらい分かっていたはずだと言う結論に達し,死をもって彼らが訴えたかったことは何かについて考えてみることにした。
ここで事件を思い起こすために改めて新聞記事を読む。
(記事)
「鹿児島県の某中学校で3年男子生徒(14歳)が,いじめを訴える遺書を残して自殺した問題で,この遺書でいじめたと名指しされた同学年の生徒の父親(45歳)が9月30日午後,農薬を飲んで自殺を図り,1日午前8時12分病院で死亡した。」

A.中学生が訴えたかったことについての班の考え
*いじめはその人の人生を左右するほど悪いことであることを訴えたかった。
*親や世間の人たちに同情してもらいたかった。

B.父親が訴えたかったことについての班の考え
*いじめをしていた息子たちに,いじめがどれくらい悪いことであるかを伝えたかった。
*息子の犯した罪の重さに耐えきれなかった。
*息子のかわりに死んで罪を償おうと思った。

(まとめ)
彼ら(加害者)は被害者の追いつめられた心など考えず,ましてや自殺などするわけはないだろうとの気持ちでいじめを行っていたと思う。もしかして自分の行っていた行為がいじめだと気づいていなかったのかもしれない。
すでにたくさんの人がいじめによって自殺し,いじめがその人の死につながるほど重大な行為であることは分かっていたはずなのに,それを自分自身の行為としてとらえられておらず,いじめを増幅し,それを黙認していたところに問題があった。
この事件から分かるように,私たちがいじめを自分自身のこととして捕らえることが,自分の周辺からいじめをなくしていく上で一番大切なことだと分かる。

6班:女子3名,男子2名の5人グル−プ全員発表。
遺書についての研究と分析。

A.大河内清輝君の遺書について
「これから生きていても」という文から,これ以上家族に迷惑をかけたくなかったのだと思う。でも,死んだらよけいに家族や友達に迷惑をかけることになると思う。「僕からお金を取った人を責めないでください。」という文では,自分が偽善者のように良い子ぶっていると思う。例え責めないでくださいといっても,親などはいじめている人を絶対責めると思う。

B.大沢秀猛君の遺書について
「初めは逃げ回っていたが,ス−パ−ファミコンくらいいいと思い渡した。」という文から,どうして渡してしまったのかについて話した結果,ファミコンくらい渡しておかないと,ますますいじめがひどくなると思い,それが嫌で渡したからだと考えた。
「しかしそのお金がないので死にます。」という文から,どうしてお金がないと死ななければならなくなったのかについて話し合い,お金は親が働いて稼いでいるので,もうこれ以上親に迷惑をかけなくなかったのだと想像した。

C.鈴木照美さんの遺書について
「私はこんな辛い思いまでして神崎中にいたくない。」という文から,別に行きたくなかったら行かなくてもいいと思うし,転校して新しい人生を送っていけば良かったと思う。別に転校することは悪いことじゃない。

D.まとめ
このようにいじめられ自殺した人は,これからの生活をやっていく自信がなかったのだと思う。それは苦しいことや辛いことがあっても,誰にも相談できず,息詰まってしまったからだと分かりました。

2.各班での発表内容について,質問や意見を出し合う。

A.1班への意見
*僕たちは,具体的にどのようなことをすればよいか。

*1班の解答
いじめや非行をなくし,誰もがのびのびと生活できる環境を作っていく。

*反論とまとめ
今の意見では,具体的な方法はよく分からないが,今後の生活のあらゆる場面において,話し合いの場を作って取り組んでいかなければならないことなので,今この場で話し合うべきことではないと思う。

B.3班への意見
*「止め方が分からない」というのはどう言うことか。

*返答
「止め方が分からない」と言うのは,自分がいじめられそうで恐いという気持ちが大きいと思う。自分がいじめられないように止める方法が思い浮かばないから,「いじめられてもいいから止める」ということができないのだと思う。

C.4班への意見
(ア)*僕も,今の意見にあったように,最初は個人同士のちょっとした争いから,グル−プ内への集団いじめへと発展する場合はあると思うけど,そもそもいじめられる子やいじめる子が属するグル−プは,どういう風にできるのか。

(司会者)
私も中学校で起こっているいじめは,グル−プ内で行われる場合がほとんどであると思うのですが,この件について意見はないですか。

*返答(グル−プのでき方)
中1の時の部活動入部などがきっかけになって,話をするようになって,その中から気の合う仲間ができてきて,遊びに出かけるようになってくると,給食の時などもみんなが誰とでも一緒に食べたらいいと思うけど,いつも決まった人と食べるようになって,それがグル−プになってくる。嫌なことがあった場合は,意見にもあったように直接に相手に言えたら良いけど,それがなかなかできない。で,グル−プ内に「はずれ」にされたりする人が出たりする。いろいろケ−スはあるだろうけど,グル−プはそういう風にできてくると思う。

(イ)*「いじめられている子は他に自分の友達を作るように努力すればよい。」という意見に対してだが,周りの人がみんな自分をいじめるようになったからこそ,元は仲の良かったA・Bと一緒に居たがるのじゃないかと思う。だから,いじめられる子は,事例からも分かるように「パシリ」にされてもそのグル−プに属していたいと思うのかもしれない。

*僕だったら,そんなにいじめられてまで一緒にいたくないです。

*まとめ
大河内君の例からも,いじめのグル−プにいたいと思えば「パシリ」などに使われてしまう。また,そのグル−プ内で行われるいじめは,周囲からはふざけているようにしか見えないカモフラ−ジュされたものになっているケ−スが確かに多い。だから,暴力や恐喝とかいじめの事実があっても,周囲からは見えにくくなっている。また,被害者は加害者に脅されていじめの事実を口止めされているかもしれないから,よけいに周囲には見えにくいのだろう。
ここで4班があげたいじめ発生のケ−スは,前述した暴力など言ったものじゃなくて,雰囲気という漠然としたつかみにくい苦痛の状況によって,その子を孤立させていくケ−スを紙芝居によって説明してくれたと思うので,同じ状況として話し合うべきじゃないと思う。

D.5班への意見
(ア)*父親の自殺理由の「いじめや自殺について考えてもらいたかった」というのは分かるけど,「息子にいじめられて自殺した子の親に許してもらいたかった」という意見について異論がある。それは被害者の親にしてみれば,加害者の父親の死によって,息子の死を償ってもらおうとは思っていなかったと思う。それに,償おうにも償えるものじゃないと私は思うからだ。

*5班の返答
正しい行為かどうかは別として,自殺した父親は,自分の息子が「人をいじめてその子を死に追いやってしまった」という暗く重い罪を背負って生きていくのがかわいそうで,そのことで息子が周囲から責められたりするのを,少しでもさけようとして,息子の罪を軽くしようと,「どうか息子を許して欲しい」という想いで,どうしようもなくなってしまって,周囲の目に追いつめられて死を選んでしまったのではないかと思う。

*教師の補佐
この件については,複雑な思いがあって,賛否両論あると思う。確かに父親の気持ちは良く分かるが,今息子は自分の行為によって友人を死に追いやってしまったという大きなショックを受けていて,今後決して逃れることのできない苦しい思いを引きずって生きて行かねばならない状況に置かれている。この現実を見据えて,本来であれば父親は死を選ぶのじゃなくて,一緒に励ましあって息子を支えていくべきじゃないだろうか。きつい言い方だけど,「死んどる場合じゃないぞ。」という想いが,押さえようとしてもわいてきます。

(イ)*中学生が自殺した理由に,「みんなに同情してもらいたかった」とあるが,私もそう思う。自分が死ぬほど苦しかったという事実を遺書に書いて,その遺書を同情を買うための道具にした部分もあると思う。また,そうすることで自分の死を大げさにして,自分の存在をみんなに知ってもらいたかったのだと思う。

*5班の返答
確かに意見の中には,自殺の理由に同情を買うためや自己の存在を明確にする意志にもとづいて行われたというのがあったが,班での考えはそういうことよりも,逆に「自分がそこにいられなくなるくらいに,かといってそこから逃げようとしても逃げ場がないくらいに,いじめがひどく,深刻化していたのだ」と捕らえています。

*別の意見
自殺の理由として同情を買うためというのより,僕は本当は自分の死によって,いじめた人に復讐したかったのだと思う。また,大河内君の遺書に書かれていた「いじめた人たちを責めないで下さい。」というのは,嘘の気持ちだと思う。絶対許してないと思う。

*5班の返答
「同情を買う」と言うことは,周囲の人の同情の結果,いじめた人が悪者になるから,周囲の人にその子が非難されて,それによって結局復讐にもなると考えている。

E.6班への意見
(ア)*「生活をやっていく自信がなくなった」という意見についてだが,それよりもいじめられることにより,次第に周りの状況が困難になっていって,毎日たくさんの精神的なダメ−ジを受けてしまい,どうしようもなくなって自殺という方向に行ってしまったんじゃないかと思う。

(イ)*いじめられている人への不満や自殺した人への批判をしたら,よけいにその人を孤立させて,いじめを正当化してしまうことになってしまう。これではいじめの予防や解決にはつながらないと思う。
だから,みんなが考えるようにいじめられる人に欠点があっても,だからといって集団でその子をいじめて良いことにはならない。こんな時は,その子の親しい友人が何気なく注意してあげられるととても良いと思う。また,加害者・被害者・周囲の人の間にきちんとした信頼関係があれば,ちょっとした争いの段階で,「君のこんなところはいけない。まちがっている。」とお互いに注意し合うことがスム−ズにいって,相互に高め合う関係が作っていけると思う。

(ウ)*「転校をしたら良い」と言う意見についてですが,いじめの事実を他の人に打ち明けて相談できない人が,「親に転校したい」というのは難しいと思う。また,いじめに対するダメ−ジや受け取り方は人によってさまざまだし,いじめにもいろいろあるから,そのいじめによって死にまで追いつめられてしまう人もいれば,また,「こんなのいじめじゃない」と思って生きられると思う人もいて,一概にこうだとは言い切れないと思う。だから,いじめへの対応は人それぞれだと考える。

3.いじめについて話し合ってきたことのまとめとして,「3Cいじめ撲滅宣言」を作成する。

配布してある紙(各班3枚程度)に日頃の生活の中で気をつけていきたい事を宣誓文として,班で話し合って書く。その後,司会者に提出し,その中から(3×6=18文)司会者が類似の内容を省いてまとめていき,主な宣誓文を選択して絞り込む。(所要時間5分程度)

「3Cいじめ撲滅宣言」が完成。

・私は何よりも命を大切にします。
・私は人の気持ちを考えられる人になります。
・私はいじめがなくなると信じます。
・私は悪口を言いません。
・私は相手の気持ちになって物事を考えます。

*上記の宣言文を1文ずつ全員が起立して,一斉に声に出して宣言する。

「3Cいじめ撲滅宣言」を模造紙に書いてクラス(前黒板の上)に掲示する。

*以上で生徒活動終了。

4.担任の話。

下記の文章を書いた紙(黒板一面の大きさ)を掲示する。

「いじめを見ているきみへ,彼を一人にしないで。」
「いじめられているきみへ,恥じることはないんだよ。」
「いじめているきみへ,彼の気持ちを考えたかい。」

     −清輝君が見た闇(豊田充著)より引用−

以降,上記の文に照らし合わせながら,クラスの生徒への思いを述べる。

クラスの宣言文の中で,特に「いじめはなくなると信じます。」という,この気持ちが非常に大事だと感じます。
上記の文中で書かれているように傍観者が多ければ多いほど,いじめは,エスカレ−トする傾向がある。だから少しでも多くの人が,一歩でも被害にあっている人に近づいていく。そして声をかける。また,仲の良い友人同士で「このままでええんか。」と考え,相談してみたりして,一人にされている彼に少しでも歩み寄っていくことが大切だと思う。
いじめられている人。結論を言えば,みんな誰しも弱さを持っている。一見,いじめられている人は弱虫だと思われがちだが,本当は,苦しいいじめににずっと耐えているという強さを持っているんです。そして言い換えれば,あなただけが弱いんじゃないんです。いじめている人は,自分のイライラや不満を自己処理できずに,被害者にぶつけて救われている。しかも一人では勇気がないから,グループになっていじめる。集まってないと不安だという弱い面がある。周りで見ている人も,自分が関わっていって,第二のいじめの餌食にされてしまうかもしれないから逃げる。結局,集団というところに逃げ込んでいる。みんなが弱いんです。だから,いじめにあってもその事実を決して恥じたりすることはないんです。
いじめているきみ。「だってあいつは僕らと一緒に楽しくあそんどる。」「たたいても,にこにこしとる。」「あいつも僕らのグル−プだ。」いじめている者は,いじめられている者の一面だけを見て判断し,彼の本当の心,苦しみを理解しているのだろうか。自分が彼ならどう思うか考えてみて欲しい。そして彼に聞いてみて欲しい。「お前,わしらと一緒にいてほんまに楽しいか?」と。
いじめられている彼の表情の裏に隠された本当の想いをさっして欲しい。
私から再度メッセ−ジを送ります。
「いじめを見ているきみへ,彼を一人にしないで。」
「いじめられているきみへ,恥じることはないんだよ。」
「いじめているきみへ,彼の気持ちを考えたかい。」

みなさん,「いじめは絶対に許さない。」という気持ちがあれば,今日の話題にあげた「いじめがあれば,自分はどうすればよいか。」ということに対する自分の取るべき行動は,自ずと導き出されてきます。
結局,いじめを解決させる根本は,人間愛(友人愛,親への愛,子への愛など)の心です。そして,いじめ問題を自分自身の問題として捕らえ,誰かじゃなく自分で,そして,みんなで取り組んでいくことが,いじめ発生をくい止める道であると信じます。
みなさん,どうか忘れないで欲しい。みなさんの側で,いじめが発生していれば,そのいじめの現実から,自分一人だけ逃げ出すことは決してできないということを。
だからこそ,今日のみなさんのように,一人一人が真剣に自分のこととして捕らえ,一致団結して,取り組んでいきましょう。いじめを撲滅させる仲間を増やしていきましょう。

−授業終了−

上記までが記録者による文章です。

おわりに(授業者の感想)

 いじめを考えるとき,いつも思う生徒の言葉がある。「悲しくて死んでしまおうかと思ったこともあるけど,泣き崩れるお母さんの顔を思い浮かべたら,とてもそんなことはできないと思った。」私はこの生徒の言葉を聞いたときから,いじめ問題解決のためには「人間愛」ということなしには考えられないと思っている。
 大河内清輝君の遺書と同時に見つかった「少年時代の思い出 旅日記」の中には,いじめの辛さを訴えた遺書に対し,家族旅行の楽しさなどが描かれている。その中に,「ありがとう,お父さん」「ありがとう,お母さん」という記述が6カ所もあり,死を胸に秘めた少年の哀切感がただよっている。
 歯の浮くような台詞であるが,「人を愛すること」そして「一人の人間として大事にし尊重すること」(自分も含めて),この2点が少しでも生徒たちに伝わってくれればと授業を行った。その後のクラスが変わった,変わらないといった面は実のところよくわからない。しかし,生徒たちの言葉に少し優しさや思いやりが感じられるようになり,人を傷つけるようなことはなくなったように思う。
 善悪の区別の付かない人間など,そうはいない。いじめも「環境」「雰囲気」「人間の弱い部分」などが引き起こすものであり,今後もそういった「目に見えにくい部分」に気を配っていかなければならないと思う。そして,いじめの指導はケースバイケースであるが,その中核となるものに「人間愛」があると考えれば,その方向性は自ずと見えてくるだろう。
 最後に,今回の授業に協力してくださった先生方に感謝しています。そして,ビデオテープからこの記録を書き起こしてくださった久保先生,どうもありがとうございました。

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