2008年4月25日のILO・ユネスコ「CEART」調査団の聴き取りに対して、香教組と香川高教組は共同で次のような文書を提出しました。

 

ILO・ユネスコ教職員勧告適用合同専門家委員会実情調査団質問事項への回答

                                         香川県高等学校教職員組合

                                    香川県教職員組合

1 香川県教育委員会が教員の評価に適用している手続きと基準

  香川県教育委員会は2002年9月に「教員の人事管理の在り方に関する検討委員会」(この検討委員会に教職員組合は入っていない)の報告書「新しい人事管理の在り方」にもとづき、「指導力不足等教員など」認定制度を教職員団体との十分な合意のないまま強行した。指導力不足等教員の認定及び復帰に関しては、学識経験者、医療関係者、法律関係者等の第三者で構成される諮問機関を設け、その答申を尊重するシステムになっている。しかし、諮問機関には現場の教職員は含まれておらず、教職員組合からの推薦もできない。

  これは、ILO・ユネスコの教員の地位に関する勧告(以下、地位勧告)の第9項「教員団体は教育の進歩に大いに寄与しうるものであり、従って教育政策の決定に関与すべき勢力として認められなければならない」、第49項「教員団体は、懲戒問題を扱う機関の設置にあたって、協議にあずからなければならない」、第51項「懲戒からの保護、ならびに懲戒自体の効果は、その教員が同僚参加のもとで判定を受ける場合、非常に高まるということを当局は認識しなければならない」、第71項「教員の職務遂行に関する専門職の基準は、教員団体参加のもとで定められ維持されなければならない」、第82項「教員の給与と労働条件は、教員団体と教員の使用者の間の交渉過程を通じて決定されなければならない」に反しており、香川県高等学校教職員組合(以下、香川高教組)と香川県教職員組合(以下、香川県教組)は、これまで香川県教育委員会(以下、県教委)に対して繰り返し、排除の論理ではなく、多忙化解消や労働安全衛生体制確立などによる教育・労働条件の改善による予防策こそが不可欠であるとして制度の撤回を要求してきた。香川県教組は2007年6月、県教委に対して「新勤務評定制度」および「指導力不足等教員など」の認定制度について申し入れを行った。県教委は交渉には応じなかったものの、2007年10月に一つひとつの要求に対して文章で回答を行った。これについては、別紙資料を参照されたい。

2 「指導力不足教員」または「能力不足」の者を評価する際の定義、基準、手続き

 (1) 「指導力不足等教員」の定義、基準

 香川県教育委員会の「指導力不足等教員などへの対応に関する要綱」では、「指導力不足等教員」を「指導力や適格性に問題があり、児童生徒を適切に指導できないため、人事上の措置を要する教員」としている。認定については、当該教員の問題の程度、管理職等の指導状況、本人の対応状況、児童生徒・保護者・同僚教員など関係者の反応の4つの観点で判断される。指導力不足等教員などの具体的な例として、「授業展開の意図が不明である」「自分の関心のある内容しか扱わない」「わがままを放任する」「主義・主張のみで実行が伴わない」など一面だけをとらえ恣意的判断がなされるものも含まれている。さらに、「服装や言葉づかいが不適切で、不快感を与えたりトラブルを起こす」「突発的年休や遅刻等が多く授業に支障をきたし、児童生徒、同僚等に迷惑をかける」という指導の能力・技術に関係しないものも示されている(指導力不足等教員などへの対応マニュアル)。

 また、指導力や適格性に係る問題の原因が疾病等に起因する場合も認定の対象になっている。香川高教組・香川県教組は「精神性疾患等に起因することが疑われる場合は認定対象から除外すること」を要求した。それについて県教委は現在運用の見直しをしていると回答した。

(2) 認定の手続き

 「指導力不足等教員」の認定の流れは次のようになっている。

@ 学校長(指導力不足等教員などに関する報告書)→A市町教育委員会=義務制のみ(指導力不足等教員などの認定申請書)→B県教育委員会(諮問案の作成)→C指導力等向上審査会(認定機関:諮問案についての検討)

(3) 手続き上の問題点

@ 学校長の報告書

 「指導力不足等教員」の認定に大きな影響をもつのが学校長からの報告書である。報告書には4つの観点から見た内容に校長の意見が記述されるが本人の意見は添付されない。本人からの事情聴取の手続きもなく、報告書は本人には開示されない。これでは恣意的に判断されていても確認できない。

A 市町教育委員会(義務制)

 市町教育委員会は、学校長の報告書をもとに、市町教育委員会の意見をつけて申請する。しかし、認定前には「校長から事情聴取を行うほか、必要に応じて本人や関係者から事情聴取を行う」であって、事実上本人の意見表明の機会は保障されていない。

B 県教育委員会

 県教育委員会は、学校長(県立学校)、市町教委(義務制)からの申請にもとづき実態を確認し、指導力不足等教員などの認定及びその対応策を指導力等向上審査会に諮問する。対応策は研修(長期、短期の校外研修、校内研修)、他職種への転任、分限免職、退職の勧奨である。指導力等向上審査会に諮問する前に、諮問案及びその理由が本人に学校長から説明される。あわせて、諮問案及びその理由に不服があるときは県教育委員会に対して不服の申し立てを行うことができる旨も説明される。また、不服申し立ては指導力等向上審査会での認定、及び対応策が決定され、本人に通知されたときもできるとされている。しかしながら、本人が意見書を出す期間は1週間であり、学校長の報告書も開示されない状況では、認定対象者は十分な対応はできない。

C 指導力等向上審査会(諮問委員会)

 指導力等向上審査会は、県教育委員会の諮問案を審議する。しかし、審査会で本人が意見表明をするのは「審査のため必要があると認めるとき」(指導力等向上審査会の組織及び運営に関する要綱)である。審査会への出席、意見表明の権利は事実上ない。

 香川県教職員組合は2003年3月、指導力等向上審査会の委員一覧及び会議資料などの情報公開請求を行ったが、香川県教育委員会が「審議に関する情報が公になると、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換や意思決定の中立性が損なわれるおそれがある」などを理由に非公開決定を下したので、香川県情報公開審査会に異議申し立てを行った。香川県情報公開審査会では、「CEART勧告」の「県教育委員会が判定委員会の委員名を明らかにしていない以上、判定の過程は開かれた透明性の高いものであるとはけっして言えない」「指導力不足教員の判定委員会の委員名を非公開とする理由が十分説得的であるとはいえない。何よりこうしたやり方(非公開)は他国では見られない」を引用して、意見陳述を行った。

 情報公開審査会は「公開すべき」との答申を出し、委員一覧及び会議資料などが公開された。しかしながら、指導力等向上審査会委員一覧の中には現職教員が含まれていない。審査に係る時間について、県教委は香川県教組に対して「審査会は審議に必要な時間を十分に確保している」と回答したが、公開された議事録(個人の情報は公開されないので説明内容や委員の発言は分からないが)からは本人の出席もなく、事務局からの説明中心で進められており、十分に時間を確保しているとは認めがたい。また、2003年2月14日に行われた指導力等向上審査会で事務局(教育委員会)は審査会で認定され、対応策が決定された後の不服申し立てについて「基本的には一事不審理ということで再審査はしないことが原則だが、今回の審査の結果を覆すようなことがあった場合は再審査を行うこともあり得ると考えている」と述べている。不服申し立ては、実質的には機能していないと言える。

(4)  改善すべき点

 以上のように指導力不足等教員の定義・基準があいまいで主観が入る余地が多分にあり、客観性・公平性・透明性が確保されているとは到底認めがたい内容である。また、不服の申し立ては却下されている状況である。香川高教組・香川県教組は導入に際して強く撤回を求め、導入が強行された後も誠実な協議を求めてきたが、県教委は要綱にもとづき適切に実施していると協議を拒否している。しかも、指導力不足等教員として認定されると、直接には賃金リンクしてはいないが、昇給や一時金の勤勉手当に差が出る可能性がある。これは、地位勧告第45項「教職における雇用の安定と身分の保障は、教員の利益にとって不可欠であることは言うまでもなく、教育の利益のためにも不可欠のものであり、たとえ学校制度又は学校内の組織に変更がある場合でもあくまでも保護されるべきものである」、第46項「教員は、その専門職としての身分またはキャリアに影響する独断的行為から十分に保護されなければならない」、第50項「すべての教員は、いっさいの懲戒手続きの各段階で公平な保護を受けなければならない」、第64項「教員の仕事を直接評価することが必要な場合には、その評価は客観的でなければならず、また、その評価は当該教員に知らされなければならない。教員は不当と思われる評価がなされた場合に、それに対して異議を申し立てる権利をもたなければならない」、また第124項「給与決定を目的としたいかなる勤務評定制度も、関係教職員団体との事前協議およびその承認なしに採用し、あるいは適用されてはならない」に反する。

 県教委は「教育公務員特例法」の改定にともない、香川県教育委員会規則第8号「指導が不適切な教員の認定等に関する規則」を2008年4月1日から施行させる。しかしながら、この規則を香教組は知ったのは、県教委が2008年3月31日に電話で知らせてきたときである。制度を改善する絶好の機会であったが、県教委は教職員組合との協議をすることもなく、一方的に制定した。これは地位勧告第9項に反する。なお、規則では「認定等に関し必要な事項は教育長が定める」となっている。香川高教組・香川県教組は、地位勧告の第9項によって「認定等に関し必要な事項」の決定に関与すべき勢力として認められなければならない。そうでないならば、これまで指摘したような恣意的な認定が行われるおそれや認定に至る詳細な理由の説明及び不服申し立てが十分になさないおそれがあり、地位勧告第64項に反する制度になるおそれがある。香川高教組・香川県教組は「指導が不適切な教員」の認定制度作成において、組合が関与できるように強く求めていく。

3 評価における教員の意見表示、情報開示、不服申し立ての実際

  2002年度末に「父母からの苦情があった」「書類提出の期限が遅れた」などの理由で指導力不足等教員に認定された教員の場合、認定理由のような事実はないとして2度にわたり県教育委員会に不服申し立てを行った。しかし、受け入れられなかった。また、香川県教組からの要請で市教育委員会が事情聴取を行ったが、市教育委員会は十分な事実確認を行わなかった。これでは公正な制度運用や手続きが取れているといえない。

  本人は、この認定を不利益処分として、地方公務員法にもとづいて香川県人事委員会に対して不服申し立てを行った。人事委員会は不服申し立てを受理したが審理の結果不利益処分にあたらないとして却下された。実質的には、本人からの不服申し立ては機能していないと言える。
  
4 指導力不足と評価された教員の専門技能育成、支援、再訓練

(1)  研修内容について

 研修は香川県教育センターでの研修を中心に行われる。教育センターでは特別研修生として位置づけられている。現場復帰をめざすことを前提に研修プログラムは作られており、午前中は講義や演習で教育センター以外の講師から指導を受けることが多く、午後は課題研修という形になっている。これまでに、香教組には「研修を受けに来ているということで年次有給休暇を取りにくい状況がある」

 「講師から見下すような態度で接せられたことがあった」「ネームプレートが他の研修で教育センターに来ている人と違う」などの苦情が寄せられた。

(2)  研修後の職場復帰の状況

 香川県では指導力不足等教員に認定された者は2002年度から2006年度までで46名である。そのうち、現場復帰した者が25名、退職した者が13名、2007年度現在研修を受けている者7名、休職1名である。1/3の教員が退職している。これは指導力不足等教員などへの対応策として、「研修を行っても効果が期待できないと認められる場合や研修によって改善が認められない場合は、教員以外の職への転任や退職の勧奨、分限免職によって対応する」としているからである。安易に退職を勧奨するのではなく、十分に研修を保障し、指導・援助し、励ます対応が必要である。

5 教員評価制度と教員の昇格、給与、その他の重要な手当との関係

(1) 評価の実態

 評価はS、A、B、C、Dの絶対評価である。その観点は、意欲・行動特性、能力、実績の3つの要素で行われる。主観的評価が大いに入る余地がある意欲を一つの要素にしている。着眼点の例として「校務分掌上の課題解決のために研究・修養に努め、実践に生かそうとしているか」があるが、「研究・修養に努め、実践に生かそうとしている」というのには客観性がない。目立たなくても「研究・修養に努めている」教員は多くいる。むしろ、恣意的に判断される余地が大いにある。また部活動などの時間外勤務を評定要素以外で加点するなど評価基準や評価項目自体にも問題がある。

 評価はすべて数値化されることになっている。3つの要素それぞれに学習指導、生徒指導・進路指導(学級経営)、校務分掌の3つの評定項目がある。したがって、9つの項目をそれぞれ5段階で絶対評価することになる。多面的・専門的な高度な教育活動を単純化した数値で評価することはできない。また、5段階のどの段階に該当するかは大いに主観が入る余地がある。

 県教委は勤務評定者研修を行っているが、2002年度の研修の講師は「日本経営協会」の講師である。教育の営みに民間の経営の観点はなじまない。また、この研修では「勤務評定観察記録・指導記録」について触れている。この「観察記録・指導記録」は主観的評価にならないように、勤務状況を観察し、長所や短所、指導事項を記入するものだが、能力開発・人材育成よりも評価のためのものとしてだけ使われるおそれがある。

  県教委は、「評価結果は本人に開示しない」としている。また、香川県教組・香川高教組の「異議申し立て制度を確立すること」の要求に対して「苦情処理制度を設けることは考えていない」と回答した。これは地位勧告の第64項に反する。評価結果が本人に開示されてこそ、人材育成や能力開発につながるのであり、県教委の姿勢はこれとも矛盾する。
 
(2) 勤務評定と賃金の連動

 勤務評定制度見直しにあたって、県教委は香川高教組・香川県教組連名の申し入れ書を受け取ったものの、教職員団体との誠実な協議ならびに合意を全くせずに一歩的に実施を強行した。「新しい人事管理の在り方」では「人事評価制度は個人の能力や可能性を伸ばすための手段であり、評価のための評価であってはならない。従って、評価の結果は人材育成、能力開発や適切な人事配置、昇給、昇任等、人材育成・能力開発システムや人事・給与システムと連動し活用されることによってはじめて有効に機能するものといえる」としている。現在までのところは直接賃金へのリンクはしていないものの、県教委は「制度が定着した段階で給与にリンクさせる」と明言している。これは、明らかに地位勧告第124項に反する。

(3) 職場の意見

  2001年12月から2002年2月にかけて香川高教組・香川県教組が実施したアンケート調査では「新勤務評定制度」に対して反対する教員は66%で賛成の6%を大きく引き離している。また、「公正で客観的な評価は可能か」に対して可能1.4%、不可能72.4%であり、圧倒的多数の教員がこの制度の実施に反対の声をあげた。香川高教組・香川県教組はこの教職員の意見に立脚して、県教委に繰り返し「新勤務評定」制度の全面撤回、誠実な協議を申し入れた。また、県人事委員会も「組合との誠実な協議が大前提である」「常識的に考えても教育委員会が賃金に関わることを一方的に決めてしまうことはあり得ない」という地位勧告につながる対応をすべきとの考えを示している。県教委は依然協議に応じておらず、これは地位勧告第9項、第64項、第82項、第124項に反する。

6 昇給、給与、その他の重要な手当に関して肯定的な評価を受けた教員に適用される方針及び実際

 香川県教育委員会は2003年4月1日施行で教育実践優秀表彰要綱を定め、「優秀な教員の表彰制度」を導入した。要綱によると、「学校教育において、積極的な取り組みを行い、顕著な成果をあげた教員を表彰し、その功績に報いるとともに、その成果を普及することにより、教員の資質向上や意欲の高揚を図り、学校の活性化に資することを目的とする」とし、表彰を受けた教員には特別昇給まで与えることになっている。給与に影響する制度にあるにもかかわらず、県教委は教職員組合に事前に何らの提示もせず、3月定例教育委員会で議決したものであり、地位勧告第82項、第124項に反している。

 また、優秀な教員の選考基準は「他の教員の模範となるような指導を実践し、成果をあげた教員」とされている。「他の教員の模範」は極めて主観的であり、地位勧告第64項の「評価は客観的でなければならず」に反する。香川高教組・香川県教組は制度の運用について教職員団体との誠実な協議に応じるよう要求したが、県教委はそれには応えなかった。

7 関連する政策・方針の運用とその適用に関し、教育当局と教員団体との間で確立されている意見交換及び協議のための仕組み

 香川県教育委員会は2004年6月に「香川県教育基本計画策定協議会」を設置した。2005年度から2010年度までの香川県の教育計画の具体的内容を決定する機関である。学識経験者、市町長及び市町教育委員会教育長、各種教育関係団体等の代表者のうちから、香川県教育委員会教育長が委嘱又は任命する形である。しかし、教職員組合はその中には含まれていない。2004年度以降、各審議会や委員会に教職員組合の代表は入っていない。教職員組合が関与できるのは「意見聴取」や一般も含めた「パブリックコメント」の場である。これは地位勧告第9項「教員団体は、教育の進歩に大いに寄与しうるものであり、したがって教育政策の決定に関与すべき勢力として認められなければならない」に反する。

 また、学校現場には経理事務を行う事務職員、学校の施設設備の維持・営繕などを行う現業職員(県立学校)が存在する。これらの職員は教員とは違った視点で生徒と関わり、教員の業務を大いに補助している。しかし、国や県の財政難を口実に配置人数が減らされてきている。香川高教組は、新規採用や給与の改善を訴えている。県教委との交渉は行われているが、要求は全く受け入れられない状況にある。これは地位勧告第9項、第45項、また第87項「教員がその専門的職務に専念することができるように、学校には授業以外の業務を処理する補助職員を配置しなければならない」に反する。

8 懲戒事項に関する教員団体との協議の仕組み

 香川県では教職員の懲戒については、県の教育委員会の会議で決定される。教職員組合との協議はこれまでいっさいない。これは地位勧告第49項に反する。

9 教員の能力評価制度における専門的な昇格基準に関する教員団体との協議

 県教委はすべての全日制高校、また一定規模以上の小・中学校に教頭の複数配置をしている。これは全国の割合よりはるかに高い。香川高教組・香川県教組とも交渉で教頭の複数配置をやめて教諭を増やすことを要求しているが、県教委は認めない。また、2008年2月の県議会で県教育長は、「新たな職の2009年度からの設置に向けての検討をすすめる」と発言した。香川高教組・香川県教組とも、新たな職の設置は管理を強化するだけで、教育現場の多忙化解消やよりよい教育条件の整備には全くつながらないとして設置しないことを強く要求してきた。また、教職員団体との誠実な交渉を求めてきた。今後、協議に応じなければ、地位勧告第9項、また第44項の「昇格は、教員団体との協議により定められた、厳密な職業的基準に照らし、新しいポストに対する教員の資格の客観的な評価にもとづいて行わなければならない」に反する。

10 教員の能力評価制度における勤務評定の書面に関する教員団体との協議

 県教委は、一時金の勤勉手当に成績率を持ち込み賃金に差をつけることを提案してきた。香川高教組・香川県教組との協議は何度も行ったものの平行線であった。県教委は2007年12月の勤勉手当より導入を強行した。この制度については「教職員の協力共同を損なう」「客観的で公平公正な評価は困難」、また「教育にはなじまない」という声が教職員や学校長の中からも上がった。
 香川高教組・香川県教組は地位勧告の第124項「給与決定を目的としたいかなる勤務評定制度も、関係教員団体との事前協議およびその承認なしに採用し、あるいは適用されてはならない」にもとづいて、誠実な交渉と制度の全面撤回を要求している。この要求に対して、県教委は「適切に対応したい」と多くの教職員の反対の声と地位勧告の効力によって、これまでの県教委が多用してきた「管理運営事項」ということで要求や交渉を拒絶してきた姿勢からの変化が見受けられる。

11 紛争解決を取り扱う仕組み

 紛争を取り扱う仕組みとしては香川県人事委員会への措置要求や裁判所への提訴という方法しかない。香川高教組は2006年5月に「開かれた教育行政を行う立場から、教育諸問題について議論するため父母・県民・組合を含めた協議会あるいは懇談会をつくること」を要求した。これは地位勧告第10項「それぞれの国で必要に応じて、人的その他あらゆる手段を利用して『指導的諸原理』に合致した包括的な教育施策を作成すべく適切な措置がとられなければならない。その場合、権限ある当局は以下の諸原則および諸目的が教員に与える影響を考慮しなければならない。(k)教育施策とその明確な目標を決定するためには、文化団体、研究、調査機関はもちろんのこと、関係当局、教員団体、雇用主と労働者、および父母等の各組織の間で、緊密な協力が行われなければならない」にもとづく要求である。県教委は、この要求を「教育の諸要求に関してはさまざまな形で伺っている」として拒否した。紛争を未然に防ぐためにも、県教委と教職員組合との誠実で実効ある協議が重要である。また、「管理運営事項」を楯に要求や交渉を受け入れない県教委の姿勢を改めさせるためにも、地位勧告を県教委がしっかりと認識し、地位勧告にもとづいた対応をすることこそがよりよい香川の教育の実現につながるとの確信を持つことが大前提である。  

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