TAN-8250の写真
SONY  TAN-8250
STEREO AMPLIFIER ¥315,000

1974年にソニーが発売したパワーアンプ。,ソニーが半導体アンプの分野でより新しい展開
を求めて作り上げていった「ES-Uシリーズ」のパワーアンプで,V-FETを搭載したTAN-8550
と並ぶもう一つのトップモデルでした。パネルデザインもTAN-8550と非常によく似ていますが
内部の構成もよく似た部分の多いモデルでもありました。

前段のAクラス段は,TAN-8550と同じく3段差動アンプ構成になっており,初段はFETを2本1
パッケージとした新開発のデュアルFETを採用していました。不平衡電圧の温度ドリフトがなく安
定した動作を実現していました。このAクラス段はすべて定電圧回路が内蔵されており,DCアン
プ構成となっていました。

Bクラス段はトリプルダーリントンのドライバー段に,トリプルプッシュプル・純コンプリメンタリー出
力段で構成されていました。出力段には新開発のエピタキシャル型PNP,NPNペアパワートラン
ジスタが使用され,その力の50%以下の領域で使用され,連続大出力動作にも余裕ある出力段
となっており,150W+150W(8Ω両ch,20Hz〜20kHz)という出力が実現されていました。
また,リアパネルにあるMODEスイッチを切換えると,ハイパワーモノラルアンプへの切換えも可
能となっており,パラレルまたはシリーズ接続にすると2Ω以上の低インピーダンス負荷および8
Ω以上の高インピーダンス負荷に対して,ステレオ時のほぼ2倍の出力が得られるようになって
いました。

TAN-8550同様,大出力による放熱に対応して,新開発のチムニー型ヒートシンクが搭載されて
いました。空気の対流を利用し,煙突のようなダクトから温められた空気が上昇し,ヒートシンク下
部から冷たい空気が吸い込まれる一種の強制空冷方式で,小型軽量ながら大きなクーリング効
果をもつものでした。
保護回路として,様々なアクシデントに対応したフル・プロテクションサーキットが搭載されていまし
た。パワートランジスタの保護回路には,応答が極めて速い電子回路によるPCリミッタ併用負荷
インピーダンス検出型保護回路が採用され,さらに,ヒートシンクの温度上昇を検出する熱検出
型保護回路が採用されていました。また,スピーカー保護回路も純電子式で,DC電圧の発生等
によるスピーカーの破損を防止するようになっていました。
また,当時としては非常に大出力なアンプということで,誤って過大入力を供給し,スピーカー破
損を招かないためのパワーリミッタースイッチ(1/2,1/4,1/8に制限可能)が前面パネル
に付いていました。

電源部には,大容量の電源トランスと新開発の2電源用電解コンデンサを搭載していました。電
源トランスは,新開発のリング状,トロイダルコア・トランスが採用されていました。磁束が巻線の
内部に包囲されているため,磁束が外部に漏れず他の部品への磁気的な影響が低減され,磁
心が一体構造であることから,機械的特性も安定しているというすぐれた特徴を備えていました。
新開発の2電源用電解コンデンサは,1パック内に2つのコンデンサ素子を封入したもので,従
来のものより抵抗値が一桁少なく相互インダクタンス,自己インダクタンスも低減されており,新
構造によって諸特性が改善されていました。素子間の特性バランス等もすぐれたものとなってい
ました。
TAN-8250では,±60Vの定電圧電源回路,メータランプ用定電圧回路,±10V定電圧電源
回路,−65V定電圧電源回路というように,各ブロックごとに定電圧回路が内蔵されていました。
特に,±60Vの定電圧電源回路はユニークな回路が搭載されていました。無信号時は半波形
整流回路で供給され,1Aを超え始めるとSCR(Silicon Controlled Rectifier=サイリスタ)による
オン・オフ制御型電圧回路から供給され,4Aを超えるとチョークインプット型整流回路となるとい
う電源回路でした。

フロントパネル面は「ES-Uシリーズ」に共通したイメージを持ち,上記したように,TAN-8550
によく似たなものでした。ペアを想定したプリアンプTAE-8450や姉妹機TAN-8550と同様に
光指示方式のメーターが装備されていました。このメーターは,応答速度の速いピーク・プログラ
ム・メーターで,メーター指示範囲は1W〜200Wのワイドなものでした。さらに,×1/10の感
度切換も装備されており,0.1Wからの読み取りも可能でした。

TAN-8250のリアパネル

入力系,出力系はTAN-8550と同様な構成になっていました。入力端子は2系統装備され,前面パ
ネルにL・R独立の入力レベル調整ツマミが装備されていました。また,リアパネル面には,入力端子
それぞれにTEST/NORMALの切換えスイッチがありました。これは一種のサブソニックフィルタで,
NORMAL側にするとオーディオ帯域外の低域をカットするようになっていました。
スピーカー出力端子はA,B,DIRECTの3系統装備され,B端子1系統は,パネル面のレベル調整ツ
マミによって出力レベルの調整が可能となっていました。DIRECT端子は,スピーカー切換えスイッチ
による音質等の劣化をより防ぐための端子で,前面の切換えスイッチをBに合わせるとレベル調整は
可能でした。

以上のようにTAN-8250は,「ES-Uシリーズ」のもう一つの頂点を成すパワーアンプとして,またハイ
パワーアンプとしてしっかりした作りと高い機能性を持つ1台でした。ソニーらしいカッチリとクリアな音
は,従来の「ESシリーズ」を受け継ぎ,TAN-8550とは,また別の魅力を持つパワーアンプでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



新開発パワートラジスタ採用。
忠実な波形伝送をめざした
ステレオ・メインアンプ


◎Aクラス段は3段差動アンプ構成。
◎Bクラス段はトリプルダーリントンのドライバー段
 にトリプルプッシュプル,純コンプリメンタリー
 出力段で構成。
◎パルシブな波形に対し,追従性のよい光指示方式
 のピーク・プログラム・メータを内蔵。
◎あらゆるアクシデントに応えられる
 フルプロテクション・サーキットを採用。
◎本機では各ブロック毎に定電圧回路を内蔵。
◎新開発の2電源用コンデンサは1パック内に
 2つのコンデンサ素子を封入。
◎新開発のチムニー型ヒートシンク採用。
◎サブソニック・フィルタを装備。
◎誤って過大出力を供給し,スピーカ破損を
 招かないようにパワーリミッタースイッチつき。
◎ハイパワーモノラルアンプへ切換え可能。
◎2系統の入力端子,3系統の出力端子を装備。
◎入力レベルコントロール・ツマミつき(L.R.)




●主な規格●

回路方式
フェイズリニアDCアンプ構成ピュアコンプリメンタリー回路
トランジスタ等
トランジスタ:63 Dual FET:2 ダイオード:64
SCR:2
出力

1kHz         250W+250W(4Ω)
(両チャンネル動作)180W+180W(8Ω)                 
20Hz〜20kHz   200W+200W(4Ω)
(両チャンネル動作)100W+100W(8Ω)
20Hz〜20kHz   300W(4Ωパラ接続)
(モノ動作)      500W(8Ωシリーズ接続)
高調波歪率
0.1%以下(定格出力時)
混変調歪率
0.1%以下(定格出力時)
周波数特性
DC〜100kHz+0−1dB,TEST
20Hz〜100kHz+0−3dB,NORMAL
(いずれも8Ω負荷,1W出力時)
ダンピングファクタ
250以上(スピーカーDIRECT端子,1kHz,8Ω)
入力感度
1V(50kΩ)
パワーリミッタ
定格出力,1/2,1/4,1/8
オプティカルピークプログラムメータ
周波数特性:30Hz〜30kHz+0,−3dB
メータ指示範囲:0〜200W
電源コンセント
200W(非連動)
電源
AC100V,50/60Hz
消費電力
380W
寸法
440W×170H×410Dmm
重量
23.3kg

※ 本ページに掲載したTAN-8250の写真,仕様表等は1982年6月のSONY
 のカタログより抜粋したもので,ソニー株式会社に著作権があります。したがって
 これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますので
 ご注意ください。

  
 
 
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