TAE-8450の写真
SONY  TAE-8450
STEREO PREAMPLIFIER ¥285,000

1974年に,ソニーが発売したプリアンプ。ソニーはトランジスタラジオで知られていますが,アンプ
の分野ではもちろんトランジスタアンプから始まりました。1965年のTA-1120から始まり,TA-
1120A,TA-1120Fとグレードが上がり,1972年には普及タイプのTA-1150が発売され,人
気モデルになったという,初期のトランジスタアンプの流れがありました。この頃のアンプが「ESシ
リーズ」と称されていました。そして,1974年より新しく「ES-Uシリーズ」が登場してきました。フロ
ントパネルのデザインに共通性があり,これが大きな特徴にもなっていました。画期的新素子の
V-FETを自社開発し,世界で初搭載したプリメインアンプTA-8650を発売するな ど,ソニーが半
導体アンプの分野でより新しい展開を求めて作り上げていった意欲作のシリーズでもありました。
TA-E8450は,そんな「ES-Uシリーズ」の最上級プリアンプとして発売されました。

TAE-8450の大きな特徴は,波形伝送が可能なユニットアンプを使用していたことでした。イコライ
ザー部に2アンプ,プリ部,トーンコントロール部に各1アンプを使用して片chの主要部を構成して
いました。このユニットアンプは,2段差動+バッファーアンプというもので,厳密な特性バランスが
とられ,低歪みを実現していました。2段の差動アンプ部は,初段にNチャンネルのFET差動アンプ
次段にPNPトランジスタ差動アンプという構成で,終段のバッファーアンプと直結され,ユニットアン
プ全体は本質的に帰還回路に時定数を持たないDCアンプとなっていました。

イコライザー回路は,上記のように2アンプ構成でしたが,低域をNF型,高域をCR型という組み合
わせで,RIAA偏差20Hz〜20kHz±0.2dBを実現し,入力コンデンサーを介さず,カートリッジの
入力をイコライザーアンプに直結する構成となっていました。
フォノ入力は2系統で,感度1.5mV,4.5mV,さらにヘッドアンプ挿入と選択できるようになってお
り,入力インピーダンスも50kΩ,100kΩのほか,ヘッドアンプ挿入時には,リアパネルの切換え
スイッチにより10Ω,30Ω,100Ω,1kΩと選択できるようになっていました。
ヘッドアンプは,初段に新開発のローノイズNPNトランジスタが使用され,ダーリントン接続のPNP
トランジスタ2石の3段直結構成で,低出力インピーダンス特性のMCカートリッジにも対応していま
した。

TAE-8450には,プリアンプとしては珍しいレベルメーターが装備されていました。1msのパルシブ
な波形にも反応する新開発の光指示方式のピーク・プログラムメーターで,−50dB〜+5dBという
ワイドなスケールをもち,20dBのメーターアッテネーターの併用で,−50dB〜+25dBの読み取り
も可能となっていました。また,ファンクションの切換えにより,VUメーター,ピークホールド・メーター
にもなるようになっていました。さらに,ピーク・プログラム・メーターインプット・ファンクション切換え
スイッチを使用すると,イコライザー出力,プリアンプ出力,マイクアンプ出力が監視できるなど,多
機能に使えるようになっていました。

ボリュームは,高精度なアッテネーター型が採用されていました。各ステップでの絞り込み誤差は
0.5dB以内,ギャングエラー1dB以内という高精度なもので,音量増減に伴う定位の変化が極少に
抑えられていました。
トーンコントロールは,ターンオーバー周波数切換え式で,2dBステップでそれぞれ10dBの可変範
囲をもつCR型が搭載されていました。また,聴感補正に便利な,中域に効くプレゼンススイッチも装
備されていました。
フィルターは,ローフィルターが10Hzと40Hz,ハイフィルターが9kHzと20kHzにカットオフ周波数
が切換え可能なアクティブ型フィルターが装備され,FETを使用し,シャープな遮断特性と低歪率を
実現していました。ミューティングは,ユニットアンプがバイパスされる方式で,ミューティングON,ト
ーンコントロールOFF,フィルタOFFにするとイコライザー出力がそのままプリ出力につながるように
なっていました。

業務用にも使えるマイクミキシング回路が採用され,マイクレベルとソース信号レベルが同時に調整
でき,フェイドイン,フェイドアウトのミキシングも自由に行え,さらに,マイクとメーター直結により音圧
測定器としても使えるようになっていました。
テープ端子は2系統あり,他のソースを再生しながらの相互ダビングも可能となっていました。また,
エキストラ・アダプタ端子が装備され,4chアダプタやイコライザー,3台目のテープデッキなどの接続
ができるようになっていました。
TUNER,AUX-1,AUX-2,TAPE-1,TAPE-2の各入力には,リアパネルに入力レベルアジャスタ
が装備されており,再生レベルを揃えることが可能となっていました。
ヘッドホン端子は,オーディオ用ICと純コンプリメンタリー出力段の組み合わせによる全段直結方式
となっていました。

リアパネルの写真

以上のように,TAE-8450は「ES-Uシリーズ」の最高級プリアンプとして,すぐれた音質と使い易く
多彩な機能の両立を実現していました。すっきりと濁りのない音は,物理特性の良さを感じさせるもの
でした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



特性,品質の均一なユニット
アンプ採用。忠実な波形伝送
をめざしたステレオ・プリアンプ


◎波形伝送が可能なユニットアンプを使用
◎低域をNF型,高域をCR型組み合わせ
 による2アンプ構成のイコライザー回路を
 採用。
◎1m/sのパルシブな波形までも追従指示
 する新開発〈光指示方式ピーク・プログラム
 ・メータ〉を内蔵
◎超ローノイズトランジスタ使用のヘッドアン

◎オーディオ用ICと純コンプリメンタリー出力
 段を組み合わせた全段直結ヘッドホン端子
◎高精度アッテネータ型レベルコントロール
 を採用
◎ユニットアンプがバイパスされる方式の
 ミューティング回路を採用
◎ターンオーバー周波数切換え式トーンコン
 トロール採用
◎聴感補正に便利なプレゼンス・スイッチ
◎カットオフ周波数切換え可能なアクティブ 型
 フィルタを採用
◎業務用にも使えるマイクミキシング回路を
 採用
◎エキストラ・アダプタ端子を装備
◎フォノ入力は2系統,感度1.5mV, 4.5mV
 さらにヘッドアンプ挿入と選択できます
◎MIC/AUXファンクション・スイッチ を装備
◎ TUNER,AUX-1,AUX-2,TAPE-1,
 TAPE-2の各入力に入力レベル調整
 アジャスタを装備




●主な規格●

回路方式
《ヘッドアンプ》
1ローノイズNPN,2PNPトランジスタ構成の
3段直結回路
《イコライザーアンプ》
ユニットアンプ×2構成
《フラットアンプ》
ユニットアンプ×1構成
《トーンコントロールアンプ》
ユニットアンプ×1構成
《ヘッドホンアンプ》
1ICピュアコンプリメンタリー直結回路
《マイクアンプ》
1IC
《メータアンプ》
1デュアルFET,1PNPトランジスタ構成の
ログアンプ回路
1デュアルFET,2PNPトランジスタ構成の
整流回路
4PN,1PNP,1FET構成の
ピークホールド及びドライバー回路
《ユニットアンプ》
2FET,2PNPトランジスタの2段差動アンプ
1FET,1PNPトランジスタのバッファアンプ
2FET定電流源から構成されています

トランジスタ等
トランジスタ83,IC2,FET51,ダイオード38
入力端子
        入力感度及び入力インピーダンス
PHONO-1   1.5mV,2.5mV(50kΩ)
PHONO-2   2.5mV,4.5mV(50kΩ,100kΩ)
           0.16mV(10Ω,30Ω,100Ω,1kΩ)
MIC       0.16mV(50kΩ)
TUNER     150mV(100kΩ)
AUX-1     150mV(100kΩ)
AUX-2     150mV(100kΩ)
AUX-3     150mV(100kΩ)
TAPE-1     150mV(100kΩ)
TAPE-2     150mV(100kΩ)
EXT.ADAPT   150mV(100kΩ)
出力端子
        出力レベル及び出力インピーダンス
REC OUT-1 150mV(MAX14V)(1kΩ)
REC OUT-2 150mV(MAX14V)(1kΩ)
EXT.ADAPT   150mV(MAX14V)(10kΩ)
HEAD PHONE 0.5V(8Ω)
OUT PUT-1 1V(MAX14V)(1kΩ)
OUT PUT-2 1V(MAX14V)(1kΩ)
高調波歪率
0.03%(定格出力時,1kHz)
混変調歪率
0.05%(定格出力時)
周波数特性
PHONO    RIAA偏差+0.2,−0.2dB以内
MIC       20Hz〜20kHz+0,−3dB
TUNER    10Hz〜100kHz+0,−1dB
AUX-1,2,3   10Hz〜100kHz+0,−1dB
TAPE-1,2   10Hz〜100kHz+0,−1dB
EXT.ADAPT 10Hz〜100kHz+0,−1dB
トーンコントロール
    ターンオーバー周波数及び動作特性
BASS   50Hz+10dB,−10dB(ターンオーバー周波数250Hz)
       100Hz+10dB,−10dB(ターンオーバー周波数500Hz)
TREBLE 10kHz+10dB,−10dB(ターンオーバー周波数2.5kHz)
       20kHz+10dB,−10dB(ターンオーバー周波数5kHz)
       (いずれも2dBステップ) 
フィルタ
LOW  10Hz/40Hz  12dB/oct
HIGH  9kHz/20kHz 12dB/oct 
プレゼンススイッチ
1kHz+3.5dB
残留ノイズ
70μV以下(VOLUME最小,TONEフラット,FILTERオ フ)
S/N
PHONO:70dB(Aネットワーク)
MIC   :50dB(Bネットワーク)
TUNER:90dB(Aネットワーク)
AUX  :90dB(Aネットワーク)
TAPE :90dB(Aネットワーク)
EXT.ADAPT:90dB(Aネットワーク)
オプティカルピークプログラムメーター
周波数特性:30Hz〜30kHz+0,−3dB
メータ指示範囲:−50dB〜+5dB(0dB=1Vrms)
         (−50dB〜+25dB METER SENS PULL+20dB時)
最小応答パルス幅:1ms(PEAKモード)
電源コンセント
800W(連動2,非連動1)
電源
AC100V,50/60Hz
消費電力
20W
寸法
440W×170H×340Dmm
重量
11.8kg


※ 本ページに掲載したTAE-8450の写真,仕様表等は1982年6月のSONY
 のカタログより抜粋したもので,ソニー株式会社に著作権があります。したがって
 これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますので
 ご注意ください。

  
 
 
★メニューにもどる


★セパレートアンプPART5にもどる
 
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp