T-417の写真
ONKYO  IntegraT -417
QUARTZ LOCKED FM STEREO TUNER ¥65,000

1979年にオンキョーが発売したFMステレオチューナー。オンキョーはスピーカーやアンプのブランド
イメージが強いメーカーですが,チューナーでも数々の実力機を作ってきました。T-417は,最高級機
T-419の弟機として同じ時期に発売され,デザイン的にも技術的にも類似性の高いコストパフォーマン
スの高い1台でした。

フロントエンドは,ダブル−ダブル−ダブル同調段で構成した周波数直線型高精度7連バリコンを搭載
し,2段RF及びミキサー段の素子に,ダイナミックレンジが広く高調波歪の発生を抑えたデュアルゲート
MOS FET(×3)を厳選して使用していました。±2.5MHzで108dBという相互変調妨害比,イメージ
妨害比120dB,スプリアス妨害比120dBというすぐれた妨害波排除性能と10.3dB(新IHF)という高感
度を両立させていました。さらに,IF(中間周波数)を水晶発振の明確な基準信号によって10.7MHzに
固定するクォーツロック方式の採用により,高い同調安定度が確保されていました。T-417のクォーツ
ロックは,1974年に開発されたオンキョーオリジナルクォーツロックをさらに改良したもので,選局動作
時には,同調点±50kHz以内に入るとロックド・インジケーターが輝き,チューニングノブから手を離すと
瞬時にロックするという,スピーディーなジャストチューン・タッチセンサーが装備されていました。

7連バリコンフロントエンドのダイアグラム

IF部は,初段に強入力にもリニアな特性のD-MOS FETを使用し,高い妨害排除特性を確保していまし
た。T-417のIF部では,検波器出力のS/Nを検出し,電波事情に応じて自動的に切換わる帯域幅自動
2段切換回路を搭載していました。S/Nの高い局では,WIDEポジションとなり,群遅延時間±0.2μS
(fo±110kHz)以内という広帯域にわたってフラットな特性の4素子リニアフェーズフィルターが動作し,
さらに,正確な逆特性の位相等化フィルターの採用と相まって,きわめてフラットな特性により,低歪みが
(0.05%・400Hz)実現されていました。S/Nの低い局では,自動的にNARROWポジションとなり,8素
子リニアフェーズフィルターがさらに加わることにより,85dB(400kHz離調)という高選択度が実現され
ていました。また,IFフィルターの結合素子には,入力信号のレベル変化や温度上昇等に伴う特性の変
化を抑えた,ハイスルーレイトダブルベース差動IC4個が採用されていました。

FM搬送波をオーディオ信号に復調する検波器には,その特性を微分利得直視装置で解析し,検波系を
ブロック化してクオリティを厳しく選別したバランス形レシオディテクタが採用され,広帯域にわたって平坦
な微分利得特性が確保され,低歪みに寄与していました。
MPX部には,安定度の高いPLL・ICが採用され,パイロット信号のオーディオ信号への混入を防ぐため
同振幅・同位相で打ち消すキャンセラーも内蔵されていました。このビートキャンセラーは,局側のパイロ
ット信号レベルの変動に対する追従性の高い三角波を応用したキャンセル性能の高いものとなっていま
した。さらに,MPX・IC内部のアンプには,充分なNFBをかけて高調波歪の発生も抑えられていました。

出力段のオーディオアンプには,同社のプリメインアンプ等に搭載されたものと同様の方式の,スーパー
サーボDCアンプが搭載されていました。低雑音オペアンプICのサーボアンプが,DCアンプをコントロール
して有害な超低域をカットし,コンデンサが排除され,DCアンプとしてすぐれた性能を実現していました。
電源部は,プラス側に保護回路付定電圧ICを使用した,±15V定電圧電源,大容量ケミコンを搭載した
強力なものとなっていました。さらに,MPX部,スーパーサーボオーディオ部には,3本のブスラインで電
源が供給され,低インピーダンスの給電ラインによるゆとりと安定性が確保されていました。

機能的にはデザイン同様にオーソドックスなチューナーでしたが,電波が弱い場合に,入力のレベルに応
じてLch・Rchの高域ブレンドを行い,自動的にS/Nの劣化を防ぐオートマチック・ノイズ・リダクション,マル
チパス検出対応のデビエーションメーター,440Hz,50%変調のエアチェック・キャリブレーター,20dBf
のFMミューティングなど実用的な機能が装備されていました。アンテナ入力は切替可能な2系統が装備さ
れ,オーディオ出力は,可変出力端子に加え,出力固定の録音専用出力端子も装備されていました。

以上のように,T-417は,オーソドックスなバリコン式チューナーとして,各部にしっかりと技術が投入され
すぐれた性能を実現していました。オンキョーはチューナーではメジャーなブランドとはいえませんでしたが
着実に技術を積み上げ,音質的にもすぐれたチューナーを作り上げていきました。T-417は,そんな中の
1台で,実用的で滑らかな音を持つチューナーでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



FM技術の宝庫から,
80年代のチューナーが
姿を現した。

RF相互変調特性108dBの高度な受信性能に加えて,
DCを超えたスーパーサーボ搭載。

◎卓越したRF相互変調排除性能を実現した,
 入力段ダブルチューン,F直7連バリコン,
 3-MOS・FET使用のフロントエンド
◎完璧ともいえる同調安定度を実現した
 クォーツロック&タッチセンサーチューニング。
◎極微の低歪率0.05%(ST・400Hz)を
 達成したIF部。帯域幅自動2段切換,位相等化
 フィルタ搭載。初段D-MOS・FET,段間ハイ
 スルーレート差動IC。
◎広帯域バランス型レシオ検波。
 MPX部はパイロットキャンセラー付PLL・IC,
 ビートキャンセラーも装備
◎音の純度で差をつけるオーディオ部
 DCを超えたスーパーサーボアンプを搭載
◎オーバー変調をも軽くクリアー,
 トータルクオリティ=TQを高次元で達成
◎ローインピーダンス,ブスライン使用。
 低域の分解能を向上させた強力電源部
◎オートマチック・ノイズ・リダクション,
 アンテナA・B切換,デビエーションメータなど
 豊かな付属機能を装備。




●主な仕様●

受信周波数
76MHz〜90MHz
実用感度
10.3dBf(IHF),0.9μV(75Ω)
S/N50dB感度
1.7μV(MONO・75Ω(300Ω)),15.8dBf (MONO・IHF)
20.0μV(STEREO・75Ω(300Ω)),37.2dBf(STEREO・IHF)
相互変調妨害比
83dB(±400kHz),96dB(±1MHz),108dB(± 2.5MHz)
イメージ妨害比
120dB(83MHz)
IF妨害比
120dB(83MHz)
スプリアス妨害比
120dB
2信号選択度
(±400kHz離調)
50dB(IF・WIDE),85dB(IF・NARROW)
歪率
                  IF・WIDE   IF・NARROW
MONO・400Hz:       0.025%     0.1%
MONO・50Hz〜10kHz:   0.07%    0.25%
STEREO・400Hz:      0.05%     0.3%
STEREO・50Hz〜10kHz: 0.13%     0.4%
ステレオセパレーション
1kHz:55dB(IF・WIDE),45dB(IF・ NARROW)
100Hz〜10kHz:45dB(IF・WIDE),40dB(IF・NARROW)
AM抑圧比
65dB(IF・WIDE),55dB(IF・NARROW)
キャプチュアレシオ
1.0dB(IF・WIDE),2.0dB(IF・NARROW)
S/N比
90dB(MONO),86dB(STEREO)
周波数特性
20Hz〜15,000Hz(+0.2,−0.8dB)
キャリアリーク
−65dB
アンテナインピーダンス
75Ω
ロック・コレクションファクタ
0.03以下
ロック・オフセットエラー
±3kHz以内
出力電圧/インピーダンス
可変出力:0〜1200mV/最大時47Ω
録緒出力:450mV/3kΩ
使用半導体
12IC,56Tr(8FET),43Di
電源
AC100V,50/60Hz
消費電力
14W(電気用品取締法)
寸法
435W×108H×384Dmm
重量
7kg

 
※本ページに掲載したT-417の写真,仕様表等は1979年9月のONKYO
 のカタログより抜粋したもので,オンキョー株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じら
 れていますのでご注意ください。

 

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