T-104の写真
Accuphase T-104
FM STEREO TUNER ¥250,000

1978年にケンソニック(現アキュフェーズ)が発売したFM専用チューナー。アキュフェーズブランドで初の
シンセサイザーチューナーで,今見ても優れた操作性と性能を持つ高い完成度はすばらしいものがありま
した。

T-104の最大の特徴は,基準水晶発振器により100kHzごとに正確に同調するシンセサイザー方式の
採用にありました。T-104では,高い精度を持つクリスタル発振子を搭載し,0.002%以内という高い同
調精度を持っていました。
また,従来のチューナーの回転ツマミ式手動チューニングのフィーリングを残すために,「パルス・チューニン
グ機構」を開発し,搭載していました。この「パルス・チューニング機構」は,回転スクリーンをはさんで赤外
線発生器と受光器があり,スクリーンの回転によりパルス信号を発生するもので,発生したパルス信号に
より周波数が変化するようになっていました。右回転で高い周波数へ同調するアップ・カウント,左回転で
カウント・ダウンし,周波数が変化するごとに「ピッ」という音が聞こえるようになっていて,周波数の変化を
実感できるようになっていました。

パルスチューニング機構

4局までのメモリー機構を搭載し,内蔵の4ビット・マイクロ・コンピューターによりコントロールされていまし
た。電源を切ってもメモリーを保持するために,ニッケル・カドミウム・バッテリーを内蔵し,電源を切った状
態でも1年間はメモリーを保持するようになっていました。また,電源スイッチを入れることによりバッテリー
は自動的に充電されるようになっていました。

フロントエンドは,PLL回路とバラクター素子を使った純電子コントロール方式で,バリコン式と異なり,メカ
ニズム部分はなく,同調回路が,入力と高周波増幅にそれぞれ2段復同調,そして,局部発振同調,同調
バッファーと6カ所ある6連相当の構成になっていました。

IF回路には,選択度と群遅延特性の優れた「SAWフィルター」とLCフィルターを組み合わせて搭載してい
ました。「SAWフィルター」は,Surface Acoustic Waveの略で,,圧電体の上に櫛の歯状の電極を対
向させたものを2組作り,発振側をピエゾ励振し表面振動として受信電極に伝え再び電気変換するもので
素材の弾性や電極の形で周波数や帯域幅を決めることのできる,当時最新のフィルターで,長期の性能
安定性を誇りました。IF回路単体での歪み率は0.005%以下と優れた特性を持っていました。

検波段には,特殊設計の広帯域比検波器を搭載し,0.005%以下という低歪みと,優れたステレオ特性
を実現していました。
ステレオ復調するMPX段には,パイロットキャリアを取り除く回路を内蔵した,当時最新のPLL復調器を使
用し,前段の優れたリニアフェーズIFフィルター,広帯域検波器と相まって,セパレーション特性は,57dB
(1kHz),48dB(1kHz),歪み率0.03%以下(1kHz)という優れた特性を実現していました。

T-104の内部

入力信号強度を表示するSメーターと変調の深さをモニターする変調度計を備えていました。このメーターは
スイッチの切換でマルチパスメーターにもなるようになっていました。また,完全同調点はTUNEDの文字で
表示されるようになっていました。
その他,機能として,5mのコードが付いた一種の選局用ワイヤードリモコン,「リモート・ステーション・セレク
ター」が付属していました。また,ステレオ受信時のノイズを低減する「ノイズ・フィルター」,局間ノイズを取り
去る「ミューティング・スイッチ」,部屋の明るさに合わせて周波数表示の照度を下げ,同時にピップトーンを
消す「ディマー・スイッチ」などが装備されていました。

以上のように,アキュフェーズ初のシンセサイザーチューナーT-104は,すでにシンセサイザーチューナーと
して完成された形ともいえる優れたチューナーでした。ウッドキャビネットに納められた高級感あふれる上品
な外観どおりの,上品で堂々とした音を聴かせてくれる,オーディオ機器として持つ喜びを味わわせてくれる
まさに高級チューナーでした。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 
 

◎シンセサイザー選局方式
◎選局方式は,メモリー・チューニングと
 手動パルス・チューニング
◎妨害波,混信障害を徹底的に排除した
 復同調型フロントエンド
◎SAWフィルターとLCフィルターの組み合わせによる
 位相直線型IF回路
◎微分利得平坦形低ひずみ率検波器
◎パイロットキャリヤ・キャンセラー付PLLステレオ復調器
◎ユニークなメーター
◎リモート・ステーション・セレクター付
◎ローズウッド・キャビネット付
 

●T-104保証特性●

●モノフォニック特性●


 
感度 実用感度     11.2dBf(2.0μV)
S/N50dB感度 17.3dBf(4.0μV)
定在波比 1.5
S/N
65dBf(1mV)入力 
75dB
高調波ひずみ率
65dBf(1mV)入力
100Hz 0.03%以下
1kHz  0.03%以下
10kHz 0.04%以下
(SELECTIVITYスイッチNORMAL時)
IMひずみ率 0.01%以下
(アンテナ入力65dBf(1mV),100%変調14kHz:15kHz=1:1)
周波数特性 20〜15,000Hz(+0,−0.5dB)
二信号選択度
45dBf(100μV)入力
SELECTIVITY NORMAL  50dB(400kHz),6dB(200kHz)
SELECTIVITY NARROW 100dB(400kHz),20dB(200kHz)
キャプチャー・レシオ 1.5dB
RF相互変調 75dB
スプリアス妨害比 120dB
イメージ比 120dB
IF妨害比 100dB
AM抑圧比
65dBf(1mV)入力
80dB
サブキャリア抑圧比 80dB
SCA妨害比 80dB
出力電圧
(100%変調)
1.5V

●ステレオ特性●


 
感度 S/N40dB感度 28.8dBf(15μV)
S/N50dB感度 37.3dBf(40μV)
S/N
65dBf(1mV)入力
75dB
高調波ひずみ率
65dBf(1mV)入力
100Hz 0.03%以下
1kHz  0.03%以下
10kHz  0.1%以下
IMひずみ率 0.03%以下
(アンテナ入力65dBf(1mV),100%変調14kHz:15kHz=1:1)
周波数特性 20〜15,000Hz(+0,−0.5dB)
ステレオ分離度 100Hz 50dB
1kHz  50dB
10kHz 45dB
ステレオ切替入力電圧 19.2dBf(5.0μV)

●その他●


 
受信周波数 76.1〜89.9MHz
同調方式 クォーツロック・フリーケンシー・シンセサイザー・チューニング
周波数確度 ±0.002%以内
出力インピーダンス 固定出力端子 200Ω
可変出力端子 2.5kΩ
アンテナ入力インピーダンス 300Ωバランス,75Ωアンバランス 
メーター 2個 信号強度計,マルチパス/モジュレーション切替式
電源及び消費電力 100V 50/60Hz  消費電力25W
使用半導体 43Tr,3FET,42IC,58Di,3Opto-Coupler
寸法・重量 466W×188H×391Dmm・14.1kg
※本ページに掲載したT-104の写真,仕様表等は1978年のAccuphase
 のカタログより抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられ
 ていますのでご注意ください。                          
 

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