SU-9070の写真
Technics  70A(SU-9070)
STEREO FLAT PREAMPLIFIER ¥70,000

1976年にテクニクス(松下電器)が発売したプリアンプ。「ステレオ・フラット・プリアンプ」
の名の通り,薄型の筐体を持ったプリアンプですが,これは,当時いくつかのメーカーから
発売されていた,シンプルな機能のアンプを組み合わせて使う形の「システム・アンプ」の
中のプリアンプで,シンプル化により高性能を実現しようとした1台でした。

70Aは,付随するアクセサリをできるだけ排し,全体のシンプル化によって基本性能を高
めた設計が最大の特徴でした。そのため,全体の回路構成は,イコライザ回路とフラット
アンプという極めてシンプルなもので,”ゲインのある電線”という理想をめざした設計となっ
ていました。

イコライザ回路は,初段がカレントミラー負荷の差動増幅,次段は純抵抗負荷の電圧増幅
段,出力段はSEPP(Single Ended Push-Pull), それにイコライザ・サブソニックフィルタを
加えた設計となっていました。
初段のカレントミラー負荷は,少ない電流でゲインが得られ,電流の自由度が大きくノイズ
が極めて少ない動作電流を選べるため,初段の差動増幅により60dBというゲインを低ノ
イズで得ていました。純抵抗負荷の電圧増幅段が加わり,イコライザ段全体で90dBのゲイ
ンを確保し,20V出力時でも0.26%の低歪率と,高入力・低出力インピーダンスを実現
していました。さらに,1%偏差の金属皮膜抵抗と2%偏差のポリプロピレンコンデンサを組
み合わせ,RIAA偏差を±0.2dBという優れた特性としていました。また,超高域周波数補
正回路の採用で,NF形の特長である高SN比・低歪率とCR形の優れた高域特性を両立さ
せていました。
イコライザ・サブソニックフィルタは,イコライザ回路のNFループの中に,−18dB/oct(20Hz)
のフィルタを挿入するようになっており,前面パネルにON/OFFスイッチが装備されていまし
た。
また,イコライザ回路は,±43Vの高定電圧電源駆動がなされており,340mVの最大許容
入力を実現していました。

イコライザ回路にマスターレベルコントローラ(ボリューム)が続きますが,このレベルコントロ
ーラは,26ポイントの高精度なアッテネーター式となっていました。
マスターレベルコントローラに続くフラットアンプには,トーンコントロールなどのいっさいのアク
セサリー回路が排除されていました。初段差動増幅・変形SRPP(Shunt Regulated Push-Pull)
出力段という構成で,優れた歪率特性,SN比を実現していました。

機能的には,トーンコントロールもないほどシンプルですが,−20dBのミューティングスイッチ
バランスコントロール等が装備され,PHONO入力,テープモニタは2系統ずつ装備されてい
ました。

以上のように,70Aはシンプルな機能と回路構成で,優れた性能を実現したコストパフォーマ
ンスの高い1台でした。テクニクスらしいノイズ感や歪み感の少ないクリーンな音を持っていま
した。また,70Aを含めたシステムアンプを「フラットアンプシリーズ」と称していましたが,他の
フラットアンプの製品群と組み合わせると,より多機能なアンプにもなりました。

フラットアンプシリーズ


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



オーディオには思想が必要だ,
とテクニクスは考えます。
それぞれの機能を極限まで
追求したシステムアンプ,
テクニクスフラットアンプシリーズ。

基本性能の追求に徹して
音を色付ける要素を
極限まで排したプリ・アンプです。


◎RIAA偏差±0.2dBの周波数特性
 低雑音・高ゲインのイコライザ回路

●低雑音・高ゲインのカレントミラー負荷
●純抵抗負荷の電圧増幅段
●高精度C.Rの使用と超高域周波数補正
●クリアなレコード再生を実現した
 イコライザ・サブソニックフィルタ
●PHONO・SN比74dB(2mV感度)
●±43Vの高定電圧電源駆動
 340mVの最大許容入力

◎低歪率のフラットアンプ・SN比100dB
●定格出力時(1V)歪率0.004%(20Hz〜20kHz)
 定格歪率でも0.015%の低さです

◎26ポイント高精度アッテネータ式
 マスタレベルコントローラ

●リレー使用のミューティング内蔵
●相互ダビング可能の2テープモニタ回路
 PHONO入力は2系統
●天板にはブロックダイヤグラム・特性図を表示





●SU-9070・定格●

入力感度/入力インピーダンス
PHONO1:2mV/47kΩ
PHONO2:2mV/47kΩ
TUNER:150mV/47kΩ
AUX1,2:150mV/47kΩ
TAPE DECK1,2
 PLAYBACK:150mV/47kΩ
全高調波歪率
0.015%
SN比(IHF-A)
PHONO1,2:74dB
TUNER,AUX1,2:100dB
周波数特性
PHONO1,2:RIAA標準カーブ±0.2dB
TUNER,AUX1,2:20Hz〜20kHz:+0,−0.1dB
             2Hz〜140kHz:+0,−3dB
PHONO最大許容入力
340mV
出力電圧/出力インピーダンス
OUTPUT定格:1V/600Ω
      最大:10V/600Ω
TAPE DECK1,2
 REC OUT:150mV
サブソニックフィルタ
イコライザ:20Hz,−18dB/oct
電源
AC100V 50/60Hz
消費電力
8W
外形寸法
450W×92H×367Dmm
重量
5.8kg


SH-9010Eの写真
Technics 10E(SH- 9010E)
STEREO UNIVERSAL FREQUENCY EQUALIZER
                             ¥100,000


1976年にテクニクスが発売したグラフィックイコライザ・ユニット。「フラット・アンプ・シリーズ」は,
シンプルな機能のアンプを組み合わせて使う形になっており,トーンコントロールが装備されて
いない70Aに10Eを組み合わせると多彩な音質調整が可能となりました。

10Eは,L・Rそれぞれ,60Hz,240Hz,1kHz,4kHz,16kHzの5つの中心周波数で+12dB
〜−12dBまでスライド式ボリュームで連続的に調整できるイコライザでした。中点でクリックストッ
プすると10Hz〜20kHzで+0,−0.2dBというフラットな特性に戻るようになっていました。

10Eではさらに,スライド式ボリュームの下部に同軸式のツマミがあり,さらに細かな調整が可能
となっていました。内側のツマミは,中心周波数を±1.6オクターブの範囲で動かせるボリューム
で,例えば1kHzのポイントを333Hz〜3kHzの間で調整できるようになりました。
外側のツマミは,Q(周波数特性のピークやディップの鋭さ,補正の及ぶ範囲=バンドウィズス)の
値を0.7〜7の範囲で変えられるもので,様々な周波数特性のピークやディップに対応することが
可能となる機能でした。
10Eでは,これらの3つの調整を組み合わせることで多様な周波数補正が可能となっており,薄型
の筐体から想像する以上のはたらきを持っていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



システム全体の音作りが
この1台でコントロールできます。

◎ オーディオ帯域を左右5バンドに分割
 +12dB〜−12dBまで連続して可変
◎中心周波数を±1.6オクターブの範囲で可変
◎ピークやディップの鋭さも可変
◎効果チェックに便利なIN-OUTスイッチ

レベル・中心周波数・Q
3つのコントロールの組み合わせで,
微妙なf特の調整ができます。

◎レベル・中心周波数・Q
 この3要素の組合わせで
 様々な周波数補正が行えます

●レベルとQを組合わせて・・・
●中心周波数を1カ所に集めると・・・
●ピークとディップの組合わせで・・・

◎10Eは,実際にこんな使い方ができます。
●カートリッジの中だるみの補正に
●好みの音質をつくりだす
●プリエンファシス録音に
●リスニングルームにつきものの定在波の補正に




●SH-9010・定格●

出力電圧/出力インピーダンス
定格:1V/300Ω(1kHz)
最大:5V/300Ω(1kHz)
全高調波歪率
0.02%(定格出力時)
入力感度/入力インピーダンス
1V/47kΩ(1kHz)
周波数特性
10Hz〜20kHz +0,−0.2dB
10Hz〜70kHz +0,−3dB
利得
0±1dB
S/N(IHFA,S=1V)
90dB
バンドレベルコントロール
+12dB〜−12dB(5素子×2)
中心周波数コントロール
基準周波数に対し+1.6オクターブ〜−1.6オクターブ(5素子× 2)
バンドウィズス・コントロール(Q)
0.7〜7(5素子×2)
中心周波数(基準)
60Hz,240Hz,1kHz,4kHz,16kHz
消費電力
6W
電源
100V 50/60Hz
外形寸法
450×92×364Dmm
重量
5.8kg


※本ページに掲載したSU-9070,SH-9010Eの写真,仕様表等は
 1976年8月のTechnicsのカタログより抜粋したもので,松下電器
 産業株式会社に著作権があります。したがってこれらの写真等を無
 断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますのでご注意
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