S-55TWINの写真
PIONEER S-55TWIN
低磁気漏洩型14cm2ウェイ3スピーカーシステム 
       ¥72,000(2台1組・サランネット付)
パイオニアが1987年に発売した日本初(世界初?)の民生用の仮想同軸型スピーカーシステムです。このタイプのシステムは
プロ用ではこれよりも早くから存在していました。特に、TADユニットを使用したシステムが知られるようになっていました。パイオ
ニアは、1979年より、TAD(Technical Audio Devices)のシリーズ名でプロ用スピーカーユニットを販売していましたが、この
TADユニットを使用したシステムが、海外などのレコーディングスタジオで使われるようになっていきました。それらの中に仮想同
軸配置のモニターシステムが導入されるようになっていったといいます。                                  
このTADユニットの生みの親が、現在「レイオーディオ」を率いる木下正三氏でした。「レイオーディオ」の話は、長くなりますので割
愛しますが、「木下モニター」の名でも知られる同社のプロ用モニタースピーカーは、1986年発表以来、世界各国のスタジオで導
入され、その「バーチカルツイン配置(仮想同軸配置)」を生かした高性能なシステムは高い評価を得ています。           

ウーファーには、TADでも使用されている、パルプコーンに高分子フィルムをラミネートした振動板を使用した14cmコーン型ユニッ
トを2つ搭載し、パラレル駆動していました。ウーファーの取り付けは、インナーバッフルにがっちりと固定してフロントバッフルへの
振動の影響を抑えた、パイオニア自慢の「ミッドシップマウント方式」を採用していました。トゥイーターには、カーボン純度99.9%
を誇り、軽くて音の伝搬速度が速く高い剛性をもつという新素材セラミックカーボンを採用した、2.5cmドーム型ユニットを搭載して
いました。                                                                       

S−55TWINは、この仮想同軸配置を採用した一般オーディオファイル向けのスピーカーとして第1号機でした。本機発売時は、
この方式を「インライン同軸配置ダブルウーファーシステム」と呼んでいましたが、後に「バーチカルツインシステム」というしゃれた
名前で呼ばれるようになりました。この方式の利点として、ダブルウーファーにすることにより充実した低音域が得られることがあり
ます。ウーファー一つの口径は14cmでも2つ設けることにより大口径のウーファーと同じ振動板面積が得られ、かつ、小口径なら
ではのレスポンスのよさも得られます。また、トゥイーターを真ん中に配置することで、低音域から高音域までの音のつながりがス
ムーズになり、位相特性も優れているというメリットがあるということでした。S−55TWINでは、ユニットだけでなく、エンクロージ
ャー内部の補強材、バスレフダクトまで垂直・上下対称にレイアウトし、エンクロージャー内部に生じる定在波の干渉を抑えていま
した。また、フロントバッフル表面は、フェルトシートで処理され、高域における音の反射を抑え、エンクロージャーによる不要な輻
射を抑えていました。さらに、18mm厚の高剛性のラウンドバッフルとすることにより、音の回析減少を抑えたクリアな音を実現し
ていました。                                                                     

ネットワークは、回路構成的には、2ウェイ3スピーカー構成になっていましたが、ウーファーには、各々低損失ローパスフィルターを
挿入し、電気的にも対称にして、2つのウーファーの動作を極力等しくし、ウーファー相互間の影響を減少させていました。別売の
スタンドを使用することで、床からの覇者の影響も抑えることができ、クリアな音が得られました。                   

以上のように、「バーチカルツインシステム」はメリットだらけの方式のようですが、設計はかなり難しいようでした。ウーファートゥイ
ーターのそれぞれから出る音の位相管理をきちんとしておかないと、音が濁ってしまったり、音のバランスが崩れてしまうという点が
いわれています。しかし、S−55TWINでは、上手に配置してリスニングポジションを上手にとると、独特の臨場感あふれる音が聴
けました。この音は、他方式では得られない音だと思います。パイオニアは、このS−55TWINの開発の際、同社の小型2ウェイシ
ステムを2つ上下対称に重ねてヒヤリング等のテストを行いその効果を確かめたというエピソードも残っています。パイオニアのこの
方式は好評をもって迎えられ、フロア形のトールボーイシステムとしても成り立ちやすいこともあり、人気を高め、数多くの後継機が
登場していきました。新しい方式にチャレンジした第1号機として、名機といっていいのではないかと思います。           
 
 
 

以下に、当時のカタログの一部をご紹介します。




明確な音像定位のかたち。

インライン同軸配置ダブルウーファーシステムが
すぐれた指向性、音像定位を約束します。     


 
 
◎確かな定位感、豊かな音場感
  新しいインライン同軸配置
  ダブルウーファーシステム
◎ピュア&ハイトランジェント
  純度99.9%のセラミックカーボンを
  採用したトゥイーター
◎伸びやかに低域を拡大
  ミッドシップマウント方式
  14cmダブルウーファーシステム
◎フェルト処理のラウンドバッフル採用
  省スペース設計のエンクロージャー
◎ネットワークも上下対称構成
 上下のユニットの位相差を抑えています
◎音質重視のスピーカースタンド

 
 

●S-55TWINの仕様●


型式 位相反転式ブックシェルフ型
スピーカー ウーファー:14cmコーン型×2
トゥイーター:2.5cmドーム型
インピーダンス 6Ω
再生周波数帯域 45〜40,000Hz
出力音圧レベル 91dB/W(1m)
最大入力 120W(EIAJ)
クロスオーバー周波数 3,500Hz
外形寸法 236W×524×296Dmm
重量 11.2kg
※本ページに掲載したS-55TWINの写真・仕様表等は1987年9月の
 パイオニアのカタログより抜粋したもので,パイオニア株式会社に著作
 権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等する
 ことは,法律で禁じられていますのでご注意ください。          
 

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