PL-910の写真
KYOCERA PL-910
FINE CERAMIC TURNTABLE ¥298,000
京セラが1984年に発売したアナログプレーヤーというか,アームが付属していないターンテーブルでした。このころ
京セラはオーディオに参入し,次々と高級機分野にユニークな製品を投入していました。このPL-910もその一つで
ターンテーブルのプラッターに京セラならではのファインセラミックを使ったユニークなターンテーブルでした。ファイン
セラミック・プラッターのターンテーブルとしては2号機にあたり,1号機のPL-901をよりコスト的に現実的にしたとい
った製品でした。(とはいえ高価でしたが・・。)ここでは,1号機PL-901も交えて取り上げたいと思います。

PL-901の写真

KYOCERA PL-901
FINE CERAMIC TURNTABLE ¥580,000

PL-910の最大の特徴は,ターンテーブルのプラッターにファインセラミックを使っていたことでした。酸化アルミニ
ウムを原料としたアルミナセラミックでできた白いプラッターが実に印象的でした。このファインセラミックターンテー
ブルはルビーとほぼ同じ硬度を持つほどで,非常に高い剛性を持ち,音速が速く,しかも振動減衰特性に優れると
いうある意味理想的な特性を持っていました。それをさらにアルミ製のサブターンテーブルと合わせる構造になって
いました。異種素材を面接触させることで共振がさらに抑えられていました。PL-901では,サブターンテーブルが
より重量があり剛性の高い砲金製になっていました。こうした構造により,実際,プラッターを指で叩いてみても,余
韻をひかないコツコツという石を叩いたときのような音がし,共振の少なさが感じられたものでした。ターンテーブル
の表面は非常に高精度な加工がされ,高い平滑性をもち,かつわずかにすり鉢状になっていて,レコード盤の密着
性が得られるようになっていました。
PL-910のプラッターとサブターンテーブルPL-910のシャフトセラミックシャフトとスラストボール

ターンテーブルを支えるシャフトにもアルミニウムの約5倍,鋼の約2倍の剛性を持つというファインセラミックが使われ,
高剛性と高い耐摩耗性を実現していました。さらに,軸受け部のスラストベアリングのボールもファインセラミックでした。
シャフト内部は真円度0.5ミクロンという超高精度なもので,スラストボールの真球度0.2〜0.5ミクロンという超高精
度と相まって,長寿命と優れた回転特性を実現していました。

回転系はDCサーボモーターがサブターンテーブルを駆動するベルトドライブ方式をとることで,優れた振動減衰特性を
持つターンテーブル,ファインセラミックシャフトやファインセラミックスラストボールとあわせ,聴感に影響する微細な振動
やフラッター成分が抑えられていました。

PL-910では,構造面から耐振性が追求されていました。シャーシ部をターンテーブルとトーンアームベースを一体化し
たX字型のアルミ製のターンテーブルフレーム部と,駆動モーターおよび電気回路を収納したベースシャーシ部に分割し
た構造がとられていました。ベースシャーシ部にはセラミックが使われ,他の
910シリーズのアンプやCDプレーヤーな
どの機器にも採用されたCCRベースというものになっていました。「Ceramic Compound Resin」の名のとおりセラ
ミックと樹脂の複合素材でできたこのベースは剛性が高く振動減衰特性に優れているという特徴を持っており,ベースシ
ャーシ単体でも耐振性が高められていました。
そして,これらの2つのブロックを互いに異なった帯域ではたらく2種のインシュレーターの組み合わせでダブルフロートし
た構造になっていました。ターンテーブルフレーム部のプライマリーインシュレーターは,金属スプリングとラバーダンパー
による2重構造,ターンテーブルフレーム部のセカンダリーインシュレーターは金属スプリングとエアダンプ+ラバーダン
パーによる複合構造とし,それぞれのfoはプライマリーがアーム共振周波数の上に,セカンダリーはアーム共振周波数
の下になるように設定され,共振点の重複による悪影響を抑えていました。これらの構造により,ハウリングにも極めて
強いターンテーブルとなっていました。また,ターンテーブルフレーム部は,必要に応じてリジッドな状態にすることもでき
るようになっていました。

以上のように,京セラが凝りに凝って作り上げたPL-910,PL-901は,実際に立ち上がりの鋭い輪郭のはっきりした
音を実現し,アームの違いをきちんと引き出してくれる優れた性能のターンテーブルでした。ブランド力のためか幅広い
支持を得ることはできませんでしたが,隠れた名機といってもよいかと思います。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

素材革命は,
オーディオの新たな道しるべとなるか?

先端素材が生み出す無共振の表現力。
レコード再生の新基準を創る,
ファインセラミックターンテーブル。

 ◎狙いは,音のいいオーディオ
 ◎鳴かないターンテーブル
  ■無共振化の徹底で音質を追求した
    ファインセラミックターンテーブル
 ◎減り,ゆがみを知らないシャフト
 ◎振動を寄せつけないベース
  ■共振の原因を構造的に断つ
    ダブルフローティングシステム

  ■フラッター成分を抑え,微振動を断つ
    ベルトドライブ方式
  ■各種トーンアームに対応させたアームベース
    ハウリングに強いダストカバー
 
 

●主な仕様●



 

 
PL-910
PL-901
駆動方式 ベルトドライブ
モーター DCサーボブラシレスモーター
ターンテーブル ファインセラミック製,直径300mm
17.2mm厚,重量3.6kg
サブターンテーブル アルミニウム製,直径260mm,重量1.4kg 砲金製,直径180mm,重量2.4kg    
モータープーリ 真鍮,クロームメッキ
ターンテーブルフレーム アルミニウム鋳造
ベースシャーシ CCR(Ceramic Compound Resin)
インシュレーター ダブルフロートシステム
回転数調整範囲 ±3%以内 ±6%以内
ワウ・フラッター 0.02%(Wrms,JIS)
SN比 60dB以上(JIS),78dB(DIN-B)
電源 AC100V 50/60Hz
消費電力 5W  
外形寸法 455W×190H×392Dmm 474W×192H×391Dmm
重量 20kg 27kg
 
※本ページに掲載したPL−910,PL−901の写真・仕様表等は1984年12月の
 KYOCERAのカタログより抜粋したもので,京セラ株式会社に著作権があります。
 したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられてい
 ますので,ご注意ください。                                       
 
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