P-400の写真
Accuphase P-400
STEREO POWER AMPLIFIER ¥400,000

ケンソニック(現アキュフェーズ)が1978年に発売したステレオパワーアンプ。同社のコントロールアンプ
の最上級機C-240とのペアを想定された,ステレオパワーアンプとしては,当時の最上級機で,同社が
初めてMOS FETを出力段に用いたアンプでもありました。

出力段は,MOS FETのトリプル・プッシュプルで構成され,200W/ch(8Ω)の強力な出力を得てい
ました。MOS FETは,電圧制御素子で広帯域素子である優れた素子で,アキュフェーズは早くからMOS
FETに注目し,同社としては,このP-400に初搭載しました。電圧制御素子であるMOS FETは,高域の
音質を左右するノッチング歪みがなく前段からは電圧の変化のみが伝えられればよく,電力を供給する必
要がないため前段の負荷が少なく,従ってドライブ段が簡略化でき,特性の優れた素子を選ぶことが容易
になるという利点を持っていました。また,広帯域素子であるため,NFループ内の広帯域化が可能で,動
的歪みのTIM(過渡相互変調歪み)の発生を防止することができました。
また,パワーアンプとしてDCサーボ方式を採用し,NFBループ内の大容量コンデンサー及び入力コンデン
サー排除して,DC(Direct Coupled)アンプ,いわゆる「直結方式」のアンプを実現していました。
さらに,全増幅段にアキュフェーズ自慢の完全対称型プッシュプル方式が採用され,優れた素特性,リニア
リティを実現していました。
別売のブリッジネットワークB-6(¥25,000)との組み合わせ等により,ブリッジ接続も可能で,P-400
1台を1chとして動作させることにより,Normalで700W,classAで200Wのハイパワーモノラルアンプと
しても使えるようになっていました。

P-400は,AB級動作のアンプとして優れた性能を持っていましたが,さらにスイッチの切り替えにより純A
級動作も可能となっていました。P-400のA級動作は,プッシュプル素子の動作領域が常に完全にオーバ
ーラップする本来の動作方式で,増幅素子に流れるエネルギーが一定になることにより,熱的に安定した動
作が行われ,高域での歪み特性の改善のみならず,過渡的な歪みが生じにくいというメリットをもたらして
いました。A級動作の切り替えは,回路のバイアス抵抗をスイッチによって切り替えるのではなく,純電子式
スイッチによって行われるようになっていました。フォトトランジスターと発光ダイオードを組み合わせたオプト・
カプラーにより切り替え動作が行われる方式をとることにより,信号経路を引き回すことなく安定して切り替え
ることが可能となっていました。

A級動作時には,常時300W以上の電力を消費し,発熱量も大きいため,強制空冷のための放熱用ファン
が取り付けられていました。このファンは,モーターの駆動回路が温度センサーによりコントロールされ,温度
変化に対してファンの回転数が連続的に変化して,アンプ動作を熱的に安定させるようになっていました。さら
に,通気の悪い環境に置かれる等で内部が以上に発熱した場合に備えた過熱防止回路が付いていました。
これは,ヒートシンクが100℃に達すると温度センサーが検知し,自動的にバイアス電流をclassAからNormal
に戻して発熱を抑えるようになっていました。また,Normal動作時には。この過熱防止回路は出力FETへの
供給電圧をコントロールするように働き,過熱を防止するようになっていました。

P-400の内部

電源部は,2トランスによる左右完全独立電源が搭載され,モノラルパワーアンプが2台搭載されたような
左右が完全に独立した形になっていました。電源トランスには,大容量のCIコアートランスが搭載され,チ
ャンネルあたり33,000μF×2の低インピーダンス設計のフィルターコンデンサーとともに強力な電源部
を構成していました。

P-400には,フロントパネルに高精度の出力メーターが搭載されていました。対数圧縮型のピークレベル
メーターで,dB表示と8Ω時の出力がWで読みとれるようになっていました。また,切り替えスイッチで,3
秒間のピークホールドができるようになっていました。また,アンプのゲインを1dBステップで−20dBまで
可変できるアッテネーターが搭載され,スピーカーの能率をも含めたトータルのゲインコントロールやマルチ
アンプシステムに組み込まれたときなどが想定されていました。

以上のように,P-400は,ステレオパワーアンプとして機能と性能のバランスのとれた完成度の高い名機
でした。キメの細かいスムースな音は,日本的美しさを感じさせるまさにアキュフェーズの音でした。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 
 


 
◎純A級動作が可能
◎MOS FETの出力段
◎DCサーボ方式DCアンプ
◎全増幅段完全対称型プッシュプル構成
◎左右独立電源方式
◎ホールド機能付ピーク・レベル・メーター
◎1dBステップのアッテネーター
◎キャノン入力コネクター付
◎サーモ・コントロール・ファンによる空冷
◎過熱防止回路付
◎別売B-6によりパワー・アップが可能
◎別売ウッド・キャビネット
●P-400 保証特性●


連続平均出力(新IHF) NORMAL OPERATION 
 300W/ch  4Ω 
 200W/ch  8Ω 
 100W/ch 16Ω 
CLASS-A OPERATION 
  80W/ch  4Ω 
  50W/ch  8Ω 
  25W/ch 16Ω 
(両チャンネル同時動作,20〜20,000Hz間ひずみ0.01%以下)
高調波ひずみ率  0.01%以下  4Ω
 0.01%以下  8Ω
 0.01%以下 16Ω
(両チャンネル同時動作,0.25W〜定格出力間,20〜20,000Hz間)
IMひずみ率(新IHF) 0.003%以下
周波数特性 20〜20,000Hz +0,−0.2dB 
(連続平均出力時,レベル・コントロールMAX) 
0.4〜250,000Hz +0,−3.0dB 
(1W出力時,レベル・コントロールMAX) 
0.4〜120,000Hz +0,−3.0dB 
(1W出力時,レベル・コントロール−6dB)
ダンピング・ファクター(新IHF) 150(50Hz)
入力感度・入力インピーダンス 1.6V(定格出力)      50kΩ
0.12V(新IHF 1W出力) 50kΩ
A補正 S/N
(NORMAL OPERATION)
120dB (定格出力にて,入力ショート) 
100dB (新IHF 1W出力時)
出力メーター 対数圧縮型 −40dBから+6dB及び 
出力直読目盛 ピークホールド切替付
使用半導体 34Tr,20FET,6IC,54Di,2オプト・カプラー,2サーミスター
電源及び消費電力 100V,117V,220V,240V 50/60Hz 
消費電力
NORMAL OPRATION
        110W  無入力時 
        690W 8Ω負荷定格出力時
CLASS-A OPERATION
        300W  無入力時 
        315W 8Ω負荷定格出力時       
寸法・重量 幅445mm×高さ160mm(脚含む)×奥行455mm 
31.2kg
 ※本ページに掲載したP-400の写真,仕様表等は1978年のAccuphase
  のカタログより抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。
  したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられて
  いますのでご注意ください。
 
★メニューにもどる           
 
 

★セパレートアンプPART3にもどる
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。                      


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp