KENWOOD L−02A
170W+170W INTEGRATED AMP. ¥550,000
このL−02Aは,当時,国産,海外機を問わずプリメインアンプとしては飛び抜けて高価格で,まさに
超弩級機といえました。もちろん性能の方もプリメインとしては飛び抜けていました。同価格帯のセパ
レートアンプと十分性能的に比較対象となりました。いやむしろ勝っていた部分もあったかもしれませ
ん。当時トリオ株式会社が,実験的高級機を発売するにあたって名乗っていたケンウッドブランド(当時は
本当に高級機だけにつけられていたブランド名でした。)のこのアンプは多くの特徴を持っていました。まず,ダイナミックリニアドライブと称する小パワーアンプと大パワーアンプの切り換え方式です。通常
の音楽鑑賞ではほとんど大パワーを必要としないため,音質重視の小パワーアンプが主にスピーカー
をドライブし,瞬間的な音楽のピークなどの大出力が必要なときだけ大パワーアンプに切り替わるとい
うものでした。大出力のパワーアンプは小出力時の音が荒いという欠点をうまくカバーし,小出力パワ
ーアンプの音の質はよいが迫力に欠けるという欠点もカバーするという巧妙なものでした。事実その成
果は透明感のある音に現れていました。次にあげられる特徴は,電源部が別個体になっていて切り離せるというところでした,磁気的にも静電
的にも歪みや雑音の原因になりやすいトランス等の電源部をセパレートする事は効果的だったと考えら
れます。現在でも多くのプリメインアンプで電源部の影響をいかに減らすか,そのシールドで苦心してい
ますから。
![]()
最後にあげられる大きな特徴は,シグマドライブでした。これは,スピーカーまでもアンプのフィードバック
の中に組み込んで最適なスピーカー駆動をしようというものでした。当時のトリオのカタログによると,アン
プ単体の歪みがいかに少なくても,スピーカーからの逆起電力(スピーカーの動きの暴れによって発電作
用が起こり,音楽信号とは関係ない電気信号がアンプに戻ってくるのだそうです。)によって実際には,
多くの歪みが発生するのだそうです。それを防ぐため,理想的なスピーカー駆動が行われるというもので
した。難しいことはよくわかりませんが,スピーカーを駆動する力を表すと考えられるダンピングファクター
は,以下のカタログの諸元表によると10,000以上と飛び抜けて大きい数字を示していました。(ふつう
のアンプは何十という単位でした。)とにかく,当時のトリオが発売した名機だったと思います。今のアンプと比べても決して引けを取るもので
はないとわたしは思います。
以下に当時のカタログの一部をご紹介します。
かくて,オーディオの未来を捉えた。
究極を目指したより高度な観点から増幅系を見つめ直して,ハイパワーアンプL−02Aが完成。
Σドライブとダイナミックパワーサプライという,トリオが誇る2つのスピーカードライブ理論を合体
した独自のダイナミック・リニアドライブ・サーキットを搭載。0.003%の低ひずみ率で170W+
170Wを達成。また,世界初のMM・MC入力差替えイコライザーを採用するなど,オーディオの
未来を語る新しい原点の誕生です。
| ◎新開発のMM・MC入力差替えイコライザーアンプ。 |
| ◎アンプの入力波形=スピーカーのドライブ波形。
スピーカーの入力端子までを保証するΣドライブ。 |
| ◎低インピーダンス負荷にもすぐれたドライブ能力を示す
ダイナミック・パワーサプライ |
| ◎大容量電源部 |
| ◎初段にデュアルFETを使ったDCパワーアンプ |
| ◎各ステージを完全シールド,
相互干渉を防いだシャーシ構造 |
| ◎鳴きを抑えた重量級設計。 |
| ◎Σドライブ理論にそった独自の回路設計。 |
| ◎着脱可能なセパレート電源 |
| ◎豊富なファンクションを内蔵した
スライドコントロールボックス |
●総合特性●
| 定格出力 20Hz〜20kHz両ch動作8Ω | 170W+170W |
| ダイナミックパワー | 250W(8Ω)
390W(4Ω) |
| 全高調波ひずみ率
TUNER・AUX・TAPE→SP端子 定格出力時 20Hz〜20kHz(8Ω) 1/2定格出力時 20Hz〜20kHz(8Ω) PHONO→SP端子(Vol−20dB) 定格出力時 20Hz〜20kHz |
0.003%
0.003% 0.004% |
| 混変調ひずみ率(60Hz:7kHz=4:1)
TUNER・AUX・TAPE→SP端子(8Ω) |
0.003% |
| 周波数特性(TUNER・AUX・TAPE→SP端子) | DC〜400kHz −3dB |
| SN比(IHF−A 定格出力時)
PHONO(MM)→SP端子 PHONO(MC)→SP端子 TUNER・AUX・TAPE→SP端子 |
91dB以上
73dB以上 110dB以上 |
| サブソニック・フィルター | 18Hz 6dB/oct |
| ラウドネス・コントロール(Vol−30dB)
30Hz〜100Hz連続可変 |
+3dB/+6dB/+9dB |
| ダンピングファクター 55Hz(8Ω) | 10,000以上 |
| ライズタイム | 0.9μs |
| スルーレート | ±150V/μs |
| 入力感度およびインピーダンス
PHONO(MM)→SP端子 PHONO(MC)→SP端子 TUNER・AUX・TAPE→SP端子 |
2.5mV/47kΩ
0.1mV/100Ω 150mV/30kΩ |
●イコライザーアンプ部PHONO→TAPE REC●
| PHONO最大許容入力
MM 1kHz ひずみ率0.0007% MC 1kHz ひずみ率0.0007% |
350mV
15mV |
| PHONO RIAA偏差
PHONO→TAPE・REC 20kHz |
±0.2dB |
●出力レベルおよび出力インピーダンス●
| TAPE REC(PIN) | 150mV/430Ω |
| PRE OUT(最大出力) | 2V/600Ω |
●電源部その他●
| 電源電圧・電源周波数 | 100V 50Hz/60Hz |
| 定格消費電力 | 420W |
| 電源コンセント 電源スイッチ連動
電源スイッチ非連動 |
2個 250W
1個 500W |
| 最大外形寸法(幅×高さ×奥行)/重量
本体,電源のドッキング時 本体部 電源部 |
480×183×482(mm)/34.5kg
480×183×343(mm)/17.5kg 480×181×163(mm)/17kg |
※本ページに掲載したL−02Aの写真,仕様表等は1982年5月のTRIO(KENWOOD)
のカタログより抜粋したもので,ケンウッド株式会社に著作権があります。したがって,
これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意
ください。
現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。