F-700の写真
PIONEER F-700
FM専用チューナー ¥65,000
パイオニアが1980年に発売した高性能チューナー。パイオニアもトリオと同様にパルスカウント方式を採用した
チューナーを作っていました。私も,当時欲しいなと思った1台です。弟機のF-500がAM/FMチューナーだっ
たのに対し,本機はFM専用のチューナーで性能を追求していたようです。デザインもすっきりしていて高級感が
ありました。                                                           

F−700の最大の特徴は,「ビートレス・パルスカウント方式」と呼ぶパルスカウント検波になっていることでした。
パルスカウント方式は,トリオが初めて採用した方式でしたが,従来LCによる共振回路を用いて行っていた検波
段にデジタル技術を導入したものです。FM波を一度パルス化しデジタル的に処理することで,ひずみの原因とな
る非直線性や温度変化によるドリフトを排除した優れた方式でした。さらに,IF(中間周波数)を2段階設けるダブ
ル・コンバート方式を採用して高感度と優れた特性を実現していました。ダブルコンバート方式で発生しやすいビ
ートに対する対策をとっていることが売り物で,わざわざ「ビートレス」と称したのもそのためでした。第2ミキサー
段にリニア掛け算器を使用し,高調波による和や差の成分によるビートを抑え,さらに,第2ローカル発振器にプ
ッシュプル回路を採用し,ここでも高調波を出にくくし,ビートの発生を抑える設計でした。

FM多局化時代(このチューナーの発売からさらにかなりの年月がかかりましたね。)で問題になるRF相互変調
(2つの強力な電波がチューナーに入った場合,使用半導体の非直線性のために,その周波数の和や差などの
妨害信号が発生し,妨害波となったり架空の局が出現したりする現象)に対しての対策もとられていました。具
体的には,フロントエンドにDD MOS FET(2重拡散FET)によるプッシュプルフロントエンドを採用して高性能
化を図っていました。

IF部は,WIDE,NARROWの切換が可能で,WIDE時には,低歪みのSAWフィルターと群遅延特性が平坦で
低歪みのセラミックフィルターのみの構成で音質を重視し,NARROW時には,狭帯域セラミックフィルター3個と
リミッターIC2個が更に追加され,こう選択度をめざす構成でした。

MPX部は,コンポジット信号そのものが,能動素子を通過せず,不要な信号はアースに落とされるようにした
ダイレクトスルーMPXとしてSN比と歪率特性を高めていました。チューニングノブから手を離すと周波数をロッ
クするタッチセンサー・サーボロックはバリコンチューナーとして当然備えていました。(シンセサイザーチューナ
ーでは存在しない機能・・・。)また,DEVIATION/MULTIPATH切換式のメーターもかっこよかったものでし
た。(これもシンセサイザーチューナーになって見られなくなりましたね。)

トリオだけかと思われていたパルスカウント方式を採用したチューナーがパイオニアから出ていたことはあまり
知られていませんが,このF−700は,パイオニアらしい明るくバランスの取れた音で,個人的には,当時気に
なっていた1台でした。パイオニアのチューナー技術を見直した1台でした。 
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 




広帯域,低歪,高SN比。
しかもビートの発生をおさえた
ビートレス・パルスカウントチューナー。
◎ビートの発生を抑えた,広帯域直線検波。 
  ビートレス・パルスカウント方式   
◎RF相互変調特性106dBを実現した     
  プッシュプルフロントエンド。         
◎電波条件に合わせてWIDE-NARROWに
  選択度を切換えられるIF部。       
◎SN比と歪率特性を高め,信号を汚さない  
  ダイレクトスルーMPX。

 

主な仕様



 
 
 

●FM部                               
SN50dB感度 1.8μV  新IHF16.2dBf(モノ) 
20.0μV 新IHF37.2dBf(ステレオ) 
実用感度 0.95μV  新IHF10.8dBf(モノ)
SN比 92dB(モノ,85dBf入力時) 
87dB(ステレオ,85dBf入力時)
高調波歪率 WIDE   モノ:0.03%(100Hz) 
          0.03%(1kHz) 
          0.03%(10kHz) 
    ステレオ:0.04%(100Hz) 
          0.04%(1kHz) 
          0.09%(10kHz) 
NARROW 
       モノ:0.08%(1kHz) 
    ステレオ: 0.2%(1kHz) 
キャプチュアレシオ WIDE:0.8dB  NARROW:2.0dB
実効選択度 WIDE   :50dB(400kHz) 
NARROW:65dB(300kHz) 
ステレオセパレーション WIDE:60dB(1kHz) 50dB(20Hz〜10kHz)
周波数特性 20Hz〜15kHz±0.5dB
RF相互変調特性 106dB(2.5MHz離調),91dB(800kHz離調)
イメージ妨害比 120dB
IF妨害比 120dB
スプリアス妨害比 120dB
AM抑圧比 70dB
サブキャリア抑圧比 70dB
ミューティング動作レベル 4.9μV(25dBf)
アンテナ入力インピーダンス 75Ω不平衡形

 
 
●出力部                             
出力端子 
(出力レベル/出力インピーダンス)
FM(100%変調):650mV/2.2kΩ(FIXED) 
            0mV〜1.3V/2.2kΩ(VARIABLE)
マルチパス出力 130mV/10kΩ(VERTICAL) 
400mV/10kΩ(HORIZONTAL)

 
 
●電源部・その他                        
電源電圧 AC100V 50/60Hz 
消費電力 25W
外形寸法・重量 420(W)×98(H)×393(D)mm・7.5kg
※本ページに掲載したF-700の写真,仕様表等は1980年6月のPIONEER
 のカタログより抜粋したもので,パイオニア株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じら
 れていますのでご注意ください。
 

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