F-26の写真
PIONEER F-26
FM STEREO TUNER ¥135,000

1977年にパイオニアが発売したFM専用チューナー。薄型の筐体に文字盤がとびだした独得のデザインが
印象的な1台でしたが,バリコン式チューナーからシンセサイザーチューナーへの過渡期であった時期らしく
バリコン式チューナーに水晶制御をとりいれた,クォーツロック式チューナーで,パイオニアブランドとしては,
当時の最高級機でした。

F-26の最大の特徴は,上記のようにクォーツロック回路を搭載していたことでした。水晶発振器を内蔵した
クォーツロック回路により,ローカル発振器の発振周波数を,端数のない100kHz単位で変化させ,希望周
波数にぴったり同調させ,温度・湿度等の変化があっても,発振周波数がきちんとロックされて変化を起こさ
ず,同調後のドリフトを排除していました。
F-26では,チューニングツマミをタッチセンサーとし,ツマミに触れるとクォーツロック回路がOFFになり,選
局時は,ローカル発振周波数がリニアに変化し,LEDの表示に従って同調をとり,ツマミから手を離せばクォ
ーツロック回路が働いて100kHz単位で,希望周波数を確実にロックし続ける仕組みになっていました。さら
に,同調後に電源をOFFにしても,ふたたび電源をONすれば,バリキャップ印加電圧のスイープで前に同調
していた周波数にふたたびロックする,再ロック回路も内蔵していました。

フロントエンド部は,デュアルゲートMOS型FETによる高周波増幅段2段と,周波数直線精密7連バリコンに
よって構成され,高い妨害排除能力をもっていました。また,バリコンの2セクションをローカル発振用に使用
したダブルウエハー・ローカルオシレーションにより,ダイヤル目盛りとの誤差を抑え,選局精度を高めていま
した。回路基板には,テトロン布エポキシ材を使用して,雑音の低減と感度アップを図っていました。

F-26の内部

IF部は,音質重視のワイドバンドを標準とし,電波状態の悪いところで高選択度特性を得るナローバンドを備
えていました。F-26では,雑音成分及び検波器のSカーブで検出される妨害波成分に応じて,IFバンドを
チューナーが自動的にワイドからナローに切り換えるオート切換を装備していました。
ワイドバンドでは,群遅延平坦ベッセルフィルターとSAWフィルターの組み合わせに,差動増幅IC3個と差動
リミッターIC4個を設けさらに,検波回路に,新開発の「パラレル・バランスド・リニア・ディテクター(PBLD)」
を採用していました。このPBLDは,それまでのパイオニアの超広帯域直線検波器をさらに発展させたもので
検波効率,SN比ともに6dBアップした新しい方式の検波器で,これにより,F-26は,ステレオ再生時にも,
従来機を大きく超えた,高SN比,低歪率,高セパレーションのすぐれた特性を実現していました。
ナローバンドには,セラミックフィルター4段と差動IC3個,さらにパイオニア専用高集積度IC(PA-3001A)
により,妨害排除能力の高い選択度重視回路を構成していました。

MPX部には,新たに「クリーンパイロットシステム」が搭載されていました。これは,MPX部のPLL ICへの
コンポジット信号(音声用の合成信号)が混じることによるビートの発生を抑えるため,トランジスターと直列
共振回路によって,19kHzのパイロット信号だけを取り出してPLL回路に加えるというものでした。MPX部
では,さらに,不要になったパイロット信号を位相面に影響のあるローパスフィルターによらず,パイロット信
号オートキャンセル回路によってカットすることで,ワイドレンジと低歪みを実現していました。このパイロット
信号オートキャンセル回路は,各放送局ごとのパイロット信号レベルの変動にも自動対応し,確実にパイロ
ット信号を打ち消す仕組みを持っていました。この回路により,38kHzのキャリア信号を減衰させるための
ローパスフィルター(7素子構成)は,共振点を十分に高域に設定することが可能となり,ここでも,周波数特
性の向上が実現していました。

電源部には,チューナーとしてはきわめて大容量の6,000μF の電源コンデンサーを搭載していました。
また,機能的には,パネル面同様きわめてシンプルに仕上げられていましたが,リアパネルにミューティング
動作レベル(20〜40dBf)のレベルコントロール,モノ/ステレオの自動切換動作レベル(30〜50dBf)のレ
ベルコントロールなどが備えられていました。端子類はすべて金メッキが施され,性能と信頼性の向上を図っ
ていました。

以上のように,F-26は,薄型のシンプルな筐体に,当時最新の技術を投入した高性能チューナーでした。
同社の薄型プリアンプC-21と大きさ,デザインを合わせたもので,パイオニアらしい中庸をいく滑らかな音
を持ったシンプルで美しい高級チューナーでした。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 
 


S/N83dB(ステレオ)86dB(モノ)を達成。
音楽の姿勢を明確に伝えます。
◎水晶発振器の精度で同調ずれをなくしたクォーツロック回路。
 ドリフトを排除し希望電波を確実にホールドします。
◎新鮮なチューニング感覚を生み,操作性を向上させた,
 タッチセンサー+LEDインジケーター。
◎FM再生の理想を求め,S/N83dB(ステレオ),
 T.H.D0.05%,セパレーション55dB(1kHz)を実現した,
 パラレルバランスド・リニアディテクター採用の検波回路,
 そしてクリーン・パイロットシステム。
 ●パラレルバランスド・リニアディテクター。(PBLD)
 ●クリーン・パイロットシステム。
◎雑音成分および妨害波成分を検出し,電波状態を見分けて
 IFバンドをワイドからナローへオート切換え。
◎総合性能を高めるため,
 各部に高度な先進技術が投入されています。
 ●7連バリコン採用のフロントエンド部。
 ●パイロット信号オートキャンセル回路の採用。
 ●6,000μFの電源コンデンサーを搭載。
 ●リアパネルには実用性の高い付属機能を装備。
 ●総合性能と信頼性を高める金メッキ端子。
 ●最新の電子技術導入と操作性の追求から生まれた,美しい形。
 ●20番シリーズのプリアンプC-21とデザインの調和がはかれます。
 
 
 
 
●F-26の仕様●

■FM部■


回路方式 クォーツサンプリングブロックト,IFバンド切換,P.B.Lディテクター
パイロット信号キャンセラー内蔵PLL MPX 
SN50dB感度 3.5μV  新IHF16.1dBf(モノ) 
40μV   新IHF37.2dBf(ステレオ)
実用感度 1.8μV  新IHF10.3dBf
SN比 86dB(モノ) 
83dB(ステレオ)
高調波歪率 WIDE   モノ:0.05%(20Hz),0.03%(1kHz)
          0.03%(10kHz),0.04%(15kHz)
    ステレオ:0.06%(20Hz),0.05%(1kHz)
          0.1%(10kHz),0.25%(15kHz)
NARROW 
       モノ:0.15%(1kHz) 
    ステレオ:0.3%(1kHz) 
キャプチュアレシオ NARROW:2.0dB
実効選択度 NARROW:75dB(300kHz) 
ステレオセパレーション WIDE:55dB(1kHz),50dB(50Hz〜10kHz)
     40dB(20Hz〜15kHz)     
NARROW:50dB(1kHz)
周波数特性 20Hz〜10kHz+0.1dB,−0.2dB
20Hz〜15kHz+0.1dB,−0.3dB
イメージ妨害比 120dB
IF妨害比 120dB
スプリアス妨害比 120dB
AM抑圧比 65dB
サブキャリア抑圧比 75dB
ミューティング動作レベル 5.5μV(30dBf)〜310μV(55dBf)可変
オート,モノ切換レベル 17μV(30dBf)〜170μV(50dBf)可変
アンテナ 300Ω平衡型,75Ω不平衡型

 

■出力部■


レベル/出力インピーダンス FM(100%変調) 650mV/2.2kΩ(FIXED) 
            50mV〜1.3V/3kΩ(VARIABLE)
マルチパス出力 VERTICAL 100mV/5kΩ(AM1kHz30%変調)
HORIZON  500mV/4.1kΩ(FM1kHz100%変調)

 

■電源部・その他■


使用半導体 FET 10,IC 16,トランジスタ 66,ダイオード他 54 
電源電圧 AC100V 50/60Hz
消費電力 14W(電気用品取締法)
外形寸法・重量 420(W)×81(H)×355(D)mm・7.5kg
※本ページに掲載したF−26の写真,仕様表等は1977年9月の
 PIONEERのカタログより抜粋したもので,パイオニア株式会社に
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用
 等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。                        
 

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