C-5000Aの写真
LUXMAN  C-5000A
STEREO PRE-AMPLIFIER ¥355,000

1979年にラックスが発売したプリアンプ。当時のラックスのトランジスタ・プリアンプとしては
最上級機で,プリメインアンプL- 68A,L-58Aなどとも共通するラックスらしい上品さと機能
性を持った新しいパネルデザインが特徴的で,音の面でもラックスならではの魅力と新しさを
持つプリアンプでした。

回路面では,全段Aクラス動作がまず特徴でしたが,ラックス自慢の「デュオ・ベータ回路」の
採用が大きな特徴でした。
この「デュオ・ベーター回路」とは,2つの フィードバック回路(NFB回路とDCサーボ回路)を
巧みに組み合わせ高音質を実現しようというも ので,電気用語でフィードバック回路を意味す
るギリシャ語「β(ベーター)」と音楽用語でイタリア語で二重奏を意味する「Duo」を組み 合わ
せて名付けられていました。「デュオ・ベーター回路」は,大量のNFB(負帰)をかけて特性 を
改善を図ることをやめ,アンプの裸特性を向上させ,そこに適量のNFBをかけ,DCサーボに
より,可聴帯域外からの制御でアンプの動作の安定性と高音質を確保するという技術でした。
また,DCサーボ回路は混変調歪みの原因となる超低域ノイズをカットするだけでなく,ローノ
イズFETアンプの採用や,ローパスフィルター回路に小容量で質のよいフィルムコンデンサー
を採用したことにより,しっかりと締まった低域再生を実現していました。

C-5000Aの基本のアンプ回路は,「デュオ・ベーター回路」に対応して,ゲインが控えめで裸
特性のよいアンプ回路となっていました。入力段のカスコード差動入力式ブートストラップ回路
とトランジスタによる動抵抗回路の組み合わせがなされていました。また,出力段には,出力
インピーダンスを充分低く抑えるために,トランジスタ4石によるSEPP回路を採用して,裸特
性における歪みを無理なく軽減していました。これらの結果,オープンループの歪率は0.2%
と従来の1/10に抑えられ,スルーレイトも150V/μsecと大きく向上していました。音質的
にも各回路の素子に高域特性のすぐれた素子を採用して,「デュオベータ回路」の効果を高め
周波数帯域による音色の変化も抑えていました。

電源部は,プリアンプとして強力なもので,大容量の高速定電圧電源が搭載されていました。
トランスにはリーケージフラックス(磁束漏れ)が少なく,効率の良いトロイダルトランスが採用さ
れ,そのコアサイズも一般的な25W×2程度のパワーアンプにも匹敵する大容量のものでした。
電源安定化対策として,トランス捲線を独自の設計による左右独立捲線とし,これを受ける電
源回路部も左右完全独立のツインモノラル構成となっていました。電源回路部に搭載する素子
も厳選され,特にフィルター関係のコンデンサーには,容量の大きな音質改良型の電解コンデ
ンサーが採用され,定電圧電源部の出力インピーダンスを低く抑え,高速応答性を高めていま
した。

電源部リモートスイッチ化

コンストラクションの面でも音質重視の設計がなされていました。まず,微小な信号を扱うプリ
アンプとして配線の単純化と信号経路の短縮化が図られていました。そのために,全てのスイ
ッチをリモートスイッチ化して,基板と直結させパネル面のツマミで基板上の回路を直接切り換
えられるようになっていました。このため,基板上の理想的な位置にスイッチを配した構造が実
現していました。電源トランスも,機能上許される限りの配線が最短になるような位置に配置さ
れていました。
スイッチにはあえて多回路のものをパラレルに使い,接点による音の変化を防ぐようになって
いました。基板には,信頼性の高いガラスエポキシ基板を採用し,主要な部分は両面基板とし
ていました。回路構成は,左右チャンネルをブロック化したうえ,基板ごとに独立分離して相互
干渉を抑えていました。これらの9枚の基板を縦に合理的に納めたレイアウトを採用し,多機能
を無理なく納めていました。基板の接続部には,通信機器などに使われている高信頼度のコネ
クターを厳選して使用し,基板側の端子にも金メッキを施すなど,接続部の信頼性を高めてい
ました。この基板配置により,パネル前面のツマミは上下ではなく左右に切り換える方式となり
デザイン上でも操作感上でも独自の個性となっていました。

C-5000Aの内部

この頃からアンプ等の機器で,基板に磁性体が接近すると音質が変わるということが言われ
るようになりました。このいわゆる磁気歪み(渦電流歪み)を抑えるため,C-5000Aでも,非
磁性体の素材の採用が積極的に行われていました。その大きなものとして,基板の対向面か
ら金属類のシールドを排除していました。一方で問題になるノイズ対策として,両面基板など
による基板のブロック化,リモートスイッチによる配線の悪影響の排除が行われていました。
また,そのスイッチも非磁性体の素材を使った特注のものを採用したり,シャーシ自体にも
強度に問題ない限りアルミニウムを採用したりするなど,磁気歪みを排除していました。

パーツの面でも音質重視で配慮がなされていました。各部に使われたフィルムコンデンサー
は,信号の大小により非直線性が表れ音色が変わるため,一般に無極性であるといわれる
フィルムコンデンサーの極性を意識し,極性を決定した上に意識的にバイアスを与えて非直
線性の関係を解決していました。また,内部の導箔体の機械振動による非直線性に対しても
この直流バイアスにより一定のクーロン力が発生し,機械振動が抑えられるようになっていま
した。さらに,使用する全てのフィルムコンデンサーに独自に極性マーキングして吟味して使
用し,音色のバラツキを抑えていました。
ボリュームには,耐久性,音質,使用感の良好なコンダクティブ・プラスティックボリュームが
使用されていました。イコライザー段とフラット段には,性能的にすぐれている窒化タンタル抵
抗などが試聴により吟味して使用されていました。入出力端子には,PHONOだけでなく全て
の端子に金メッキが施されていました。配線材料も,試聴により吟味され,容量的に十分な余
裕があるものが使用されていました。

トーンコントロールは,細やかな音質調整を重視するラックスらしい方式で,NF型湾曲点切替
付き(バイパス可)を搭載していました。高域・低域ともかく高低9ポイントの湾曲点周波数が
選択できるようになっており,レベルコントロールには精密かつ確実な操作ができるスイッチ式
が採用されていました。
フィルターは,減衰特性−6dB/octと−12dB/octをそれぞれ独立して搭載し,両方を併用す
れば−18dB/octもの減衰特性も得られるようになっていました。また,ハイで9kHzと15kHz
サブソニックで10Hzと20Hzのポイントを選択できるようになっており,用途に応じて使い分け
られるようになっていました。

MC入力トランスとソケットAD-8000シリーズ昇圧トランス

ラックスは当時,MC型カートリッジ用として,8000シリーズ(8020,8025,8030)を出して
いました。これは,銀線とリッツ線を捲線に使用したトロイダルトランスで,高域特性にすぐれ,
専用アダプタAD8000(¥6,000)に付けて使用するようになっていました。C-5000Aでは
リアパネルに専用のソケットが設けられ,トランスの2次側からの配線を最短にできるため,引
き回しによる特性の劣化が避けられるようになっていました。

以上のように,C-5000Aは当時のラックスの最高級プリアンプとして,機能性と音質のバラン
スがとれた使い易いプリアンプでした。音の方もラックスらしい魅力あるもので,しっかりした力
のある音ながら,上品で自然な感じが特徴でした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



適量NFBとDCサーボ。
デュオ・ベータ回路による
最高峰プリアンプ。


最高級プリアンプを求めて,
すべての技術を投入!

◎音質向上のためにNFBを利用する
 適量NFBとDCサーボのデュオ・ベータ回路採用
◎オープンループ特性を飛躍的に向上
[歪率は1/10に,周波数特性は10倍に]
◎リモートスイッチ方式のユニット基板を採用
◎大容量トロイダルトランスと
 ツインモノーラル構成の高速定電圧電源
◎磁性体を排除したシャーシ構造と素材
 音質に悪影響を及ぼす電磁的歪み対策も万全
◎音質重点で厳選したパーツ類
◎MC入力トランス用ソケットを装備
 8000シリーズ昇圧トランスの性能を
 100%楽しめます
◎9つの湾曲点切替が可能な
 トーンコントロール機能
◎精密な調整ができるフィルター機能





●SPECIFICATIONS●

出力電圧
pre.out:標準1V,最大18V(歪率0.002%以下)
rec.out:標準145mV,最大18V(歪率0.002%以下)
出力インピーダンス
pre.out:47Ω
rec.out:100Ω
全高調波歪率
phono(MC,MM-1,MM-2):0.005%以下(rec. out;145mV,20〜20kHz)
tuner,aux-1,-2:0.005%以下(pre.out;1V,20〜20kHz)
monitor-1,-2,-3:0.005%以下(pre.out;1V,20〜20kHz)
混変調歪率
phono(MC,MM-1,MM-2):0.002%以下(rec. out;145mV,60Hz:7kHz=4:1)
tuner,aux-1,-2:0.002%以下(pre.out;1V,60Hz:7kHz=4:1)
monitor-1,-2,-3:0.002%以下(pre.out;1V,60Hz:7kHz=4:1)
周波数特性
phono:20〜20,000Hz(±0.2dB以内)
tuner,aux:1〜150,000Hz(−0.5dB以内)
monitor:1〜150,000Hz(−0.5dB以内)
入力感度
(pre.out;1V)
phono(MC):使用トランス(LUX-8020,8030等)に よる(例:8020使用時 220μV)
phono(MM-1,-2):2.2mV
tuner,aux-1,-2:145mV
monitor-1,-2,-3:145mV
入力インピーダンス
phono(MC):使用トランス(LUX-8020,8030等)に よる(例:8020使用時 20〜40Ω)
phono(MM-1):50kΩ
phono(MM-2):100Ω,50kΩ,100kΩ
tuner,aux-1,-2:60kΩ
monitor-1,-2,-3:60kΩ
SN比
phono(MC):78dB(8020使用時,IHF-A,入力 ショート)
phono(MM-1,-2):80dB(IHF-A,入力ショート)
tuner,aux-1,-2:100dB(IHF-A,入力ショート)
monitor-1,-2,-3:100dB(IHF-A,入力ショート)
トーンコントロール
LUX方式NF型湾曲点周波数切替付(bypass可能)
低域湾曲点:55Hz,77Hz,110Hz,155Hz,220Hz,
        310Hz,440Hz,620Hz,880Hz
高域湾曲点:440Hz,620Hz,880Hz,1.2kHz
        1.7kHz,2.5kHz,3.5kHz,5kHz,7kHz
変化量:−8dB,−4dB,−2dB,−1dB,0dB,
     1dB,2dB,4dB,8dB
サブソニック・フィルター
6dB/oct:10Hz,off,20Hz
12dB/oct:10Hz,off,20Hz
両フィルター共onにすれば18dB/octとなる
ハイカット・フィルター
6dB/oct:9kHz,off,15kHz
12dB/oct:9kHz,off,15kHz
両フィルター共onにすれば18dB/octとなる
付属装置
MM-2キャパシタンス切替(50pF,100pF,300pF)
テープモニター3系統(TAPE-1,-2,-3)
テープダビング(1→2,2→1,1→3)
ローブーストスイッチ(50Hz,off,100Hz)
ヘッドホン・ジャック(レベル切替可能:off,low,high)
MC型トランス用ソケット(8020,8030適合)
ACアウトレット(SWITCHED2系統,total max900W
        UNSWITCHED4系統,total max200W)
消費電力
30W(電気用品取締法の規定による)
電源電圧
AC100V(50Hz/60Hz)
外形寸法
498W×350D×180Hmm
重量11.5kg


※ 本ページに掲載したC-5000A の写真,仕様表等は1980年1月の
 LUXMANのカタログよ り抜粋したもので,ラックス株式会社に著作
 権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等す
 ることは法律で禁じられていますのでご注意ください。

  
 
 
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